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MONO代表・土田英生のブログです

2016年03月03日

大騒ぎして東京へ移動。

 今日から劇場入り。
 スタッフは昨日の夜に東京へ移動。
 そして朝から舞台セットをたてたり、照明機材を吊ったり、音響のセッティングなどをする。
 舞台関係者は皆、これを「仕込み」と呼ぶ。
 あまりに当たり前に使っている言葉だけど、本当に妥当な言葉なのかどうかは分からないね。
 飲食店などでの営業準備を仕込みというのはしっくりくるんだけど、舞台を設営したりすることを仕込みというのはどうも変な感じがする。

 とにかく今日は「裸に勾玉」の仕込み日。
 キャストはお休み。
 そして、私はいつものように17時には劇場に顔を出すことになっていた。
 それくらいの時間には舞台セットができ上がるので、それをチェックするのだ。
 そしてあそこの色を少し変えて欲しいとか、ここはこうならないかとか、まあ、そんなことを相談する。

 京都の稽古期間中、私は稽古場近くにマンスリーマンションを借りていた。
 歩いて5分の距離だったので、とても助かった。
 いつものように台本が遅れていたのだが、往復に時間を取られないのでギリギリまで書ける。
 
 ただ、問題は、私はすぐに巣づくりをしてしまうことだ。
 少しでも快適にしようと、あれやこれやを持ち込んでしまう。
 一ヶ月半いたので、かなりの量になっていた。
 Amazonでした買物もマンスリーマンションに届けてもらっていたりした。

 それを今日の朝、片付け、段ボールに詰め、そして送り、東京に移動し、劇場で舞台チェックする……そういう予定だったのだ。

 朝、予定通りに起床。
 シャワーを浴びて、そして片付け始める。
 しかし……しかし……全く片付かない。

 途中で段ボールを調達しようと、近くのコンビニに行った。
 気の弱い私はちゃんと買物をした。
 そしてレジで……お金を払いながら「あ、そうだ……段ボールありますかね?」と、聞いてみた。
 レジの男性は淡々と言った。
 「さっき、業者さんが全部もって行きました」

 仕方ないので私は別のコンビニまで歩いた。
 そしてまたしても買物をした。そしてレジでお金を(以下略)
 レジの女性は申し訳なさそうに言った。
 「早朝に回収されちゃうんですよ。ですから夜中なら」

 私は意味のない買物を済ませて部屋に戻った。
 段ボールは後にしようと片付けを続けた。
 かなりの量だということが判明してきた。

 私は今度、スーパーに向かった。
 そこで今度は買物をせずいきなりお願いをした。
 あっさり分けてくれた。
 大きめの段ボールを二つ持ち、部屋に帰って詰め始める。
 ……いっぱいになったのに、まだまだ荷物はあった。一番かさばりそうな服は来て行くことにして、小さくなりそうな服をギューギューに詰めて行く。
 部屋にあったAmazonの空き箱や、大きめのカバンにも詰めた。
 全部で荷物は四つになってしまった。

 それでもまだ荷物は残った。

 これは東京に持って行こう。
 スーツケース、大きめのリュック、そして肩からかけるカバンに残りの荷物を詰めた。
 かさばる服を来ているし、荷物だらけの私はまるで夜逃げするみたいだ。
 これは移動が大変だと思ったけど、まあ、仕方ない。

 時計を見る。
 13時。
 予定通りだ。後は荷物を郵送し、そして移動する。
 14時の新幹線に乗れば17時にシアタートラムには顔を出せる。

 ……それから15分後。
 そうだ。
 早く出て、どっかでお蕎麦でも食べようと思った。
 なので部屋を早く出ることにした。
 部屋を見回す。

 マンスリーマンションの会社の人から言われた通り、曜日の関係で捨てられないゴミはちゃんと分別して袋に入れて、部屋の真ん中に置いてある。
 よし、行こう。
 しかし、テーブルの上にクリップやUSBメモリ、洗面所に残っていたタオルやヘアワックスを発見しそれらをパンパンになったリュックに詰め込み、そしてマンスリーを後にした。
 
 京都駅までは地下鉄で15分。
  
 京都駅でお蕎麦といえばどこの店が……。
 しかし、私の頭の隅にはなにかを忘れているという思いが残っていた。
 冷静に考えてみる。

 ……あ。

 私は郵送するつもりだった梱包済みの段ボールを部屋にそのまま置いて来たことに気がついた。
 嘘だろ……。
 これ以上、面倒なことはないという気分だった。
 もう、そのまま東京に行ってしまおうとすら思った。
 いやいやいや。

 私は再びマンスリーマンションに戻った。
 カギを言われたボックスに入れて返却してしまっていたので、そこに指を突っ込んで必死で引き出す。
 まるで泥棒気分だ。

 そして部屋に戻ったものの、荷物は四つ。
 二つ抱えてコンビ二に行く。重い……。
 荷物を置かせてもらい、もう一往復する。
 汗だくだ。

 荷物を出して、京都駅に戻り、そして新幹線に飛び乗ったが……一時間遅刻してしまった。

 劇場に入る。
 弥生時代の建物がトラムの舞台上には建っていた。
 スタッフと打合せをして……夜には久しぶりに下北沢の事務所に。

 やっと落ち着いた。
 明日は衣装をつけ、照明や音響ときっかけを合わせる。
 明後日はいよいよ初日なのだ。

 ああ、緊張。

 皆さん、観に来て下さい!
 →特設サイト
 
 
 
posted by 土田英生 at 23:52| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月06日

初日、そして演技というもの

 MONO「裸に勾玉」の初日があいた。

 お客さんに観てもらう以上、きちんとやらなければいけない。
 しかし、いつだって初日は緊張する。
 どんなに考えて稽古していても、予測を完璧にすることなんかできない。
 また、それではもちろん面白くない。
 演劇はやはりお客さんに観てもらって、初めてその姿を現すものだ。

 しかし……今回は特に、どれだけ考えても想像できない部分があった。

 現代を舞台にした芝居の場合、まあ、ある程度反応は予測できる。
 例えば笑いを例にとっても、設定にズレをつくったり、面白いワードを選択すれば、予想は7割くらいの確率で当たる。
 けれど、「裸に勾玉」は弥生時代の設定で、しかも台詞もアレンジして“嘘弥生言葉”にしているので、それが初見のお客さんにどのように響くのか、それが全く分からなくなっていた。問題は稽古場では役者もスタッフも、そして私もその言葉に完全に慣れてしまうことなのだ。私たちではもう基準にならない。

 そういうこともあり……始まる前……猛烈に不安だった。
 私の演技にも個人的に大きな不安があり、役者としても猛烈に緊張していたが、それにもまして、この作品が観客の皆にどう受け取ってもらえるのか……とてつもなく怖かった。

 本番が始まる前、トイレで吐いた。
 昔は毎回だったが、久しくこんなことはなかった。
 
 で……なんとか初回の上演が終わった。
 少しの安堵と明日からのことを考えている。正確に書けば、お客さんがいつものように観てくれていたことへの安堵と、明日からどこをどう変えていくか、その方法を考えているのだ。

 終演後、観てくれた知り合いに聞くと、やはり最初は多少混乱するらしい。
 けれど、やがて耳が慣れ、10分もすると言葉が普通に聞こえると言っていた。
 そうなのだ。今回の芝居はスピードラーニング演劇なのだ。……なんじゃそれ。
 
 とにかく終わった。
 これからのことを具体的に考えよう。

 あ、後、もう一つ、今日思ったことがある。

 自分の出番のことでいっぱいいっぱいになりながらも、少しでも余裕のあるときはモニターにはり付いて本番を観ていた。演出だから当たり前なんだけど。

 で、ふと思ったのだ。
 みんな、いい顔するなあ、と。

 私が役者を選ばせてもらう基準はなんだろうと前々から考えていた。

 様々なところで喋っていることだけど、シュートを打つより、上手くパスを回してくれる人が好きだ。
 もちろんここぞという時はシュートを打って欲しいけど、やたらめったら入りもしないシュートを打つ役者は嫌いだ。まあ、そういう人は自意識過剰なタイプで、稽古をしていても困ることが多い。

 簡単にいえば演技を見せようとする人ではなく、なにかに対して素直に反応をしてくれる人。
 そもそも演技という言葉がダメだね。
 演じるワザ……うんんんん……押し出す感じがイヤだ。
 受ける身体というか……これがとても大事なんだと思う。

 ……それを見極めるには……人の台詞を聞いているときの顔を見れば分かるのだ
 無防備にそのまま相手に顔を向けていられる役者はとても魅力的だ。

keiko.jpg


 ……稽古場の写真だが……なぜか山本麻貴だけいない。
 そうなのだ。彼女だけ、いくら探しても喋っている時の写真しかなかったのだ。
 もちろん、彼女はとても素敵に、無防備な表情で人の台詞を聞ける人だ。
 
 ということで、いい表情で人の話を聞いてくれる役者さん達と、明日からも本番は続く。
 皆様、劇場でお待ちしております!

 「裸に勾玉」特設サイト→
posted by 土田英生 at 03:10| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月08日

休演日

 明日(今日?)は休演日。
 早く寝て、そして早く起きて、やらなければいけない事を済まそう……と、決めていたのにまだ眠れない。
 
 『裸に勾玉』は三回の公演が終わった。
 明後日から再び本番で東京では13日まで。

 三回やったことで随分と芝居の流れが把握できてきた。
 もう少しだけ手を加え、基本的にそれで行こうと思っている。
 いや、結局、毎日マイナーチェンジはするんだけどね。

 前回、シュートばかり打つ役者は嫌いだと書いた。
 では役者の個性をどう考えているのかというようなことを聞かれた。
 どうも考えていない。
 だって、個性なんて出すもんじゃないし。
 出るもんでしょう。
 いつからか「キャラ」という概念が固定化し、「キャラがかぶってるね」などというし、この前喋っていたある子は「私、キャラ変しないとダメですよね」と言っていた。
 
 個性なんてもんは、その人の存在自体にあると思う。
 だって大きな身体の人もいれば小さな人もいるし、鼻が高い人も低い人も……まあ、外見だけとったってバラならだ。声の質も、動きだって違う。同じことをやってもらっても、個性なんかあるのだ。
 もちろん、練習でよくなる面は磨けばいい。
 しかし持って生まれたものを否定する必要はない。

 肝心なのは「客観性と自覚」だよね。

 背の高い人がいたとする。
 それを隠そうとしても無駄だ。
 そして「大きくない」と自分に言い聞かせることも無理だ。
 だから、まずは、大きいと認める。
 人もそう思っていることを自覚する。
 スタートはそこからだ。

 で、大事なことはそれをどう捉えるかだ。
 なんでも物事は見方で変わる。
 背の高いことをそれをコンプレックスに思う人もいれば、自分の利点だと考える人もいる。
 背が低い人だって、それで悩むこともできれば、小さくて可愛いと考えることもできる。

 私は役者を演出する時、そのことをいつも考える。
 その人、本来の持っている物を、なるべくそのまま出したい。
 そして、それを魅力的に見せたい。その為にはその人がコンプレックスに思っていることでも、私の目に素敵だと映れば、どんどん出す。
 大体、自分の魅力なんて、自分では分からないしね。
 そのまま晒せばいい。
 それが一番、素敵に映るはずなんだし。
posted by 土田英生 at 04:08| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月13日

「裸に勾玉」東京千穐楽

 さて、今から眠る。
 その前にこれを書いて最後の宣伝をしよう。
 お陰さまでなんとか無事に公演は続き、今日は東京の楽日。
 つまり最後のステージだ。

 毎日、小さな失敗はたくさんある。
 けれど、お客さんも増えて来て、本来前売りがもう一つ伸びていないと心配していた昨日も、当日券のお客さんがたくさん来てくれた。
 本当に感謝だ。
 それに最近はMONOの公演に来てくれていなかった関係者も結構足を運んでくれる。
 重ねて感謝だ。

 私も出演しているので、本番中はモニターで観たり、袖に待機しながら芝居を見ている。
 で、メモに色々と気になったことを書く。
 自分の出番のことを考えたり、着替えたりもしているので、完全に放置している場面もあるのだが……いつもより放置している部分が多い。
 例えば前回の「ぶた草の庭」ではかなり出番が多かった。それと比べれば今回は格段に少ない。
 なのに、メモを取る量が少ない。
 これはどういうことなのか?

 面白いのは“いつもほど”細かい点が気にならないことだ。

 私はどうやら、台詞を書く段階で、すでにリズムや間を考えてしまっている。
 なので本番でその間が少しでもずれるととても気になる。

 もちろん、今回だってそれはあるのだが……言葉が基本的に現代日常語ではないので、どうやら自分でも計算できないらしい。だからどうすれば面白くなるのか、細かいことまで自分でも分かっていない。
 役者の皆が出したトーンを見て、それならもう少し抑えた方がいいとか、そこは強く言った方がいいとかの判断はできるのだが、台本からの計算でないので、結果、いつもより細かいことが気にならないのだ。
 大きな流れがしっかり押えられていれば、それでいいと思てしまう。

 これはとても新鮮だった。
 
 そんな「裸に勾玉」。
 弥生時代の日常を描いた舞台。
 皆様、ぜひ、お越し下さいー!
 当日券は今日も出ると思います。14時開演です。
 →特設サイト

 これは私の鏡前。
 ここでメイクをしたりメモを取ったりするのだが……自作の革グッズに占領されているね。

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posted by 土田英生 at 02:21| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月19日

心の不思議

 名古屋の栄にいる。
 ホテルはセントラルパークの側だ。
 小さい頃は「センパル」と呼んでいた。
 遊びに行くといえば名駅か栄だった。高校生くらいになると鶴舞線沿線にも行き出したが、それでも映画とかを観るなら名駅、服を買うなら栄だった。スカイルとかよく行ったね。

 とにかく地下街もウロウロした。
 名駅近辺ではメイチカ、サンロード、ユニモール、たまにエスカ。
 栄だったらサカエチカとセントラルパーク。
 いやいや、そんなことはいい。
 公演をする芸術劇場に行くにはセントラルパークをくぐって、オアシスを通り抜けるだけだ。それを書こうと思ったのにノスタルジーに負けた。

 そうなのだ。
 今日と明日はMONO「裸に勾玉」の名古屋公演。
 
 とても元気だ。頑張ろう。
 人の心は不思議だ。無意識で色々調整している。
 東京公演が終わって、突然、糸が切れてしまい、なんだか気分が急降下した。
 で、事務所に引きこもっていた。
 何もやる気がおきず、洗濯と掃除ばかりしていた。

 16日。
 これではいけないと友達に会ったりした。喋っている間は元気なのに、一人になるとまた落ちて行く。
 17日。シブゲキで大谷健太郎監督のワークショップの発表会があったので観に行った。

 大谷監督は「約三十の嘘」を撮ってくれた人だ。
 椎名桔平さんや中谷美紀さん、田辺誠一さんに八嶋君。そして妻夫木さんも出ていた。こうやって書くとゴージャスなキャストだ。他にも「NANA」シリーズや「黒執事」なども手がけている。そういえば、そんな縁で「NANA2」にはタクシー運転手の役で出してもらったりもした。

 いやあ、あれは緊張した。オープニングシーンだしね。
 市川由衣さんを乗せているカットだった。
 それから随分と経って、「初夜と蓮根」という作品を映画にしてもらった時、市川由衣さんが風間杜夫さん、麻生祐未さんの娘役で出ていた。
 顔合わせの時「初めまして、脚本の土田です」と市川さんに挨拶したら「ひどい。初めてじゃないですよ。タクシー運転手だったじゃないですか」と言ってくれて嬉しかった。

 今回のワークショップで大谷監督は私の台本を使用してくれていた。

 2012年にMONO特別企画で上演した「空と私のあいだ」だ。
 今となっては私にとってきっかけになった作品だ。
 横山拓也君と共同台本でやらせてもらったり、オーディションで役者さんを選んだり。当時はMONOから金替君と尾方君、そして山本麻貴さんも出演していた。
 また、柿喰う客の七味まゆ味さんやMONOにも出てもらった松永渚ちゃん、kittを一緒に組んだりした高阪君や岩田奈々、また私の作品の常連になっていて「裸に勾玉」にも出演している高橋明日香など、今につながる人たちとの出会いの場でもあった。

 で、ワークショップ。
 一時間くらいの作品になっていて、それを見終わってから皆で飲みに行った。
 私は喋った。
 とてもよく喋った。

 その後、監督と朝まで飲んだ。
 で、普段は絶対にないことだが、最後に記憶が曖昧になった。
 なぜか最後はカラオケスナックみたいなところにいたりした。
 朝、別れて下北沢の駅に着いたところまではぼんやり覚えている。
 そこからが怪しい。
 事務所まで歩いて5分なのに、気がつくと階段で転んでいた。
 次に気がついた時には電柱の下にしゃがみ込んで……なぜか泣いていた。
 3回目に気がついた時には事務所にあるビーズクッションンに埋って眠っていた。

 慌てて準備をして、そのまま名古屋にやって来た。
 ツイッターを見たら、記憶の曖昧な時間に色々と呟いていて焦った。しかし、新幹線の中で台本をチェックしているうちに気持ちがすっかり戻って来た。
 
 不思議だ。
 心の不思議だ。
 
 今日は今から劇場入りして、照明や音響のチェックをして、そのまま夜には本番なのだ。
 
 お陰さまで、東京では評判もよく、お客さんも入ってくれた。弥生時代の会話劇です。
 最初は「ん?」と思うと思いますが、やがて馴染んでくる仕組みになっています。

 当日券もありますので!
 皆様、ぜひぜひ!

 →特設サイト
 
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posted by 土田英生 at 10:52| 愛知 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月23日

「裸に勾玉」残りは6ステージ。

 1月21日から京都で稽古をし、3月5日に東京で初日を迎えた「裸に勾玉」。

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 ※チラシから特設サイトにリンクします。
 
 名古屋での公演も無事終えた。
 劇場は小さい頃から通いなれた栄にある。

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 土日の2日だけだったのだが、土曜日は終わってから中学の同級生と夜中まで喋った。
 懐かしい話をたくさんした。

 私には幼なじみの女友達がいる。
 Mちゃんとしておこう。
 家が隣だったので幼稚園の頃からずっと一緒に遊んでいた。
 小学校からは毎日一緒に夜に勉強した。
 今、考えると彼女はとても美人だったのだと思うが、そんなことを考えたこともなかった。
 中学に入った頃から一緒に遊ぶことはなくなった。
 学校ですれ違ったりすると「おう」と声をかけたりはしたが、友達と一緒の時に会話した記憶すらない。
 なので、中学では私とMちゃんが幼なじみだという事実すら知られていなかった。

 土曜日に皆と喋った時、そこにはMちゃんはいなかったが、そんな話もした。
 
 で、日曜日。
 公演後にアフタートークがあった。
 その時、客席にMちゃんのお母さんの顔があった。私も小さい時から面倒をみてもらった人だ。
 
 公演終了後はそのままセットをバラし、キャストやスタッフはそれぞれ東京や関西に帰って行った。
 
 私は実家に泊まった。
 妹の子供2人、姪と甥もなぜか一緒に泊まった。
 次の日は朝から一日中、彼らの攻撃にあった。
 朝からキャッチボール、サッカー、そしてなぜか自転車で延々三人で走るという過酷な時間もあった。
 甥がピアノを弾き、それに合せて私一人が踊らされるという辱めも受けた。
 のんびりしたいと思い、風呂に入ろうとしても2人が一緒に付いてくる。
 朝の8時半から夜の10時まで……まるでブラック企業だ。
 公演で疲れているので、とても体力を消耗した。

 まあ、好きな物は食べられたけどね。
 まだ、一回しかいったことのないお気に入りのお蕎麦屋さん。

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 そして夜は……あつた蓬莱軒から暖簾分けしたひつまぶしのお店。

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 まあ、ちょっとした里帰りという感じだった。

 昨日の夕方。
 姪、甥と共に外でフリスビーをしている時、通りすぎる車から「ひで君!」という声が聞こえた。
 私を「ひで君」と呼ぶ人は……今やほとんどいない。
 見るとMちゃんのおばさんだった。
 車が停まる。
 私も駆け寄り、しばらくおばちゃんと話した。

「Mは今回、◯◯で観に行けなかったんだわ。謝っとったよ」
 
 と、申し訳なさそうに言う。
 客席からおばちゃんの顔が見えて嬉しかった、と話すと、いきなりおばちゃんは真顔で褒めてくれた。
 どういう訳だか、いきなり私の涙腺が緩む。
 小さい頃に戻ってしまったような気分だ。
 おばちゃんは「頑張っとるねえ。ひで君は頑張っとるねえ」と、何度も繰り返す。
 彼女は毎回来てくれているそうだ。私は涙を堪えるのに必死だった。
 10分程、立ち話をしておばちゃんは車で去って行った。

 改めてMちゃんのことを懐かしく思い出した。
 私が大学で京都へ行った後、それでも実家に戻る度にMちゃんとはよく会った。
 お互いの恋愛相談や、その時々に抱えていた悩みを打ち明けていた。
 それは彼女が結婚し、子供が出来る頃まで続いていた気がする。
 今、考えてみると、かなり私を支えてくれる存在であったね、Mちゃんは。

 今日は大阪に移動。
 明日からは大阪公演なのだ。
 集中して、悔いなく終わりたい。
 おかげさまで……評判も悪くないと思う……いやいや、こういうことは自分で言うことじゃないしね。
 不満に思う方だってたくさんいるんだろうし。

 MONOでまとめてくれているツイッター上の感想は以下にある。

 →MONO「裸に勾玉」感想ツイートまとめ

 ネタバレしているので、まあ、どうしようか迷っている人の参考になればという感じだ。
 
 明日、何をするのかはまとめた。
 芝居がおかしな方向に行かず、いい方向にだけ深まるようにしたい。
 いくら困っても、もう、Mちゃんも、ノスタルジーも今の私のことは助けてくれないのだ。

 今は今で……私を癒し、支えてくれる存在はいるのだ。
 その関係や存在を大事にして、現在、そして、これからに向けて頑張るのみだ。

 なので眠ろう。
posted by 土田英生 at 02:41| 大阪 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月25日

残りは3日間、4ステージ! 終わったらと思うと……。

 大阪公演は一週間く、全部で6ステージしかないのだ。
 そしてそのうちの2ステージは終わった。

 細かいトラブルはある。疲れのせいか、何人かの役者さんが体調を崩したりしている。もちろん舞台上ではそんな素振りは見せていないけれど。
 色々とハラハラすることが多い。
 けれど……それも含めて面白いなあと思うんだよね。
 説明するのは難しいけれど、演劇の魅力はそういう所にもある気がする。

 MONOの作品はジャンル分けすればドラマだ。物語をダイアログによって見せて行く。
 役者は、役を演じ、その舞台上の虚構世界を現実のように見せる。
 そして、アドリブも一切ない。
 台本を読んでもらえたら分かると思うが、一語一句、正確だ。
 もちろん、稽古では役者側からの声も反映して、どんどん変えて行くけれど、本番になったらそれを固める。観客の皆が笑ってくれたりする部分も、間やトーンに至るまで、“一応”は計算して作られている。

 そう考えると毎日同じことをやるのがいいはずだ。
 で、それを基準に考えれば、とても危ういことをしている。役者の体調だってそうだし、誰かがミスすることもあるば、機材などのトラブルもあったりする。計算した大事な「間」で、観客の一人がくしゃみでもすれば、それだけで反応はなくなってしまうし。
 OKカットを求めてテイクを繰り返す映像とは違い、舞台は常に一か八かだ。
 
 しかし、このことが舞台ならではの魅力を生む。
 そこで繰り広げられていることは虚構のドラマであるのに、そのドラマを演じているのは“現在の身体”を持った役者なのだ。風邪をひいていたり、足を捻挫していたり、神経痛に悩む役者だったりする。
 その危うさを、実は観客も感じている。
 共犯関係を持ちながら、その場の空気を体験して行く。
 ただ、ストーリーを見ているだけではなく、そこにいる役者の存在を感じている。
 これが演劇の面白さだよね。

 さっき、MONOの作品はドラマだと書いたが、私はいつも「そこで交されている会話」や「そこに人がいるという状態」にドラマを感じて欲しいと思って創っている。
 ストーリーを追うだけなら、演劇じゃない方がいいと思う。
 「これがああなって、こうなって、更にこう展開して」という、いわゆる「お話」には私はあまり興味がない。
 
 今回の「裸に勾玉」の後半に……登場人物たちが、ただ、ただ、お互いに◯◯◯◯合うシーンがある。
 ◯の部分はネタバレになってしまうので書けないが、例えばこのシーンでは全くストーリーは進まない。
 けれど、今回の作品の中でとても大事な、核となる場面だったりするのだ。
 このシーンを成立させる為に、その場で、目の前で、役者が進行形でやっていることはとても大事なんだと思う。

 役者の体調が万全じゃないことも含めて、舞台を成立させないといけない。

 私も出演しているのだが、はっきりいって不眠状態が続いていて、身体が怠いままだし、ある薬が切れていることで離脱症状があり、めまいが止まらない。それをなんとかしようとスパイスの効いたカレーを食べたら、辛過ぎて喉をやられたようで、その日は声が出なかった。はっきりいって素人だ。反省している。
 
 劇場の横の川沿いがとても気持ちいい。
 今日は劇場入り前にブラブラ歩いた。

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 色々と考えことをした。
 公演が終ったらと思うと……結構、怖い。
 
 ま、それも含めての演劇だしね。
 明日も、明後日も、そして明々後日もまだ本番ができるのだ。
 とにかく残りの舞台を、一期一会で頑張る。
 
 皆さん、劇場で共に作品をつくりましょう。お待ちしています。
 →特設サイト
posted by 土田英生 at 02:54| 大阪 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月27日

最後の1回

 演劇をやっていて最も寂しいのはやはり終わってしまうときだ。
 構想を立てて台本を書き、稽古をして形を作り上げる。
 間の一つに悩み、台詞のつながりに苦労し、皆の知恵や労力をつかって創ったのにそれは消える。
 台本は文字として、そして公演もDVDなどで残るものの、劇場で感じられるあの時間はもう戻らない。
 再演しても役者は変われば別の作品になるし、全く同じメンバーでやったとしても同じものにはならないのだ。
 
 MONO「裸に勾玉」も最後の1回になった。
 
 すでに今日、打上げも終わった。
 稽古から本番にかけて、キャストやスタッフ、彼らがいることが当たり前だったのに、明日を境にその世界とはさようならだ。明日、本番を終えたらそのまま片付けをし、集まって挨拶をすることもなく三々五々別の日常へと戻って行くはずだ。

 MONOは公演がない時、メンバーで集まったりしない。
 きっと全員が揃うのは次回の稽古始めなんだと思う。
 ましてや今回のキャスト、つまり4人の女優さんを含めて全員が揃う機会など全くない。

 いい舞台にしないとね。
 最後だと力んでも、それで結果が出るわけでもないのが難しいところだけど。
 いつものようにやるだけだ。
 
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 お客さんに座ってもらい本番をやる。
 それだけだ。
 当日券もありますので、皆さん、お待ちしています!
 →特設サイト

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 役者がアップしたりするのによく使っているロビーの階段を上がった場所。
 そこから入口を見下ろす。
 ABCホールで好きな景色だ。

 少し眠ろっと。
posted by 土田英生 at 05:04| 大阪 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする