表紙に戻る
MONO代表・土田英生のブログです

2014年07月03日

大田王

 大田王『大田王2014ジゴワット Back to 2015』の稽古が始まった。
 初日は17日。
 やるネタ的なものは持ち寄りで、それをヒロこと、後藤ひろひとが構成する。
 私も短編を書く。
 いつも書いているような台本ではない。取り敢えず何本か書いてみて、いいのを使ってもらおう。
 
 昨日は腰をグルグル回した。
 楠見ちゃんから『股間を強調して!』と言われた。
 そうなのだ。ダンスもあるのだ。
 こんなこと……いつ以来だろうか。
 渋い劇作家のイメージをつくろうと頑張ってきたのに、きっと水の泡だ。

 初日の稽古後。
 左から川下大洋・楠見薫・私・三上市朗・後藤ひろひと。

daitaou.jpg


 他には久保田浩・腹筋善之助・石原正一が出演する。
 皆さん、まだ、いけますのでよろしくお願いします!!
 
 ABCホール・大田王サイト→
 
 今日、私は東京。
 俳優育成講座の初日だ。
 準備が終わった。

 東京に向かおう。
posted by 土田英生 at 07:08| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月07日

これではいけない。


 なにをしているのか分からなくなる時がある。
 私は基本的に一つずつしか物事ができない。
 複数のことが同時に進むと、順番や優先順位が分からなくなってしまう。

 ドラマの脚本が脱稿しないまま、戯曲と小説も同時に書いている。
 その上、来年の連続ドラマの話が進み出した。
 今は、大田王の稽古中だ。→大田王Facebookページ
 ああ。
 キャパシティーの小さな私はいっぱいいっぱいだ。
 なのに……その間に、革でリップケースを創った。
 
 先月の終わり、父親の誕生日だったので久しぶりに実家に帰った。
 逆に落ち着けるかも知れないと思ったのだ。
 私の生まれ育った家は……とても自然がいっぱいだ。日帰りだったけど、とにかく頭の中から仕事のことを消して、なるべくのんびり過ごした。妹も顔を出してくれたので、久しぶりに色々話した。
 
IMG_3738.jpg


 ひつまぶしも食べたし、これで大丈夫。
 そう思って京都に帰った。

 ……勘違いだった。

 大田王の稽古に二日だけ出て、東京に戻って俳優育成講座。→
 終わったと思ったら、その日にドラマ脚本の直しが戻ってきた。
 稽古をもう一日休ませてもらい、東京に残って書く。
 再び、頭が混乱する。
 
 私は普段から愚痴ばかり書いているが、今日はもう愚痴しか書かない。
 小さなつまづきが多過ぎる。
 情けないと思いつつも、人生が少しだけ嫌になる。
 ニュースも暗くなるものばかりだしね。

 東京で朝まで書き、取り敢えず原稿を送信する。
 徹夜で下北沢を後にする。大阪に戻って稽古だったのだ。
 新幹線の中で、大田王の短編を書く。

 東京にいる時、気分だけでもリラックスしなければと思い、歩いても疲れないという評判のサンダルを買った。
 クッション性はあるし、確かに歩きやすい。
 それを履いて大阪に向かったのだが……気がつけば足の甲から血が出ていた。
 絆創膏を買って貼るが、歩くと痛い。
 ああ、うまく行かない。
 
IMG_3782.jpg


 夜まで稽古をして帰り道。
 徹夜続きだったので、大阪駅から阪急の梅田までの道がとても遠く感じる。
 歩いているのに目が閉じてくる。
 阪急の梅田に着くと特急と各停のホームを間違える。
 一瞬、全てが嫌になりかける。
 気を取り直して特急に乗り込むと、人身事故で列車が止まっているというアナウンス。
 挫けそうな気持ちに気合いを入れて、再びJRまで歩き京都行きの快速に乗る。
 座れたのですぐに眠る。
 ハッとして立ち上がり、降りようとしたら高槻。
 危ない。
 ……慌てて席に戻ると……別の人が座っている。
 気まずい。

 高槻を発車したところで、石原正一君から親切なメールが来る。
『阪急動き出しましたよ。高槻で乗り換えたらどうですか?」
 しかし……今、高槻を出たところなのだ。
 ああ、本当に何もかもうまく行かない。

 今日も昼稽古だったが、阪急の嵐山駅まで歩いた時点で、携帯を忘れたことに気づく。
 ……歩いて戻る。予定の電車に乗れない。五分の遅刻になる。

 朝日放送の最寄り駅である福島駅に着いた。
 ドアが開いた。
 なぜかぼうっとして降りなかった。
 動き出してハッとする。さらに遅刻した。
 もうもうもう、どうしたらいいのだ?

 大田王の為に書いた短編も、今日、稽古していたら自分でとても嫌になった。

 今から書き直してやる。
 そして明日も元気に稽古をしよう。

229219.jpg


 ストレスを解消するのに、色んなことをやるといいと人は言うが、仕事のストレスは仕事をやり切ることでしか解消しないと思う。だから全部やり切る。やり切ってから、ゆっくり休めばいいのだ。
 
 これではいけない。
posted by 土田英生 at 03:23| 京都 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月09日

ビフォーアフター

 稽古に行く時間ギリギリまで、とにかく書いている。
 物を書いている人は皆そうだと思うが、書いている内容に自分のメンタルが引きずられてしまう。
 頭が別の世界にいる感じがする。
 その内容のせいなのか……何だか精神的にもキツい。
 
 今日も稽古の帰り、びっくりするくらい疲れていた。
 電車の中でじっと立っていられない。
 家に帰って、すぐにお風呂に浸かり、一時間くらい眠った。
 おかげで少しだけ回復した。

 大田王も迫ってきて、バタバタだ。
 台詞も覚えなければいけないし、ダンスも練習しなければいけない。
 今日、踊った時の動画を、制作の猪瀬さんが送ってくれたのだが……なんだ、これは?
 もう、皆であっち行ったりこっち行ったり。
 スクランブル交差点で右往左往しているような男性キャストたち。
 そんな大田王、売り切れの回もありますが、よろしくお願いします! →
 
 そんな中、俳優講座のことも気になっている。
 東京は始まっていて次が二回目。
 応募書類を何度も読み返し、一人一人を頭の中に刻み付け、プログラムを考え直す。
 他の地域は現在募集中なので、皆さん、ふるって応募してくださいね。広島、北九州、伊丹は今月の28日が締切りです。→
 
 昨日は稽古の後、ちょっとだけ打合せ。
 旧知のプロデューサーなので、やりたいことを我がままに喋らせてもらった。
 彼は大学の後輩なので、話は色んなところにいく。
 昨日はすぐに『痩せたよねえ』という話題になってしまう。

 もちろん痩せたことは嬉しい。
 しかし、久しぶりに人に会うと、必ず以下のような会話になる。

「痩せたねえ」
「あ、はい」
「大丈夫なの? 病気? それとも健康的に?」
「まあ、健康的にです」
「ダイエット?」
「ですかねえ」
「どうやって?」
「キャベツ食べるだけです」
「え? だけど、どうして痩せようと思ったの?」
 
 この、「どうして痩せようと思ったのか」に答えるのが面倒なのだ。
 はっきりした理由はない。
 ずっと痩せたいとは思っていたし、自分なりに気にかけてはいた。
 で……ちょっと自己嫌悪に陥ることなどが重なって、自分について反省する時期があった。
 その間はあまり食べなかった。
 そうしたら痩せ出した。
 痩せ出したので、調子に乗ってさらに気にしてみた。キャベツばかり食べた。
 すると明らかに痩せた。
 それだけだ。
 
 もう一つ困るのが、皆の中にふっくらした私のイメージが定着していることだ。
 だから何度会っても「あれ? さらに痩せた?」と聞かれる。
 「いやいや、あなた、痩せた後に会ってるでしょう」と、思うのだが、少し会わないと再び前のイメージに戻ってしまうらしい。だから一々驚かれる。
 実を言えば少し戻ってきているくらいなのだ。
 なのに、皆は「絶対に痩せた」と言う。
 あんまり皆に言われるので、病気なんじゃないかと心配になる。
 
 この前、セルフタイマー付きの写真アプリを入れたので、試しに玄関前で撮った。

IMG_3657.jpg

 
 確かに細くはなったと思うが、自分ではあんまり分からない。
 似たようなポーズで写っている写真を探してみた。
 去年の写真があった。
 千葉雅子さんと『姐さん女房の裏切り』をやっていた時、稽古場の外で撮ったものだ。

image01.jpg


 まあ、これはぽっちゃりしてるね、やっぱり。
 もっと分かり易くする為に、三人にしてみる。

hikaku.jpg


 千葉さんはそのままだが、私だけビフォーアフターになった。

「なんということでしょう?」

 そういえば昨日、会ったプロデューサーは「ビフォーアフター」を担当していたこともあった。
 だからあんなに痩せたことに興味を持ってくれたのだろうか?
 だったら紹介してあげればよかった。
 私の匠は……キャベツだよ、と。
 ビタミンの魔術師だということを。
 
 ……分かっている。
 こんなことしている場合ではない。
posted by 土田英生 at 02:31| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月10日

あの人のこと。

 なんだか青春小説のような内容になる。

 21歳の時に私は大学を中退して東京に引越し、そこで劇団に入った。
 台本も書いたことがなく興味もなかった。とにかく役者になりたかった。

 しかし、東京は居心地が悪かった。
 京都で人間関係を築いてしまったせいか、戻りたくて仕方なかった。
 同級生たちはまだ大学にいるのだ。
 私はしょっちゅう大学時代の友だちに電話をしていた。
 劇団の人たちもみんな優しかったが、それでも馴染み切れない。
 どうしてもそこが自分の居場所だと思えなかったのだ。

 昼は肉体労働のアルバイトをして夜は稽古に通う。
 アルバイトもキツく何度も泣いた。
 劇団でも一番の新人なので様々な作業もある。

 初めて参加した公演で、チラシを束にして、様々な店に置きチラシをするように言われた。
 私の担当は新宿。
 地理も分からない。
 それでも一生懸命置いて回ったつもりだった。

 ある日、稽古場に来た劇団主宰者が怒った。

『昨日、新宿の色んな店に立ち寄ったんだけど、チラシもポスターも全くありませんでした。担当は誰ですか?』

 私はおそるおそる手をあげた。
 もう一度、回るように言われた。

 稽古の帰り、途方に暮れながら新宿へ向かおうとする私に、先輩の女優さんが声をかけてきた。

『可哀想に。京都から来たばかりで、分からないよね?』

 彼女はメインの女優さん。
 とても美人で、近寄り難い雰囲気があった。
 怒ると怖いという噂も聞いていたし、ほとんど喋ったことがなかった。
 しかし、彼女は笑顔で私に言った。

『一緒に回ってあげるから。行こうよ』

 そして……その日の夜遅くまで彼女は一緒に店を回ってくれた。
 雨が降っていた。
 夜中の二時くらいだったと思う。
 チラシ置きが終わり、ゴールデン街で一緒にお酒を飲んだ。
 
 お酒が入った私は、不安な気持ちなどを息せき切って喋った。
  
『そんなに京都に戻りたいの? 私さ、東京出身だから、そういう気持ちが分からないんだよねえ』

 そう言いながら、彼女は愚痴を朝まで聞いてくれた。

 それからやめるまでの一年、私はほとんど毎日彼女といた。
 その頃、私には付き合っている女性がいたし、彼女にも彼氏がいた。
 それでも毎晩、会って喋っていた。
 劇団の皆で飲んだ後も、私と彼女は二人でこっそりともう一軒行ったりした。

 あれはなんだったんだろう?

 私は21歳、彼女は23歳。
 周りはきっと怪しんでいたと思う。
 それでも、私と彼女の間に男女の関係は一度もなかった。
 にもかかわらず本当に仲がよかったのだ。

 彼女のおかげで私は東京に居場所ができた気がした。
 
 彼女はとても生真面目で優しい。
 しかし、情熱が空回りしてしまい、周りと摩擦を起こすことがあった。
 劇団でも色んな人と喧嘩していた。
 そして、そういう時、私はいつも彼女をなだめる係だった。
 飲んでいると喧嘩になり、店を飛び出してどっかへ行ってしまったりする。
 私は夜の新宿を、幾度となく走り、彼女を追いかけた。

 私が劇団を辞めると言った時、一番怒ったのは当然ながら彼女だった。
 
『ツッチーはいつまで京都に自分をおき続けるの? もう、あなたは東京の人なんだよ。私たちの仲間なんだよ。あなたを信じて話してきたことはどうなるの?』

 彼女の顔をまともに見られなかった。
 私は裏切り者だと思った。
 結局、逃げるように東京から京都に戻り、それから半年後、私は京都で現在のMONOを結成した。

 旗揚げ公演の時。
 彼女はわざわざ京都まで観に来てくれた。
 そして……終わった後に言った。

『本当に面白かったよ。自分で劇団つくってよかったね』


 それから2年くらい経ち、私は東京へ遊びに行った。
 久しぶりに劇団の仲間が集まってくれた。
 ただ、その頃、劇団では私の知らない様々な問題があったらしい。
 楽しく飲んでいたのに、ある女優の一言で彼女の表情が変わり、そして……喧嘩になった。
 かなり大変な事態になった。
 事情が分からないまま、私は昔のように必死で彼女を止めた。

 彼女は怒鳴って店を出て行った。
 皆は呆然と立ち尽くしている。
 追いかけるのは私しかいないと思った。
 2年振りに朝方の新宿を走った。
 伊勢丹のシャッターの前で彼女に追いついた。
 暴れる彼女の肩を私は必死で掴んだ。

『どうして? どうして私は世界の中心にいないの? どうして辛いことばっかりあるの?』

 と、彼女は泣き崩れた。
 

 * * *

 今日の昼、京都に来ていた彼女と会った。
 ご飯を食べて、私の稽古時間までお茶をした。

 こうして話すのも随分と久しぶりだ。
 
 彼女は相変わらず情熱に溢れていた。
 人の上に立って色々なことを頑張り、成果も出している。
 喋っていても相変わらずよく笑う。

 それでも彼女は言った。

『いつまでこんなに辛いんだろうねえ?』

 私たちは全然変わってない。
 相変わらず欲深い。
 だからこそ辛いんだと思う。けど、だからこそ頑張れているんだとも思う。
posted by 土田英生 at 02:40| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月11日

レザトモ

 愚痴や悩みばかり書いていても仕方ない。
 軽い話にしよう。
 
 去年の年末、レザークラフトを覚えて道具を揃えた。
 何度かここでも書いたことがある。
 これまでにペンケースなどの小物をつくった。

 大田王の稽古で皆にそんな話をしていた。
 と……腹筋君がおもむろにカバンから革の長財布を取り出した。
 買ったら高そうな、いい財布だ。

『これ、自分でつくりました』

 腹筋善之助はしっかりした声で言った。
 聞けば、彼もレザークラフトを始めたところだという。
 こんなところにいたのだ、レザークラフト友達……レザトモが。
 私たちはお互いの作品を見せ合い、ああだこうだと盛り上がった。

 それを興味深そうに聞いていた男がいた。
 ……三上市朗だ。
 元々、始めようか迷っていたらしい。
 道具のことなどを渋い声で質問してくる。
 その感じからして、すぐにでもやるなと思った。

 そして……二日後。
 案の定だった。
 稽古場に来るとすぐ、名刺入れを見せてくれた。かなりいい出来だった。
 道具を買って、始めてしまったらしい。
 またしてもレザトモが増えた。

 * * *

 今日の昼間は小林賢太郎君の舞台を観に行った。
 KKP『ノケモノノケモノ』。
 用事があったので、賢太郎君にも会わずに劇場を出た。
 しかし稽古は夜からだ。

 昨日の夜、仲良しの女優さんからLINEがきて、しばらくやり取りをしていた。
 彼女からは言われていたのだ。関西に戻ったら連絡をくれと。
 相談があるらしい。
 なので、「明日、稽古前だったら少し時間あるよ」と返信をした。
  
 で、稽古前の二時間、彼女と会った。
 私はカフェで仕事をしながら待っていた。
 彼女は走って来た。

『ごめんなさい。ちょっと遅くなりました! 少しでもよく見せようと思ってちゃんと化粧してたんです……』

 おいおい、いきなり可愛いことを言うではないか。

 私は相談に乗るつもりでいた。
 深刻な話でもきっちり聞いてあげようと覚悟を決めていた。
 彼女はまだ二十代前半。悩み多き年頃なのだ。

 きっと彼女は私に言うだろう。

『どうやって生きていったらいいですか?』

 そんなストレートな質問にはどう答えるべきだろうか?

 ……しかし、忘れていた。
 彼女が先月からレザークラフトにハマっていたことを。
 そう言えば自作のブックカバーの写真などを送ってきていた。
 彼女もレザトモだったのだ。

 結局、二時間、レザークラフトについて話して終わってしまった。
 生き方については聞かれなかった。
 相談に乗ったことといえば、革をカットした断面をキレイにする方法くらいだ。
 私もとても気楽に答えた。

『コバ磨きをすればいいよ』

 彼女も一生懸命メモをしていた。
 ……レザトモ、恐るべしだ。

 ちなみに……これが私のつくったものの中で一番新しいもの。
 イヤホンケース。

IMG_3826.jpg
posted by 土田英生 at 01:57| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月12日

信じられない。

 後、5日で大田王の本番。
 信じられない。
 覚えなければいけない台詞もまだかなりある。
 ダンスもどうやら私は苦手だ。
 他の仕事もあまり進んでいない。
 焦る。
 しかも、私はどうやら本調子ではない。

 にもかかわらず、今日は稽古を休んでSunday『友達』のシアタートーク。
 大丈夫なのか? 
 まあ、なんとかするんだけどね。

 帰りは伊丹からJRの各駅停車。
 大阪で乗って来た飲み会帰りのグループがいた。
 どうも同じ会社らしい。全部で15人くらいいる。
 車両全体に散らばっているが、私の正面に5人くらいが陣取っていて、どうやら彼らが中心メンバーだ。
 かなりうるさい。
 
 少しずつ他の乗客が降りていく。
 私の周りに空席ができる。
 と、散らばっていたグループのメンバーがどんどん集まってくる。

 最後は……私と若いお姉さんをのぞいて、全員そのグループになってしまった。
 彼らはますますヒートアップする。
 遠くから他の乗客がうるさそうに睨む。
 おいいおい、私まで同じグループだと思われてしまう。
 
 私は京都駅まで行かずに、桂川という駅で降りた。
 彼らは全員京都まで行くようだ。
 そして、降りて行く時、私とともに孤独を味わっていたお姉さんと目があった。
 彼女はおかしなという表情をして私を見ていた。
 裏切り者と言われている気がした。
 私は目ですみませんと言った。
 すると彼女も笑った。
posted by 土田英生 at 05:46| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月13日

今日も終わり。

 稽古から帰って来るのは毎日11時半くらい。
 汗をかいているので、すぐにバスルームへ。
 仕事を始めるのが1時前くらいなので、どうしても寝るのは朝になってしまう。
 昼から稽古の時は完全に寝不足だ。
 今日も、阪急電車で立っていたら、三回手すりに頭をぶつけた。
 前に立っていた女性が笑っている。
 知らない間に眠ってしまっていたらしい。

 本当はヒロこと、後藤ひろひとについて書こうと思ったのだが、別の機会にしよう。
 明日も昼稽古だ。
 寝る。今日も終わりだ。

 大田王のサイトはこちらです。→
posted by 土田英生 at 05:03| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月15日

踏ん張りどころ。

 どうも物事がうまく運ばない。
 Things go wrong.
 なんで英語にしたのか分からない。

 一度、下降気味なルートに入ると、なかなか抜け出せない。
 悪循環を断ち切れないのだ。
 I perpetuate a vicious circle.

 ……随分と前の話になるが、ロンドンに留学する直前、精神的にずいぶんとダウンしていた。
 環境の変化に対応し切れなかったせいだと思う。
 それまで京都でのんびり劇団活動をしていたのに、ある時を境にテレビドラマや映画の仕事が増え、東京への往復が頻繁になった。
 最初は興奮していたが、やがて京都にいる自分と東京にいる自分に乖離を感じて……最終的に維持できなくなった。医者にも通ったが、「こんな状態でロンドンに行くのはダメです」と言われた。

 しかし。
 全てから離れてロンドンで過ごすうちにとても元気になった。

 それ以来、私は思い込むようにしたのだ。
 ダウンしたときはロンドンに行けばいいのだと。
 刷り込んで、条件反射のようにしようとしてきた。
 実際にそれは機能した。
 ヒースロー空港に着くと、なんだか身体が解放する感覚があった。
 
 去年の秋以来、ロンドンにも行っていない。
 暇もないしね。
 だから意味なく英語にしたりしているのかも知れない。
 無理矢理ロンドン気分だ。
 
 大田王では楽しくやっている。
 今日から劇場入り。
 緊張もしてきた。
 しかし……どうも気持ちに余裕がない。
 他の仕事との兼ね合いもあるので苦しいのだ。
 
 そんな中。昨日の稽古の帰り。
 家の近くまで戻って来た時だ。
 近所のおじさんに呼び止められ、あることを注意された。
「今は勘弁してください」と思ったが謝った。
 ……とても凹んだ。大人になってから叱られるのは堪える。
 家に帰って、お風呂に浸かっていたらとても苦しくなった。
 早く寝ようと思ってベッドに横になったが、色んなことが頭を巡って寝付けない。

 これではいけない。
 踏ん張りどころだ。
 気分を変えよう。
 夜中にビールを飲もうと思った。
 へん、そうだよ。
 ビール飲んで、ワールドカップ決勝でも観戦しながら酔っぱらってやる。
 ちょっと楽しい気分になって来た。
 いそいそと準備をしていると、テーブルの角で膝を思い切り打った。
 床を転げ回った。
 その瞬間だ。
 涙が出て来た。
 しかし、頭の一部はとても冷静だ。
 「大人がテーブルで膝を打って泣いている」
 これはまずい。大人の行動ではない。
 まるで幼児ではないか。
 そう思って踏みとどまった。

 もうすぐ本番。
 本番では楽しまないと。
 その為に今は少しだけ苦しもう。
 
 踏ん張りどころなのだ。
posted by 土田英生 at 01:30| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月17日

キャハー!

 明日は大田王の初日。
 早い。
 もう本番になってしまった。

 稽古開始は7月1日。
 初日に集まったときは……なにをするかすら決まっていなかった。
 タイトルのジゴワットが映画の『バック・トゥー・ザ・フューチャー』からきているので、それを少しだけ意識しようという話し合いをした。そこから皆がそれぞれ台本を書き、大王、いや、後藤さん、いや、後藤君、いやいや、ヒロが構成をまとめた。
 しかもヒロはその間、ワールドカップに夢中だった。
 なのに知らない間に……できていた。

 彼が慌てた姿を見たことがない。
 努力をしている姿も見たことがない。
 なんだか、悔しい。
 ただ。
 数日前、台詞を覚えている彼を発見した。
 そんなことすら珍しいのだ。
 嬉しくてこっそり写真に撮った。

IMG_3836.jpg


 盗撮してやった。
 しかし、ヒロは台本から目を離さずに静かに言った。
 
『なにに使うの?』

 バレていた。本当に油断も隙もない男だ。

 とうことで本番。
 有り難いことに前売りはほぼ完売している。
 ただ、毎回、当日券は出るそうなので、ABCホールまできてくださいね。お待ちしています。→サイト
 
 昨日、本番直前だというのに私は稽古を休ませてもらった。
 私が休むと報告したときも、皆は「ふうん」という感じだった。
 どこまで余裕なんだ?

 もちろん私だって遊んでいた訳ではない。
 東京に行って、かかわっているドラマの撮影を見に行ったのだ。
 順調に進んでいるようで安心した。

 それにしても暑い。

IMG_3861.jpg


 お台場を歩いていたのだが、不思議な気持ちがした。
 ここは元々なかった土地なのだ。埋め立てでできているのだ。
 なのに普通の顔をして、その上に建物が平然と建っていることに不条理を感じた。
 いやいや、そんなことはどうでもいい。
 それより問題は他にあった。

 会う人が一様に「土田さん、大丈夫ですか?」と聞いてくるのだ。
 痩せた話なのかと思ったら、どうやら様子が違う。
 質問してくる人たちは、皆、ここを読んでいる人たちで、最近の文章が暗いので心配をしてくれていたらしい。
 そうだったのか。
 ……それはいけない。
 もちろん、私だって皆と同じように様々な悩みを抱えているし、暗い気持になることもある。
 最近、もう一つ調子が出ないのは本当のことだ。
 しかし、そんなことを垂れ流している場合ではない。
 ヒロのように、平然としているところを見せなければ。

 キャハー!

 どうだ? 
 随分と元気な印象を与えられたと思う。
 これを読んで私が暗いと思う人はいないはずだ。

 私は普段、とても元気そうに見えるらしい。
 痩せた上に日焼けしてしまったので、なんだか野性味までプラスされてしまった。
 もう元気満々に見えるはずだ。
 これ以上、焼けないようにと思って日焼け止めクリームを塗ってみたが、使うのに慣れてないので振ることを知らなかった。油分ばかりを塗ってしまいテカテカに光ってみたりした。
 さらにワイルドだ。
 黒く光る男。
 そんな男が暗いわけがない。
 
 先月、実家に帰った時、妹の子供である姪と会った。
 彼女は私にとても懐いてくれている。いきなり抱きつかれて「会いたかった」と泣かれたりしたこともある。おいおい、お前は遠距離の彼女か。
 そんな子なのに……この前会った時、最初とてもよそよそしかった。
 私は寂しかった。愛が醒めてしまったのだろうか?

 と、彼女は言った。

「あーあ……ツッチーが痩せちゃった」
 
 どうやら印象が変わったことが嫌だったらしい。
 まあ、一時間もすると、いつもと同じようにくっついてきてくれたけど。
 
IMG_3739.jpg
 
 
 ということで、外見と同じように、私は元気に頑張る。
 黒く光りながら私は叫ぶのだ。

 キャハー!
 
posted by 土田英生 at 02:07| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月18日

眠った。

 昨日は大田王→の初日。
 朝から場当たり、ゲネプロ、そして本番。
 お陰さまで満員の客席。
 自分が普段やっている芝居とは全然違うので、勝手も分からない。
 体力的にも精神的にもクタクタになった。

 初日打ち上げが始まったのは10時頃。
 私は京都なので阪急電車で帰ろうとすれば11時半。
 JRで帰ろうとすれば12時20分。
 しかし、ABCホール館長で、今回の大田王のプロデューサーである山村さんと家が近いので、私は安心していた。
 山村さんとくっついていれば問題はないのだ。
 
 ……結局、二人でタクシーで帰ることになった。
 
 映画「約三十の嘘」をテレビで放送してますよというメールが何人かからきた。
 もう10年以上前だ。
 MONOで書いた芝居を原作にして映画化してもらったものだ。
 椎名桔平さん、中谷美紀さん、妻夫木聡さん、田口誠一さん、八嶋君……豪華キャストだ。
 家に帰ってテレビをつける。
 やっていたのでぼうっと見ていたら、そのままソファで眠ってしまった。
 目が覚めるととっくに映画は終わっていて、シャワーを浴びてから寝た。
 起きたのはさっき。
 随分と眠った。

 ……なんのひねりもない文章だ。
 しかし、もう劇場に向かわないといけない。
 
 当日券は出すと聞いていますので、皆さん、ABCホールで待ってます。 
posted by 土田英生 at 13:51| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月19日

意外なことでお礼を言われる

 大田王の二日目が終わった。
 それにしてもだ。
 私には貫禄がないということをつくづく思い知る毎日だ。

 今日もそうだった。
 ヒロ(後藤ひろひと)は、自分が台詞を忘れているのにもかかわらず、平然とした顔で私を見る。
 間ができる。
 客席からは分からないだろうが、その目は私に言うのだ。
 「おい、この間はなんだよ? お前、なんか言ったら」
 私は勝手にうろたえてしまった。
 観たお客さんから「土田さん、最初からテンパってましたね」と言われた。

 ヒロは私の前でダンスの振りも間違えた。
 私は合っていたのにもかかわらず、思わず自信がなくなり、つられてしまった。
 お客さんから「土田さん、ダンス間違えましたね」と言われた。
 
 どうも貫禄がないのだ。

 そんなこんなで疲れた帰り。
 いつものように阪急電車に私は立っていた。
 座りたい……。
 高槻市で運良く席が一つ空いた。
 私は座った。
 隣では若い男性が眠っていた。
 すると、彼は眠りながら私にもたれて来た。
 そして完全に肩にもたれかかってしまった。
 私はどんどん小さくなる。
 小刻みに肩を揺らせてみるが、全く気づく気配がない。
 周りから見えれば、いい感じのカップルだ。

 私は背中を丸めた。
 すると……彼の頭はスルスルと滑り落ち、私の背中と座席の間に入ってしまった。
 私はとても浅く腰掛けた。
 変だ。
 とても変な状況になった。
 彼が私に甘えているような塩梅だ。
 
 しかし、そのままの状態で電車は走る。
 背中が熱い。
 席を立ちたかったが、立つと彼はきっといきなり倒れてしまうだろう。
 それも可哀想だ。
 なので少しずつ動いた。
 最後には私のお尻に彼の顔が当たる。
 もうダメだ。
 私は彼の太ももを叩いた。
 起きない。
 強く叩いた。
 と、彼はいきなり起きた。
 私は小さな声で「すみませんけど」と言った。
 彼は深く眠っていたようで、しばらくぼうっとしていた。
 その時、電車が長岡天神に着いた。
 彼はハッとして立ち上がった。
 そして、なにを勘違いしたのか、私に言ったのだ。

「ありがとうございました」

 そして彼は降りて行った。
 どうやら私が彼の降りる駅で起こしてあげたと思ったらしい。
 どうして私がお前の降りる駅を知っているのだ?
 その一部始終を見ていたらしい、前の人が笑いを堪えている。
 ほらほら。
 残された私は恥ずかしいではないか。

 これも貫禄のなさが招いたのかも知れない。

 明日は堂々をしてみよう。
 台詞を間違えても、黙って立っていてやる。
posted by 土田英生 at 01:41| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月23日

大田王終了!

 大田王の公演が終わった。
 同窓会のようでいて、実はそうではなかった。
 みんな変わらず、それでいて変わっていた。
 私も気持ちが違ったね、昔とは。
 
 何人かから、

『終わったらすぐ “大田王、出るんじゃないかったよ” とか人に喋るんだろ?』

 と、冗談で言われたけど、そんなことは言わない。
 昔、そんな発言をしたこともあったのかも知れない。
 確かに最初に大田王に出た頃は、私にも余裕がなかった。
 自分がやっていることを早く認めてもらいたくて仕方なかったんだと思う。
 つくり込んだものが好きで、舞台でのアドリブはダメ、観客を巻き込むことも嫌いだった。
 だから、切り替えて出ていたつもりでも、どこかで「俺のやりたいことは違う」という気持ちが表情に現れていたんだと思う。
 
 でもねえ。

 あれから随分と経った。
 久しぶりに声をかけてもらい、逆に嬉しかったね。
「うあ、私も呼んでもらえるんだ」と思った。
 
 正直、スケジュールの問題はあって、それだけが懸念だった。大田王が終わった今、これからのことを考えてかなり焦っている。

 それでも出ないという選択肢は私にはなかった気がする。
 昔を知らない人たちからは「なんでこのメンバーの中に土田さんが入ってるんですか」と聞かれたりしたけど、大王、いや、後藤君、いや、ヒロたちとはつながりがあった。家にも泊まりに行ったりしてたし。

 久しぶりに皆と過ごして、楽しかったよ、私は。
 今回はタイムワープ的なことがモチーフだったけど、まさか腹筋善之介と私が並んでダンスをすることになるとは、昔の私には想像できないはずだ。
 
 今回、本番前にみんなで集まって、点取り占いという駄菓子のクジで遊んでいた。
 最初に引いた時、とても嫌な気分になった。

IMG_3895.jpg


 そうか、私はちっともおもしろくないのか……。
 今からコントをやろうという時に、なんてことだ。
 占いなどは信じないが、言葉がやけに頭に残る。
 
 しかし、次のときは、

IMG_3918.jpg

 
 という、とても嬉しい予言が書かれていた。
 ちなみにヒロは「ちっともおもしろくない」を引いていた。
 
 そして最終日。
 劇場に向かう為に阪急電車を待っていた。

「最後だし、頑張ろう」

 と、心の中で思っていた時だ。
 ポケットの中に紙がある。なんだろうと思い、出してみた。

IMG_3928.jpg

 
 ……どうしてこんなものをポケットに入れていたのか?
 もう分かった、分かったから、という気分だった。

 そんなこんなで大田王終了!

 今日はすでに現実に戻り、朝から起きて仕事をした。
 キツい。
 進まない。
 
 ……少しだけ……レザークラフトをやった。
posted by 土田英生 at 01:00| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月25日

まだ思春期

 大田王から気持ちを切り替えて日常に戻った。
 明日は27時間テレビがある。→
 私がかかわらせてもらったSMAP全員出演のドラマ『俺たちに明日はある』も明日放送だ。
 これまで草g君とは二回程仕事をさせてもらった。
 リーディングドラマ『椿姫』では作・演出。昨年の『二都物語』では脚本。
 しかし……今回は全員なのだ。どんなものになっているのかは、私も全く分かっていない。
 ドラマというより、なんだろ?……まあ、それは観てもらってのお楽しみだ。
 
 そして私は東京に。
 昨日は「私流俳優育成講座」東京の2回目。
 流して終わるワークショップではなく、末永く付き合ってもらえる若い俳優を探す目的もあるので、私も真剣にならざるを得ない。
 どうなるか分からないが、来年のMONO、さらに予定しているプロデュース公演2本、まずはそこで一緒にやれる人がいれば嬉しい。すでに何人かは伸びそうだなと感じている。

 1回目は私が硬かったようで、雰囲気も静かだった。
 私のやるワークショップはゲームなどはしない。
 演出家がやるワークショップはむしろきっちりと演技の方法論を示すべきだと思う。
 ただ、それでも昨日は割とリラックスした雰囲気でやれたと思う。皆の笑い声にも助けられ、私も楽しかった。

2-06.jpg


 東京はまだまだ残りは10回もある。
 他の地方では全く同じプログラムを凝縮してやる予定だ。
 広島、伊丹、北九州は間もなく締切りですので、皆さん、応募をお待ちしています!
 →

  終わってからなぜか皆で記念撮影もした。

2-07.jpg


 ……しかし、20代の皆を見ながらつくづく思う。
 苦しいんだろうなあと。
 自分のこと振り返り、楽しかった気もするけど、よくよく考えてみると苦しかった。
 大人が思春期の気持ちを同じように感じてしまったら、生きてられないなどという。
 確かに若いときは猛烈に悩みながらも日常を過ごしていた。
 それが段々、大人になると対処の仕方も覚え、そういう悩みの中に入らない処世術を身につける。

 ……私の問題は……今でもそういうことをビビッドに感じてしまうことだ。
 幼いのかも知れない。

 先日も仲がいい若い女優さんと話した。
 とても優しい彼女は、人間関係のトラブルに巻き込まれていた。
 ついつい、私は「◯◯すればいいんじゃないのか」などと答えてしまったが、彼女にとってはそんなに簡単ではないのだろう。
 正しいことは分かっても、それを現実に行動に移せるかどうかは別の問題なのだと思う。

 だから私も考え込んだ。
 もちろん、本当に彼女が困ったとしたら、私はなりふり構わず助ける覚悟だ。
 なんで? と言われようが、ノコノコ出て行ってやる。
 悪いけど、私だって感情のある人間だしね。
 苦しませるヤツが許せないよ、ホント。
 私は怒ったら……結構、恐いんだからね。

 ただ、分別もあるので、彼女が自分で乗り切れればそれを黙って見ているべきだとは思っている。

 話を聞いた時から、私までとても落ち込んでしまった。
 ああ……。
 毎日の振り幅が大き過ぎて……なんだか辛い。
 私は、やっぱり、まだ思春期だ。
posted by 土田英生 at 22:02| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月27日

広島

 今から演出講座の2日目。
 広島での仕事は始めてだ。
 秋まで何度か来る予定。
 「姐さん女房の裏切り」の公演でもやって来る。
 今回は時間がないので、どこにも行けないけど、これからもっと広島に詳しくなろう。
 
 色々書こうと思ったが、もう始まってしまう。
 
IMG_3999.jpg
posted by 土田英生 at 12:47| 広島 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月29日

3兄弟

 広島での演出講座、第1回目が終わった。
 土、日の2日で5時間ずつ。
 演出についての考え方などを話させてもらい、簡単なワークショップをし、今後の進め方の相談をした。
 3人の演出家が同じテキストを演出することになった。
 それをまとめて上演する。
 題材は『結婚申込』。15分から20分くらいの短編だ。
 原作はチェーホフの一幕物だが、私がMONOで上演する為に書き直した作品だ。
 これから秋まで3回。頑張らないとね。
 講座のあった室から外に出たところの景色。

IMG_4013.jpg
 
 
 ……それにしても暑かった。

 日曜の夜に京都へ戻った。
 戻ったというか……駅の改札は出た。
 しかし、20分後には再び同じホームから新幹線に乗った。

IMG_4014.jpg


 私は毎年、どうやら夏に弱い。
 季節としては好きなのだが、夏になると気温と気分は反比例していくのだ。
 気分は浮いたり沈んだり。
 いや、違うな。
 どう表現すればいいだろうか?
 深く沈んだり、浅く沈んだり……いや、それだと沈みっぱなしだ。
 少しだけ浮いたりはする。
 人の前に出ると元気になる。いや、出してしまう。
 一人になると反動が来る。
 とても暗くなる。
 自分のことでも、他人のことでも、一つ気になるとそればかり考える。
 解決するまで終わらない。

 ああああ、遠くへ行きたい。
 そこで静かにしていたい。
 いや、無理だ。
 前にも同じことを思って一人でオーストラリアに行ったことがあった。
 2週間、誰とも喋らずにいた。
 あの時はあまりの寂しさに、最後の方は一人で喋っていた。
 
 今日の夜は静かにしていた。
 音楽をかけてビーズクッションに埋まったまま2時間くらいじっとしていた。
 それからシャワーを浴びて仕事をした。
 とにかくやらなければいけないことはたくさんある。
 
 この前、27時間テレビでSMAPの単発ドラマが放送されたばかりだが、明日は来年の連続ドラマの打合せ。
 うんんんんん。
 大丈夫なのか?
 その前に締切りが2つもある。
 1つは……目の前だ。
 調子が悪い夏の間に、全部ちゃんとできるのだろうか?

 どれだけ同じことを繰り返せば気が済むんだろう?

 この10年、ずっと同じことを繰り返している気がする。
 太ったり痩せたり、年を取ったりしたけれど、あまり成長はしていない。
 10年前の私も、5年前の私も、現在の私も……あまり変わらない。
 とても性格が似ている厄介な3兄弟だ。
 左から長男、次男、三男だ。

tsuchida.jpg

 
 ……なにしてるんだか。
 それにしても長男、つまり今の私は……どうしてこんなに日焼けしてるんだろ?
 全く遊んでないのに。
posted by 土田英生 at 02:48| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月31日

深津君。

 覚悟はしていたことだけど、とうとう来てしまった。
 深津篤史が永眠した。
 知ったのは午前中だった。

 勘弁してくれよと思った。
 締切り前で、ただでさえ調子が上がらず苦しんでるのに、その連絡のせいで今まで動くことすらできなかったじゃないか。
 しかもだ。
 急に首の周りが痛くなり顔すら動かせない。
 きっと同じ姿勢でじっとしていたからだ。
 
 彼のことを書くのは早すぎるし、なにを書いたらいいのかも分からないけど、仕事だって手につかないし、この文章を書くことくらいしかできない。
 
 深津君とはほぼ同い年だ。
 出会ったのは22歳の時。
 一緒の演劇祭に出ていた。彼はまだ劇作家ではなかった。
 南原卓という芸名で役者をやっていた。
 その仕込みの時だ。
 とてもえらそうな男がいた。私はペコペコと頭を下げた。

「お前、どこの誰や?」
「土田といいます」

 それが深津君と初めてした会話だ。
 生意気な彼のことが好きではなかった。
 彼が桃園会を結成して、時々喋るようになったが、それでもあまり好きではなかった。
 芝居の好みも全然違った。
 私はよく深津君のことをネタにして喋った。
 あいつは威張るからどうのこうのと、グチグチ言った。
 演劇雑誌の取材で、ライターの人から言われたこともある。

「テープ起こししてたら……芝居の話ではなく、深津さんのことばかり喋ってますよ」
 
 しかし、京都で集まる時は必ず彼も一緒にいた。
 芸術祭典・京という演劇祭で、「校庭を走る風たち」というオムニバスを5人の劇作家で書いた。
 松田正隆、鈴江俊郎、キタモトマサヤ、深津篤史、そして私。
 今、思い返してもあれはいい芝居だったと思う。
 私は「ウィンカーを、美ヶ原へ」という短編を書き、彼は「カラカラ」という芝居を書いた。
 その飲み会で揉めたのを覚えている。
 私は彼を外に呼び出した。
 言葉は覚えていないが、私は彼に対する不満をぶつけた。
 深津君がどう答えたのかは覚えていない。

 利賀村の演劇祭にMONOが招待された。
 関西でだけやっていた私たちにとっては、東京などの演劇関係者にお披露目をするまたとない機会だった。
 ある夜、私の取材があった。
 私は緊張した。
 しかし……ちょうどその日は岸田戯曲賞の発表で、深津君が「うちやまつり」で受賞した。
 初めて私が東京の新聞記者さん達に囲まれて幸せな時間を過ごそうとしてるのに、質問は深津君についてばかりだった。「どんな人ですか」「彼の芝居をどう思います?」
 ……とても悔しかった。
 あいつはいつも私の邪魔をする男だと思った。

 彼の愚痴を言いながらも、時々は芝居を観に行った。
 やっぱり私とは好みが合わなかった。
 私は観る度に文句を人に喋った。
 
 ……リージョナルシアターという企画があった。
 地方で評価されてきている劇団を、東京に集めて一挙上演しようという演劇祭だった。
 関西からはMONO、太陽族、そして桃園会が呼ばれた。
 MONOの後が桃園会。
 MONOのバラしと桃園会の仕込みを一緒にやった。
 ……その終わり際、私はあいつの態度に腹が立ち、再び深津に文句を言った。
 ごめん。
 こうやって思い出すと、結構、直接も文句を言ってるね。
 周囲では、私が深津君の話をするのは笑いのパターンにすらなっていた。
 そして……そのことを彼も知っていたと思う。

 ある時、小堀純さんと飲んでいた。
 今回、葬儀委員長を務めている編集者だ。
 私は言った。

「深津ってどうも気に入らないんですよ。昔からそうなんです」
 
 と、小堀さんが笑いながら言った。

「年も同じだし、お前も深津を意識してるんだろうな。けどな、あいつはあいつで、ずっと土田を気にしてるよ」

 ……その頃だったと思う。
 新国立で深津演出の芝居を久しぶりに観た。
 面白かった。
 正直、すごいなと思った。こけ脅しだけではできない舞台を創っていた。
 いつの間に、あいつはこんな演出力を身につけていたんだろう?
 
 肺ガンだと知ったのは5年くらい前だ。
 
 しばらく迷った挙げ句、お見舞いに行った。
 喋るのは久しぶりだった。
 想像した通り、お互いにとてもぎこちなかった。
 淡々と会話をして帰って来た。
 あいつが病気だと、悪口が言えない。
 どうも調子が狂うのだ。
 まあ、それは今でもそうだ。
 しかも、とうとう、いなくなってしまった。
 もう悪口も言えない。
 言えば私がとても嫌な人間になってしまう。
 これを書いていて、パソコンの中から深津の写真を探したけど、一枚もなかった。
 22歳からの知り合いなのに、どういうことだよ?

 牧野エミさん、花組芝居の水下さん……
 若くして私の周りから人がいなくなっていく。
 深津君のことは、去年くらいから覚悟はしていた……つもりだった。
 けど、やっぱり実際に知ると全然違った。
 
 なんだよ、なんだよ。
 勘弁してくれよ。
 どうしたらいいんだろ、このやり場のなさを。
 しかも、文章を終えられないじゃないか。
 書き終わったら、どうしてたらいいんだよ?

 ちょうど一年前。
 小堀さんと福本さんの還暦祝いパーティーがあった。
 私はkittの「ウィンカーを、美ヶ原へ」の仕込みの日だった。
 そうだよ。深津君と一緒にやったオムニバスの短編を長くした芝居。
 私は東京から会場へ向かった。
 その会では、私も発起人になったが、深津君も名前を連ねていた。
 ……途中で彼はやってきた。ガリガリにやせ細った身体で。
 私は司会だったので、彼のところに行き、マイクで一言だけでも喋れないか聞いた。
 彼は寂しそうに首を振った。

 別れ際に握手をしながら言葉を交わした。
 それが最後になってしまった。
 
 きらいだきらいだと言いながら、私はけっこうあなたの舞台も観たし、戯曲も読んでる。
 やっぱり好みじゃないけどね。
 まあ、お互いさまだ。
  
 深津君が亡くなったことは新聞でもちゃんとニュースになってる。
 大きく載ってた。
 畜生、羨ましいヤツだ。
 なにを書いてるんだか。
 ……文章も支離滅裂だよ。
 
 深津君。
 ホント、勘弁してくれよ。
 なにしてたらいいんだろ?
 仕事だってどうしたらいいの?
 大人だから、ショックを受けようが、やらないとダメなんだよ。
 
 やっぱりあいつは私の邪魔をする。
 だけどもう悪口も言えない。
 言えない。
 
 深津君……。
 
 とうとうこういう時が来ちゃった。
 そんなに仲良くなかったのにね。
 だけど、飲んで一緒に泊まったりもしたよね。
 なんだったんだろ?

 あなたの死を、私はどういう風に受け止めたらいいんだろ?

 どうもこうもないや。
 ただ、イヤ。
 イヤです。
 ああ、もう。
 首が痛くて動かねえよ。
 なんだ、これは。

 ずっと、ずっと、あなたの悪口を言っていたかった。
posted by 土田英生 at 22:02| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする