ロンドンでフラットの階下に住んでいたイングランド人だ。最初はブランドンだと思った。私が「ビバリーヒルズ青春白書」などであまりにブランドンという名前に馴染んでいたからだ。だから私はずっと彼をブランドンと呼んでいた。私が日本へ帰国する頃になってやっと「俺、ブレンダン」なんだよね」と言われたんだと思う。だからロンドンで私が書いていたロンドン日記などでは彼はブランドンとして登場している。
とにかく彼にはよく世話になった。英語で困っている私を何かとブレンダンと彼の彼女であるヴィッキーは助けてくれた。ちなみにヴィッキーもベッキーと私に呼ばれていた。
住んでいたフラットは玄関が共通していて、中で各階に分かれていた。

【真ん中の白い建物。一階に玄関とブレンダン達の部屋。二階のカーテンがかかっているフロアに私。一番上の屋根裏のようなスペースに麻薬の売人「ヴィクター」が住んでいた】
ブレンダンから最初に言われた言葉は「お前はエドワードか?」だった。
入居した日。ドアベルが鳴ったので階下に降りて行くと郵便配達の人がいてブレンダンに何やら尋ねていた。ここにエドワードはいるかと聞いていたのだと思う。そこに私が降りて来たので上の質問に至った訳だ。私は残念ながらエドワードではなかったが、それから付き合いは始まりすっかり仲良くなった。
で、そのブレンダンは今はもう日本に来ているはずだ。仕事で函館にいるのだ。そして明日、京都へ来る。彼が私のマンションへ来るのは二回目だ。
「仕事が終わったら京都に立ち寄ってしばらくお前のとこにいるよ」
彼は電話で言った。函館と京都、立ち寄るにはちょっと遠い。更に彼は言っていた。
「『ミゾニゴミ』が食べたいよ」
前に名古屋に連れて行った時に食べた「味噌煮込み」のことを言っているのだ。

その前に、今日は日帰りで東京へ行って来なければ行けない。ブレンダンには芋ようかんでも買って来よう。今日は写真が二枚もあって派手な感じだ。