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MONO代表・土田英生のブログです

2016年10月20日

知り合うこと、出会うこと

 今、稽古をしている『解夏』は10人が出演する。→
 正確に書けば出演するのは毎回2人。相手が入れ替わったりして、全部で9組。
 これを同じテキストと演出で朗読劇にしている。
 もう私の頭はパニック状態だ。あの組はこうだった、この組はああだったと、覚えておかなければいけないからだ。
 
 しかも初めて仕事を一緒にする人がほとんどなのだ。
 朴璐美さんは演劇集団円に私が書き下ろした『胸の谷間に蟻』に出演してくれていて、個人的にも親しくさせてもらっているし、内田朝陽君はホリプロで私の『少しはみ出て殴られた』を上演してくれていた時に出演していたので会ってはいる。
 けれど、それ以外は全員が初めましてだったのだ。

 全員の稽古が一通り済んで少しだけホッとしている。
 全員人柄がよかったからだ。
 稽古の合間も話が弾むし、「創る芝居は地味なくせに、ダメ出しだけが騒がしい」という私の演出も素直に受け入れてくれる。

 いつもそうだけど、初めてやる時は怖いのだ。
 どんな人だろうかと不安になる。
 皆、普通に仕事をしているわけだから、そんな変わった人はいないと思っているのに、それでも怖い。
 今回は出会えたなあと思える役者さんがたくさんいて嬉しい。
 ま、それは先にならないとわからないんだけどね。

 知り合うことと、出会うことは微妙に違う。
 この前、広島で試演会をした『はてにひとはな』を観ていて、そんなこと考えていた。
 ラストで13人の女性が並んで座るシーンがある。

hateni.jpg


 このシーンを観ながら、私は一人一人の顔を眺めた。
 半年間、広島に通いながらワークショップをしたメンバーなので、もちろん、それぞれに愛着は湧いている。
 
 けれど、観ながら私はなんだか切なくなった。
 まあ、そういうシーンだったということもあるけど。

 ……これまでこうして何百人と知り合ってきた事実を思い出したのだ。
 稽古場で、ワークショップの現場で、他の仕事場で……知り合い、仲良くなり、その時は一緒に笑いあったりしている。連絡先を交換し、ご飯を食べに行ったりする。別れの寂しさも手伝って、「またこのメンバーでやろうね」などと盛り上がる。そこに嘘などない。
 しかし、終わってしばらくするとだんだん疎遠になり、やがてお互いの生活の中から消えて思い出になっていってしまうのだ。

 これまでに通り過ぎて行った役者さんたちを思って、妙に切ない気持ちになった。

 今月だけでも多くの人と知り合った。
 群馬の伊勢崎でワークショップをやった時にも面白い役者さんがたくさんいた。
 中には私が昔出した同人誌や、MONOのVHSのビデオなどを持ってきて見せてくれた人もいた。
 坂出の戯曲講座でも参加者はもちろん、スタッフも含めて仲良くなった。
 そして、もちろん広島でも。
 打ち上げでもらった皆からの寄せ書きを読みながら、一人一人のことを思う。

 改めて、長く一緒に活動している人たちのことを考えた。
 最初は皆ともこうして知り合ったはずだ。
 そんな中から、お互いの視界から消えずに残り続ける人たちが出てくる。
 MONOのメンバーもそうだけど、これはどういうことなんだろうね。

 秋だからこんなことを書いているのか?
 いや、今、考えている新作が「別れ」を題材にしたものだからかも知れないね。

 明日も「解夏」の稽古。
 今はほんの少し先のことだけ考えて頑張ろう。
 
posted by 土田英生 at 23:51| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする