締切りに追われることがない日が2日間あって、少し気持ちが落ち着いた。細かい原稿などはあるけど、随分と気持ちが楽だ。
身体の疲れもやや回復した気がするので、今日は昼間考えないといけないことをじっくり考えよう。読まなければと思っていた資料などもまとめて読める。
『赤鼻のセンセイ』→
◎の撮影も順調だ。
この前は現場に顔を出して来た。セットがでかい。喜んでセットの中を歩いていたら撮影中だった。久しぶりに洋ちゃんとも会った。その後、上の部屋で私は脚本の直しをしていたのだが、撮影が終った彼は顔を出してくれた。頑張らないとなあと改めて思った。
* * *
前にKおじさんについて書いた。→
◎ 今日はKおじさんの別の話を書く。
豪快な彼はある時私に言った。
『ほら、おじさん、こういう風だろ? だけどな、ちょっと大人として落ち着きが必要だと思ってね。水墨画を始めたんだ、ヒデ君』
Kおじさんと水墨画という取り合わせにまず私は興味を持った。
『それがね、ヒデ君。おじさん、どうも才能があるみたいなんだ。まずちょっと習ってね。そしたらいきなり何か描いて来いと言われてね、だからおじさんね、メザシを描いたんだ』
おじさんは何を思ったのか、家にあったメザシを描いたらしい。
しかも6匹入りのメザシだ。目がストローでつながっているパック入りのやつだ。
水墨画の題材としてはどうだろうと思うが、とにかくKおじさんは一生懸命描いたのだ。
『で、その絵を持ってったらねえ、初めてにしてはよく描けてると褒められてねえ。で、タイトルは何ですか? と言うんだ。どうやら来週、生徒達の展覧会があってね、そこに一緒に飾ってくれるというんだよ』
Kおじさんは嬉しそうだ。
タイトルが決められずに悩むおじさんに向かって、先生は『じゃ、こっちでタイトルはつけておきます』と言ってくれたようだ。
『ただね、悔しかったのはね、ヒデ君……』
嬉しそうだったKおじさんの表情が突然曇った。
『展覧会見に行ったらね、おじさんの絵、縦横間違って飾ってあるんだよ。メザシはストローが上だろ? それがね、ストローが縦になってるんだ。しかもね……先生がつけてくれたタイトルを見てね、おじさん悔しかった』
そうなのだ。
縦横90度間違って飾られた上に、その下には達筆な字で『鯉のぼり』というタイトルがついていたらしい。
『先生、おじさんの絵を鯉のぼりだと勘違いしたんだよ。あれは悔しかったぞ、ヒデ君』
まさか、先生もパック入りのメザシを描いてくるとは想像しなかったのだろう。
私は先生の気持ちが分かった。
posted by 土田英生 at 09:14| 京都

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雑記
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