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MONO代表・土田英生のブログです

2014年10月03日

休憩。

 金沢にいる。
 本当は東京を出るまでに上げるはずだった原稿が終わらず、そのまま金沢に移動してきた。
 劇場に入り、楽屋で書き続け、そして今はホテルでまだ書いている。
 明日は場当たり。
 本当なら今日だってしっかり眠った方がいい。
 体調管理は最も大切な仕事だ。
 しかし、明後日の本番を考えると明日こそぐっすり眠るべきなのだ。
 だとすればなんとしてでも今日の朝までに書き終えないと。

 ああ、眠い眠い眠い。
 今、書いている脚本の主人公はつねに寝不足だという設定になっているが、書いていてとても気持ちが入る。
 目を覚ます為に、今、ホテルに来てから二回目のシャワーを浴びた。
 余計に疲れた。

 まだ、目が覚めているうちに頑張ろう。
 書きたいこともあるが、そんなことを書いている時間はない。
 明日こそ、金沢の夜を堪能してやる。
 
 ということで『姐さん女房の裏切り』。
 金沢公演は4日と5日です。
 4日は完売ですが当日券が出る予定です。
 5日はまだチケットもありますので、近郊の皆様、よろしくお願いしますー!
 →
posted by 土田英生 at 02:51| 石川 🌁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月05日

天高く、私肥ゆる

 苦しい。
 朝食を食べ過ぎたらしい。
 そうなのだ。金沢に来てからやたら食べてしまってるのだ。今年の頭から半年くらいかけて痩せたのに、これでは戻ってしまう。気をつけないと。

 私は分別のある大人なのだ。

 締切りが過ぎていた原稿をなんとか出し、そして本番を迎えることができた。

『姐さん女房の裏切り』→
 
 金沢公演はこれまで交流のあった方々が、皆で支えてくれている。
 本当に感謝だ。

 会場は金沢市民芸術村。
 昔、紡績工場だった場所をリノベーションしてある建物だ。
 レンガがとても素敵だ。 

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 その中のpit2で公演をさせてもらっている。

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 右側が公演会場。

 そしてここはとにかく周りが気持ちいい。
 目の前には芝生が広がっている。

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 弁当なども外で食べたりして、すっかりピクニック気分だ。
 ついつい「キャハ」っという、高い声が出てしまう。
 しかも、建物の前には水が張ってある。

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 服まで濡れて大変だった。
 すっかり子供になってしまった。
 大人のはずなのに。
 
 再演になるのだが、初演は一年以上前だ。
 だからなのか……やっていてもおかしな感じなのだ。
 少し台本にも手を入れて、演出も少しだけ変えている。
 なのに身体が前の芝居を覚えているので、その流れが出てきてしまう。

 緊張ながら、なんとか初日を迎えた。
 段々と芝居の流れはできて行くはずだ。
 金沢の後も、北九州、愛知、関西、広島と続く。

 そして……夜は武家屋敷が残る道を通り、ホテルまで帰る。

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 お気に入りの木倉町通りへ。
 毎晩この辺りをウロウロしている気がする。

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 これは昼間の写真だが、この界隈には素敵な店がたくさんあるのだ。
 魚と野菜がとにかく美味しい。
 季節もいいしね。
 天高く馬肥ゆる秋。
 ……で、食べ過ぎる。

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 馬ではなく私が肥えてしまう。
 しかも、昨日は随分と酔っていた気がする。
 ホテルの部屋に戻ってからも、なぜかムギチョコを食べてしまった。

 ……本当は……まだまだやらないといけない仕事は残っている。
 いや、実は結構残っている。
 ああ、書きながら憂うつになってきた。

 のんで浮かれている場合ではないのだ……。
 ましてや、ピクニック気分ではいけないのだ。
 「ごめんなさい。もうしばらく待ってください」と、昨日も月に向かって呟いてみたりした。
 その行動が無意味なことも分かっている。
 
 今から劇場入りまではまだ少し時間がある。
 ホテルを出て、どこかでMONOの新作の構想を練るつもりだ。
 
 そして今日の本番も頑張る。
 
posted by 土田英生 at 09:03| 石川 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月06日

金沢公演終了

 5日に金沢公演も無事終了。
 20時から打ち上げをし、翌日の特急で私と千葉さんは大阪へ向かい、伊丹公演の記者発表に参加する予定になっていた。
 しかしだ。台風で明日の列車の運行がどうなるか分からないという。
 
 協議の結果、私と千葉さんは別に行動することになった。
 どちらかが打ち上げに参加せず、大阪に移動しておく。
 最悪の場合でも、記者発表に一人は出られる。
 では、どちらが移動するのか?
 本来なら私が移動した方がいい。なぜなら京都の自宅に帰ればいいからだ。
 しかし……金沢での公演は、これまでにお世話になった方々との交流があって実現したものだ。
 今回も手弁当で手伝ってくださっていた。
 その人たちにきちんとお礼を言いたかった。

 泣く泣く千葉さんに移動してもらうことになった。
 乾杯だけして彼女は大阪へ。
 私は金沢の皆と夜遅くまで話せた。

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 で、今日、結局、私も大阪へ移動中だ。
 多少の遅れはあるけれど、なんとか記者発表には間に合いそうだ。

 ……と、列車の中で書いている。
 
posted by 土田英生 at 14:10| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月14日

ごちゃごちゃ

 人との距離が近づくと、色んな話をすることができるようになる気がするが、それは事実ではない。
 逆に話せないことも出てくる。
 自分が悩んでいることなどを打ち明けられるのは、実は適度な距離にある人だったりする。
 親しくなり、自分にとって大事な存在になればなるほど『こんなことをこいつに話すのもなあ』と、気が引けたりする。相手を巻き込みたくないという気持ちになる。
 
 でもね、あれだね。
 そういう人とはちょっと会ったりするだけで楽になったりする。
 なんだろうね、あれは。
 
 なんでこんなこと書いてるんだろ?
 なにかを言いたかった気がするが、分からなくなってしまった。

 それにしても時間がない。
 というか、複数の事柄が進んでいて頭の中がごちゃごちゃだ。
 今は……一応、『姐さん女房の裏切り』の本番中ということになる。
 全国5カ所のうち、終わったのは金沢だけだ。
 今週末には北九州での公演がある。→

 しかし、私は連続ドラマの脚本を書いている最中だったりもする。というか、まあ現在はこの締切りを基準に生活をしている感じだ。

 そんな中……この前は広島で演出講座をやって来た。これも11月まで続く。

 さらには15日からは私が書き下ろした『カップで自分を量るがいい』が下北沢のOFF OFFシアターで始まる。→

 えっと、後は……情報公開になった『Re:(アール・イー)』もある。→

 Session5になるが、その宣伝映像ができてた。
 

 えっと、そして、まだあるはずだよね。
 そうだ。俳優育成講座も東京はまだ続いているし、MONO第42回公演も動き始めている。さらにはとっくの昔に締切りが過ぎ去ってしまった小説も……細々とまだ書いている。
 
 結構なストレスだね、毎日。
 
 だから最初に親しい人がどうだとか書いてたんだね、きっと。
posted by 土田英生 at 03:31| 東京 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月18日

さすらう

 昨日から北九州に来ている。
 今日と明日は『姐さん女房の裏切り』の北九州公演。

 昨日は久しぶりにのんびり気分になった。
 それまでは……かなり気ぜわしかった。
 ドラマの脚本を提出し、ツチプロの初日を観てから初日打ち上げに参加し、翌日は本打ち、俳優育成講座、俳優育成講座の懇親会……そして昨日の飛行機で移動。

 搭乗口で座っていると千葉さんが爽やかに現れた。
 搭乗ギリギリなのに……なんなんだ、この余裕は。

 座席も並びだった。
 私たちが座ってお喋りに花を咲かせていると、男性が『あの……』と声をかけてきた。
 『そこ私の……席だと思うんですが』

 私たちはどうやら1列間違えて座っていたらしい。
 謝りながら席を移動しようとしたが、前の列には別の人たちが座っている。
 そうだ。
 ……そもそも、座席番号すら間違えていたらしい。
 前列の、しかも反対側が私たちの席だった。
 
 三時頃に北九州に到着。
 劇場には夜に入ることになっていたので、ホテルにチェックインしてから二人でぶらぶらした。
 モノレールに乗り、旦過市場を歩き、鉄なべ餃子を食べた。
 
 千葉さんは旅先ではどうもテンションが上がる女らしい。
 金沢でも武家屋敷を小走りに走っていたが、北九州でも旦過市場で機敏な動きを見せていた。

 
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 大勢の人がいたのに、間をすり抜けながら大きな声を出す。
 きっと名古屋ではテレビ塔に駆け上がり、伊丹ではイオンモールの中を走り抜け、広島では宮島まで泳ぐ。

 夜に劇場に入り、舞台チェックをしてから台詞を合せる。
 金沢での公演から10日以上あいてしまっているので不安なのだ。
 本当は間に稽古をするつもりだったのだが、私のスケジュールがなくなってしまった。
 
 台詞は大丈夫だった。
 不思議だ。間に色んな仕事をしていたのに、どこかで本番中だということを身体は分かっているのだ。
 だから自然と台詞は出てくる。
 取り敢えず安心した。
 
 劇場を出てから、スタッフとご飯を食べた。
 北九州に来ると必ず行く『なべげん』でお気に入りの地鶏鍋だ。
 さらには久しぶりに会った制作の本郷、そして舞台監督件ウイスキー愛飲家の藤田君と三人でバーに行った。
 
 今日は朝の六時に起きて仕事。
 ドラマの脚本ではなく、MONOの次回公演のプロット。
 最近は話がややファンタジーだったので、全体的にトーンを落とした作品にしようと考えている。
 話もまとまったし、タイトルも……一応、決めた。
 これまでに五十個くらい考えたが、多分、これで決まると思う。自分ではとても気に入っているからだ。

 それにしても、最近の私は旅ばかりしている。
 11月のスケジュールをもらったが……来月も移動ばかりだ。
 完全にさすらいの男だ。
 今月もけっこうさすらっているし、まださすらう予定だ。
 東京→金沢→大阪→東京→広島→東京→北九州(今ココ)→東京→名古屋→東京→京都→伊丹。
 
 ただ、これが全く苦痛ではない。
 どうも私は自分で思っている以上に順応性が高いようだ。
 そういえばロンドンに留学している時だって、ホームシックにもならなかった。
 初めての場所だとさすがに戸惑うが、例えば北九州などは何度も来ているので、どうも戻って来たという感覚になってしまう。下北沢でも京都でも、そこにいるとすぐに馴染む。

 子供の頃は違ったのに。
 家が大好きで、保育園の頃は母親が帰って行く時に毎日泣いていた。小学生の時、祖父の家に預けられた時も毎晩泣いていた。しかし、今は泣かない。大人だからだ。

 今日はゲネプロ、本番、そしてトーク。
 頑張っていい1日にしよ。
 
posted by 土田英生 at 08:21| 福岡 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月20日

トンネル

 昨日で北九州公演が終った。
 お陰さまで2回とも満席。
 俳優育成講座の参加者や、福岡で親しくしているメンバーなどが観に来てくれた。

 2日目の公演の朝は少し時間があった。
 北九州芸術劇場に来ると必ず朝コーヒーを飲むカフェで仕事。
 
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 天気もよく、気持ちがくつろぐ。
 しかし仕事は進まない。
 おおかみ犬が柵につながれていた。
 でかい。
 めちゃくちゃでかい。
 飼い主の人に頼んでしばらくじゃれさせてもらう。
 私は犬とたわむれるのがとても得意なのだ。

 私の実家はたくさん犬を飼っていた。
 小さい頃は庭には犬があふれていた。
 私も保育園から帰ると、必ず犬たちと遊んでいた。
 だから犬が何を求めているのかは結構理解できた。
 特に……私が大学生になってから実家が飼っていたナッツいう犬とは、とても仲がよく結構コミュニケーションが取れていた。
 皆は信じてくれないが、私のギャグでナッツはよく笑ったものだ。
 「さ、そろそろ行こうかな……いかないよ!」
 と、私が得意の間を呼吸を使って切り返すと、ナッツは「ウォウォウォーン」と吠えるのだ。
 ああ、ナッツ。
 そのナッツが死んでしまってから随分経った。その次に飼っていたログも死んだ。
 
 しかし小倉で出会ったおおかみ犬は笑ってくれなかった。
 私が得意の切り返しをしても、吠えてくれない。
 代わりに横のテラスでお茶を飲んでいたグループが笑ってくれた。
 なにしてるんだか。
 
 公演が終って、スタッフがセットをばらす。
 私と千葉さんは挨拶だけして劇場を出た。

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 ビールを飲んでから、夜の飛行機で東京へ。
 遅れがあって羽田に到着したのは23時過ぎ。
 下北沢の事務所には日が変わってからの到着だ。

 下北沢の西口に着くと安堵と共に日常が戻ってくる。
 またしても怒濤の執筆タイムが待っているのだ。
 改札から上に続く階段が、日常へと出るトンネルに見えた。
 川端康成はトンネルを抜けると雪国に出るが、私はあのトンネルを抜けると締切りの国に出てしまうのだ。

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 疲れていたのか結構グッスリ眠った。
 そして……今は書いている。
posted by 土田英生 at 17:20| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月28日

色々終わり、色々始まる。

 先週はもうわけが分からない状態だった。
 テレビの脚本を書きと打合せ、ツチプロ『カップで自分を量るがいい』の楽日と打ち上げ、そして名古屋で『姐さん女房の裏切り』、翌日そのまま東京で打合せと俳優育成講座、昨日も同じ講座を昼と夜。
 もちろん今も締切りの渦中にいるが、すっかり暇だと感じるくらいだ。

 ツチプロは脚本提供だけだったのだが、それでも公演が無事に終わって安堵した。
 さらに『俳優育成講座』が終わったのは大きい。
 夏から始まって東京で12回、関西で3回、愛知と北九州で2回づつ、そして広島で1回。
 合計80人の20代俳優と出会った。
 80人のうち、脱落したのは1人だけだ。

 東京で最後の回を見ながら、皆、とてもよくなったなあと思った。
 やっぱり12回やったことは価値があった。
 俳優の作業は頭で理解するだけでは足りない。身体で感じながら何度も積み重ねるしかない。
 期間が空きながらもこの回数があったことは意味があったと思う。
 できれば他の場所でも同じだけの回数やりたかったなあと、つくづく思った。
 そしたらもっと伸びる人もいたと思う。

 これから一緒に舞台を創りたいと思う人も見つかった。
 そういう意味ではお見合いとしてもよかった。
 参加者それぞれに愛着はある。
 皆ともっと付き合いたいとも思う。
 ただ、即戦力として考えると……やりたいと思える人は80人のうち12人という感じだ。
 各会場にその人たちは散らばっている。

 終わるものもあれば、始まるものもある。

 MONOの次回公演。
 来年の2月から東京、大阪、名古屋、北九州で上演する作品のタイトルが決まった。

 『ぶた草の庭』

 ちょっと物哀しい作品になりそう。
 これも頑張らないと。
posted by 土田英生 at 01:19| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月30日

声との戦い。

 急に冷えたからか、腰が痛い。
 いや、ずっと座り続けているせいだ。
 時々、立っては身体をうごかすのだが、それくらいでは効果がないようだ。
 しかも……毎週末、どこかに移動しては本番をやっている『姐さん女房の裏切り』。
 これが……かなりの角度で八百屋舞台になっているのだ。
 
 八百屋舞台というのは、舞台の後ろが高く、つまり斜めになっていることをいう。
 八百屋さんで野菜を売っている棚なんか、そうなってるもんね。だから八百屋舞台っていうんだと思うけど。

 とにかく、傾斜がきついので、芝居をしていると腰が痛くなる。
 明後日からは伊丹で公演だというのに。
 こんな腰で大丈夫なのか?

 あ、そうだ。関西の皆さん……『姐さん女房の裏切り』……ぜひ来てください。
 結構……面白いと思いますので。
 しっかり腰を動かしてからのぞみますので。

 あ、そうだ。
 31日も急遽トークをすることになった。
 土屋裕一君に来てもらうことになったのだ。
 私とあだ名がかぶり、ケータリングのコーヒーカップを間違う土屋君だ。
 豪快に笑う、そして根が繊細な土屋君だ。
 土田英生セレクション『燕のいる駅』では千葉さんの相手役だった土屋君だ。

 そんな彼が……ちょうど次の日から大阪で公演しているということを知り、思わずお願いしてしまった。そんなわがままも快諾してくれたナイスガイだ。
 
 →『姐さん女房の裏切り』サイト

 昨日はiaku『流れんな』のトークゲストに出してもらった。
 それにしても……横山君は最近、急に力をつけてきた感じがするね。
 個人的にも付き合いがあるので、色々と言ってしまったりするけど、確実に面白くなってる。
 東京公演は11月2日までやってるみたいです!→iakuサイト

 ……今日は相変わらず部屋にこもって脚本執筆。
 コーヒーを五回も淹れた。
 一回で3杯なので15杯も飲んだことになる。
 しかしコーヒーなしには書けない。
 そして伊丹に移動するまでにメドをつけなければいけないのだ。
 だったら飲むしかない。
 
 脚本に煮詰まると……パソコンから離れて、MONOの新作『ぶた草の庭』の構想を考えたりした。
 ノートに書き散らかしている段階だが、この時期が一番楽しい。
 やっぱりパソコンを打つより、ツバメノートに万年筆で書いている時が気分がいいね。

 ……しかしだ。

 最近はパーカーの『デュオフォールド』という万年筆を使っているのだが、やっぱり海外ブランドのものは細字でも太い。英語を書くにはいいけど、漢字には向かない気がする。
 プラチナの『プレジデント』には赤いインクを入れて使っているが、これがとても漢字が書きやすく、手にも馴染むのだ。
 やっぱり黒用にもう一本買おう。
 京都に戻れば万年筆はたくさんあるのだが、東京には持ってきていない。
 よし、買いに行こうか……と、思ったその時だった。

 「そんなものを買っている場合じゃないだろう」と、どこかから声がした。

 誰なんだ?
 その通りではないか。
 
 私は一回思うともうダメだ。
 それをするまで落ち着かない。
 だから買うしかないのだ。
 夕方、一旦、仕事を中断し、「休憩なんだから。必要なんだから」という謎の呪文を唱えながら渋谷に向かった。この呪文を唱えればさっきの声を振り払えると考えたのだ。
 ついでに「事務所からは15分もあれば着くんだから。伊東屋があるんだから。近いんだから」という長い呪文も唱えた。
 これで声の野郎も黙るはずだ。
 
 プラチナの『プレジデント』をもう一本買うつもりだったのだが、最近はとにかく出費が多い。
 無駄な買い物ではないのか。
 ……少し悩んだ。
 「だから買うなと言ってるだろう」という声がした。
 まずい。
 「買わずに帰って、さっさと仕事しろよ」と、声は続ける。
 声は強敵だ。
 どんどん私を責める。

 私は精神を統一してから、新しい呪文を唱えた。
 「半分くらいの値段で『センチュリー』という商品があるんだよ。それならいいだろう?」と、いう新しく考案した呪文を唱えてみた。
 声が消えた。
 ふふふふ。
 声の野郎も大したことない。

 『センチュリー』は書きやすいという評判も聞く。
 試し書きさせてもらった。
 ……いい。
 もう声も諦めたようだ。
 私は安心し、堂々と『これを下さい』と、店員さんに告げた。
 その時だ。
 私は財布を忘れたことに気づいた。
 ICカードで電車に乗れるようになってから、時々これをやってしまうのだ。財布を忘れても電車に乗れてしまうことが問題だ。
 「ほら、買うなっていうことだよ」
 うわ、声が再びおそってきた。
 私は目を閉じて集中すると、新しい呪文を唱えてみた。

「もう買ってしまったんだから。ここでやめたら本当に無駄足になるんだから」

 声は消えてくれなかったが、もういい。
 取り置きしてもらって、もう一度下北沢に戻った。
 事務所に戻って財布を取り、再び渋谷へ向かう。
 なにをしてるんだか。

 
IMG_4869.jpg


 手前がセンチュリーだ。
 書きやすいではないか。
 後ろにあるのは洗って乾かしているデュオフォールド。お前はしばらくお休みだ。
 
 しかし……。
 戻ってきてからは結局万年筆は使わなかった。
 再びドラマの脚本に戻ったので、パソコンを打つだけだった。
 
 「だから買うなって言ったのに」
 今も声がしている。
 しかも、この声が喋るのは万年筆のことだけではない。
 現在抱えている悩みや、私の人格に対する文句までブツブツ言ってきやがる。

 うるさいヤツだ、全く。
posted by 土田英生 at 05:31| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月31日

またしても……京都を通過中。

 ああ、頭が痛い。
 昨日も夜まで事務所にこもって脚本を書いていたのだが、途中で切り上げた。
 寝ないといけないと判断したのだ。
 
 朝、大阪へ移動して劇場入り、そこから舞台チェック、場当たり、ゲネプロ、本番、そしてトークと忙しい1日が控えているのだ。今回は2人芝居で、私は出演もしているのでちゃんと眠っておかないとまずい。

 しかし……寝られない。
 普段、朝方まで書き、明るくなってから眠るというパターンだったので、横になっても眠れないのだ。
 無理矢理、ベッドに横になってみたが……まあ、いつもの通り、頭の中の雑音がうるさくて仕方ない。
 眠るどころかどんどん気分まで沈む。
 身体を動かして疲れさせばいいのではと思い、外に出てちょっと走ってみた。
 ダメだ。
 猛烈に身体が覚醒してしまった。
 どうしたらいいのか?
 酒屋さんに行ってスコッチを買った。
 のんで……眠る作戦だ。
 
 酒屋さんがレジでいきなり私に言った。

『あなたも?』

 意味が分からない。

『普段から飲むの? それとも例のアレ?』

 更に分からない。例のアレってなんだ?
 
『いやあ、朝ドラがあってから売れるんだよね、ウイスキー。飲む人増えたみたいで』

 普通に『普段から飲みます』と答えればいいのに、予想外の質問にうろたえた私は、

『まあ……』

 と、答えてしまった。
 酒屋さんはニヤリと笑った。
 ああ、あの人にとって、私は朝ドラに影響されてスコッチを飲む男になってしまった。
 これからあそこでスコッチを買う度にそう思われる。

 事務所に戻って飲んだ。
 眠るためだ。寝酒だ。英語でいえばナイトキャップだ。
 しかしだ……。
 飲み過ぎた。
 一人で飲むと、特に酔いが回る。
 私は皆と飲んでも乱れることはない。
 行儀のいいお酒だ。
 けど、一人だと泣いたり笑ったりしてしまう。
 ふざけて踊ったりもする。
 ……完全に酔っぱらってしまった。
 
 おかげで知らない間に眠っていたが、朝起きてみると頭が痛い。
 まずい。二日酔いだ。
 見てみると昨日買ったボトルが……半分くらいになっている。
 そりゃ、酔うよね。
 
 シャワーを浴びると随分をすっきりした。
 パッキングしてから品川に向かう。

 で、今はこれを新幹線の中で書いている。
 最初はドラマの脚本を書いていたのだが、隣の人がチラチラ見るので書くのをやめた。
 まだ、情報解禁になっていないドラマだしね。

 ああ、京都に着いた。
 しかし、またしてもここでは降りられない。
 新大阪まで行って、伊丹に向かわなければいけないからだ。

 ということで……。

 本日から『姐さん女房の裏切り』です。
 関西の皆さん、ぜひぜひ。
 劇場でお待ちしております!

 写真は北九州の時のもので、使うのも二回目だけど……。

 
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posted by 土田英生 at 11:06| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする