表紙に戻る
MONO代表・土田英生のブログです

2013年02月15日

皆様のおかげ。

 MONO「うぶな雲は空で迷う」……台本が途中で止まった。
 これからの展開で迷ってしまった。
 タイトル通りに私が迷ってしまった。
 私はうぶでもないし、雲でもないんだけど。

 で、今日は稽古を休ませてもらった。
 じっくり考える時間が欲しかったからだ。

 * * *
 
 劇団での公演では「本打ち」、つまり台本の打合せがない。
 外の仕事だと、まずはプロデューサーと打合せをする。
 そこで先方の要望や、私が書きたいことの擦り合わせをする。
 第一稿が書けたりすると、舞台なら演出家、映像ならディレクターを含めて打合せをしたりする。
 「ここがだれる」とか「この台詞は不自然だ」とか、色んな意見をいただく。
 時には「そもそもこういうことじゃないんですよ」などと、全否定されることもある。
 だから、多くの脚本家や劇作家はこの「本打ち」があまり好きではない。

 しかしだ。
 この「本打ち」は、ある意味では書き手にとってもとても大事だったりする。
 自分がなにをしたいのかが分かるからだ。

 多くの脚本家は……自分が何を書いているのか「本当のところ」は自分でも分からないのだ。

 作品を見た多くの人からは「これをどういうつもりで書いたんですか?」などと聞かれたりするが、これはきっと、「脚本家は思い通りに書いている」と考えるからだと思う。
 
 もちろん書く前に準備をする。
 モチーフを探して、プロットを練って、つまり、展開を見越してから書き始める。ラストはこう着地しようとか、そういうことも決めて書き始める。

 たとえば……。

 新しい商品を開発している会社員たちを作品にしようと思ったとする。
 この商品を間抜けなものにしてみたりすると、何かのメタファーになるかも知れない。
 まあ、今、即興なので何も思いつかないが、仮に面白いアイデアだったとする。
 場所を決める。会議室とか。
 登場人物を配置する。頑固な部長。やたら喋る新入社員……。
 そしてストーリーを考える。最初は頑固で首を縦に振らなかった部長が、途中であんなことやこんなことがあり、自分の過去のトラウマをさらけ出し、そして最後にはオッケーを出すとか、なんとか。

 全然面白そうじゃないな。
 ま、いい。
 全てできたとしよう。

 しかしだ。
 登場人物は……こっちの思い通りに動いてくれないのだ。

 部長の頑固さを面白くしようと、色々と工夫をしたりしていると、部長がとんでもなく頑固になってしまったりする。そうすると、予定ではここで部長が一旦オッケーを出しかけるシーンにするはずだったのに、部長がオッケーできなかったりする。無理矢理ストーリーを優先すれば、いわゆる「不自然で」「面白くない」作品になってしまう。かといって、部長のキャラクターと流れを大事に進めれば、いつまで経っても話は進まない。
 そこには、別の事件が必要だったり、抽象的なイメージが必要だったり、とにかく何か「別の手」が必要になる。
 
 時には「ああ、この人をそろそろ出さないと」と、役者さんの出番を考えてしまったり、衣装の着替えの都合で出てきて欲しい登場人物を出せなかったり……そんな現実的な事情もある。
 
 そんなことを全て考えながら書いていると、段々と最初に考えていた話とは違っていく。
 
 で、途中で何度も整理しようとするのだが、もう自分には分からない。
 これは一体、どうなっているのか?
 果たしてこのままうまく着地できるのか……。
 あああああ。

 そんな時に人と話すと分かったりする。
 「本打ち」では知らない間にそれをやっているのだ。

 「このシーンはいらない」と意見が出る。
 「確かに必要ない」と分かることもあるし、逆にこのシーンが重要なんだと分かることもある
  更に、それはなぜか理由を話しているうちに、自分が現在、どう考えているのかが見えてきたりする。

 * * *

 ……前置きが非常に長くなってしまった。
 構成が悪いね。
 まあ、これは考えずに書いているので仕方ないんだけど。

 劇団では「本打ち」がないので一人で悩むことになる。
 もちろん、稽古場で役者やスタッフと話しながらも探るが、彼らも一緒に作品の中にいるので、私と共に客観性を失っていたりする。

 昨日、ツイッターで「考える時には『的』が欲しい」と書いた。
 的とはこうした話し相手のことだ。

 朝……横山拓也君からの「的に立候補します」という、涙が出そうな返信を発見した。
 そんな……そんな……後輩に迷惑をかけるわけにはいかない。
 早速電話をして……「的」になってもらった。

 いやあ、助かった。
 自分がどこにいるのか、それがはっきり分かった。
 感謝しています。

 感謝の気持ちを表す為に、横山君の舞台の宣伝をしよう。
 彼の代表作の一つ「エダニク」が東京と京都で上演されます。
 詳しくはコチラで→

 
 
 
 
posted by 土田英生 at 05:53| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする