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MONO代表・土田英生のブログです

2014年03月31日

適当に歩く。

 「寝ると嫌なことを忘れられます」という人がいる。
 私は絶対に無理だ。
 落ち込んで眠った時なども、起きた瞬間にため息をつくタイプだ。
 寝る前に考えていたことが、即座に頭に浮かぶ。

 で……今日は特に……最悪だった。
 
 グロテスクな古代生物がウジャウジャいる場所に私は立っていた。
 生物たちは動かなかったが、私に悪意を抱いていることが感じられた。
「お願いだから。お願いだから」と、私は謝っていた。
 しかし……目の前にいた、ゼリー状の気持ち悪い生き物が私に飛びかかって来た。
『うわあ』と奇声を上げて私は起きた。
 
 ……しばらくベッドの上でじっとしていた。
 夢だ。夢だったのだ。
 ああ、怖かった。

 昼に芝居を観ることになっていた。
 これではいけない。
 気分を変えようと思った。
 劇場は下北沢ではなかったが……そんなに遠くない。
 散歩ついでに歩いて行くことにした。
 これはいい。
 好きな音楽でも聴いて、途中で美味しいパンでも買って、ぶらぶら歩こう。
 この思いつきは私の気分を上向かせた。

 しかし……雨、そして強風。
 さらにはパンだけ律儀に買ってしまい、野菜ジュースも手に持っていたので、もうなにがなんだか分からない。
 思い描いていたイメージと違う。
 パンをかじれば、傘が強風に振り回される。
 慌てて体勢を整えようとしたら、はずみでパックの野菜ジュースを強く握りしめたようで、ストローから野菜ジュースが出る。
 しかも道が分からない。
 iPhoneで調べようと思ったが手が足りない。
 なんとか調べようとしたら、再び傘に振り回される。
 もう少しでメリーポピンズのように空を舞うのではないかと思った。
 
 もうヤケになって歩いた。
 適当にこっちだろうと思う方向に歩き続けた。まるで修行だ。

 ……ちゃんと着いた。

 私は適当に歩くことが多い。
 でも、なんとか目的地に到着する。
 時には失敗して遠回りをするし、一度など、東京なのに崖を登ったりする羽目にも陥ったが、それでも嫌いではない。
 
 芝居を観てから、ちょっとだけ仕事に戻り、夜は約束していた人に会った。

 これから劇団を始めようとしている若い人の相談に乗る。
 色々話したが、結局は、やりたいようにやったらということを喋っていた気がする。
 私もそうだったし、これからだってきっとそうだし。

 最初に心に決めた目標を抱き続けていれば、人は知らない間にそっちに向かう。
 途中で焦って頭で考え過ぎると人は迷う。
 「夢はいつかかなう」というような感傷は信じていないが、『こんな芝居がしたい』とか『あの人と芝居を創る』と決めたらそれだけ考え、適当に歩けばいいのだ。
 最初のイメージを忘れないように、時々思い出しながら。

 そうだ。

 強風に煽られることもあるだろうが、きっと、辿り着く。

 劇場からの帰りもそうだった。
 すでに雨も止んでいたし、帰りは傘もたたんで、音楽を聴きながら帰った。
 それでも地図を見ず、しかも行きとは違う道を通ったけど、気がついた時には小さな踏み切りに出た。

 遠くに下北沢の駅が見えた。

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posted by 土田英生 at 01:59| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする