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MONO代表・土田英生のブログです

2011年09月18日

タイトル決定とおばあさん。

 来年の2月〜3月にかけてMONOの公演がある。
 『赤い薬』『トナカイを数えたら眠れない』と改訂再演が続いたが、今回は正真正銘の新作だ。
 で、タイトルが決まった。この前、チラシの打合せをしたが、その時まで決め切れずにいたので皆にも相談したりした。
 
『少しはみ出て殴られた』
 
 男ばかりの舞台だ。

 チラシの打合せは京都駅近くのカフェラウンジ。
 で、そこへ向かう途中、地下鉄の四条駅で階段をおりている時だった。
 途中でおばあさんがキャリーバックを抱えて止まっている。
 エスカレーターもあるのにどうしてだろう?

 『そのバック、下までおろしましょうか?』
 
 私は声をかけた。
 おばあさんはしばらく考えていたが、やがて微笑んで『お願いします』と答える。
 で、私はそのキャリーバックを持ち上げた。

 ……な、なんなんだ……異常に……異常に重いのだ。
 男性でも重いのに、このおばあさんは……よく途中まで下ろせたもんだ。
 とにかく私はそのバックを持って階段の下まで降りた。
 それにしても重い。一体何が入っているのか?
 おばあさんは足取り軽く階段をおりた。

『ありがとう』

 おばあさんはお礼を言ってくれた。

『いえいえ。これ、重いですねえ。あっちにエスカレーターもありますよ』
『ええ、でも、階段をおりないと足が鍛えられないしねえ』

 なるほど。おばあさんは鍛えようと思って階段を使っていたのか。
 だとしたら邪魔をしたことになってしまったのかと思ったが、しかしだ。この荷物はいくらなんでも重すぎる。

『鍛えるのもいいけど……コレを抱えてだとキツいでしょう? いつもこんな荷物ですか?』

 するとおばあさんは言ったのだ。

『はい。重くないと鍛えられないのでねえ』

 更に続けて言う。

『鍛えたいんです』

 そう言うとおばあさんはキャリーバックを引きながらすごいスピードでホームを歩いて行った。
 私は何か間違ったことをしたらしい。
 あのおばあさんは健康の為などではなく、明らかに何かを目標にして鍛えているのだ。
posted by 土田英生 at 03:45| 京都 ☁| MONO | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする