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MONO代表・土田英生のブログです

2014年04月07日

ハイリンド『きゅうりの花』を観て。

 (少し書き直した。酔って帰って来て書いたのだが、朝に読み返したらあまりに文章が雑だったからだ)

 ハイリンドの『きゅうりの花』を観て来た。

 ……不思議な感じだった。
 自分で演出するのとは解釈も違うので、その差異に対する新鮮さもあったのだが、なにより随分と前に書いた作品なので、「ああ、そう言えば、この頃はこんなことに凝ってたなあ」などと思い出したりした。
 役者さんたちが自然体でいい。演出の扇田さんはやっぱりそこがうまいんだなと思った。
 ただ、笑いの取り方などは、私とは違うなあという印象だった。私はもっと欲深くやってしまう。

 少し用事があったのですぐに劇場を後にしたが、しばらくしてから飲み会に顔を出させてもらった。
 ……楽しかった。
 役者さん、スタッフ、そして観に来ていた方々。
 ほとんどが初対面で、しかも大人数だった。皆さん、気さくだったのですぐに打ち解けたけど。

 そこにいらっしゃった数名の人たちから『昔、「橋を渡ったら泣け」をやりました』とか、『僕は「燕のいる駅」をやりました』などと言ってもらい、嬉しかった。
 自分の書いた台詞を練習してくれた人だと思うと、一気に親近感が湧く。
 それだけで安心する。

 あ、昨日、書かせてもらったが、自作の上演に関しては、世界名作劇場の『─初恋』、それから赤坂RED THEATERの『約三十の嘘』も観たことを思い出した。今回のハイリンドに出演している山口さんもその公演に出演していたのだ。もしかしたら他にもあるかも知れない。

 昔書いた作品が上演される。
 これは本当に嬉しい。
 脚本はやはり上演されてのものだ。
 もちろん読み物としての、つまり戯曲の側面はあるが、上演されると生き返る気がする。
 
 ……しかし喜んでばかりはいられない。
 なんだか昔の作品ばかり上演してもらっている気がするからだ。
 やはり、私にとって大事なのは今、そしてこれからなにを書くかだ。
 考えないと。勉強しないと。進歩しないと。
 まだまだ、書きたいことはたくさんある。
 前より面白い台本を書きたい。その為にも日々是精進だ。
 
 私はすぐに後ろ向きになる。
 まあ、最近は随分ましになったけど。
 些細な一言などで、深く落ち込む。

 随分前にも書いたことがあるが、あるパーティーで初老の男性から話しかけられた。
 その方はいきなり私に言った。

「土田さん、私はあなたのファンなんです」

「ありがとうございます」と私は頭を下げた。
 すると、彼は続けてこう言った。

「で、どうしちゃったんですか?」

 意味が分からなかった。
 おじいさんは優しい笑顔で言葉を続けた。

「いやね、心配してたんですよ。ロンドンに留学されてからおかしくなっちゃったでしょう?」

 いまだに自覚はない。
 おかしくなった覚えもない。
 だけど、時折、心配になる。自分で気づいていないだけかも知れない。
 本当にダメになっているのだろうか?
 あの人の笑顔が浮かぶ。
 
 皆はどうなのか知らないが、私は面と向かって傷つくことを言われることが多い。
 もっと若い時。上演していた劇場の女性プロデューサーから呼び出された。
 そしてその人は深刻な顔で言った。

「土田君、書く才能は全くないんだから、役者に専念したら?」

 あの時も、私は何も言えなかった。
 しばらくして小さい声で「だけど……書きたいんです」とだけ答えた。
 すると彼女は間髪入れずに言った。

「趣味で書くなら、好きにすればいいけど」

 そういう言葉ほど、いつまでも残ってしまう。
 ……まあ、こんな愚痴を書きながらも、実はそういう体験は利用させてもらっている。
 もちろん、言われた時は落ち込むけど、しばらくすると猛烈に腹が立ってくるのだ。
 そういうコンプレックスをバネにして、私はやって来ている気すらする。
 意外と打たれ強いのかも知れない。
 
 明日は大事な打合せだ。
 精進する為にも、今からもう一度考えよう。
 
 あ、ハイリンド『きゅうりの花』は今日までです。みなさん、観てください。
posted by 土田英生 at 02:44| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする