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MONO代表・土田英生のブログです

2014年02月25日

夢のつづき

 名古屋にきた。
 舞台セットが組み上がった夕方に劇場に立ち寄って、チェックをさせてもらった。

 公演会場のテレピアホールは天井が高い。
 東京で公演していた駅前劇場は天井が低い。
 だから名古屋では高い天井の劇場の中に、低い天井の舞台をつくることになる。
 もちろん、これは最初から分かっていたことだし、今回の舞台の演出意図でもあるので問題はない。
 しかし、どう見えるかは重要なので、ああだこうだとアイデアを出し合う。
 おかげで大丈夫になった。

 ホテルにチェックイン。
 場所は栄。
 名古屋で一番の繁華街。

 私が生まれたのは大府市という場所だが、父も母も名古屋出身だったので買い物といえば松坂屋だった。
 だから幼い頃は「デパート」「ヒャッカテン」「マツザカヤ」はどれも同じ意味だと思っていたくらいだ。
 中学生くらいになると友達とグループで栄に遊びにきた。
 高校生になると仲のいい友達や、そしてデートでやってきた。

 さっきも歩いていると、そこかしこに思い出の場所がある。
 不思議な気持ちがする。
 いつの間に私は大人になったんだろ?
 景色を眺めている私自身は何も変わっていない気がする。
 
 神吉拓郎さんの「夢のつづき」という短編集の中にこんな話があった。
 読んだのは随分前で、タイトルも忘れてしまった。
 内容も記憶の中で改変されているかも知れない。

 老人がじっと映画を観ている。
 妻と娘……だったと思うが、その男を見ながら、男に対する愚痴を喋っている。
 「なにを考えてるんだか」「最近、いつもああなのよ」と、男の悪口を言っている。
 しかし、男の心の中は違う。
 その映画は青春時代に男が好きだった映画で、その画面を見ながら青春時代の残像を思い出しているのだ。
 男の目からは涙が流れている。

 私も高校生の時は、大人になれば全てが解決すると思っていた。
 成人した頃、なにも変わっていなかった。
 もっと大人になれば分別がつくんだと思っていた。
 そして、そして……そして……。

 私は今、なお、毎日揺れ動き、幼い頃と同じようなことで悩む。

 いつになったら大人になれるのか?
 いや、楽になれるのだろう?
 きっと来ない。
 そんな時は来ないのだ。まあ、だから生きることは楽しくもあるんだと思うけど。

 今回の「のぞき穴、哀愁」にはそんなモチーフも含まれている。
 皆さん、テレピアホールで待っています。当日券もあるそうですので、栄をぶらつくついでにきてください。

 MONO「のぞき穴、哀愁」サイト → 
 
 
posted by 土田英生 at 19:22| 愛知 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする