表紙に戻る
MONO代表・土田英生のブログです

2014年06月28日

意味不明な理屈を思いついた挙げ句、アーモンドとジェルを持って歩く。

 昨日というか、今日というか、このページを更新して時計を見たら朝の6時半だった。
 さて寝ようと思ったが、どうせ夜には京都に戻るのだ。
 今日の打合せはない……と、思う。
 あるのは締切りだけだ。脚本の書き直しだが、原稿はほぼできている。
 後、三時間くらいやれば終わる。
 きっと提出は二日後くらい。

 大丈夫だ。

 このまま京都に移動して、自宅で寝ればいいということに気づいた。
 朝の新幹線に乗った。なぜか車内では眠れなかった。

 iPhoneで「アーモンドでダイエット」という記事を読んでしまった。
 最近、東京でも私はよくアーモンドを食べる。
 なるほど、そんなにいいのか。
 これからはアーモンドを私のお供に加えよう。もうあんパンとはさよならだ。
 これまでありがとう、あんパン。これからよろしくアーモンドだ。
 
 家に着いたのは10時半。
 徹夜だというのに眠くない。
 どうしよう。もちろん、仕事だ。原稿を仕上げるべきだ。

 しかし……ちょっとだけ、関係ないことをしたい。
 
 ……そう言えば、自作のペンケースが気に入らない。
 作り直したいなあと思っていた。

 まてまて、そんなことをしている時間はない。
 
 革のハギレを少しだけ見てみる。
 ペンケースをつくるくらいはある。
 型だけ書いてみよう。
 そう思って、革に線を引いた。
 線を引くと、順番からすれば切らなければいけない。
 ……気がついたら革を切っていた。
 切ったら縫わなければいけない。
 そして……縫い始めていた。

 ダメだ。このままでは作ってしまうではないか。
 寝よう。
 寝て、夜に仕事をしなければ。
 明日はワークショップだし、他にもやらなければいけないことは山積しているのだ。

 ベッドに入った。
 しかし眠れない。

 寝転びながら、髪も切りにいかないとなあと思った。
 京都の美容室……10年以上通っているが、半年くらい行けていないのだ。
 東京で済ましてしまっている。
 あ、そうか。歯医者にも行かないといけない。

 ベッドから飛び起きて電話をした。
 まずは美容室。
 と……知らない女性が電話に出た。
 普段ならSさんが出て、「あ、こんにちは」などと挨拶してくれるはずなのに。
 もしかしてやめちゃったのか?
 とにかく夕方に予約を入れる。
 次は歯医者だ……。
 と……その時、マネージャーから電話があった。
 
『京都に戻ってるんですね。で、原稿はどうですか?』

 私は張り切って答えた。

『ほぼ終わっています』
『だったら、それを送ってもらえますか?』
『今ですか?』
『ですねえ』

 そうか。
 そう来たか。
 これはまずい。
 まだ、三時間くらいはかかる気がする。
 美容室と歯医者に行きたいことなども伝え、夜まで待ってもらうことにした。

 よし。
 取り敢えず眠るのはやめてパソコンに向かった。
 仕事を先にやろう。
 しかし……乗らない。
 縫いかけのペンケースが気にかかる。チラチラと視界に入る。
 いや、絶対にダメだ。

 ……ああいう時の奇妙な理屈はなんなのか?

 まず、私は歯医者に行くのをやめることにした。
 で、歯医者に行くとしたら三時間はかかると計算し、だったらその三時間は仕事をしなくてもいいという、不思議な理屈に辿り着いた。

 で、ペンケースを縫い始めた。
 完成してしまった。

IMG_3711.jpg

 
 そして……美容室に行った。

 行ってみると、私の髪を切ってくれている店長のKさんも、派手な顔立ちのSさんもいて安心した。
 久しぶりにベラベラと喋った。
 相変わらずSさんのシャンプーは気持ちいい。
 本当にこの人は上手なのだ。変な意味ではなく、指の動きが妙に官能的なのだ。
 Kさんも、痩せた私に似合う髪型を一生懸命考えてくれた。
 カットが終わると、『ワックスじゃなくて、ジェルなんかで立てもらった方がいいですよ』などと、スタイリングをしながら事細かに教えてくれる。

 髪を切り終わって、さっぱりした。
 私は家まで歩くことにした。
 30分くらいはかかるが、いい運動だ。

 途中の薬局でさっそくジェルを買った。
 ……失敗した。
 レジで「袋はいりません」と言ってしまったのだ。
 私が今日、肩からかけていたカバンはとても小さい。
 財布、タバコケース、iPhone、キーホルダー、それだけでパンパンなのだ。
 店を出て、なんとか工夫をするが、どうしてもジェルが入らない。
 隙間を詰めたりして試してみるが、ジェルを無理矢理入れると、カバンがしまらない。

 仕方ないので片手にジェルを持って歩いた。
 まるでリレー選手だ。
 タスキの代わりにカバン。
 バトンの代わりにジェルだ。

 スーパーがあった。
 私はひらめいた。
 ここでアーモンドを買おう!
 これからの私のお供なのだ。よろしくアーモンドなのだ。

 並みの男なら、『ジェルですらカバンに入らないというのに、アーモンドまで買うのか? どうしてだ? お前はなんて向こう見ずなんだ?』と、情けない声で私に語りかけるだろう。
 ふふふ。そこが修羅場をくぐり抜けてきた、私との違いだ。
 私には考えがあるのだ。
 わざわざ……大きな袋にたっぷりとアーモンドが入ったものを買った。
 このアーモンドを入れる為には、そこそこなレジ袋が必要だろう。
 そうなのだ。
 それをもらい、ジェルもそこに収納すればいい。

 なのに……。
 レジの女性は非情な女だった。あんな冷たい女は……修羅場をぐぐった私でも初めてだ。
 私の計画も知らずに、笑顔で言ったのだ。

『シールでよろしいですか?』
 
 『もちろん、大丈夫です』と、思わず答えてしまったではないか。

 ……店を出て困った。
 こんな混乱は久しぶりだ。
 アーモンドの袋は……あああああ……私のカバンよりも大きいのだ。

 右手にジェル、左手にアーモンドの袋を持って私は歩いた。
 アーモンドが重いので、何度も持ち替えた。

 すれ違う高校生がチラリと見て行く。
 あのな、大人の男というものはな、こういうものなんだよ。
 昔、沢田研二さんの歌にこういう歌詞があったのをお前たちは知らないだろう。
 『片手にピストル、心に花束……』
 私の場合は『片手にジェル、もう片方の手にアーモンドの袋……』だ。
 
 桂川沿いは歩いていても気持ちいい。

IMG_3710.jpg

 
 アーモンドとジェルがなければもっと気持ちよく歩けたと思う。

 そんなこんなで、家に戻り、仕事をした。
 さっき原稿も送った。
 寝よう。

 明日は起きたらアーモンドを食べ、ジェルで髪を立て、ワークショップに向かおう。
posted by 土田英生 at 02:42| 京都 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする