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MONO代表・土田英生のブログです

2014年08月22日

さすらいのワークショッパー

 久しぶりにワークショップをたくさんやりながら、懐かしい気分になっている。
 昔は結構やっていた。
 よく若い人たちから「何歳までバイトしてましたか?」と聞かれる。
 バイトをやめたのは20代の終わりの頃だ。
 そう答えると「え? じゃあ、そこからは演劇で生活してるんですか?」と言われたりするが、その頃の主な収入源は台本でも演出でもなかった。ワークショップだった。
 かなりの頻度でやっていたと思う。
 職業は、劇作家ではなく、ワークショッパーだといっても過言ではなかった。
 しかし、やる機会は徐々に減って行った。
 台本など、他の仕事が忙しくなったからだ。

 初めての台本の依頼はマキノさんからだった。MOPに「遠州の葬儀屋」という作品を書かせてもらった。
 そして幸せなことに、立て続けに色んなところから依頼をいただいた。
 G2プロデュース「いつわりとクロワッサン」、宮本亜門さん「BOYS TIME」、草g剛朗読劇「椿姫」、文学座「崩れた石垣、のぼる鮭たち」、青年座「悔しい女」……。初めて連続ドラマの脚本を担当したのも近い時期だったと思う。フジテレビ「天才! 柳沢教授の生活」というドラマだった。

 懐かしくて思わず列挙してしまった。

 とにかくその頃から書くことが仕事になり、ワークショップはやらなくなった。
 考えてみると、昨年まで10年間はほとんどやっていない。
 オーディションの時、知り合いに頼まれた時などにやるくらいになっていた。

 それがどうしてだろう?
 今年はワークショップばかりやっているのだ。
 自分で始めた「俳優育成講座」だけでも21回。他から頼まれたものも入れるとかなりの数になる。
 書く物もたまっているのに、なぜ、私はこんなにワークショップばかりしているのか不思議に思う。
 今だってそうだ。
 広島で俳優講座をやり、北九州に来ても4日間はワークショップなのだ。

 そうだ。
 私は10年ぶりにワークショッパーになっている。
 しかも、全国を回る、さすらいのワークショッパーだ。
 きっと、ここ10年で考えてきたことを試したくなっているんだと思う。

 ただ、きっと来年はもうやらない。今年これだけやれば充分だ。
 だから今年限定のワークショッパーだ。
 
 昨日と今日は高校生向けのものだった。
 基本的はやることは同じだが、大人向けと違った難しさがある。
 だからなのか、2日とも終わったらクタクタだった。精神的疲労が大きかった。
 
 私は必ず自意識の話から始める。
 簡単に言えば、格好つけるのをやめましょうといういうところからスタートする。
 いくら自然を装っても、観客には分かってしまうのだ。
 身体が緊張したまま、ハリボテのように何かを積み重ねたところで隠せるもんじゃない。
 だから、まずは人前に立たせて、悪意を持って皆からジロジロと観察させる。
 そこで自分の身体がどうなっているのかを確認してもらい、自らのコンプレックスを知ってもらう。
 それを確認した上で、段々と呼吸で身体の力を抜いて行く。
 演技なんて、そこからしか成立しない。
 
 プロの俳優を目指している訳でもない中で、しかも高校生の頃なんて自意識の塊なのだ。
 そんな子達が力を抜けるはずがない。
 10年くらい前に高校生に向けたワークショップをやって、うまく行かずに落ち込んだ記憶がある。
 あれで自信がなくなったのかも知れない。

 ただ……。
 参加者のみんなが前向きだったせいなのか、10年経って私に余裕が出たからなのか、かなり楽しかった。

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 高校生の皆の状態が理解できたし、コミュニケーションも取れた。
 友達にすらなれそうな気がした。
 中には落ち着いている子もいて、あの子には私が悩み相談をしたいくらいだった。

 私自身、ここ数年、意味なく苦しい。
 その苦しさは思春期のそれに似ている気がする。
 第二の思春期なのかも知れないし、最後の足掻きなのかも知れない。

 いや……人間はそんなに成長しないということかもね。
 
 明日からは「私流俳優育成講座 北九州」。
 これはワークショップという側面と同時に、私が20代の俳優と出会う為にやっている。
 いわばお見合いだ。
 互いにいいねという状態になれば、一緒に舞台を創りたい。

 名簿を見ると結構面白そうな人がいるので期待している。
 ワークショッパーとして頑張ろう。 
posted by 土田英生 at 04:08| 福岡 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする