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MONO代表・土田英生のブログです

2016年10月30日

小さなことを済ます

 もう完全に状況を見失ってしまっているね。
 返信していないメールとか、出せていない原稿もたくさんあると思う。
 ああ……。
 そうなのだ、こうした小さなことをまずは済ませないといけないのだ。

 今は朗読劇「解夏」の本番中。
 私は基本的に自分の演出した作品は本番も観るが、ステージ数が多くなれば、ところどころ観なかったりする。ただ……今回はなかなかそうはいかない。
 9組あるので初日の連続なのだ。
 昨日でやっと全員が本番を迎えたので、今日は他の仕事をさせてもらっている。
 
 そんな中、人には会っている。
 今年はたくさん知り合いが亡くなった。
 会いたい人とは、なるべく会っておきたい。後悔したくない。
 もちろん、自分にとって大事な人じゃなければ、別に会う必要はない。
 
 一昨日も本番が終わって劇場を出た時、知り合いのプロデューサーから電話があった。
 下北沢にいるという。
 私は迷うことなく行きますと答えた。
 この人には本当にお世話になっているのだ。そしてなにより、私を理解してくれている。
 大事な人だ。
 最近のテレビのことなどをただダラダラ喋っただけだが、とても元気が出た。今年はドラマを一本も書かなかったんですと話すと、まあ、無理にやらなくてもいいじゃないですか。けど、これからも面白いことを一緒にやりましょうね、と力強く言ってくれた。
 
 昔は短気だったが、いつからか私はかなり温和になった……と、自分では思っている。
 稽古場でもはしゃいだりはするけど、怒鳴ったりはしない。
 
 けれど、仕事で揉めることは……結構ある。
 ドラマの仕事などでも揉めて途中で降りたり、降ろされたことも何度もある。
 脅しのような言葉をかけられたこともあるし、はっきりと裏切られたこともあるしね。
 だけど、こっちだって理不尽なことは呑めない。
 それで仕事がなくなったとしても仕方がない。
 なにより、私には劇団だってあるし、自分の表現をできる場がある。
 まあ、劇団は仕事にはならないんだけどねえ。

 けれど、だからこそ信用してくれる人もいる。
 一昨日会ったプロデューサーはそんな一人だ。
 頭の中に、そういう人は何人か浮かぶ。だから私はまだまだ頑張れる。

 それにしても、昨日は……会いすぎた。
 まず、「解夏」は3公演あった。
 けれど、小屋入りする前、福岡の劇団「万能グローブガラパゴスダイナモス」の作家、川口君と制作の橋本さんと会った。わざわざ劇場まで来てくれたのだ。
 そして本番が始まるまで昔ながらの喫茶店でコーヒーを飲みながら、小さな声で喋った。

IMG_9480.jpg


 そして公演。
 一番最初は荒木宏文君と山本紗也加さんペア。
 この2人はこの回で最後なのだ。さようならなのだ。
 終演後、お疲れさまでしたと挨拶したり、演出助手の若林君も交えて記念写真を撮ったりしていた。

IMG_9483.jpg


 ……けれど、すでに内田朝陽君と彩吹真央さんが劇場に入っている。
 5分後には段取りの確認をしなければいけない。
 このペアはこの回が初めての本番なのだ。
 私は混乱する。
 お疲れさまなのか、よろしくお願いしますなのか、もう分からない。
 そして最後が鍵本輝君と朴璐美さんコンビ。
 
 劇場を出ると……疲れのせいか目眩がひどかった。
 私は下北沢に急いだ。
 まだまだやることはあるのだ。
 香西さんという映画監督と会うのだ。つい最近撮ったばかりの「しまこと小豆島」という短編映画に、私は声の出演をすることになっていた。けれど時間が合わず、まだ声を収録してもらっていなかったのだ。
 なので……二人きりで声を撮ってもらった。
 もう短い間にクラインクインとアップを済ませた。
 ここでもよろしくお願いしますとお疲れさまの間が短かった。

 この人は猛烈に忙しい人だ。
 昨日も下北沢の駅に機材などを抱えて現れたが、もう夜逃げしてきたような状態なのだ。
 しかも撮り終わると……彼女はもう一つの打ち合わせに向かっていった。
 私も……最後にもう一人会った。

 で、香西さんと話が合ったのは忙しい時こそ、小さなことをきちんと済ますということだねという話だった。
 短い原稿でも、メールの返信でも、ちょっとしたことが積み重なってしまうとどんどん沈んでいく。
 もちろん台本を書くという仕事が一番時間がかかるが、小さなことを全て済ましてしまい、書くだけになれば随分と心持ちが違うのだ。

 さてと、劇場へ向かおう。

 返信を待つ間にこれを書いていたのだが……ああ、だったら小さなことを済ませればよかった……。
 
posted by 土田英生 at 14:26| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする