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MONO代表・土田英生のブログです

2018年08月09日

最後の稽古

台風が来ているので、いつもより早く通し稽古をやって帰ってきた。

思ったよりも早かったので渋谷で少しだけ一人でブラブラした。
考え事をしながら一人で飲んだ。
渋い感じでグラスを傾けているつもりだったけど、そのポーズだけでは全然時間が持たず、寂しくなったのですぐに帰った。

……立て続けに上演中止や公演延期の情報を知った。
私はその二つの団体と直接の面識もないし、個々については何も語るつもりはない。
ただ、両方とも台本の遅れが原因だと聞いて、色んなことを考えた。

もちろん明日は我が身だ。

私もこれまでだって何度も危ない橋は渡った。
台本を書く作業は厄介だ。
頑張れば進む訳じゃない。
何時間座っていても、一行も書けないこともある。
……とにかく苦しいしね、あの時間は。
また、書かなければいけない時、他のことで悩んでいてそれどころではない時もある。

それでも締切や期限はやってくる。
でも……。
書けない時には謝るしかないんだよね。
作家の思いや事情を斟酌してもらおうとするのは無理なことだ。
書けないことは美談でもなんでもないし、よりよい作品を創りたいとは誰もが思っているんだし。

何が言いたいのかというと……。

「書く行為」をあまりにも神聖化しちゃダメなんだよね。どんどんそれに甘えて行ってしまうから。これは自戒を込めて言ってるけどね。

色んな場所で喋ってるけど、私は「降りてこない」とかいう劇作家が嫌いだ。
イタコじゃないんだし。
降りてなんかこない。

そんな方法があるのなら、私もそれを習得したいよ。
私にはそんな才能はないので、とにかく泣きながら机に向っている。比喩でもなんでもなく書けないと泣く。
あれはなんだろ?
幼児退行するんだよね。
そうやって苦しんで考えていると、アイデアがふと出てきたりする。
ま、それを「降りてくる」と表現してるだけなんだろうけど、なんか書くことを特権化しているようで嫌だ。

今回の「青い鳥たち、カゴから」だって、随分と約束を破ってしまった。何度か泣いた。
稽古開始の2週間前には初稿を出しますと宣言していたけれど、「崖っぷちホテル!」を書き終わった時、締切までは一週間強しかなかった。
何より疲れていた。
それもあったし、色んなことが重なって稽古に入る前に個人的にメンタルをやられてしまい……なかなか集中出来なかった。

稽古をしながら続きを書き、読んでもらっては書き直すという繰り返しだった。
稽古していたのに、なくなったシーンも結構ある。

けどねえ。
だから芝居は救われるんだよね。
周りに人がいるから。
特に今回はそうだった。

役者さんたちは文句も言わずに一生懸命取り組んでくれた。
なんと言ったらいいのか、「こなす」というような人はなく、作品をよくしようと思っていることが伝わって来た。

だから私も書けたんだと思う。

形やリズムにこだわる私の演出にもきちんと取り組んでくれたしね。
この5日間、通し稽古のランタイムは毎回誤差1分以内だ。
これ、すごいことなんだよね。

脱稿したのは7月末。
だけど、通し稽古に入ってからも何度も改訂した。
今日ですら稽古しながら台詞を変更したしね。

明後日は初日だ。

枠に関しては出来ているので、あとはその枠の中に、役者さんたちの体重がどれだけ乗るかが勝負だ。
昨日、ぐっと良くなった。

面白くなるね。
私も最後まで気を抜かずに、しつこくやろう。

まだまだ上に行ける。
本番までには一日あるし十分だ。

明日はゲネプロ。
お客さんは入れずに、本番と同じように上演する。

しかしだ。
テアトル・エコーは劇団員も多く(役者だけで100人くらい!)いるので、ゲネプロにも多くの人が観にくるらしい。
だからプレビュー公演みたいなもんだよね。

ただ、役者さんたちからの要望で、明日の昼にも集まって一回通してみることになったので、そこで最後の調整はできるのだ。

劇場客席に作ってもらっていた演出席ともお別れだ。

IMG_1632.jpg


「餌」と呼ばれている、演出助手の小泉さんが出してくれるアーモンドとチョコレートともさよならだし、役者さんの似てない似顔絵を描く場所もなくなってしまう。
少しだけ寂しい。

ということで、皆さん、お待ちしています!

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posted by 土田英生 at 02:38| 東京 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする