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MONO代表・土田英生のブログです

2006年08月01日

「錦鯉」

 今年の11月にホリプロ/北九州芸術劇場制作で上演する「錦鯉」の具体的な改訂を進めている。これは元々2000年にMONOで初演した作品だ。CXのドラマ「演技者」で取り上げてもらったことがあるが、あの時は原作提供の形だったので他の人の手もかなり入っている。今回は舞台での上演だし、自分で演出もするので初演時のホンをベースにして手を入れている所だ。大まかな骨格は変えずにキャストに合わせた書き換えが中心になっている。面白いキャストに集まってもらえたと喜んでいる。ただ、水沼以外は全員始めて一緒にやらせてもらうメンバーばかりなので稽古場でも修正をしていかないといけないだろう。だから今はイメージを元に登場人物の佇まいや台詞の言い回しを変更している。
 私は元来、笑いのある芝居が好きだ。出来たら客席で皆が楽める作品を創りたいと常に願っている。書きながらもよく一人で声を殺して笑っているし、演出している時は声を出して笑っている。にもかかわらず人からはいつも「微妙に地味」だとか、「中途半端に暗い」などと言われる。この「錦鯉」という作品はそんな事実に対して一念発起、完全な娯楽作品を創ってやろうとして書いた。お客さんの反応はそんなに変わらなかったが。
 まだどんなものになるかは分からない。しかし最近ますます作品が地味になって来ていると言われたりするので、思い切って弾けてやろうと思う。いや、私が弾けても仕方ないね。演出が稽古場で勝手に弾けても無駄だし。そう、作品を弾けさせなければならない。そうする。

 それにしても……昨日の卓球のせいで身体中が猛烈に痛い。
 今日はニューヨークで上演予定の「その鉄塔に男たちはいるという」の打合せが大阪であった。しかし、これがとても大変だった。まず、会場までとても時間がかかる。痛くて歩けないのだ。時速2キロくらいしか出ない。大阪駅の中では腰の曲がったおばあちゃんとデットヒートになり、最終的に惜しい感じで追い抜かれた。
 着いてからも喋っているだけで胸の辺りの筋肉が痛い。途中トイレに立とうとすれば膝が笑ってしまい隣のテーブルにガタンと手をついてしまう。帰りも駅から徒歩10分のはずが自宅まで二十分かかった。更に深夜のランニングはあまりの筋肉痛の為に中止。体重計に乗ればなぜか増えている。一瞬だが、人生に空しさを感じた。
posted by 土田英生 at 04:51| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月07日

意味のない更新。

 更新していないので、ただ更新する為だけに書いている。
 ここの所、二日づつ移動をしている。東京、京都、東京、北九州。とにかく仕事をしなければならない。では仕事に戻る。
 
posted by 土田英生 at 23:54| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月11日

時々訪れる時間

 誰でもそうだと思うが忙しすぎるのは辛い。とにかく休みたいと思う。しかし過密スケジュールの中にいきなり生まれた一日のゆとりなどが嫌いだ。全てを忘れて遊ぶには中途半端な時間。そんな時にはいきなりイヤなことに気づいたりしがちだ。突然、考えてもいなかったはずの不安がよぎり、一旦不安に気づけばそこから問題は勝手に成長して、最後には深く悩み始めてしまう。もうそうなると消えてくれない。再び忙しくなったとしても消えずにやかましく心の中で騒ぎ続ける。
 例えば、何かに夢中になっている時に他人から言われた些細な一言。その時には気づかない。大笑いなどをして過ぎて行く。しかし中途半端な時間になるとその言葉は突然違った響きを持って再生される。色んな問題が常に心の中にあるのだろうけど、忙しい時には表に顔を出せないのだ。だから適度に忙しいというのがちょうどいい。中々そんな都合良くはいかないのだけど。

 先日「錦鯉」のチラシ撮影に顔を出した。キャストが全員揃っていた。皆、人がいい。稽古場が楽しみになった。きちんと戯曲も読み込んでいて様々な質問をされた。私もとても気持ちが引き締まった。 
posted by 土田英生 at 06:43| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月14日

不自由。

 こうしてすっかりブログめいたものを書いているがいまだに気持ち悪い。
 いや、正直に言えば、時折、書いていて気分のいいことはある。
 何が気持ち悪いのかと言えば、想っていることや自分の周りで起こったことなどをタイムリーには書く事が出来ないことだ。誰かが読む可能性を前提としている以上、これは日記とは決定的に違う。
 例えば仕事上で何かハプニングがあったとする。しかし相手がある場合は不用意に書けない。書けば相手を傷つけることだってあるし、それは直接当人との間で解決をすることであって、ここで愚痴を一方的に述べることは出来ない。
 また、何か仕事の企画があったとしてもそれを発表出来るのはほとんどの場合何ヶ月も先のことなので書く事が出来ない。人と会っても相手のことは書かないことにしている。書けるエピソードは「前にこんなことがあった、云々」という曖昧なものにならざるを得ない。これは非常にもどかしい。現在、私はちょっとばかり深く考えなければならない状況に直面しているが、それを具体的に書く事が出来ないのが悔しい。まあ、その内解決を見るだろうし、後になれば喋ることも出来るんだろうけど。
 
 ここ一週間はとにかくたくさん人に会った。色んな所に行った。どの場所でも私は調子に乗ってやや喋り過ぎた。そのことに毎回微かな自己嫌悪を感じた。そして……少し痩せた。 
posted by 土田英生 at 04:09| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月18日

扇風機

 何だかここ二三日、ちょっとばかり沈んでいた。
 しかし浮上して来た。昨日は浮いて来ているのか自分でも曖昧だったが、今日は確実に気分が上向いた。と、思う。
 
 どうでもいいことを書こう。
 昨日の朝、テレビを見ていた。冷房をつけて、風を循環させる為に扇風機も回っていたが、風が直接あたらないように扇風機は明後日の方角を向けていた。

 テレビのチャンネルを変えた。
 風が来る。
 振り返ると扇風機の首が回っている。そしてこっちを見ている。あれ、固定したのにと首振りを止めて明後日の方角を向かせる。
 しばらくテレビを見ていた。

 チャンネルを変えた。
 風が来た。扇風機はまたしても私を見ている。
 “テレビのチャンネル”と“扇風機の首振り”の周波数が一緒らしい。
 
 首を元に戻してしばらくテレビを見ていた。
 チャンネルを変えたくなった。今度は扇風機のリモコンを取り外してソファーに戻り、テレビに向かって押してみた。
 ……風が来た。扇風機だけが私を見た。
 テレビ画面は変わらなかった。逆もまた真なりとはいかないようだ。

 扇風機の首振りを止めて、テレビのリモコンで画面を変えた。
 またしても扇風機の首は動き出した。
 扇風機の首振りを止めて、しばらくテレビを見ていた。
 つまらなくなってテレビを消した。
 
 ……またしても首を振り始めた。感じやすい扇風機にも困ったもんだ。
posted by 土田英生 at 10:49| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月21日

身の置き所

 マンションの夏祭りがあった。
 私は取り立てては何もしていないが、子供向けお化け屋敷イベントで“整列させ係”をした。子供達に囲まれて「おい、このお化け屋敷におるお化けは人間やんな?」「早く入れろや」「そのメガネ安モンやろ?」などと理不尽に罵倒をされながら頑張った。
 そして終ってから疲れを取る為にスーパー銭湯に行った。
 サウナに何度も入り、すっかりリラックスしていた。
 ところで銭湯などではタオルで前を隠すタイプと、全く無防備なタイプに分かれる。
 ちなみに私は“積極的に見せたくはないけれど、隠すのもおかしいと思うので無防備にしている”派だ。
 さて、私が出ようとした時だった。
「あれ? 土田さんですよね?」
 と、男性から声をかけられた。笑顔の爽やかな“完全無防備派”の人だった。
 MONOを観てくれたりしているという。
 私は頭を下げながら「ええ、そうです、ああ、ありがとうございます」などとしどろもどろの挨拶をした。彼は爽やかに無防備だ。私は片手にタオルを持ちながら身の置き所なく喋っていた。今更隠すのもおかしい。
 更に彼の目をじっと見るのも居心地が悪いので、視線を落とせば無防備な別の物が見えてしまう。
 ……しかし間抜けなものだ。初対面で素っ裸というのは。
  
 
 
posted by 土田英生 at 03:23| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月25日

家で仕事をするということ。

 せっかく昼型になっていたのに、いつの間か再び昼夜逆転してしまった。直そうとしていたのだが、一昨日、久しぶりに松田正隆さんと鈴江俊郎さんが家に来て、結局は朝まで喋ってしまった。三人であんなに喋ったのは久しぶりだ。数年前までは一ヶ月に一回はこうやって集まってたなあとちょっと懐かしかった。
 とにかくそれが決定打になって夜型が確定してしまった気がする。昼間に外に出る用事がある時はいいのだが、部屋にこもり出すと時間の感覚がなくなってしまう。前にも書いたかも知れないが、とにかく家で一人で仕事をするということは私にとって本当に難しいのだ。

 何でもギリギリになってからやる性格なので“複数の仕事を一ヶ月以内で”というような漠然としたスケジュールだと混乱してしまう。どれから手をつけていいのかも分からないし、上手に自分で割り振りが出来ない。何とか一つの原稿を提出して、他の仕事に取りかかろうとすると、いきなり前に出した原稿の書き直し依頼が来たりする。こうなると訳が分からなくなる。結局、最後は同時に締切りがやって来る。
 ……というようなことを書いているということは、まさしく現在、混乱しているということだ。

 家で仕事をしていることの弊害は他にもある。
 私が住んでいるマンションはいわゆるファミリー向けのものだ。子供も多い。私は大体昼過ぎてから起き出す。そしてタバコを買いに外に出たりする。髭も伸びているし、大体はスエット姿だったりする。マンションの敷地を小さい子供が母親と歩いている。私は「こんにちは」と努めて笑顔で挨拶をする。しかし母親は「こんにちは」と怯えたような表情で挨拶を返しながら、子供をサッと引き寄せたりするのだ。私は危険ではない。何だか寂しい気持ちになる。

 前に管理人さんから突然尋ねられたことがあった。
「……お仕事、何してますの? いや、他の人が気にしてまして」
 私はいい機会だと思ってきっぱり言った。
「あの、部屋で仕事をしています。書く仕事なものですから」
「絵描きですか?」
「いえ、絵ではなくて……文字を書いています」
「ほうほう」
 ……数日後のことだった。エレベーターで一緒になった中年女性から突然言われた。
「聞いたんですけど……書道家なんですってね?」
 訂正する間もなく彼女は降りて行った。 
 
posted by 土田英生 at 03:24| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月28日

みんなの顔。

 久しぶりに東京で缶詰生活になっている。とは言っても今回は比較的短期間だが、とにかく書き終わったら京都へ戻る。今、一応、原稿を出し終わって一段落。明日は朝から打合せで、その結果次第で京都へ帰れるのかどうかが決まる。出来れば明日には戻りたいんだけど。

 少し前、自分が関わって来たMONOやGOVERNMENT OF DOGSのビデオを暇を見つけてはDVDに落としたりしていた。いやあ、びっくりした。皆、顔が違う。記憶の中ではつながっているはずなのに、昔の顔を見るとみんなまるで別人だ。MONOの役者では一番若い尾方は全然変わってないと思っていたのだが、やっぱり年は取っていた。彼が最初に出たのは94年なので12年前。そりゃ変わるに決まってる。変わらない方がおかしい。しかし改めて驚いた次第だ。まあ、一番変わったのは私だと思うけど。
 そして記憶の中では凄く面白かったと思っていたものが、かなり貧相だったりしてがっかりした。「あの芝居では……確かここで大爆笑だったはず」と期待して観ていても、意外と客席は大人しかったりする。やっぱり記憶は美化されているんだということをつくづく思い知らされた。ただ、少ないながら逆の発見もあった。あまり覚えていない所が妙に面白かったりした。
 
 しかし、一番良かったことは新たにやる気が出たことだ。若い分だけ力はなかったかも知れないが、もがいているのが伝わって来た。経験を積むと苦労をせずに何とかやろうとしてしまう。壁にぶつかった時、そこを突き破ろうとはせず、迂回する方法を知ってしまっていたりする。当たり前のことかも知れないが、真っ当にぶつかってもがくことが求められている気がする。
 次のMONOの公演は来年の2月。少し顔の変わったメンバーと共に、まともに壁を突き破る努力をしたいと思う。
 
posted by 土田英生 at 03:15| 京都 ☀| MONO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月31日

安堵

 今日はMONOの次回公演のチラシの打合せをした。
 チラシのイメージを決定する為に、現在作品について考えていることを一生懸命説明していると、内容について新しいアイデアが次々と出て来るのが分かった。やっぱり人に説明をすることは必要なのだと改めて思った。こうやって他人に語ることで作品は強度を増すのだと思う。
 何か一つ面白いアイデアを思いついたとする。興奮してそれを他人に話す。するとあまり反応がなかったり、思わぬ所に反応があったりする。もちろんこうした他人のリアクションは、そのアイデアが客観的にはどう映るのかを計る指針だ。ただ、それよりも大事なことは話しているうちに自分で勝手に白けてくるという事実だと思う。
 一旦、白けてからもう一度考え直す。すると興奮していたはずのアイデアに対して多くの疑問がわいて来る。更に考える。すると全然違った所に興奮を覚え始め、そのアイデアはやや違ったものになって来る。弁証法的にアイデアが生まれ変わるのだ。それを繰り返すことで視野は広がり、自分が本当に描きたいことが見えて来たりする。まあ、演劇の稽古場でやっていることは結局そういうことだったりする。そういう意味で今日の打合せはとても良かった。作品に新しい光があたってくるのを実感出来た。

 ……もう発表になったので書いても大丈夫だと思うが、CXのスペシャルドラマ「東京タワー」の放送日が11月18日に決定した。まだ撮り直す部分があるので他のスタッフやキャストの皆さんはこれからが大変だと思う。しかし脚本は変わらないので私がする仕事はない。何だか申し訳ない気分だ。
 とにかく発表になったことで安堵した。人から聞かれても言うことが出来ないしずっと苦しかった。このドラマの制作過程には色々なことがあった。今度こそスムーズに行って欲しいと願う。
 それからもう一つ脚本を担当したドラマが発表になった。放送日はまだ確定していないと思うが、TBS「HAPPY! 2(仮)」だ。
 そしてとうとう8月も終る。まだ終ってないものも含め、とにかく一踏ん張りしなければ。10月からは「錦鯉」の稽古も始まる。ダイエットも中途半端に終っている。気持ちを入れ直して頑張ろう。
 
posted by 土田英生 at 02:16| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする