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MONO代表・土田英生のブログです

2007年08月30日

ロンドン塔

 書いていたドラマの脚本も一段落し、明後日から二週間ロンドンへ行く。

 帰って来たらきっと忙しくなる。すぐに福岡へ「遠州の葬儀屋」を観に行く。脚本の直しも出て来るだろうし、新たな書き物もある。金沢で戯曲講座と俳優ワークショップもある。
 ロンドンで憩うしかない。
 ただ前半の1週間は家族と一緒なので私は観光ガイドだ。きっと3回目のセントポール大聖堂へ行き、4回目のウエストミンスター寺院を見学し、5回目のロンドン塔だ。
 
 ロンドンへ留学をしてた一年間、20人以上の知り合いが日本からやって来た。
 当然のことながら皆を案内することになる。
 最初は嬉しかった。私も新鮮な気持ちではしゃぎながら観光地を巡った。
 行きたいという場所は決まっているのでコースも似て来る。皆の持って来る様々な情報などを仕入れ、私は優秀なガイド役になって行った。しかし同時にうんざりし始めた。
 同じ場所に何度も行く羽目になったからだ。
 ……一番はロンドン塔だ。
 そのことで今になってとても申し訳なく思っていることがある。

 連続でインターバル短く知り合いがやって来た。
 仕方なく私は三回連続でロンドン塔へ行った。しまいにはロンドン塔内の食堂のメニューすら覚えた。
 中2日で訪ねればさすがにうんざりする。
 さて、皆は順番に帰って行き……その次の週だ。
 ある女友達がロンドンへやって来た。
 コベントガーデンで待ち合わせた。 
「ああ、久しぶり!」
 最初は抱き合わんばかりの再会シーンだ。
 私は言った。「どこ行きたいですか? どこでもいいですよ」
 彼女は声を弾ませて答える。「ロンドン塔ですかね」
 ……。
 私は無言になってしまった。
 まずいとは思った。彼女には何の責任もない。 
「え? ロンドン塔……何かまずいんですか?」
 彼女は無邪気に聞いて来る。
 私は努めて冷静に答えようとした……が……
「まずくないですよ、別に。だって行きたいんでしょ? ロンドン塔。だったら行きましょうよ、ほら、今すぐ行きましょうよ! 行きましょうよ!」
 私の口からは予想外の激しい言葉が溢れた。彼女は驚いていた。
 結局4回目のロンドン塔へ行った。私かなりテンションが低かった。彼女には悪いことをした。
   
 明日からは壁の花団「悪霊」の公演が始まる。私は12月に東京で観させてもらうが、旅行の予定がない方は是非アトリエ劇研へ!
posted by 土田英生 at 04:09| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする