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MONO代表・土田英生のブログです

2014年10月30日

声との戦い。

 急に冷えたからか、腰が痛い。
 いや、ずっと座り続けているせいだ。
 時々、立っては身体をうごかすのだが、それくらいでは効果がないようだ。
 しかも……毎週末、どこかに移動しては本番をやっている『姐さん女房の裏切り』。
 これが……かなりの角度で八百屋舞台になっているのだ。
 
 八百屋舞台というのは、舞台の後ろが高く、つまり斜めになっていることをいう。
 八百屋さんで野菜を売っている棚なんか、そうなってるもんね。だから八百屋舞台っていうんだと思うけど。

 とにかく、傾斜がきついので、芝居をしていると腰が痛くなる。
 明後日からは伊丹で公演だというのに。
 こんな腰で大丈夫なのか?

 あ、そうだ。関西の皆さん……『姐さん女房の裏切り』……ぜひ来てください。
 結構……面白いと思いますので。
 しっかり腰を動かしてからのぞみますので。

 あ、そうだ。
 31日も急遽トークをすることになった。
 土屋裕一君に来てもらうことになったのだ。
 私とあだ名がかぶり、ケータリングのコーヒーカップを間違う土屋君だ。
 豪快に笑う、そして根が繊細な土屋君だ。
 土田英生セレクション『燕のいる駅』では千葉さんの相手役だった土屋君だ。

 そんな彼が……ちょうど次の日から大阪で公演しているということを知り、思わずお願いしてしまった。そんなわがままも快諾してくれたナイスガイだ。
 
 →『姐さん女房の裏切り』サイト

 昨日はiaku『流れんな』のトークゲストに出してもらった。
 それにしても……横山君は最近、急に力をつけてきた感じがするね。
 個人的にも付き合いがあるので、色々と言ってしまったりするけど、確実に面白くなってる。
 東京公演は11月2日までやってるみたいです!→iakuサイト

 ……今日は相変わらず部屋にこもって脚本執筆。
 コーヒーを五回も淹れた。
 一回で3杯なので15杯も飲んだことになる。
 しかしコーヒーなしには書けない。
 そして伊丹に移動するまでにメドをつけなければいけないのだ。
 だったら飲むしかない。
 
 脚本に煮詰まると……パソコンから離れて、MONOの新作『ぶた草の庭』の構想を考えたりした。
 ノートに書き散らかしている段階だが、この時期が一番楽しい。
 やっぱりパソコンを打つより、ツバメノートに万年筆で書いている時が気分がいいね。

 ……しかしだ。

 最近はパーカーの『デュオフォールド』という万年筆を使っているのだが、やっぱり海外ブランドのものは細字でも太い。英語を書くにはいいけど、漢字には向かない気がする。
 プラチナの『プレジデント』には赤いインクを入れて使っているが、これがとても漢字が書きやすく、手にも馴染むのだ。
 やっぱり黒用にもう一本買おう。
 京都に戻れば万年筆はたくさんあるのだが、東京には持ってきていない。
 よし、買いに行こうか……と、思ったその時だった。

 「そんなものを買っている場合じゃないだろう」と、どこかから声がした。

 誰なんだ?
 その通りではないか。
 
 私は一回思うともうダメだ。
 それをするまで落ち着かない。
 だから買うしかないのだ。
 夕方、一旦、仕事を中断し、「休憩なんだから。必要なんだから」という謎の呪文を唱えながら渋谷に向かった。この呪文を唱えればさっきの声を振り払えると考えたのだ。
 ついでに「事務所からは15分もあれば着くんだから。伊東屋があるんだから。近いんだから」という長い呪文も唱えた。
 これで声の野郎も黙るはずだ。
 
 プラチナの『プレジデント』をもう一本買うつもりだったのだが、最近はとにかく出費が多い。
 無駄な買い物ではないのか。
 ……少し悩んだ。
 「だから買うなと言ってるだろう」という声がした。
 まずい。
 「買わずに帰って、さっさと仕事しろよ」と、声は続ける。
 声は強敵だ。
 どんどん私を責める。

 私は精神を統一してから、新しい呪文を唱えた。
 「半分くらいの値段で『センチュリー』という商品があるんだよ。それならいいだろう?」と、いう新しく考案した呪文を唱えてみた。
 声が消えた。
 ふふふふ。
 声の野郎も大したことない。

 『センチュリー』は書きやすいという評判も聞く。
 試し書きさせてもらった。
 ……いい。
 もう声も諦めたようだ。
 私は安心し、堂々と『これを下さい』と、店員さんに告げた。
 その時だ。
 私は財布を忘れたことに気づいた。
 ICカードで電車に乗れるようになってから、時々これをやってしまうのだ。財布を忘れても電車に乗れてしまうことが問題だ。
 「ほら、買うなっていうことだよ」
 うわ、声が再びおそってきた。
 私は目を閉じて集中すると、新しい呪文を唱えてみた。

「もう買ってしまったんだから。ここでやめたら本当に無駄足になるんだから」

 声は消えてくれなかったが、もういい。
 取り置きしてもらって、もう一度下北沢に戻った。
 事務所に戻って財布を取り、再び渋谷へ向かう。
 なにをしてるんだか。

 
IMG_4869.jpg


 手前がセンチュリーだ。
 書きやすいではないか。
 後ろにあるのは洗って乾かしているデュオフォールド。お前はしばらくお休みだ。
 
 しかし……。
 戻ってきてからは結局万年筆は使わなかった。
 再びドラマの脚本に戻ったので、パソコンを打つだけだった。
 
 「だから買うなって言ったのに」
 今も声がしている。
 しかも、この声が喋るのは万年筆のことだけではない。
 現在抱えている悩みや、私の人格に対する文句までブツブツ言ってきやがる。

 うるさいヤツだ、全く。
posted by 土田英生 at 05:31| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする