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MONO代表・土田英生のブログです

2016年03月06日

初日、そして演技というもの

 MONO「裸に勾玉」の初日があいた。

 お客さんに観てもらう以上、きちんとやらなければいけない。
 しかし、いつだって初日は緊張する。
 どんなに考えて稽古していても、予測を完璧にすることなんかできない。
 また、それではもちろん面白くない。
 演劇はやはりお客さんに観てもらって、初めてその姿を現すものだ。

 しかし……今回は特に、どれだけ考えても想像できない部分があった。

 現代を舞台にした芝居の場合、まあ、ある程度反応は予測できる。
 例えば笑いを例にとっても、設定にズレをつくったり、面白いワードを選択すれば、予想は7割くらいの確率で当たる。
 けれど、「裸に勾玉」は弥生時代の設定で、しかも台詞もアレンジして“嘘弥生言葉”にしているので、それが初見のお客さんにどのように響くのか、それが全く分からなくなっていた。問題は稽古場では役者もスタッフも、そして私もその言葉に完全に慣れてしまうことなのだ。私たちではもう基準にならない。

 そういうこともあり……始まる前……猛烈に不安だった。
 私の演技にも個人的に大きな不安があり、役者としても猛烈に緊張していたが、それにもまして、この作品が観客の皆にどう受け取ってもらえるのか……とてつもなく怖かった。

 本番が始まる前、トイレで吐いた。
 昔は毎回だったが、久しくこんなことはなかった。
 
 で……なんとか初回の上演が終わった。
 少しの安堵と明日からのことを考えている。正確に書けば、お客さんがいつものように観てくれていたことへの安堵と、明日からどこをどう変えていくか、その方法を考えているのだ。

 終演後、観てくれた知り合いに聞くと、やはり最初は多少混乱するらしい。
 けれど、やがて耳が慣れ、10分もすると言葉が普通に聞こえると言っていた。
 そうなのだ。今回の芝居はスピードラーニング演劇なのだ。……なんじゃそれ。
 
 とにかく終わった。
 これからのことを具体的に考えよう。

 あ、後、もう一つ、今日思ったことがある。

 自分の出番のことでいっぱいいっぱいになりながらも、少しでも余裕のあるときはモニターにはり付いて本番を観ていた。演出だから当たり前なんだけど。

 で、ふと思ったのだ。
 みんな、いい顔するなあ、と。

 私が役者を選ばせてもらう基準はなんだろうと前々から考えていた。

 様々なところで喋っていることだけど、シュートを打つより、上手くパスを回してくれる人が好きだ。
 もちろんここぞという時はシュートを打って欲しいけど、やたらめったら入りもしないシュートを打つ役者は嫌いだ。まあ、そういう人は自意識過剰なタイプで、稽古をしていても困ることが多い。

 簡単にいえば演技を見せようとする人ではなく、なにかに対して素直に反応をしてくれる人。
 そもそも演技という言葉がダメだね。
 演じるワザ……うんんんん……押し出す感じがイヤだ。
 受ける身体というか……これがとても大事なんだと思う。

 ……それを見極めるには……人の台詞を聞いているときの顔を見れば分かるのだ
 無防備にそのまま相手に顔を向けていられる役者はとても魅力的だ。

keiko.jpg


 ……稽古場の写真だが……なぜか山本麻貴だけいない。
 そうなのだ。彼女だけ、いくら探しても喋っている時の写真しかなかったのだ。
 もちろん、彼女はとても素敵に、無防備な表情で人の台詞を聞ける人だ。
 
 ということで、いい表情で人の話を聞いてくれる役者さん達と、明日からも本番は続く。
 皆様、劇場でお待ちしております!

 「裸に勾玉」特設サイト→
posted by 土田英生 at 03:10| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする