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MONO代表・土田英生のブログです

2014年01月25日

水下きよしさん。

 楽しいことを書こうと、途中まで書いていたのだが……。

 信じられない訃報。

 花組芝居の水下きよしさんがお亡くなりになったという。
 そういう情報があったという連絡があり、私もネットで調べていたのだが……どうやら本当らしい。
 花組芝居のサイトでも報告されている。

 知らなかった、知らなかった、知らなかった。
 今、知ったばかりなので、感情の処理ができていない。
 身体から力だけが抜けてしまう。
 じっとしていることも出来ず、こんな文章を書いている。

 水下さんとは不思議なつながりだった。
 じっくり話した記憶もない。
 お互い、個人的なことは、ほとんど知らない。
 直接、同じ現場で仕事をさせてもらったこともない。
 下北沢で偶然会った時、立ち話したりするくらいだった。

 しかし、それとは全然違うところで、私には水下さんとの付き合いがあった。
 
 花組芝居の番外公演、ハナオフを立ち上げ、その第一弾として、私の作品である『その鉄塔に男たちはいるという』を上演。水下さんが演出。
 それ以降も『相対的浮世絵』『三日月に揺られて笑う』と、私の作品を取り上げてくれた。
 解釈の違いから、メールで議論をしたこともあった。

 とどめは去年だ。
 水下さんはMONO-Zukiというユニットをつくって『うぶな雲は空で迷う』を上演。
 MONO-Zukiのチラシ裏の文章。
 そのまま書き写す。

 私は京都を拠点にした劇団 MONO〈土田英生さん主宰・作・演出・出演〉がダイスキです!
 他にはない空間・役者たちに魅了されています。その魅力に近づきたくて・知りたくて、今まで土田作品には3本トライ(演出)しました。
 やってみるとまた興しろい。こんなにスキならいっそのこと土田作品を上演する時には特別な冠を付けちゃいたい!と、MONO-Zukiを始動します。土田さんも公認してくださいました。
 MONO-Zuki第1弾は、今年3月に上演されたばかりのMONO最新作です。
 未来の話。潮風に当たると生きていけなくなってしまった人類。
 弱小窃盗団が合体し新たな仕事に向かう。しかし、人が集まればそこには些細な不協和音が…。
 ユーモアとたわいない会話で繰り広げられる愛しい人間風景です。そう、人間模様じゃなくて、人間風景。ぜひ、ご賞味下さい。  水下きよし

 
 もう、私はどうしたらいいんだろう。

 今年の4月にハイリンドが久しぶりに私の戯曲を上演してくれることになっていて、その『きゅうりの花』の演出も水下さんだった。
 
 ああ、どうしようもない感情。
 悲しいのか? 辛いのか?
 なんだ、これは。
 泣けてくるわけでもないし。
 突然のことで喪失感だけにさいなまれている。

 やらなければいけないことが山積みなのに、なにもやる気がしない。
 水下さんは必ずMONOの公演には来てくださった。元気だったらきっと今回も観に来てくれたはずだ。
 「だから頑張ろう」みたいなキレイごとで自分をごまかそうと思ったが、ダメだね。
 訃報に接したばかりで、物語にしてしまえる時間もないし、まとめてしまうのは失礼な気がする。
 混乱した感情のままいることしか、私にはできない。
 この文章もアップするかどうか迷ったけど、水下さんについてなにも書かないのもイヤだ。
 
 感謝している。
 水下さんの存在に。

 私は表向きは元気満々にしているが、内心では自分の能力に対する劣等感に苛まれることが多い。「お前には才能がない」という言葉ばかりが毎日頭の中に響いている。
 だから、私の作品を次々と取り上げてくれた水下さんには何度も救われた。
 なんのまとめもできないけど、その感謝だけは忘れない。

 水下さん、ありがとうございます。
 本当にありがとうございます。

 いや、そんなことでもない。
 なんなんだ。
posted by 土田英生 at 02:43| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする