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MONO代表・土田英生のブログです

2016年04月04日

なんとかなるね。

 なんだか久しぶりだ。
 やっとここを更新できるくらいに回復して来た。
 ……私はとても疲れていたらしい。
 ま、今も色々とあるけれど、少しはましになった。
 
 おかげさまで「裸に勾玉」の公演は無事に終了した。
 弥生時代のセットともさようならだ。

IMG_1559.jpg

 
 ……よく見たら高床式倉庫の上に脚立がのってるな。
 私が撮ったのでこんなことになった。

 とにかく弥生時代を舞台にした芝居は終わった。
 何度も書いたことだが、今回は本当に不安だった。
 上代語をベースに、嘘弥生語で台詞を書き、現代の人と交錯させる。
 そこにリアリティーは生まれるのか、全く自信がなかった。
 もちろん賛否はあると思うが、概ね、想像したように観客は受け取ってくれたように思う。

 タイムスリップ的な設定に迷いもあった。
 これはとても難しい。下手すると完全に“ベタ”なものになってしまう。
 私が狙いとして考えていたのは、その理由などを全てすっ飛ばそうということだった。
 
 私たちは目の前に広がる世界を現実だと認識している。
 けれど、そう思っているこの場所だっておかしい。
 冷静に考えると、不思議で仕方ない。生まれて育つ過程で、目の前に広がる世界を“現実”だと信じているに過ぎない。

 中学校の時、FAXの仕組みが分からずに混乱した。
 絵を電気信号に変換してそれを送り、向こうでもう一度絵にするのだという説明は理解できた。
 しかし、感覚的に分からなかったのだ。
 だって、絵がそのまま送れるなんてあり得ない。
 それがパソコンが発達し、今や、なんでも送れてしまう。
 この環境で育てば、それが現実世界だ。

 だから、いきなり目の前が弥生時代になってもいいと思った。
 描きたかったのは「どうしてその時代に行ったか」ではなく、「その時代にいたとしたらどうなるか」なのだ。
 
 東京公演を観た小林賢太郎君が「発明だよね。全く説明しないって」と言っていた。
 少しだけ安堵した。
 大体、弥生時代を使って、結局書いているのは今の人間のことだったりするしね。
 ストーリーをみせたいんじゃなくて、そこにる人の有様を描きたいんだし。
 
 とにかく公演は無事に終わった。
 全員は写ってないけど、東京のゲネプロ終りに撮った写真。

IMG_8589.jpg


 谷古宇さん撮影だ。
 だからなのか、脚立ものってない。

 大阪公演が終った途端、私はいきなり現実に戻った。
 無理をしていたせいか、身体も心もダウンした。
 次の日は久しぶりにMONOの事務所で荷下ろしやり、京都の運転免許試験場で免許証の更新をし、東京に移動した。
 下北沢に着くと……もう完全に落ちていた。
 
 2日間、いや、3日間……よく分からないが、とにかくじっとしていた。
 4月中旬を目指して書いているものがあるので、それを時々はやっていたし、一度だけ友達と会ったりしたが、基本的にぐてーっと横になっていた。
 動き出さなければと思うのだが、身体も心もいうことをきいてくれない。
 現実にある片付けなければいけない問題ばかりが、頭の中をグルグル回っていた。
 このまま溶けていってしまうのではないかというくらいダラダラした。

 何もする気がおきない。
 お芝居などをやっている人には経験があると思うが、公演の翌日は差し入れでもらった食べ物で済ましてしまうことがある。
 アーモンドやドライフルーツもたくさんもらった。
 お腹が空くとそれらを食べてしまう。
 ちゃんと食事をしないと。
 そう思うのに、出かける気にもならないのだ。
 
 このままではいけない。
 とにかく外に出なければ。そしてきちんとしたものを食べなければ。
 そう思って、ある友達をご飯に誘ってみた。
 覇気がないままでも会える間柄だ。
 お肉でも食べよう。
 そして、これをきっかけに浮上しよう。
 張り切ったのもつかの間だった。
 ……都合が悪いという返信だった。
 また、フニャフニャになった。
 やっぱり溶けよう。アーモンドで過ごそう。
 木の実で過ごすなんて……まるで縄文時代だ。
 ああ、芝居の設定よりも、時代が戻ってしまっている。

 ダメだ。
 これではダメだ。
 重い身体を無理矢理起こして、外に出た。
 なぜか春が来ている。
 店に入って日替り定食を注文した。

 と、別の友達から連絡が来た。
 「ご飯食べましょう」という誘いだった。
 タイミングいいのか、悪いのか。
 結局、夕方会うことにした。
 そして会ったら……朝まで喋ってしまった。
 気がつけば10時間経っている。
 私は人と会うと、自然と張り切ってしまうのだ。

 しかし、その勢いを使って、ずっとご無沙汰だった病院にも行った。
 そうなのだ。
 ある薬が切れていたのだ。
 これも気分がすぐれない原因だったのだと思う。
 
 段々と動き出した。

 と……やたら色々な人からLINEが来る。
 本当に次々と来る。
 全員が会おうというお誘いだ。
 どうしたんだろう?
 皆で相談でもしているんじゃないかと勘ぐりたくなるくらい、連絡は続く。
 しかもだ。「この日はどうですか」という提案は誰もかぶっていない。
 上手い具合にずれているのだ。
 で……予定が一気に埋ってしまった。

 人は因果律で物事を考えたりする。
 悪いことが起きると、この前、あんなことをしたからじゃないのかと思ったり。
 関係のないことを結びつけてしまったりする。

 どうして急に、次々、友達が会いたいといってくるのか?
 それもうまい感じで、ローテーションを組んで。

 もしかしたら、私の身になにか起こるんじゃないか。
 私は終わってしまうのではないか?
 そのことを皆は知っていて、連絡をくれているのかも知れない。
 そういえば、最近、悟りを開いたかのような考え方をしている。
 「人間だもの。みつを」という感じなのだ。
 これはいけない。

 今日は十年来の友人の結婚パーティー。
 ロンドンで出会って以来、ずっと仲良くしてもらっている大事な友達だ。

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 彼女はとてもキレイだった。
 私も幸せな気持ちになった。
 新婦の友人代表で祝辞も述べさせてもらった。
 色んな想い出や会話が走馬灯のようによぎって行く。

 しかも、久しぶりに宮本亜門さんと会った。
 嬉しかった。
 昔、「BOYS TIME」という舞台を一緒にやったのだ。
 あの時の記者会見は緊張したなあ……取材に来ている芸能レポーターをみて興奮し、サインをもらおうとして「脚本家なんだからやめた方がいい」とアドバイスされたなあ……あああ……懐かしい……。

 「いい人生だったもの。ひでを」

 ……まずい。
 やっぱり悟っている。
 終わってしまう、終わってしまう!
 
 いや、大丈夫だ。
 大丈夫なことは自分が一番よく分かっている。
 今日もパーティーの後半にあったダンスタイムで、私は率先して踊っていた。
 しかも「エヴリバディ、カモン!」と叫んだりした。
 悟り切った人間は「カモン」とは言わないはずだ。

 それに大体、最初、勘違いして別の会場に行ったのだ。
 そこで「受付はまだですか?」と聞いたら「なんのでしょうか?」と言われたりした。
 私がいたのは恵比寿。会場は飯田橋。
 タクシーに飛び乗り、「後、何分で着きますか?」と5回も運転手さんに尋ねたし。
 まだまだ生々しいね。
 悟りとはほど遠い。

 目の前には色々と片付けなければいけない事柄があるけれど、なんとかなるね。
posted by 土田英生 at 07:12| 東京 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする