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MONO代表・土田英生のブログです

2017年08月22日

自称牧師と怠惰なマネキン

 酔って帰ってきてウトウトしてたんだけど、なぜか突然パッと目が覚めたので更新。

 今は下北沢にいる。

 19日。京都から広島に向かい、この3年続けてやらせてもらっているアステール演劇学校「俳優コース」を2日間やった。今年は顔なじみもいれば、初めましての人もいるが、比較的若い人が多い。
 10月に試演会がある。
 この構想もかたまりつつある。

 20日の終了後、そのまま新幹線に乗って東京へ移動してきた。
 ちなみに新幹線車内では隣の人と小さな争いを繰り返した。
 なんか……本当にトトロそっくりの人だった。
 まさに「隣のトトロ」だった。
 この争いについても書きたいが、今日は他に書かなければいけないエピソードがある。
 「隣の牧師さん」についてだ。

 28日に花組芝居「いろは四谷怪談」にゲスト出演させてもらうことになったので、今日は稽古を覗きに行かせてもらった。サイトはこちらです!→

 通し稽古を見せてもらうことになり、始まるまで少し時間があった。
 なのでちょっと書き物をしようとカフェに向かった。

 私はノートを広げた。
 隣のテーブルには若い女性と少し年上の男性が向かい合って座っていた。
 ノートに作品の構想などを書き出したその時だった。

「いやあ、それは悪魔の所業なんですよ」

 という男性の声が聞こえてきた。
 “悪魔の所業”というワードを日常会話で使っているのを初めて聞いた。
 私のペンはぴったり止まった。
 そこからは……もう全神経が隣のテーブルに向かった。
 
「そいつは悪魔に取り憑かれていると言わざるを得ませんね」

 女性は小さくうなずいている。
 しばらく聞いていると、男性は牧師さんなんだと分かった。
 会話の中で「僕ら牧師はですね」と言っていたので間違いない。だから悪魔などという例えが出てくるのだろう。そして女性は、牧師さんに相談しているということらしい。

 話から推察したところ、どうやら女性は旦那と別れたばかり。
 その旦那がとんでもない男で、やっと逃れられて安心している。けれど、その旦那がそのままではあまりに理不尽なので、なんとかして反省させたいというようなことだ。

「神は見ています。見ていますから大丈夫なんです」

 牧師さんは言う。
 
「そりゃ見てはくれているんだと思いますが、あの人はきっとあのままですよ」

 女性はどうやら具体的な方策が欲しいようだ。

「大丈夫です。神は見ていますから」
「ということは……そのうち、あの人に何か罰などがくだるんでしょうか?」
「本当にそうしたいのなら……簡単です」
「簡単?」
「はい。祈るんです」
「私が?」
「私も祈ってあげますよ。あのね、神は、意外と残酷なことを平気でしますから」
「どういうことでしょうか?」

 私も女性と全く同じ気持ちだった。
 どういうことなのだ?
 祈ればその元旦那に何かしらの罰がくだるということだろうか?

「殺せますよ、私が祈れば」

 衝撃な的な一言が、洒落た店内に響き渡った。
 私はコーヒーを危うくこぼすところだった。

 おいおいおい。
 
「え? あの人をですか? いや、私は別に死んで欲しいなんて思ってないんです」

 女性は慌てて言う。
 私も全く女性と同意見だ。
 殺さなくたって、ねえ?

「けど、本当なんです。実は僕の場合もそうでした。うちの父が……」

 その後は、もうとんでもない会話が繰り広げられた。

 この自称牧師は論理も倫理もめちゃくちゃなのだ。
 しかも、女性の話は聞かず、すぐに「僕の場合はですね」と自分の話を披露する。
 そして最後には「祈ればいいんです」という言葉だけでまとめてしまう。
 
 しかしだ。

 これは……ここに具体的に全部書くのはやめよう。
 必死にメモは取って来た。けれど……本当に面白かったので、作品に使いたい気持ちが湧いてきた。

 そうしよう。

 次回のMONO特別企画「怠惰なマネキン」の中に多分出てくると思う。

 隣のトトロも牧師の話もやめて、公演について書こう。

 
1707_monospecial_omote.jpg


 11月に新宿の小さなスペースで公演する。
 ちなみに出演者の一人である立川茜さんは、一昨年、広島でのアステールの演劇学校《俳優コース》に参加していた。昨年、大学を出て東京にやってきて、一緒にワークシップなどを続け、出てもらうことになった。

IMG_6674.jpg

 
 この写真だと一番右端にいるのが立川さんだ。
 
 それ以外の4人は3年前の「俳優育成講座《東京》」の参加者だ。4人は土田英生セレクションvol.3「算段兄弟」にも出てくれている。
 ついでに紹介しよう。
 立川さんの隣が渡辺啓太くん。
 その隣、真ん中に写っているのが高橋明日香さん。彼女は6年前に出会ってから9回も一緒に芝居をやっている。その隣が大村わたる君。
 
 あ、そうか。
 23日から高橋、大村の2人はそれぞれ別の舞台に出ている。
 これも紹介しておかないとね。
 興味のある方はぜひ。

 高橋明日香さんはaibook「疾走」→
 大村わたるくんはKUNIO「夏の夜の夢」→

 で、左端が石丸奈菜美さん。彼女とは「歪(ibitsu)」でも2回一緒にやった。二十代とは思えない昭和の香りをまとった女優さんだ。
 
 とにかく、この5人で芝居を創る。
 この1年、このメンバーでワークショップを続けてきた。
 共通言語もできてきたし、それぞれのメンバーの課題もはっきりしてきた。私がこれまで大事にしてきた呼吸や自意識のことだけでなく、最近は新しいことを色々試している。
 毎回発見があり、演技についてこれまでと違った回路ができつつある。
 
 これはクローズドでやっている。だから私もお金はもらっていない。前にこの話を人にしたら「ボランティアですか」と聞かれたことがあるが、ここに大きな誤解があるよね。
 
 いつからか、「ワークショップ」を講座的な意味合いで使う人が増えた。
 もちろんそれもあるんだと思う。
 実際、私もそうしたワークショップはたくさんやってるし。
 けれど、本来、ワークショップは「工房」という意味で、何かを試す場だ。むしろ、劇作家、演出家にとっての勉強の場なのだ。本当なら私が皆にお金を払って開かなくてはいけない。実際、そうしている人もいるしね。

 新作などを書く時の大きなヒントをもらっている。これがMONOの本公演などにつながって行くのだ。
 
 話がそれた。
 もっと公演のことを具体的に書きたかったけど、また改めよう。

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posted by 土田英生 at 04:00| 東京 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする