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MONO代表・土田英生のブログです

2009年01月10日

写真がなかったら……。

 昨日、記憶の曖昧さについて書いた。
 
 この前、ロンドンへ行った時に一番なじみが深い地下鉄の駅、Shepherds Bushで降りてショックを受けた。駅の建物がもの凄く近代的なものになってしまっていたからだ。
 工事をやっていたのは知っていたし、前回来た時には前の駅舎は壊されてすでに更地になっていたので驚きはなかったが、家に戻って来て昔の写真を見ながら『ああ、前の駅の方が好きだったなあ』と思う。

 私はこれからも何度もロンドンへは行くだろう。
 シェパーズブッシュには友人も住んでいるので、何度もこの駅を使うと思う。
 そして新しい景色に慣れて行く。
 慣れた頃には……前にあった景色の記憶はどんどん曖昧になって行くだろう。写真がなかったら……前の駅がどうだったのか、きっと思い出せなくなるに違いない。

Shepherd's Bush Sta01.jpg
前のシェパーズブッシュ駅

P1010207.jpg 
そして今 
posted by 土田英生 at 01:27| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月16日

とりあえず。ちょっと時間潰し。

 今回は直行便ではないので、トランジットの為に空港にいる。
 で、空港内はワイヤレスでネットがつながるのでこれを書いている。まあ、いい時間潰しにもなるし。
 ロンドンのホテルではホテル全体のネットシステムがダウンしてしまったようで、結局つながらなかったからだ。
 
 完全にリックスして帰って来た……と思う。
 これで仕事も頑張れそうだ。

 何度も書いていることだが、『ロンドンにさえ行けば……』という思い込みがあり、その効果は結構大きいのだ。その証拠にヒースロー空港に到着した途端に身体から力が抜けているような感覚があった。
 
 買い物をしていても、街をブラブラしていても、友達とパブでビールを飲んでいても、アンティークマーケットを巡っていても『ああああ幸せだ』という気分になる。

 まあ、もちろんトラブルはたくさんあったが……それでもやっぱり行って良かった。

 とは言ってもまだ、今から飛行機に乗らないといけないんだけど。


 
posted by 土田英生 at 18:16| ロンドン ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月13日

秋は夜長だが、私には朝が長い。

 こんな時間にすっかり目が覚めてすっきりしてしまっている。
 まだ朝の5時前。
 さすがに外に出るわけにもいかない。
 困った。

 長い、朝が長い。

 だからきっと文章も長くなる。
 
 いつもロンドンへ来ると友達との予定でいっぱいになってしまい、ただ順番に皆に会って終ってしまうということが結構ある。しかし今回はなるべく1人でリラックスすると決めて来た。

 だから昨日は誰とも会わないことにして、朝から1人で久しぶりに街中をブラブラした。……予想外に楽しかった。買い物をしたり美術館を巡ったりと、まるで初めて来た時のように浮かれた。どういう訳だか1人でいると色んなことを思い出すもんだ……。

 靴を買った。
 そして履いてきた靴は捨てた。
 最初から捨てるつもりで日本では全く使ってない物を履いて来たのだ。
theshoes.jpg
 留学した時にこっちで買い1年間大活躍した靴だ。ボロボロなのにちょっとだけ捨てづらかった。だから……ロンドンで捨てるのが似合っている。

 ニューボンドストリート。パディントンと違って綴りで困らないNew Bond Street。この周辺にはとにかく店がたくさんある。で、なぜかここにはチャーチルとルーズベルトが談笑している像があるので、浮かれていた私はその談笑にちょっと参加してみたりもした。
P1010063.JPG


  ピカデリーサーカス周辺を歩いていた。パディントンのように綴りで困るピカデリー。Paddingtonは《しつこいd》と《いらない気がするg》で困るが、Piccadillyは《cとlが両方しつこい》ので嫌だ。私は間違えて《控えめなd》を2つ書いてしまったりすることもある。

 で、そのピガデリーサーカスの周辺でふとあるカフェが目に入った。
『あ、ここだ!』と思った。
 留学中に悩まされた『ニック』に声をかけられた店だ。そしてまさにこのテーブルだ。簡単にいえば私はここでニックにナンパされて、それから留学中ずっと電話やメールに悩まされたのだ。
piccadilly.jpg
 とにかくそのテーブルを見つけて感慨深かった。写真を撮った。おじさんが座っている場所がそのテーブルだ。

 事情が知りたい方は以下の文章を。

 ……2003年の冬。

 私がここでお茶を飲んでいると、隣に人の良さそうな白人のおじさんが来て「座っていいか?」と聞いていた。店内は禁煙だったのでタバコを吸いに出て来たのかと思ったのだ。

『どこから来たの?』『日本です』『私は京都が好きなんだよ』『え? 僕京都に住んでるんですよ』

 こんな感じで会話は始まった。
 しかし人はいつまでも喋っている。

『え? 店内に戻らなくていいんですか?』
『いや、私はひとりだから』

 と……コーヒーが運ばれて来る。
 え? このおじさんはここでお茶を飲むのか? 私と同じテーブルで?

 おじさんは質問を続けて来る。

『なんでここに来てるの? 誰と来てるの?』
『1人で演劇の勉強に』

 と、彼の目が輝いた。

「じゃあ、寂しいだろう? 俺も独身なんだ。色々あったが機会を逃してね。でも一人の生活は楽しいよ。ベイカーストリートに3ベッドルームのフラットを持っていてそこで暮らしてるんだよ』

 私は黙って聞いていた。
 すると彼は申し訳なさそうな表情で言った。

『あ、……せっかくお茶を1人で楽しんでたのに邪魔しちゃって悪いね」

 何だか背中が寂しそうだ。私は明るく言った。

『いえいえ、英語を何とかマスターしたいと思って勉強中ですから、いい機会ですよ』

 ニックの表情が輝く。

『そうか。ロンドン生まれのロンドン育ちだから俺と喋ればイギリス英語はマスター出来るよ』

 私は笑ってありがとうと言った。
 彼は笑顔のまま続けた。

『だから君がいい時には言ってくれればいつだって会える』

 一瞬、んん? と、思ったが私はこれを冗談だと解釈した。

『じゃあ、毎日無料でレッスンしてもらいますよ。ハハハ』
『来週の予定は?』
 
 ……彼は真顔で聞いて来た。

 ……ここで私は困った。
 どういうことだ。冗談ではないのか?

『え? どういうことですか?』
『今日でもいいよ。とっておきのパブに連れていってあげるよ』
『いやいや、これから人に会うので』

 鈍い私は、ここで初めてナンパされているのではないかと疑った。

『誰に会うの?』
『女性です! 彼女に夢中なんです! 女好きで困ります』

 “女好き”を必死で強調する。
 しかし彼は全く表情を変えず、
「男はみなそうだよ」と笑うのでちょっと安心した。
 なんだ、やっぱり違うのかも知れない。

『で、来週の予定は?』

 ……しかししつこい。

『月曜はダメで……木曜も、金曜も……』

 人間咄嗟には嘘がつけない。しかも英語なのだ。

『じゃあ、今週の水曜だね。ベイカーストリートのブーツで待ち合わせよう』
『……』
『まずはパブへ行って、その後は私の家に来るといい。おいしいスープを作ってあげるよ。部屋はたくさんあるから、泊まってもいいし……君の好きにすればいい」

 ……この辺りでもう私の英語が出て来なくなった。
 彼は紙に自分の住所と電話番号を書いて渡して来る。
 まずいことに私のテーブルには私の携帯が置かれたままになっていた。携帯の番号を聞かれて、持ってないとは言えない。更に表面上はあくまでも優しい紳士で、親切に私に喋っているだけなのだ。私も最初はずっと愛想よく喋っていた手前、その流れが切れない。上手く断れない。
 ……結局携帯の番号を教えてしまった。そしてどうやら本当に水曜日に会うことになっている。

『……君の趣味は?』彼が聞く。
 力を込めて私は怒鳴った。

「女です!!』

 隣の人が振り返ったがこの際いい。
 しかし彼はその言葉には反応しない。

『……一人は楽しいんだけど、時々寂しくてな』

 ニックは呟くように言う。
 私は少し反省した。
 いやいやいや、本当に寂しく優しい紳士なのかも知れない。
 ちょっとほろっと来たりもする。
 
 しかし……約束をさせられた私は胃の辺りに重いものを感じながら別れた。
 
 知り合いに相談した。
『ただの寂しいおじさんですよね?』
 願いも込めて質問をしてみる。
『いや、それは……ゲイのナンパね』
 あっさり予想通りの答えが帰って来てしまった。
『僕の方が喧嘩は絶対に強いと思うんですけど……だから誘われても……』
『薬でも入れられたりしたら終わりだしねえ』
 彼女は私の希望を打ち砕いた。

 次の日。ニックに電話をした。

 電話もやめた方がいいと皆には言われたが、どうしてもそれは気持ち悪かった。
 例えば百分の一の可能性でその人が本当に寂しいただのおじさんで、私との約束を純粋に楽しみにしていた場合……彼は水曜日に待ちぼうけを食わされることになるのだ。

 『おお、ヒデオか』嬉しそうな声がする。偏見を持ってしまったせいか、艶っぽい声に聞こえてしまう。
 私は必死で嘘をついた。

『あの、ちょっと……演劇のことで、急にエジンバラに行くことに……」
『は? いつから?』
『明日から』
 ……バレバレの嘘だ。
『いつまでエジンバラに?』ニックは聞く。
『長く、長く……あの……来月まで……』
 
 こうして一旦は落ち着いた。
 しかし一ヶ月後
『もう帰って来てるよね?』というメールが来た。
 それを皮切りに頻繁にテキストメールや電話がかかって来た。

 最後はかなりしつこかったが私もはっきりと断った。

 しかしアレには随分と悩まされた。
 
posted by 土田英生 at 15:21| ロンドン ☀| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月12日

ロンドンでMacと別れ話

 珍しく何の問題もなくスムーズにロンドンに到着。

 空港で荷物を詰め替える時にパソコンを思い切り床に叩きつけるように落としてしまった。ババーンと大きな音が響く。

 やや慌てたがそんなことは何でもない。
 結構しっかりしたケースにも入れているし、これくらいの衝撃で私のMacは壊れない。そんなことでダメになるヤツじゃない。ちゃんと私のそういう性格くらい知ってくれているヤツなのだ。私とこいつの蜜月はそんなに簡単に駄目にはならない。
 
 そしてホテルにチェックインした。写真のホテルだ。
 パディントンの駅からも近い。パディントンベアのパディントンだ。最初は必ず英語で綴りを間違えてしまうパディントンだ。Paddington。
 P1010019.JPG
 
 で、部屋に入ってMacを机に置く。

 ……起動出来ない。
 何度やっても起動しない。
 見たことのないマークが出るだけで全く動いてくれない。

 ああああ、落としたからだ。
『あんなことくらいでダメになる俺たちじゃないだろう?』
 と、別れ話だったら言ってみたい気分だった。

 私は落ち着けと自分に言い聞かせた。
 で、タバコを吸いたかったが、部屋を禁煙の部屋にしているので外まで行かなければならない。更に私の部屋は入口からとても遠い。避難経路の地図を見てもちょっとだけ迷う。で、パソコンを中途半端な状態にして、更には少し迷って、外でタバコを吸った。……寒い。とても寒い。

 で、部屋に戻って来たが……やはりMacはダメだ。

 パソコンのバッテリーなどを一旦外して、元に戻す。しかしこんなことやってもダメに決まっている。これまでに見たことのないくらいの無反応ぶりなのだ。

 時々『おいおいおどかすなよ』と言いたくなるくらいの反抗は示す私のMacだが、ここまで無反応なのは初めてだ。
『え? 本当にもう俺たちダメなの?』と言いたくなるくらいの態度なのだ。

 もう諦めた。
 諦めたのだ。
 ロンドンで君は俺と別れると言うんだね?
 だったら仕方ない。
 俺はしつこくないからね。
 
 しかし……万が一と思い、もう一度だけ起動してみる。
 しかも『お願い』と大きな声で言ったりした。
 
 ……動いた。

 私は本当に呟いた。
『もう、おどかすなよ』と。

 さて、今はまだ夜の8時前。

 パソコンも動いたことだし、今から近くのパブにでも行って来よう。
posted by 土田英生 at 04:58| ロンドン ☀| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月11日

ああ、こんな時間……

 さすがになかなかこの頁も更新できなかった。
 最近は毎日書いていたのに。
 とにかく終らせるべきことを必死でやり、やっと今、落ち着いた。

 これを書いている今が深夜の2時前。
 朝の5時には家を出なければいけない。
 眠れない。
 しかし、まあそれも許せる。
 そう……フフフフフ、ロンドンに行くからだ。

 私の部屋にはロンドンと書かれた小さな箱がある。ロンドンへ行く時にはその箱をそのままスーツケースに入れれば済む。前に財布のことは書いたが→、それ以外にも向こうで使う携帯電話や、コンセントの変換プラグ、変圧器、それにOyster cardも入っているのだ。
 
 このOyster cardはSuicaやIcocaのようなものだ。
 私は同じものを留学中からずっと使っているがこれが中々すぐれものなのだ。

P1010009.JPG

 横にはフォトカードというものが入っているが、現在はこんなものはいらないらしい。私が申し込んだ時には必要だったのでそのまま入っているだけだ。更にはびっくりしたような表情の私が写っているが、これは向こうで証明写真を撮った時、英語の説明に戸惑っていてパシャっとなった時に実際にびっくりしたからだ。写真は正直だ。

 
 ロンドンでは片道と往復では全然値段が違ったりするので、何度も乗る場合は普通にチケットを買っていたらバカを見る。そして……このOyster cardは勝手に安いものを選んでくれたりするだ。電車は全く時間通りに来ないロンドンなのに……こんなことが出来るんだね……とちょっと驚いた記憶がある。

 私は普段は一週間くらいの滞在なので7日間のトラベルカードをこのカードにチャージして使っている。ゾーン内ならバスも電車も地下鉄も全て乗り放題なのでとても便利だ。

 ということで、ちょっとだけ寝よう。
 ロンドンからも出来れば更新するつもりだ。 
posted by 土田英生 at 02:00| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月29日

円高のもの凄くもの凄く小さな影響

 世界的な経済の不安定で大変なことになっている……円高で日本の輸出産業も打撃を受けている。
 ……そんな中小さな話題で申し訳ない。
 
 私には使用している財布が3つある。

 私は代々、キャサリン・ハムネットの財布を使っている。で、古くなると買い替えて行くのだが、この3つは現在も違った用途で使用されているのだ。
 
saifu.jpg

・普段使っているもの。(左)
 これが一番新しく、これを私は単に“財布”と呼んでいる。

・そして海外へ行く時に、向こうのお金を入れて行くもの。(中)
 これは前は“財布”と呼ばれていたが、現在では“海外用の財布”と呼ばれている。海外へ行く時に現地通貨を入れて行く為に使われている。前回がソウルだったので、今この財布の中にはウォンが入ったままになっている。

・もう1つがイギリスへ行く時に持って行くもの。(右)
 3つの中では一番古い。私が“ロンドン用の財布”と呼んでいるものだ。
 一々換金しなくていいように、ここには常にポンドが入っている。ロンドンへ行く時などはいつもこの財布を持って行き、足りなくなったら向こうでキャッシュカードでおろす。そしてまた残ったポンドは財布に入れたまま帰って来る。

 問題はここからだ。

 さっきロンドン財布を覗いてみた。
 残っているのは250ポンドだった。
 この前ロンドンへ行ったのは今年の3月。
 その時のレートが大体1ポンド=240円くらい。だから6万円分くらい財布に入れたままだったのだ。それが今日のレートだと1ポンド=145円前後。3万7千5百円くらいだ。
 
 8ヶ月で2万円以上も消えた計算だ。
 小さく小さく打撃を受けている。
 円高の微かな影響が私の引出しの中にも及んでいる。

 ……本当に小さな話題で申し訳ない。
posted by 土田英生 at 13:10| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月24日

言い訳とロンドン

 11月の上旬に一週間くらいロンドンに行ってくることに決めた。
 ……知っている。
 そんな時間があるのかどうか?
 分かっている。
 だから……今、頑張っている。行くまで、そして帰って来た後……猛烈に頑張る。

 こうして言い訳をしているのは、この頁を読んでくれているかも知れない、そして気を揉んでいるかも知れない方々に『大丈夫ですから。本当に大丈夫ですから』と伝えないと、ロンドンへ行くことなど書けないからだ。

 * * * * *

 私は色んな人から『いつも元気ですね?』と言われる。
 しかし実を言えばとても悩む性分だ。
 気が小さくコンプレックスの塊なのだ。

 自分が持っているものには気づけず、他人の持っているものばかりを羨ましがる癖がある。自分が周りからどう見られているのかは分からないが、とにかく自分のことは見えないもんだ。そして隣の芝生はいつも青いのだ。
 
 こうして……どうでもいいことをイジイジと考え続ける。考えてもどうにもならないことで悩む。ひどくなると眠れなくなる。そして不眠の先には……暗い毎日が襲って来る。

 2003年はそれがとてもひどかった。

 無理やり理由を考えれば、人気あるタレントさんの芝居を書いたり、連続ドラマを担当したり、『約三十の嘘』が映画化されたり……そうした環境の変化と京都で活動を続けることとのギャップに悩んでいたのだと思う。

 その年の9月からロンドンへ留学した。
 そこで気分が上向いた。
 ギャップなどないのだと気づいた。
 劇団でもテレビでも、とにかく自分が納得出来ることをやればいいんだというシンプルな結論を得て、元気いっぱいで帰って来た。

 だからだ。

 私は忙しくなった時や、『あ、まずいかな』と思った時にとにかくロンドンへ行くのだ。友達と会ったりもするが、とにかく1人で街をブラブラする。すると気持ちが明るくなる。もう思い込みといってもいい。プラシーボ効果みたいなもんだ。

 それにしても……ずっと迷っていた。
 行っている場合ではない、しかし行った方がいいのではないか……。

 で、行こうと思っていた頃、GOVERNMENT OF DOGSの公演でエディの知り合いの方からwalkersのショードブレッドをいただいた。イギリスのお菓子。私の好物だ。カロリーは高いが好物だ。そして完全に心は決まった。行こうと。

 留学は1年、それ以外では7回目。
 行き過ぎだとは思う。
 

 ……今日は言い訳ばかりになってしまっている。
 せっかくだからロンドンにまつわる少しくだらない話も書いておこう。
 
 初めてロンドンへ行った2001年の冬。
 私はおしっこを我慢出来なくなって街を見回した。
 そして以下のような看板に向かって突進したことを思い出した。

IMGP2148.JPG

 突進した挙げ句大きなショックを受けたことを覚えている。
 『部屋を貸します』という不動産屋の看板だが、“o”と“l”の間に“i”が入れば……トイレットなのだ。私は『ああ、救われた』と思って突進したのだ。
 しかし救われなかった。
 一度安心した為か、もうどうにもならなかった。
 結局、あの時は公園の木の陰に隠れ、写真を撮る振りをして……したような気がする。
 
 さすがに今はそんな間違いはしない。

 ついでにトイレの失敗を書けば……あれは留学中だった。
 お腹が痛くて公衆トイレに入った時だった。そのトイレはノッティンヒルの駅前にあった。人通りは多い。

 お金を入れるとドアが開くタイプで、20分経つと勝手にドアが開く。中でドラッグなどをする若者がいる為だ。

 私はなかなか便座から立てなかった。
 お腹が本当に痛かったのだ。
 15分を過ぎた辺りで、とても焦った。
 しかしまだ立てなかった。
 と……
 ピーピーピーというブザー音と共にドアが開き出した。
 私はまだ便座に座っている。
 通る人がちらりと私を見た。
 私は慌てふためいてトイレを流し、ジーンズを上げた。
posted by 土田英生 at 01:33| 東京 ☔| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月04日

ロンドンの季節

 ここでもよく書いていることだが、私は基本的に半年に一度くらいの割合でロンドンへ行っている。アンティーク探しと友人たちに会いにロンドンへ行く。

 それは私にとってなくてはならない息抜きの時間なのだ。
 
 今年は3月に行ったので、本来ならば先月がロンドンの季節だった。
 しかし行けなかった。
 そしてしばらく行けそうもない。
 そう思うと無性に行きたくなって来た……。

 そんなことを考えてる最中にメールが来た。ロンドンで私に英語を教えてくれていたSheilaからの長いメールだった。少し前だがSallyからもメールが来た。更にロンドンにいる親愛なる友人サトショの日記を覗いたらこの頁のことを書いてくれていた。別の友人サチコちゃんは今度のGOVERNMENT OF DOGSの公演を一時帰国するついでに観に来てくれるという。

 以心伝心なのではないかと少し思ったりした。
 きっと皆がロンドンへ来いと言ってくれているのだ。
 私は勝手にそう考えた。だから何とか仕事を順調に進めて、MONOの稽古が始まる前にでも何とか時間をつくって行きたい……。

 しかし……Brendanからは最近なんの音沙汰もない。
posted by 土田英生 at 03:33| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月30日

ちゃんと頑張りますので。

 本当は楽しいことか、でなければ思い切った愚痴を書きたいのだが、仕事で関係のある人達も読んでいる可能性があるので、楽しいことを書くと「楽しんでいる場合か」と怒られそうだし、愚痴だと「そんな風に思っていたんですか」とこれまた怒られそうなのでどちらにしてもかけない。
 
 うんん……。
 ブログというのはかなり不自由だ。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ロンドンに留学していたこともあって、その時に知り合った友人経由で外国から京都へ来る色んな人と会う機会がある。実は現在も一人来ているのだが、彼のスケジュールもタイトだし、私も結構バタバタしているので会えるかどうかは微妙だ。

 友人達はホント気持ちのいい人ばかりで、だからその人達が紹介してくれる人達もほぼ間違いなくいい人達だ。だから会いたかったんだけどなあ。

 ロンドンで知り合った親愛なる私の友達サトショの友達でスペイン人のアルバロ君という人がいて、彼とは前に京都で飲んだ。そして今回来ている彼はそのアルバロ君の友人でパリに住んでいるメキシコ系フランス人……らしい。
 
 また別のイギリス人の友達からも「私の知り合いのバンドが8月に日本ツアーに行くから暇な時に日本を案内してあげて」とメールが来ていて「分かった」と気軽に返事をしたのだが、調べてみたらかなり売れているバンドだった。(U.K.シングルチャート1位を獲得と書いてあった)まあ、売れているバンドの人だろうが関係はないのだが、一応、会った時の為にと思い慌ててCDを買った。お気に入りCDになってしまった。今は毎日聴いている。関係ないといいながら……よし、会ったらサインをもらおう。
 
 これはロンドンではないのだが、前にも友人の紹介で京都へ来た人を案内していて一緒にご飯を食べていたのだが、私が彼らに何をしているの?と質問をしたら大道芸が云々、それで世界を回っていると言っていたので「大変ですねえ」と彼らを心配したが、よくよく聞いたらシルク・ド・ソレイユの人達だった。私が心配するまでもなかった。私が心配してもらう立場だった。
 
 彼らと楽しく会う為にも、仕事を頑張らないといけない。

 本当に頑張りますので。大丈夫です。自分の置かれた状況は分かっています。と……誰に喋っているのか分からないけど、一応付け加えておきます。
posted by 土田英生 at 00:19| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月09日

ロンドンの変貌

 随分前から企画だけが進んでいた“ロンドンに関する本”の仕事が具体的になって来た。取り敢えずは急いで企画をまとめないといけない。

 取っ掛かりとしてロンドンの大きな地図を取り出した。
 懐かしい。思わず見入ってしまう。
 
 それは私が留学した時に、地理把握の為に一年間部屋の壁に貼っていたものだ。だから付箋紙や書き込みも残ったままだ。
 ロンドンの街は整然としていない。道がかなり複雑に入り組んでいる。無計画に郊外へと発展を遂げた街だからだ。京都のように東西南北がきっちりしている街に慣れていると絶対に迷う。大体、頼りにしたいテムズ川自体が街の中を蛇行しているので慣れるまでは自分がどっちを向いて歩いているのかすぐに分からなくなる。日本だったら区画整理や再開発で道の付け替えなどが行われると思うが……ロンドンではあまり道などが変わっていないのだ。

 どれくらい変わってないのかと興味を持ち、100年前の地図と比べてみる。

londonmap.jpg ちなみにこの『100年前の地図』はロンドンのアンティークショップで格安で手に入れたものだ。なんと……12ポンドだった。2500円くらいだ。両隣にあった地図が3万円くらいだったことを思うと……あれは絶対に値段のつけ間違いだ。きっと120ポンドのつもりだったのだと今でも思う。
 私はその地図をドキドキしながら店のおじさんの所へ持っていた記憶がある。鼻歌を唄いながら興味なさそうな振りをして差し出すと、彼は値段を見て「12ポンド」と無愛想に言う。「なんでこんなに安いのかおじさんに聞いてみれば? これは間違いだよ」と私の中にいる純白な天使が騒いでいたが聞こえなかったことにした。『私は悪い事をしていない。値段通りに物を買っているだけだ』と黒い方が囁いたのでそっちの言うことを素直に聞いた。その割には店から逃げるように離れたのを覚えている。その地図は……上の写真のように額装して壁にかけてある。

 で、現在の地図とその地図を見比べて驚いた。

 本当に変わっていないのだ。100年前の地図でも結構今のロンドンを迷わず歩くことが出来るはずだ。それくらい変わっていない。

 IMGP1147.JPG 建物だってそうだ。古い建物の外壁だけ残して中を建て替えたりしているのを何度も見た。左の写真のように外側だけ残して中を丸ごと建て替えるのだ。こうすれば景観は維持出来る。こうして長い間街並を保存して来たのだ。

 しかし……2012年のオリンピックを前にした現在のロンドンの再開発を思って心配になる。シティを中心に凄い速度で増えて行く近代的な建物。鉄道の路線拡張でも随分と変化がありそうだ。
 古いもん好きの私としては気が気じゃない。私が愛する京都だって町家が壊されたりするのを見ては毎日悲しんでいるのに。「ロンドンよ、お前もか」って感じだ。
 
 というようなことを考えているうちに……時間が過ぎてしまった。
 気がつけば3時間も地図を眺めていた。

 で、全く企画はまとまっていない。
 

posted by 土田英生 at 04:47| 京都 | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月27日

ロンドンと消えた誕生日

 半年に一度、骨休めに私はロンドンへ行っている。
 「ここは休暇に来るような場所じゃないよ」と皆はいうが、私にとっては仕事から離れられ、同時に観光気分でテンションを上げる必要のない唯一の場所なのだ。地図もガイドブックも持たずにぶらぶら出来るし、友達もたくさんいるし、リラックスが出来る街なのだ。で、帰って来た。

 ロンドンへ行っている間、メールのチェックも全くしなかったので随分とたまっていた……明日から順番に返事を書きます。と、こんな所で言っていても仕方ない。

 いつものように昼間はアンティークショップや古本屋、美術館などを巡り、夜はチャイナタウンやソーホーで色んな友達とご飯を食べた。そして私が留学していた時と同じフラットに今も住んでいるブレンダンやヴィッキーとは通っていた近所のパブでビールを飲みだらだらと過ごした。
brendan01.jpg

 しかしだ。2012年のオリンピックに向けて様々な改革を試みているロンドンはオフシーズンということもあってどこもかしこも工事だらけだった。最も衝撃だったことはセントラルラインのシェパーズブッシュの駅舎がなくなっていたことだ。新しい路線の乗り入れに伴って建て替えられるという話は聞いていたが、それでも馴染みの駅がないというのは寂しいものだった。ロンドンではビルの建て替えなども外壁などは昔のまま残して内側だけ変えることも多い。しかしどうやらオリンピックを意識してか近代化された建物がいきなり増えた。去年の夏から比べても随分と変わっている。シェパーズブッシュ駅も完成予想図を見るとピカピカの建物になるようだ。

 ブレンダンの話などで面白いことも結構あったのだが、それを書いている元気はない。休暇といいながら、ドラマの打ち上げの後、そのままほとんど寝ずに旅立ったので逆に体力を消耗した気がする。まあ、気分がリフレッシュ出来たので目的は果たせたのだが。

 しかも今回は直行便ではなかったので、帰りに随分と時間がかかった。それに時差も加わって……25日の夜に向こうを出て……京都の家に帰って来たら深夜の12時を過ぎていた。つまり27日になっていた。3月26日が消えた。
 私の誕生日が消えた。ま、そんなことはどうでもいいんだけど。
posted by 土田英生 at 04:19| 京都 ☀| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月24日

急に思い出したこと。

 イギリスの友人達からクリスマスカードやプレゼントが届く。
 久しぶりにちょっとロンドンが懐かしくなって留学していた頃の写真を見ていた。地下鉄の写真も何枚かあって、「ああ、これはディストリクトライン(District Line)の車内だなあ」となどと見ていて突然思い出した。
 それは今年の9月にロンドンへ行った時のことだ。

 乗っていたのはそのディストリクトライン。HammersmithからEarls Courtへ向けて電車は走っていた。昼間で車内は比較的空いていた。

 私の斜め前方には「へへへ俺様は腕っ節には自信もあるし、喧嘩っ早いぜ」という雰囲気を醸し出している中年男性がいた。腕にはかなり派手なタトゥー、強面でタブロイド紙を睨みつけるようにして読みながら座っている。
 乗客は明らかに彼を意識していた。
 だから彼の周りには人が座っていなかった。

 私の真正面には純朴そうな観光客の若い男性がいた。
 中年男性とは対照的に「僕は争いが最も嫌いです」という感じのか細い男性だ。ガイドブックを広げて一生懸命何かを見ている。スペイン語らしき文字が見える。
 
 と……彼は果敢にもその「怖い男性」に近づいた。そしてスペイン語なまりの英語で話しかけた。
「この電車はアールズコートに行きますか?」
 ……強面男性は鬱陶しそうに新聞から顔を上げ、彼に一瞥をくれた。
 そして小さくうなずき、また新聞のゴシップ記事に戻った。
「アールズコート行きます?」
 うなずいてもらったのにもかかわらず、スペイン人は質問を繰り返した。
「……行くって」
 面倒くさそうに強面男性は答える。そして目を逸らした。

 と……スペイン人の彼は「そこから◯◯行きのバスって出てますか?」と更なる質問をした。
 強面の男性はしばらく黙って彼を見ていた。
 他の乗客も成り行きを見守っている。
「出てる」と一言怖い人は言う。
「何番のバスですか?」
 スペイン人の彼は屈託なく聞く。
「知らないよ」
 強面男性は怒鳴るように言った。

 しばらく間があった。
 
 しかし……スペイン人の彼はその中年男性の横に座ってじっと横顔を見ていた。
 おいおい、もう戻れよ、と私も思った。
 しかし彼は見つめつづけた。
 すると……強面男性はいきなりスペイン人を見て、
「とにかくだな! アールズコートで降りたら! 改札を出て! 道を渡れ! そこにバス停がある!!!」
 と、車内に響き渡るような声で強面男性が怒鳴った。

「改札って一つですか?」
 スペイン人はきょとんと聞いた。
 男性は何も言わず、驚いたようにスペイン人を見た。
「改札は一つですか?」
「二つだ……」
 強面男性は怖いくらい静かなトーンで答える。
 すると、あろうことかスペイン人が笑った。
「ククク、じゃあ、駄目じゃないですか? ちゃんとどっちの改札か教えてくれないと」
  
 強面男性が新聞をくしゃくしゃにしながら怒鳴った。
「エキジビジョンと反対の改札だ! そっちがメインだからすぐに分かる!」
 アールズコートには大きな展示場があるのだ。確かに降りれば矢印が出ているのですぐに分かる。

 さすがにこれで話は終ったはずだ。しかし……終らなかったのだ。
「何かに書いてもらえます?」
 と、スペイン人はペンを出した。
 
 強面男性は信じられないといった表情でスペイン人を睨み、読んでいた新聞を破った。
 そしてそのスペイン人からペンを奪い取ると新聞の切れ端に何やら書きなぐった。
「ここだ! ここがバス停だ!!」
 ここまで来るとスペイン人が男性をからかってるとしか思えなかった。
 なぜなら彼は続けて以下のようなことを言ったからだ。
「え? この紙、どっちを上にして見たらいいんです? 方角が分からない……」
 強面男性の顔はもう真っ赤だった。

 見ている私の心臓の鼓動も凄かった。これは駄目だ。もうあのスペイン人は殴られると思ったからだ。そうなれば正面にいる私だって黙って座っている訳にもいかない。ああ、いやだ。巻き込まれる……

 ……そう思った瞬間だった。
 強面男性とスペイン人は睨み合いながら同時に吹き出した。
 どうやら面白くなってしまったらしい。
 そして大きな声で笑い出した。
 車内にいた人達も笑い出した。
 私も笑った。
 車内が笑いに包まれた。

earlscourt.jpg と、電車がアールズコートに着いた。
 強面男性は笑顔で「着いたぞ。降りて左へ歩けよ、バカ」と言った。スペイン人は笑いながら「ありがとう」と言った。その時、二人は軽く握手をしていたように思うが、そこは記憶が曖昧だ。そしてとにかくそのスペイン人は降りて行った。

 入れ墨男性は車内の私達に大きな声で言った。
「騒がせて悪かったね」
 そして新聞を読もうとしたが、それはくしゃくしゃになって破れていた。
 彼は小さな声で「ファック」と呟いた。
 
 ……しかしいまだにあのスペイン人は謎だ。

posted by 土田英生 at 04:02| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月01日

マーケット好き

national theare.jpg 今日は午後三時まではホテルで仕事をしていたが、それから街をぶらぶらした。
特に東大門の辺りのマーケットはどれだけいても飽きることがなく、かなり楽しんだ。私はマーケット好きだ。ロンドンに住んでいた時は家から30秒の場所にシェパーズブッシュマーケットという日用品が売っている市場があったし、20分も歩けばポートベローマーケットがあったし、京都でも毎月25日に北野天満宮である天神さんにも行くし、東寺の陶器市などにも行く。
 だから明日も時間が余れば東大門のマーケットへは行くだろう。
 ということで眠ります。
 写真は国立劇場。ただリーディングをやっているのは小劇場の方なので写真の建物ではないんだけれど。
posted by 土田英生 at 05:27| ソウル ☀| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月30日

ソウルの悔しい女

 昨日の夜は韓国中央国立劇場で「悔しい女」のリーディング公演があった。

 これまでに書いた作品の翻訳版のリーディングをやってもらう機会はたくさんあった。イギリスではロンドン、エジンバラ、アメリカではニューヨーク、カナダではバンクーバーやヴィクトリアなど。しかし全て「その鉄塔に男たちはいるという」という作品の英語版だった。これはニューヨークで今年の三月に上演もしてもらった。

 で、それ以外の作品では初めてだったのと、しかも英語ではなかったのでまた不思議な感じだった。なにより……本当に役者の皆が上手かった! 演出も的確でリーディングにも関わらず観客も笑ってくれるし、とても暖かい反応だった。終ってから皆の前に出て紹介されて喋る。緊張した。全てが終ってパーティー会場へ移動したのが11時。
 私は通訳の朴さんの助けと、地球の歩き方韓国の巻末に載っている会話の頁と、英語を駆使しながら喋ったがおしゃべりな私にとってはもどかしい。自由に喋りたい。

 で、「悔しい女」は来年、上演されるそうだ。今回のメンバーとは違うのだが、演出するという女性が英語が喋れるので作品について滞在中に相談しようという話になっている。

 という楽しいはずのソウルのホテルで……私はまだドラマの台本を書いている。
 3日に帰国するが、締切りも3日。
 何だか理不尽だ。
 今日の夜は岩松了さんの「鳩を飼う姉妹」がある。ちなみに明日は永井愛さんの「こんにちは、母さん」。今日永井さんが合流する。
 しかしせっかくだし、ちょっと買い物でもしてから会場へは行こう。
posted by 土田英生 at 14:58| ソウル | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月30日

イギリスかぶれではない。

 この前ある人から「土田さんは“イギリスかぶれ”ですもんね」と言われた。
 そんなことはない。
 断じて違う。
 だからそのことについて書かなければならない。
 
 確かに私が好きなものにはイギリスにまつわるものが多かった。
 まずはアンティーク家具。フランスなどの曲線が多いものより、イギリスの角張ったものが昔から好きだった。特に比較的新しいエドワーディアンが好きだ。シャツもポールスミスの小花柄のものが好きだし、部屋の壁紙などもウイリアムモリスやローラアシュレイのものが好きだ。モンティパイソンもイギリスだし、そういう意味ではイギリス好きなのかも知れない。
 しかし留学するずっと前から好きだった訳だし、それに京都だって同じように好きだった。私は昔から古いもの好きで、まず日本の城が好きだし、京都や奈良の寺社仏閣も好きだ。愛知県から大学で京都に来たのも京都好きだったからだ。高校の時、隣の友達は透明な下敷きに松田聖子の切り抜きを入れていたが、私が入れてたのは京都市街図だった。裏返すと「京の年中行事」という表すら入っていた。
 
 話がそれた。
 もちろんイギリスが嫌いだった訳ではない。どちらかというと好意的だった。
 そして始めて「その鉄塔に男たちはいるという」のリーディングでロンドンを訪れた。アンティークマーケットなども巡り、更に向こうの演劇関係者と交流したことでまた来たいなあと思い、それがその後の留学につながった。
 そして一年過ごし、地理も分かり愛着も湧き、それに友人もたくさん出来たので帰って来てからも半年に1回くらいはロンドンへ行っている。よく行っているなあと自分でも思う。この前行った時には入国の審査官から「お前はどうしてこんなに来てるの?」と聞かれた。「観光です」と答えたら、彼はしばらく私のパスポートの渡航歴を見ながら「でも一年いたし……それからも何度も来てるし、何の観光?」と言われ「それでも観光です。そうとしか言えない」と答えたら、「どこ見たいのか言ってくれ」としつこく食い下がられた。大きなお世話だ。私がムッとしていたら、ヤツは笑って「冗談だよ」と言いやがった。冗談なのか。畜生。

 で……。
 前回書いたこととつながるが、ちょうど留学する前に私はややバランスを崩していた。そして留学している間にすっかり自分を取り戻した。だから勝手な思い込みが出来あがった。ロンドンが好きと言うより、ロンドンに行けば元気になれる気がするだけだ。だから仕事などで疲れると行きたくなるのだ。ロンドンのどこがいいというのではない。
 日本の方がいいという点は山のようにある。イギリスの演劇だってクソつまらないものは沢山ある。だから私は断じてイギリスかぶれなどではない。フィッシュ&チップスが特に好きでもない。アフタヌーンティーもしないし、紅茶も飲まない。

 まあ、今はそんな典型的なイギリス人もあまりいないけど。 
posted by 土田英生 at 02:43| 京都 ☔| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月15日

二週間ぶり。

 ロンドンから帰って来て、珍しくひどい時差ボケでまだ頭の中がぼうっとしている。

 ロンドンのことはまとめてまた書くつもりなので、ここには詳しく書かないけれどそれでも知り合いにも会えたしいつもの通り楽しんだ。皆さんありがとう。
 特にブレンダンはますます日本について詳しくなっていて驚いた。「この前、寝てたら侍が身体に入って来る夢を見たんだ」と嬉しそうに喋っているのを聞いた時は随分と彼のことが心配になった。更に「お前、知ってるか? 刺身を切るときは素材によって切り方を変えないといけないんだ。繊維を潰すと美味しくなるなるんだ」と語っている彼は一体どこを目指しているのか謎だった。

 問題は英語だった。
 不思議なことに聞くことは出来た。ただ問題は話す方だ。想い出の中では全てが整理されて行くので、人と楽しく喋った記憶しか残っていない。そのつもりで喋ろうとしているのに言葉が出て来ない。最初はおかしいおかしいと思ったが、冷静に考えてみたら元々こんなもんだったのだ。

 二週間とにかく歩いたので、きっと痩せていると思い楽しみにしていたのに体重計に乗って見たら行く前と全く変わっていなかった。 
 
posted by 土田英生 at 15:31| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月06日

連絡。

ロンドン。
ホテルでのネットの状態が悪くにつながらないのでメールのチェックが出来ない。こんな所でこんな連絡をしているのもなんだけど13日には帰りますので。

更にこっちの知り合いで何人かの連絡先を持って来るのを忘れたのがショックだ。

来たらいきなり地下鉄のストで動いていない。だからバスばかりに乗る羽目になっている。
posted by 土田英生 at 18:28| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月30日

ロンドン塔

 書いていたドラマの脚本も一段落し、明後日から二週間ロンドンへ行く。

 帰って来たらきっと忙しくなる。すぐに福岡へ「遠州の葬儀屋」を観に行く。脚本の直しも出て来るだろうし、新たな書き物もある。金沢で戯曲講座と俳優ワークショップもある。
 ロンドンで憩うしかない。
 ただ前半の1週間は家族と一緒なので私は観光ガイドだ。きっと3回目のセントポール大聖堂へ行き、4回目のウエストミンスター寺院を見学し、5回目のロンドン塔だ。
 
 ロンドンへ留学をしてた一年間、20人以上の知り合いが日本からやって来た。
 当然のことながら皆を案内することになる。
 最初は嬉しかった。私も新鮮な気持ちではしゃぎながら観光地を巡った。
 行きたいという場所は決まっているのでコースも似て来る。皆の持って来る様々な情報などを仕入れ、私は優秀なガイド役になって行った。しかし同時にうんざりし始めた。
 同じ場所に何度も行く羽目になったからだ。
 ……一番はロンドン塔だ。
 そのことで今になってとても申し訳なく思っていることがある。

 連続でインターバル短く知り合いがやって来た。
 仕方なく私は三回連続でロンドン塔へ行った。しまいにはロンドン塔内の食堂のメニューすら覚えた。
 中2日で訪ねればさすがにうんざりする。
 さて、皆は順番に帰って行き……その次の週だ。
 ある女友達がロンドンへやって来た。
 コベントガーデンで待ち合わせた。 
「ああ、久しぶり!」
 最初は抱き合わんばかりの再会シーンだ。
 私は言った。「どこ行きたいですか? どこでもいいですよ」
 彼女は声を弾ませて答える。「ロンドン塔ですかね」
 ……。
 私は無言になってしまった。
 まずいとは思った。彼女には何の責任もない。 
「え? ロンドン塔……何かまずいんですか?」
 彼女は無邪気に聞いて来る。
 私は努めて冷静に答えようとした……が……
「まずくないですよ、別に。だって行きたいんでしょ? ロンドン塔。だったら行きましょうよ、ほら、今すぐ行きましょうよ! 行きましょうよ!」
 私の口からは予想外の激しい言葉が溢れた。彼女は驚いていた。
 結局4回目のロンドン塔へ行った。私かなりテンションが低かった。彼女には悪いことをした。
   
 明日からは壁の花団「悪霊」の公演が始まる。私は12月に東京で観させてもらうが、旅行の予定がない方は是非アトリエ劇研へ!
posted by 土田英生 at 04:09| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月23日

雪のニューヨーク、そして緊張

 ◯◯から帰って来たとか、今は◯◯にいるとか、そんな書き出しばかりになっている。そして最後は明日から◯◯へ行くだ。いい加減このパターンから抜け出したい。

 で、ニューヨークから帰って来た。

 行く前に天気予報等を見た時はNYは春になって来ている様子だった。しかし着いて次の日には雪が降った(降った雪は結局帰りまで道に残っていた)。……雪というより彪のような硬い状態で顔に当たると非常に痛い。うつむいて前傾姿勢で歩くしか無い。前傾姿勢。これは中学時代に卓球をやっていた私としてはお手の物だ。いつも前に屈めと先生に言われていたはずだ……しかし……無理だった。普段京都で暮らしている私がニューヨークを歩けば顔が上を向いてしまう。とにかくビルが高いのだ。だから見上げたくなる。これはごく自然なことだ。本当は上を見ながら「うわああ」と言って歩きたいのに、上を見ては「イタイ」とうつむき、また上を見ては後悔をする……この繰り返しで歩いていても私は大騒ぎだった。
 やはり身体はきつかった。「地獄でございます」のツアーが終わってほとんどそのままNYへ行った感じだったからだ。しかもMONOのメンバー揃ってのNY行きだったのでまるでツアーの続きのような感覚だ。きっと皆も体力的にはきつかったに違いない。私は仕事があるので帰って来たが、まだ何人かは向こうにいる。しばらく滞在を続けるメンバーもいる。大丈夫なのだろうか? いや、それはそれで羨ましいなやっぱり。私ももっといたかったし。
 とにかく非常に楽しかった。芝居自体も面白かったし、何より向こうで活動している様々な人ときっちりとつながりが作れたことは何よりの収穫だった。何だか目標が新しく出来た気がする。ああ、また行きたい。

IMGP0616.JPG
上演されていたTBG Theatreはこの3階
IMGP0669.JPG
エレベーター脇のチラシ

 どうでもいいことだが、そんな中とても緊張するイベントがあった。行っている間、パネルディスカッションに参加したり、ドラマティストギルドという向こうの創作者協会のような組織とミーティングをさせてもらったりと、とにかく緊張することはたくさんあったのだが、やっぱり最も緊張するのはお客さんの前だ。

 着いて次の日。16日に上演に続いてMONOメンバーでの「その鉄塔に男たちはいるという」日本語版のワンシーンお披露目があったのだ。

 昼過ぎに劇場に集まって、私達は稽古をした。しかし実際に芝居の上演が終っていざ自分たちがやるという時になると……これが信じられないくらい緊張だった。いやあ、あんな緊張した金替を見るのも久しぶりだった。妙に声も大きいし、動きもやたら若く初々しかった。もちろん私は誰よりも緊張した。ちなみに台詞もトチッた。歌の音程も滅茶苦茶だった。
 しかしまあそれもそれなりに終って良かった。

 細かく色んなことを書きたいが……整理も着かないし、その前にたまってしまっているメールなどの返事を出さなければならない。

 しかも最後はやはりこのパターンだ。
 明日は……金沢へ行く。
posted by 土田英生 at 07:18| 京都 🌁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月16日

NYで何をしていたのか。

 せっかく踏ん張って1時まで起きていたのに。それもこれも昼間眠たい毎日から逃れる為だ。今日こそは明るくなるまで眠ろうと決意していたのに……起きたら、まだ4時だった。

 今日から金沢での戯曲講座第2回目があるので、皆に提出してもらった課題に目を通す。そのせいで今回は何をやるべきかハッキリした気がする。

 で、私も色々と考えたり反省したりして、取り敢えずMONOの台本を直してみる。一応のキャスティングが決まったのでそれに沿って登場人物も直して行かなければならない。今回はバカバカしい設定ながら、会話劇の形で進みそうだ。細かいことは書きたくないが、少し裸になったりもする……かも知れない。それも5人とも脱ぐ……かも知れない。公演時期が2月からなので寒さが心配なのと……そうだ、私の体型が課題だ。芝居的には私が太っていようが痩せていようがどうでもいい。しかしこれは私の羞恥心の問題なのだ。今日、稽古場で金替君が「尾方さ、腹筋とか割れてないの?」と聞いた。尾方君は「いやいや僕のお腹も結構こうですよ」と爽やかに笑って見せてくれたが、全然太っていないではないか。私はそっと自分のお腹も見てみた。縦にはもちろん割れていない。当たり前だ。代わりに横に割れている。いやいや、割れているのではない、ええと、重なっている。明日から走ろう。猛烈に走ろう。と、今思った。
 
 さて、先日のニューヨークについてだ。このままだときっと何も書かずに終る。だから少しだけ何をしに行ったのかを書こう。
 これまで私の作品である「その鉄塔に男たちはいるという」の英訳版「The Happy Lads」はイギリスではロンドン(2001年)とエジンバラ(2006年)、カナダのヴィクトリア(2003年)などでリーディング公演をしてもらったし、昨年はニューヨークでもリーディングをしてもらっている。しかし実際に公演という形では実現していない。で、今回、Theatre Arts Japanとアメリカの劇団Woken Gracierの企画として公演をしようということになったのだ。MONOも企画協力しているので来年の3月には劇団のメンバー全員で行くことになる。詳しい事はココを見てもらった方が早いが。
 で、戯曲の翻案の詰めと役者のオーディションに参加して来たのだ。ワークショップも楽しかったし、ディスカッションも順調に進んだと思う。何より周りの人達が至れり尽くせりでケアしてくれたので有り難かった。皆、とても付合いやすい人達だったし。問題はただ一つ、私が途中で体調を崩したことだけだ。ちなみにまだお尻は痒い。……しかしいい役者も集まっていた。最初は60人くらいの応募だったそうだが、私が帰る時には7人くらいに絞れて来ていた。そこから5人に決めなければならないが、それは演出のRonitなどが最終判断することだ。
 それ以外にも海外戯曲をアメリカで紹介する為に様々な活動を行っている Lark Theater Companyや若手の劇作家達のサロンとも言うべきNew Dramatistsなどにも連れて行ってもらった。いやあ懐が深いね。日本でも出来るんじゃないかと思うことが結構あって収穫があったと思う。

写真は有名なアクターズスタジオの外観。
V9030005.JPG
posted by 土田英生 at 07:09| 京都 ☁| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする