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MONO代表・土田英生のブログです

2020年08月17日

日々の記録

 頻繁に更新すると決めたのに一ヶ月空いてしまったね。
 しかし、それには理由があった。
 どういうわけだか猛烈に忙しかったのだ。
 いつも言っていることだが、私は1つの仕事がキツくても割と耐えられる。
 けれど、複数の仕事を同時並行させるのが苦手なのだ。


 京都では昨年撮った映画「それぞれ、たまゆら」の公開があった。
 ほぼ1日おきに映画館に行って、挨拶をさせてもらったりトークをしたり。こんな状況の中、結果的にたくさんの皆さんに来ていただいて本当に嬉しかった。東京、名古屋での公開も決まったのだが、コロナの状況を見ているので正確な公開日を決めきれないでいる。

 8月前半はTBSの「もうラブソングは歌えない」という朗読劇の稽古、本番。
 私がやったのは「Re:(アール・イー)」という作品。3組やらせてもらった。
 皆さん、初めましての俳優さんだったけれど気持ちのいい方ばかりだった。
 何より、劇場でマイクを持って場当たりなどをしている時間が楽しくて仕方なかった。
 マスクにフォイスシールド、その上、全員専用マイクだったけれど、ああ、やっぱり現場はいいなあと感じながら、劇場の空気を味わった。
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 同時並行でオンライン戯曲講座、同じくオンラインで徳島の演劇大学、映像の編集、ラジオドラマを作っていた。
 
 このラジオドラマは、FMCOCORO765の「THE MAGNIFICENT FRIDAY」で流される関西4劇団によるオリジナルラジオドラマの企画だ。
 ヨーロッパ企画、THE ROB CARLTON、MONO、空晴というラインナップだ。

 MONOのやつは私と水沼君の2人芝居だ。
 京都の私の家のダイニングにマイクを並べて撮った。
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 8月21日放送なのでよろしければ聴いてくださいませ。

 ……それにしてもたくさん書いた。

 MONOで動画を作ることになって「ともだち」「受難カウンセラー」、れはまだ公開していないけれど「ささやかな休日」という作品を作った。これは書くのは苦労しなかったが、撮影に丸三日かかり、編集も自分でしたので想像以上の労力だった。

 そして「Re」を書き直し、ラジオドラマを書いた。
 ま、こんな時に、これだけやることがあるのは幸せだとつくづく感謝している。

 来週の半までにはドラマを一本、10月1日に関西で1日だけ上演する「駆け落ちアニバーサリー」という作品も書く。構想はできてるんだけどね。
 
 半沢直樹が放送されているので、昔の友人などから連絡も来る。しかしこの前、旧知のテレビプロデューサーから連絡があった時、思わず「もしかして出演の話ですか?」と聞いてしまったことがとても恥ずかしい。
posted by 土田英生 at 02:42| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月16日

創作にLINEが使えない理由

 東京ではギリギリまで忙しかった。
 いろいろな仕事の合間に動画を撮っていてこれが結構キツかった。
 ある事業として3本作ることになっていて「ともだち」「受難カウンセラー」に続く三本目だ。
 まだ編集したりしないといけないんだけど時間がない。
 立川茜と高橋明日香が出ている。

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 京都に戻ってきてからも全くのんびりできないていない。
 台本を書いたり、たまっていた支払いを済ませたり、ジップロックにiPhoneを入れてお風呂でゲームしてたらマネージャーから電話がかかってきてそのまま「もしもし」と言ったけれど「聞こえないです」と言われて裸でリビングに飛び出したものの慌て過ぎてジップロックのツマミが取れてなかなか電話が取り出せなかったり、間違って着た加圧シャツの快感に目覚めて今日は積極的にそれを着たり、大事な電話中にトイレが我慢できなくなりかといって「トイレに」という隙間もなかったので便器の前にひざまずいてそっと用を足してみたり。

 今日は朝までに書き上げる台本が早く終わり、友達と電話してから、他の仕事をしていた。
 それにしても……人と連絡を取り合う時、使うのはほとんどLINEになってしまった。電話もLINE通話が主だしね。

 創作をする場合、このLINEというツールがとても厄介なのだ。

 私は現代劇を書くことが多いし、設定も現代ということにしている。
 MONOの舞台などを見てくださっている方は気づいているかも知れないけど、私は「固有名詞」をなるべく避けて台本や脚本を書いている。出てくるのはせいぜい「東京」「名古屋」などの地名であったり、「織田信長」など歴史上の人物の名前などだ。
「ローソン」も「iPhone」もも出て来ない。ついでに言えば流行り言葉も出て来ない。そうしたものを使わず、現代を表現しようともがいている。
 
 別に好き嫌いの問題だけではなく、どうもフィクションにおさめられない気がしているのだ。これは創作においてLINEが厄介だということと密接に関係してくる。
 
 まず、舞台上で展開されている世界は「嘘」だ。どれだけ巧妙に台詞を書き、リアルな舞台セットを立てたところであくまで虚構だ。私が仮に「土田」という役を書き自分で演じたとしても、それは今これを書いている土田ではない。あくまでもフィクションの私でしかない。

 そして……この「嘘」「虚構」「フィクション」を「本当のこと」として観客に信じてもらえなければ、ドラマは成立しない。嘘でありながら、実際のこととして見てもらわなければいけないのだ。

 そうした時に難しいのが固有名詞の扱いだ。

 例えば過去に舞台設定をした場合は割合楽だったりする。『1989年の東京』を舞台にした場合、当時流行っていたテレビ番組の名前やできたばかりの観光名所などを台詞に出しても気にならない。あくまでそれはフィクションとしての1989年の東京で起こったことであり、今、劇場の外にはその世界は存在しないので成立すると思う。

 難しいのは「現代」だ。
 劇場の外には……本当の、いわばリアルな現代が広がっている。
 そもそもお客さんたちは現代の人であり、現代の空気をまとったまま劇場のイスに座る。
 けれど開演して暗転し、明かりがついてからは座席ではなく舞台上で行われていることを“リアルな現代”として感じてもらわないといけない。

 現代を舞台にしているのだから、現代実際にあるものの名前は出してもいいのかというと、そうはならないのだ。
 「そこのローソンでさ」という台詞を役者が発した瞬間に、劇場にくるまでに通り過ぎたローソンが頭に浮かび、「私のiPhoneが」と聞こえた途端にカバンの中にしまってある自分のiPhoneのことがよぎる。問題はさっき見かけたローソンやカバンの中のiPhoneの方が、舞台上で出てくるものよりリアルなのだ。あくまで舞台上の世界にあるローソンやiPhoneにするのはとても難しい。

 つまり「今現在も存在し、少なくともすでに世界にとって当たり前になっていて、今後もきっと存在し続けるであろう」ものしかフィクションにしづらいのだ。だから「東京」という地名はなんとかおさめられる。少なくとも随分前からあるし、そしてこれからもあるだろうし。実際にはわからないけど、大事なことはそのようなものとして観客の多くが認識しているということだ。

 だから「先週、いきなり電話で振られてさ」これは問題ない。電話は随分と前からあるしね。電話という言葉を聞いてもピクリとはならないし。フィクションの中での電話としておさまる。
 「昨日、メールで言われちゃって」これも大丈夫になった。けれど「LINEまだ来ないの?」……これは今のところNGだ。

 私の感覚だと、その言葉や事象が出てきて30年くらいは経たないと、どうもおさまりが悪い気がする。
 なにより電話、メールはツール自体の呼び名だが、LINEは一企業の名前だしね。
 
 で、ここで問題が起きる。
 私だって普段は連絡のほとんどはLINEだ。
 だから現代を舞台にする以上、LINEを避けると不自然になってしまう。

 だから今は「連絡あった?」「(手にした画面を見て)ないねえ」などという感じで逃げている。
 
 ……ん?

 なんで突然、自分の創作のこだわりとか書き出したんだろう?

 あ、そっか。
 そうだった。
 今、困っているのだ。コロナに。

 現在も世界中で起きていて、ワクチンや特効薬が開発されるまではこの状態は続くという。
 皆がマスクをしているのは当然の景色だ。

 今、現代を舞台に作品を書く時、どうしたらいいんだろう?
 登場人物たちがマスクをしてコロナ前提の日常を描くと、フィクションにはならず時事的なものとして捉えられてしまう。
 かといって、コロナ抜きの現代に果たしてフィクションとしてリアリティを持てるのか。
 
 どうも現実が掴めないままで困っている。

 そんな中、17日から「それぞれ、たまゆら」が京都の出町座で公開されます。
 マスクをして静かに見ていただければ。
 舞台挨拶に私も劇場に行きますが、マスクをして静かに頭をさげたいと思います。お待ちしています。→サイト
 そして19日からはTBS系で「半沢直樹」がスタートします!

 前の「半沢直樹」の時、私は同じクールで「斉藤さん2」というドラマを書いていた。

 勝村政信さんに出てもらおうことになり、口説く為に「流行る台詞を用意しよう」とプロデューサーと話した。
 事なかれ主義な警察官の役にして、「異常なーし」という台詞をやたら言ってもらうことにした。

「流行り言葉にしますから言われて受けましたけど、周りは倍返ししか言ってません」と、勝村さんが打ち上げで挨拶していたのを思い出した。

 ……もう朝だね。
posted by 土田英生 at 05:30| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月10日

私のそれぞれ

 ブログの更新をしばらく頑張ってみることにした。
 長文を書くときはnoteに移動しようかとも思っていたんだけど、私の場合、割とくだらないことを書き連ねたいことが多いので、そういう意味ではこの土田頁の方がいい。

 まだ私は東京に滞在しているのだが、感染者数もまた増えて来たし、そのくせ、人と会う仕事も増えてきていて……コロナ騒動が明けたのかなんなのか全くわからない状況だ。
 
 その癖、猛烈に忙しい。
 一つずつクリアしていくしかない。

 来年の頭に脚色と演出を担当する舞台の打合せ、夏にやる予定の朗読劇の執筆、10月にやる予定の短編芝居「駆落ちアニバーサリー」の執筆、京都の奨励金事業を使って作っている動画の撮影、オンラインの戯曲講座の準備、オンラインで演出のアドバイザーをする演劇大学……。他の細々した雑事もあるしね。それに本来ならば、夏からは翌年のMONOの新作の準備を始めるはずなんだけど、これねえ……コロナがどうなっていくかだよね……。

 今は決まっていることだけを元気に書こう。

 17日から京都・出町座で公開される「それぞれ、たまゆら」。

 公開中はなるべく映画館に行ってあいさつなどをさせてもらうつもりだ。なので皆さんに来てもらいたい。
 映画自体は1時間の中編で、MONOメンバーが全員出ているのと、中越典子さんや鳥谷宏之君、板垣雄亮さんにも出演してもらっている。

 原案は2017年に出版した「プログラム」という小説だが、映画にするにあたって大幅に設定などを変えた。
 
 この作品の成立過程はめちゃくちゃややこしい。

 元々は1993年にC.T.T.特別企画で「燕のいる駅」という芝居を書いた。出演者は13人。戦争前夜の駅舎での話だ。
 同じタイトルで1999年に世界の終わりの日という設定に変更して、MONOで上演した。これは出演者7人。
 この二つのバージョンはいろんな劇団で上演してもらった。
 けれど話が少し違うので、同じタイトルで内容の違う芝居が存在することになった。自分でも統一したかったのだが、二つの台本が違う経路で広がって行きコントロールできなくなってしまった。

 2005年、グローブ座で嵐の相葉君主演で上演することになり、その時に出演者13人で世界の終わりという設定にするという、つまり二つの話を合わせたバージョンに書き直した。
 これで決定版ができた。
 そう思っていた。
 それなのに……2012年、土田英生セレクションで上演することになった。酒井美紀さん、中島ひろ子さん、久ヶ沢徹さん、千葉雅子さんらが出演ですることになり、キャストに合わせようと思ったらまた7人バージョンに戻ってしまった。しかも登場人物などは書き直したので、もうどれが本当の「燕のいる駅」なのか、私自身にもわからなくなった。
 だから現在は4つの「燕のいる駅」が存在している。

 2017年に河出書房から書き下ろし小説を出すことになり、この「燕のいる駅」を下敷きにして書いたのだが、書いているうちに別の作品になってしまったので「プログラム」という新しいタイトルをつけて出版した。

 そしてこれを映画にしようとなった時、またしても大幅に書き直した。
 なので「プログラム」原案の映画「それぞれ、たまゆら」ができた。
 
 ふう。
 出町座のあとは東京や名古屋での上映に関しても動いてもらっている。もし皆さんが見てくだされば、全国に上映を広げたいとは思っているんだけど、どうなるかはわからない。

 ちなにみヨーロッパ企画の映画「ドロステのはてで僕ら」も同じ期間に出町座で上映している。この映画はシネコンを含む全国の映画館でやっているけれど、私は京都で見られると思って楽しみにとっている。いやあ、精力的ですごいよね、ヨーロッパ企画は。

 「それぞれ、たまゆら」は控えめな作品ですが、心よりお待ちしています。→サイト
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 そして……個人的には宣伝するのが恥ずかしいのだが、間もなく始まるTBS系のドラマ「半沢直樹」に平山一正というIT社長役で出演させてもらっている。妻は南野陽子さん。これまでも朝ドラや自分の書いたドラマにカメオ出演的な感じでちょこちょこ出たりさせてもらって来たが、こんな風に一俳優という感じで仕事をさせてもらうのは初めてだった。

 当然のように撮影ではものすごく緊張した。
 初めての撮影前日は緊張して眠れず、最悪の体調で臨んだ。
 何度も段取りを間違え、南野さんには迷惑をかけた。徹夜と緊張で私の目は乾き、おまけにメガネを外しての出演だったので究極のドライアイ状態だった。アップを撮られる時、必死で目を見開いていたら白目になったりした。

 18歳の新人気分という感じで取り組ませてもらった。
 本来は4月からの放送予定だったけれど、コロナで撮影中断があり、7月19日スタートになった。

 半沢直樹公式サイト
 
今日はこれくらいにしておこう。
posted by 土田英生 at 03:02| 京都 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月03日

「それぞれ、たまゆら」

 この頁をほとんど更新しなくなった。

 昔は頻繁に更新していてアクセス数も多かったのに、いつからか全く書くモチベーションを失ったんだよね。
 Twitterなんかより、やはりある長さを持った文章を書く方がいいし、何度も気持ちを新たに書き始めようとしたんだけど、そろそろ終了だなという気がしている。

 前回の更新も2月だしね。
 MONO「その鉄塔に男たちはいるという+」をお願いしますとか書いてる。
 ものすごく昔のことに思えてしまう。
 
 公演が終わってコロナの感染拡大があって……。
 
 自粛期間は律儀にじっとしていた。東京公演が終わって京都に戻りたいと思ったけれど、都道府県をまたいだ移動は控えようと思い、緊急事態宣言が解除されるまでずっと下北沢にいた。
 
 その間、いろんなことをやっていたはずだが、どうも記憶は曖昧だ。
 
 アイデンティティが揺らぐ。
 3月頃と今の自分の間に、どうも断絶があるんだよなあ。

 ま、いいや。
 今回のことで色々と考えることがあって、またそれについてはゆっくり書きたいんだけど……果たして更新できるのかは不安だ。
 
 去年、撮っていた映画「それぞれ、たまゆら」が7月17日から京都の出町座で上映されることになった。
 これももっと早くに公開される予定だったんだけど、コロナのせいで延びてしまった。
 皆様、よろしくお願いいたします!

 →予告編
 →サイト
 
 
posted by 土田英生 at 01:29| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月06日

今頃、新年のご挨拶になってしまった。

 久しぶりに書こうと思ったけれど、考えてみたら昨年の10月以降一度も更新してなかった。
 結果、今更ながら新年の挨拶になってしまった。

 あ、今年もよろしくお願いします。
 あの……まもなく劇団の公演が始まります。

 そのことは後ほど。

 Twitterなどで細切れに断片を書くことで、自分にとってブログを書くことの動機がなくなってるんだと思う。
 
 インスタグラムもやっていたりしたんだけど今はそのまま放置してある。他のSNSと全く連携していないアカウントで誰もフォローしていないので知り合いにも私だとすらわからない。Facebookも完全に開店休業状態だ。こっちの方はFaceBookの性格上、知り合いばかりになるので逆に億劫になってしまった。

 けれどたまにはまとまった文章を書かないとね。
 なので一念発起して、このページを更新することにしたのだ。

 私はそれなりに元気を出そうと毎日を送っている。
 なるべく朝起きて、掃除をしてお風呂に入ってから稽古に向かっている。
 寝る前にはざくろ酢も毎晩飲んでいる。
 苦しいこともあるけど、稽古はやっぱり楽しいしね。

 けれど正直言って年明けから疲れる話ばかりが舞い込んでくる。
 演劇界隈のダメ話ばかりだ。
 
 いやいや、これは昨年から続いている。
 夏頃から様々な人たちからの、多種多様な相談を受けた。

 お金のことでひどい目にあった話、プロデューサーからのパワーハラスメント、演出家によるセクシャルハラスメント、体制の整ってない危険な現場の話、などなど。
 どれももひどいものばかりだった。

 私にはそれらを一発で解決するほどの知恵はないし権力もない。
 だけどねえ。
 そんな私に話すということは、皆、行き場がないんだよね。
 そんな相談ばかりが続いた。

 知り合いからはもちろん、よく知らない役者さんから相談が来たこともある。

 「〇〇さんから、あなたに話せばいいと言われまして」
 
 どこでそんな情報が回っているんだろ?
 回っているとしたら撤回しておいて欲しい。
 『夜回り先生』になってしまう。
 しかもあまり解決する力のない夜回り先生だ。

 だいたい、私はとても怠け者で、できれば好きな演劇を創り、暇な時間はDIYとレザークラフトをやって静かに過ごしたいだけなのだ。
 にもかかわらず、他人から「人情がない」と思われることはとても辛い。
 見栄張りなんだよね。
 
 などと、こんなことを書いている以上……現在、頭を悩ませていることも少しだけ書いておくしかない。
 いろんな人から意見を聞かれていることだしね。
 
 劇団の活動拠点である京都で、ロームシアターの新館長就任のニュースについて周辺がざわついている。

 私の見解は明確だ。
 事実がどうであれ、パワーハラスメント案件でいまだ団体交渉中であり、その問題の解決をみていない人を京都市が公共ホールの館長に任命するというのはさすがに乱暴な行いだ。そしてそのことに関して納得できる理由も述べられていないし、追加コメントが出されると聞いて一応は待ったけれど、到底納得できるものではなかった。このままだと京都市及びロームシアターは、こうした事案を全く問題視していないどころか追認していることになる。

 劇団の公演前だし、久しぶりにレザークラフトを作っているし、静かに過ごしたいのに。けれど目の前で起きていることだし動くしかない。だから現在、色々と準備中だ。若い劇団が上演を取りやめたりしているのを見てても、彼らを孤立させることだけはしたくないし、何より私だって地元で公演したいしね。去年はMONO「はなにら」もロームシアターで上演させてもらったけど、今の状態では関わることはできないからね。
 
 
 ほら、久しぶりに更新するのにこんなこと書きたくないんだってば。

 ああ、本当に今年はバッドスタートだ。

 正月早々、家のトイレが流れなくなった。
 だから業者に来てもらったのだが、詳細は書かないけれど……なんというか、随分と、お金を払った。
 あれだけ調べて会社を選んだのに、実際に電話をする時、間違えて違う会社に電話してしまったのだ。けれど私はすっかり自分が調べて選んだ会社だと思い込んでいたので、言われるままに色々とオーケーしてしまった。
 帰った後、改めてサイトを見た時に自分のミスに気づいだけれど後の祭りだった。

 トイレは流れるようになったけれど、本当はもう少し工事をしないといけない。
 次に時間が出来た時に、今度は馴染みの会社に頼もう。
 最初からそこにすればよかったのに、こんなことで頼むのは申し訳ないと考えてしまったんだよね。

 
 けど、そんなことはどうでもいい。
 なんとかなるからだ。

 憂鬱なのは今の殺伐とした社会だ。
 
 今回の稽古帰りだ。
 烏丸から阪急電車に乗っていた時、外国人観光客の女性二人組をじっと見据え、小さな声で「死ね」と言い続けていたおじさんに遭遇した。
 信じられない光景に足がすくんだ。正直言って怖かった。

 私は5分で電車を降りるし、観光客の人たちもおじさんが自分たちに向かってそんなことを言っていると気づいていないようだったので、どうしようか迷っている時、おじさんが再び「国も滅びろ」と言った。

 おじさんの前に立って「ちょっとさっきから何言ってんの?」と聞いた。
 おじさんは「何も言うてへん。お前こそ何言うてんの」と言い返して来た。

 そこから言い合いになった。
 ヒートアップしてしまった。
 車内は静まりかえり、皆が私たちを見ていた。

 と……言い合いの途中、おかしなタイミングでおじさんが突然「ごめん」と謝った。
 
 いきなり謝られた私は次の言葉が出てこなかった。

 「おおおおおおお。本当、ダメだから、そういう、やつは」と、意味不明な言葉で終わってしまった。観光客の二人をチラリと見たら、どうやら私のことを危険人物だと思っているようで、怯えるようにこっちを見ていた。
 日常の中に、そんな光景が存在している事実にショックを受けたし、自分の中途半端さにも自己嫌悪した。 

 
 私はかなりキャパシティーも狭いし、わがままだし、全然正しい人間ではない。
 悪いことだってしたし、今の基準から言えばパワーハラスメントやセクシャルハラスメントに該当することだってあると思う。
 稽古場でも癇癪を起こして泣き叫んだりしたし。

 それを反省しながら今に至る。

 えっと……。

 そうだ。最後に宣伝しておこう。
 
 2月13日からMONO「その鉄塔に男たちはいるという+」が始まる。
 伊丹AI・HALLを皮切りに、上田サントミューゼ、四日市市文化会館、北九州芸術劇場、そして東京の吉祥寺シアター。

 1998年にAI・HALLで初演した「その鉄塔に男たちはいるという」を当時と同じメンバーで上演し、さらに昨年からMONOに参加した4人による新作短編が加わる。だから+(プラス)と付いているし、二つの話は緩やかにつながってもいる。
 それにしても20年前に書いた台本は……若い。
 なんというか、単純でひねりがないのだ。
 今ではこんな風には書かないなあという台詞のオンパレードだ。だから稽古していて引っかかる部分もあるけれど、敢えてそれを残し皆に挑んでもらっている。若さに付き合うつもりだ。
 また、新作もそれに合わせて書いた。だからこれもストレートな話になっている。けれど現在の私が書いているので、やっぱり20年前とは違う。その温度差もなんだか面白く感じる。

 週末などは席がなくなってきていますが、劇場でお待ちしています!

 →MONOサイト
 
 
 そして昨年、撮影した映画、「それぞれ、たまゆら」。
 まもなく詳細も決まってきますので、こちらもぜひぜひ。
 自分で書いた小説「プログラム」を原案にして、新たに脚本を書き、初めて監督させてもらいました。
 中越典子さんや板垣雄亮さん、鳥谷宏之君などと共にMONOメンバーも全員出演しています、

 サイト
 
 
 上を向いて歩かないとね。

 明日は稽古休み。
 台詞のチェックして、レザークラフトを作って、読みかけの本を読もう。
最近お気に入りのマグカップで美味しいコーヒーも飲もう。

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posted by 土田英生 at 06:24| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月14日

今日はアップする

 前回の更新が8月25日。
 また間隔があいてしまった。
 実はこの2週間くらいの間にこのブログを3回ほど書いたのだがアップせずに削除したのだ。
 いずれも勢いに任せて感情的に書き殴ったものだったからだ。

 楽しくくだらないことを書きたいのになかなかそうはさせてくれない。
 
 社会の底が完全に抜けてしまった。
 それぞれが自分の立場を必死で守るばかりで、事実を元に冷静な判断をすることをやめてしまった。感情だけが先走り不条理がまかり通る。
 敵味方にならないような言葉を探していると、結果的に沈黙してしまうことになる。
 
 こういう時こそ、芸術とか表現の力が試されるんだと思うんだけどね。
 明るい未来は全く見えないけど、ニヒリズムに陥ったら終わりだし。

 だからこそ自分の関わっている演劇を信じたいのに、周囲で起こっている嫌な話をたくさん聞いた。
 最近、駆け込み寺みたいな状態になっていて、次から次へとこういう話が耳に入るのだ。
 
 この一ヶ月だけでも、パワハラプロデューサーの話、お金に汚いプロデューサーの話、権力に媚を売る演出家の話、パワハラな劇団代表の話。いずれも被害者側から聞いた話なので、もちろんバイアスもかかっているんだと思うけど、どれも信ぴょう性を感じるものばかりだった。
 ここで悪役として語られた中には私の知り合いもいる。本当だったとしたら私は被害者側につかせてもらうし、あなた達とはさようならだ。

 ……私だってこれまで嫌な目にはたくさん遭った。
 理不尽に仕事を降ろされたこともあるし。
 一回、そうした体験ばかり喋す会を催したいくらいだ。4時間くらいは話せると思う。

 もちろん私だって清廉潔白ではない。
 若い頃は稽古場でヒステリーを起こしていたし、今から考えればアウトだったことはたくさんしたよね。
 いやあ、今だって間違えることはたくさんある。
 気持ちが先走ったりするし。   
 今の環境を変えるには、まずは自分がこれまでしてきたこと、今だって自分がしているかもしれないことに向き合うしかないんだよね。
 大事にしないといけない人たちがいるしね。
 頑張らないと。

 久しぶりに京都ベースで過ごしている。
 やっぱり落ち着く。
 この前、近所の人から電話があった。
 家を売る気はあるかと質問された。買いたいという申し出だった。

「土田さん、ほとんどこっちにおらへんみたいやし、もったいないやろ」 

 そう言われて答えに困った。確かに京都で過ごしているのは一年の内3ヶ月あるかないかだ。2年前に一人になったので、東京にいる間は完全に空き家状態なのだ。
 戻ってきた時はポストの中はパンパンになってるしね。ギューギューに紙が固まっていて郵便物がポストの形で出てくる。毎回、それを見てはアートだなあと思う。

 それでも……京都から離れるつもりはないのだ。
 MONOだって京都の劇団だし。
 家だっている間は毎日掃除している。
 キッチンの壁だってDIYしたし。
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 昨日は網戸も張り替えたし、リビングの壁も塗り替える計画だし。
「まだ、しばらくはここに住むつもりですので、すみません」と丁重に断った。
 
 9月の頭は大学での短期集中講座を1週間。
 夜型な上に、規則正しいのが苦手な私にとってはとても大変な1週間だった。
 寝不足状態で毎日5時間の講義。
 だから帰りが大騒ぎだった。バスで1本なのだが、始発から終点まで1時間以上乗るのだ。
 起きていられない。だから窓ガラスに頭をゴンゴンぶつけた。
 それでも講義は楽しかった。
 23人全員が課題の台本も提出してくれたし。意外な人が想像つかない台詞を書いていたりしていて、新鮮な感動を覚えた。

 そして今は徳島。
 明日から演劇大学で戯曲のワークショップだ。定員は10人なので3日間でも密度の濃いものができるはずだ。本当は3人くらいがいいんだけどね。とにかく100パーセントで臨む。

 ……やらないといけないことも山積している。
 徳島にいるからといって踊っている場合じゃないのだ。
posted by 土田英生 at 01:07| 徳島 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月25日

駆け足で。

 あまりに久しぶり過ぎて書くことがない。
 いや、書こうとするとあれもこれもとなって逆に書く気力が失せる。
 
 なんとか簡潔に書ききってやる。
 前回の更新は6月8日。
 MONO特別企画『涙目コント』をやりますよということと、映画を創ろうとしていますという内容だった。
 そこから今日までを駆け足で振り返ろう。
 
 6月は映画の為にロケハンや打ち合わせを繰り返し、月末には秩父にある廃校になった場所を借りて撮影をした。

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 東京から通うには遠いので泊まり込んでの撮影だった。
 MONOメンバーも全員出演している。

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 ↑これは宿泊先近くのコンビニでの写真。
 初めての監督であたふたしたけど、無事に撮影は終了。編集はこれから。秋にはなんとか完成させたい。

 
 7月に入ってからは『涙目コント』の稽古。
 前川くん、平塚くん、横山くんから提供してもらった台本に加え、つなぎを私が書いた。

 8月からは三鷹と京都で公演。
 おかげさまでお客さんもたくさんきてくれて、京都は全ての回でソールドアウトだった。キャパが小さいとはいえ、いつ以来だろ?
 京都での会場は新しくできたTheater E9 Kyoto。

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 水沼くんと尾方くんはスケジュールの関係で声のみの出演となったけど、劇団結成30周年にやる特別企画としてはいい公演になったと思う。

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 ↑撮影・谷古宇正彦

 京都での本番を終え、すぐに長野県の上田で行われた劇作家大会に参加。
 私はお城を歩きながら話したり、レセプションの司会をしたり、シンポジウムで話したり、飲みに行って話したり……ま、話してばかりいた。
 
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 ↑これは閉会式、裏から撮った写真。

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 会場は私にとってはすっかり馴染みなったサントミューゼだったので、その点気が楽だった。

 そして東京に戻ってきたのだが……やや疲れが出てしまったようだ。

 気分もやや塞ぎ気味だ。
 世界が確実に閉じて行っていることと、自分の周りでも親しい人たちの嫌な噂などを聞いたことがきっかけだ。
 月末には京都に戻るので、東京にいる間、ちょこちょこ仕事をしながら、友達とご飯に行ったり、〇〇〇〇に行ったりしようと思っていたのだが、自分から動く気力が湧かない。
 明日は誘ってもらったので出かけるけど。
 ま、気分転換しよう。
 最近、本当に嫌な話ばっかり聞いてるしね。
 
 それにしても社会の視野が狭まっている。
 皆が感情優先で動き、理屈で考えることを放棄している。
 先のことを考えると絶望したくなるけど、なんとか新しい物語を構築するしかないよね。

 気持ちを新たにして、上を向き、先のことを考えよう。
 やらないといけないこともたくさんあるのだ。
 映画の編集、新しい小説の執筆、秋に上田でやる「怠惰なマネキン」の書き直し、来年の公演の準備……。
 頑張らないとね。

 最後に告知をして終わろう。

 28日から『なるべく派手な服を着る』をTABACCHIという団体が上演してくれる。→
 30日には私も観てトークに出演します。

 そして10月には『相対的浮世絵』が東京は本多劇場・大阪はCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演されます。→
 青木豪・演出で、出演は山本亮太(宇宙Six/ジャニーズJr.)、伊礼彼方、石田明(NON STYLE)、玉置玲央、山西惇。
 
 そして上田のサントミューゼでは「怠惰なマネキン」を上演。→
 作、演出は私。舞台美術を奥村泰彦くんがやってくれてます。
 出演はMONOから石丸奈菜美、高橋明日香、立川茜、渡辺啓太。そして青年団の古屋隆太さん。

 
 また、くだらない話も書かないと。
 結構、たくさんたまってるんだよね、エピソードが。
 
posted by 土田英生 at 03:03| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月08日

はじめての○○○○

 はじめてのことをするのは楽しい。
 MONO次回公演は特別企画。
 結成20周年の時には特別企画として『チェーホフを待ちながら』という作品を上演した。チェーホフの短編を大胆に翻案したコント集のような公演だった。

 今年は結成して30周年なので、何かやろうということになった。
 『涙目コント』
 好みは近いけど、自分では書けないというか、どんな風に作品を組み立てているのか知りたいと思っていた人にお願いした。
 イキウメの前川君からはテレビ用に書いたものを提供してもらい、iakuの横山君、オイスターズの平塚君には同じような設定で書き下ろしてもらう。
 ここまでいろんな人に脚本をお願いするのははじめての試みだ。
 同じ条件で私も新作を書き、4本を一つの作品としてまとめようと思っている。

 はじめての試みだ。
 三鷹と京都での上演だ。
 皆様のお越しをお待ちしております! 情報は……リニューアルしたMONOのサイトで!
 MONOサイト
 
 もう一つはじめてのことに取り組んでいる。
 映画を創ろうとしているのだ。

 これまでテレビドラマには随分と脚本は書いてきたし、映画に関しては『約三十の嘘』と『初夜と蓮根』の両方で原作・脚本として参加した。けれど、演出というか、映画だから、一応、監督ということになるけど、それはやったことがなかった。

 with MYUという会社の社長さんである西田さんから『やってみませんか?』というありがたい言葉をもらって、ついつい調子に乗ってしまったのだ。
 ただ「監督」と呼ばないでくださいというお願いはしている。
 なんか恥ずかしいんだよね。
 ずっと映画をやっている人はいいんだけど、一本だけ撮って監督と名乗るのは、どうも生理的に無理だ。
 
 また詳細は書こう。

 不慣れなことをしているからだろうか、最近は身体がおかしい。
 ストレスを感じるとおかしくなる耳も順調に痒いし、喉もおかしい。またしてもヒステリー球みたいだ。
 そして一番困るのは眠れないことだ。
 どれだけ横になっていても眠りに入れず、寝たと思ってもすぐに目が覚める。
 おかしな夢もたくさん見る。

 昨日は体が全てLEGOになってしまっている夢を見た。
 腕などを動かそうとすると、ポロポロと壊れていく。
 動きたいけど動かせず、唸っていたら目が覚めた。
posted by 土田英生 at 11:29| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月30日

東京→名古屋

気候のせいもあって、今日は妙に爽やかだった。
区役所に行く用事があったので久しぶりに自転車に乗った。風が気持ちいい。気がついたら近所を1時間近くぶらついていた。

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これは鈴虫寺。
ああ、リフレッシュ。

本当は今日、東京に戻ろうと思っていたのだが、居心地がよくてズルズルと夜まで滞在してしまった。
明日は朝起きて、ちゃんと移動しないと。

元々は京都に帰ってくる予定はなかったが、名古屋に行くことになったのでついでに帰ってきたのだ。

名古屋で上演していたオイスターズの『ここはカナダじゃない』。
作演出の平塚くんに夏に上演するMONOの『涙目コント』に脚本を提供してもらうことになっているので観に行くつもりにはしていた。それを彼に伝えたらトークに呼んでくれたのだ。

26日のマチネだったので当日行くのは怖いと思い、前日のうちに愛知県に移動しておこうと考えた。実家に泊まればいい。
母親に電話でそのことを伝えると「25日は甥の運動会があるで、見にきてやりなさい」と言う。

なので25日の朝に下北沢を出た。実家のある大府まで行って運動会を見学した。
暑かったけど新鮮だった。小学生が走る姿には涙を流し、お弁当タイムには私のエッセイ「自家中毒」を読んでくれたという珍しい人がいたので調子に乗って喋った。翌日もオイスターズを見てトークをしてさらには打ち上げにまで出て喋り自己嫌悪した。通常運転だ。

名古屋から京都に移動して今にいたる。
自宅ではとてもリラックスできた。

しかし、今、ここに書かなければいけないことがあるとすれば、東京から名古屋までの新幹線のことだね。

いつもは品川から新幹線に乗るのだが、時間があったので東京から乗った。名古屋までの一時間半、私はとても無駄に感情を消費することになった。

三人席の窓側。
東京駅では横には誰もいなかった。
徹夜だったのでありがたかった。
私は発車する前に目を閉じ、すぐにウトウトし始めた。

……半分眠りかけていたけど、品川に到着したことはわかった。
人が乗り込んでくる気配。
そして、隣に誰かが座ったのがわかった。
薄眼を開けると、派手な格好をした女性が座っている。

私はそのまま目を閉じた。

すると、品川を発車してすぐに私の右肩にズシンと何かが当たった。
え?
見るとその女性の頭が私の肩に乗っているのだ。

まだ発車して5分も経っていない。
本当にすぐだった。
しかし彼女はすっかり眠っているのだ。しかも私にもたれかかって。

どうしよう?

思案した挙句、私はゆっくりと身体を窓側にずらした。
しかし、彼女は起きずそのまま体重を預けてくる。体勢が斜めになってしまい、これでは完全にラブラブなカップルだ。

肩を少し大げさに動かしてみた。
と、彼女は気づいたようで小声で「あ、すみません」と言って真っ直ぐ座り直した。
「いえ」と私も答えたが、彼女はサングラスをかけたまま目を閉じている様子だ。

私も目を閉じた。

またしてもすぐに気配を感じた。
目を開けると頭がかなり近づいている。
まるでダルマさんが転んだ状態。

私は反対側に、つまり窓にへばりつくようにして、なるべく彼女と距離を取って目を閉じた。

しかし……すぐに肩に重みが加わった。
またしても完全にもたれかかっている。

肩を動かしてみたが、今度は全く起きる気配がない。
思い切って、「すみません」と小さい声で言ってみたけど、彼女は寝息を立てているだけだ。
よっぽど眠たかったんだろうね。
どうしたらいいのか困っていると、アナウンスとともに新幹線はスピードを落とし、新横浜のホームに滑り込んで行く。
ここで目を覚ますんじゃないかと思ったのだが、彼女は全く動く様子もない。

新横浜で通路側の席に若い男性が座った。
彼は座る時、私と彼女を見てから、私に頭を下げた。
その表情は「二人で仲良くしているところにすみません」と語っていた。
心の中で「違うんです」と叫んだが彼には通じていないようだった。

私はもう一度肩を大きく動かした。
と、ハッとした感じで彼女は私から離れた。

とにかく私も徹夜だったのだ。
眠りたい。
私は彼女に背中を向けて、身体をひねった状態で目を閉じた。
やがて意識が遠くなった。

……熟睡した。

「列車は三河安城を定刻通り過ぎました」的なアナウンスが遠くで聞こえる。
もう名古屋に着く。しかし……目を開く前から体の感覚でわかっていた。
とんでもないことになっている。

私も眠っている間に身体を元に戻していたようで、真っ直ぐ前を向いて眠っていたのだが、彼女の頭は私の肩というより、ほとんど胸に乗っているのだ。しかも丁寧なことに彼女の右手は軽く私の腕に添えられている。寝ぼけて誰かと勘違いしているとしか思えない体勢なのだ。

通路側の男性を横目を見る。
スマホでゲームをしていたが、彼もチラリを私を見た。
少し表情が怖い。
「いちゃいちゃしやがって」という感じだ。

私は困惑したが、返答できない。
それに降りなければいけないのだ。

身体をそっと捻りながら、もたれている彼女から逃れた。
と、彼女はビクッとして急に起きた。
彼女も何がどうなっているのかわからないようだったが、とりあえず私から離れて真っ直ぐな姿勢に戻った。
じっと正面を見つめている。

気まずい空気が流れていた。

私は立って上に置いてあった荷物を取り、

「あ、名古屋で降りますので……」と言いながら二人の前を通った。

私が通路に出た時、彼女が私に向かって「すみませんでした」と言った。
なんと答えていいのかわからず「ああ、いやいや」という曖昧な返答をした。

通路側の男性が驚いた表情をして私と彼女を見た。

「え? お前たち他人だったの?」という声がはっきり聞こえた気がした。
posted by 土田英生 at 03:46| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月06日

Macが自信満々なことに腹が立つ

本来なら今頃は下北沢にいるはずだった。
明日は新宿でマチネの舞台を観て、夕方からは打合せなので本当は移動しておきたかったんだけどね。
しかし相変わらず京都にいる。


朝起きた時「やることがたくさんあるなあ」と、ぼんやりとした憂鬱が私の心には漂っていた。

前回書いたクレジット払い申し込み用紙は未記入のままキッチンのテーブルに置かれ、仕事部屋には未整理の領収書の束があり……。せっかくボールペンを新しく購入したというのに何も済んでいない状態だった。

これではダメだなあと思いつつも、気がつけば必要のないことばかりやっていて夕方になってしまった。洗面所の蛇口磨いてたり。

そこでリストを作った。
やることを書き出し、分刻みで予定時間も記した。

結構頑張ることができ、ほとんどは時間通りに済ませた。あのまま家を出れば新幹線にも間に合っただろう。

しかしなぜ東京に移動できなかったのか?

出かける準備をしていて、Macをカバンにしまおうとした。で、その前にメモリーカードに入っていた写真を移そうと考えたのが間違いだった。

私は全ての写真をMacのアプリで管理している。
昔は「iPhoto」という名前だったが、今はそのものずばり「写真」という名前に変わっている。
半年前にクラッシュした外付けHDDからデータだけ抜き出し、最近、かなりの時間を費やして整理しているところだ。

で、この『写真』が問題なのだ。
iPhoneの写真と同じ機能なのだが、「ピープル」という項目があって、勝手に人を判別して名前をつけてくれたりする。

「iPhoto」の頃はとにかく精度が悪かった。
頻繁にビルの窓を人の顔だと認識したりしていた。

昔、書いたことがあるが、そのおかげで水沼君は世界中に存在することになっていたのだ。
「水沼君は宿っている」

私が使っているMacOSはMojaveなので新しい。
『写真』の機能もかなり向上している。

けれど、この生半可に向上しているところが腹立たしいのだ。
昔は性能が悪いことをMacも自覚していたのか、かなりの部分を手動でさせてくれていた。けれど、今はもう自信満々だ。私の許可なく勝手にやり、間違えても悪びれたそぶりすら見せない。人じゃないものを人だと認識しても、それを手動では外せなくなっている。

これ、問題だよね。
なんとかして欲しい。
もっと使い手の自由を増やしてくれよ。これからのAI時代の悩ましさの末端を味わっている気がする。

まあ、それはいい。
このアプリは「写真」を開いていない時に、つまり使っていない時にバックグラウンドで勝手にコソコソ作業している。人物を認識し、名前をつけて振り分けていく。
なので開いた時に確認してみると、毎回、新たな間違った結果を発見することになるのだ。

今日も新たなミスを見つけ、それを直していたら……時間が経ってしまったのだ。

仕事ができると自信満々な社員のミスで残業させられた気分だ。しかもこいつはいくら言い聞かせても無駄な相手なのだ。

さすがに風景には名前が出ていなかったが、やはり水沼はいろんな場所にいた。
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これはこの前、私がやらせてもらったワークショップの時の集合写真だ。
後ろに水沼が3人もいるではないか。
もちろんこのワークショップに彼は参加していない。

けど、この自信満々のMacはどうしてこんなこともわからないんだろ?
同時に3人っておかしいだろ?

さらに問題は尾方宣久だ。
確認すると尾方の写真がやたら多い。
見てみると……案の定、尾方ではない人がみんな尾方になっている。

例えばこんな感じだ。
スクリーンショット 2019-05-05 5.06.26.png

これは2011年「空と私のあいだ」の舞台写真。
尾方宣久となっているのは高橋明日香だ。
え? 似てるか?

いやいや、こんな間違いはまだ可愛い方だ。
スクリーンショット 2019-05-06 1.02.45.png

これは2017年「裸に勾玉」の時の稽古写真。
尾方宣久になっているのは松原由希子だ。
しかもだ。見たら横に本人がいるではないか。なのにそいつは名称未設定って。

Macよ。もっと謙虚になってくれ。

そして……そのせいで私がまだ京都にいるんだということを理解して欲しい。
posted by 土田英生 at 02:03| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月04日

持て余す

 東京と京都の二重生活だと色々と困ったことが起きる。
 ゴミ出しもそうだし、郵便物を確認できないのもそうだ。
 
 この前、各所から電話があって色々と支払いができてないと知らされた。
 振込用紙を送りましたのでそれでお支払いくださいなどと言う。
 意味が分からなかった。
 連絡をもらったものに関しては全て自動引き落としにしているからだ。

 考えて……ふと思い当たることがあった。

 私は1月に財布を落とし、クレジットカードなどを再発行してもらった。
 番号も変わってしまったので、これまで落ちていたものが引き落としされなくなっていたんだと思った。
 そうか。
 どうりで残高が減らないと思ってた。
 喜んでたけど、とんだ勘違いだったのだ。
 
 ああ、もう一度、各所にクレジット払いの申し込みをしないといけない。

 私はとてもこうした作業がとても苦手だ。
 「やりたいこと」ならどれだけ面倒な作業でもできるのに「やらなければいけないこと」に対しては全く気力が湧かない。
 だから常に「やりたいこと」に変換させながら物事を進めている。
 インテリア好きになることで掃除も趣味になった。
 だから家の中もキレイなのだ。

 けれど郵便物はカゴにドサっと入ったままだ。
 それがそのまま引き出しの中に入っている。
 
 まずはこの整理から始めなければいけない。
 きっとこの中に、支払い用紙やクレジット払いの申し込み用紙などもあるのだ。

 仕方ないので仕分けしていった。
 けれど何かと気が散る私は、いつものようにどんどんやることが変わっていく。

 作業のおともに美味しいコーヒーが必要だと思い、豆を挽いたらミルの調子が悪かったのでそれを掃除し、ついでにコーヒーメーカーの洗浄もし、やっとコーヒーを飲めたと思った時には自分が本来なぜこうしているのか分からなくなっていた。
 そんなこんなで郵便物の整理だけで夕方までかかった。

 大人になって何を寝ぼけたことをと思われるだろうが、私は人が横にいると結構なんでも頑張れる。
 人の目があると、本来の目的を見失わずに済むからだ。
 まあ、だから劇団も必要なんだろうね。
 一人で書いてたら、きっと書き上げられない。
 

 ここを読んでくれている人はわかっていると思うけど、私は小さい頃からADHDだ。

 小学生の時、大学病院で検査された際には「社会生活を営むのは困難かも知れない」と言われた。
 けれど、なんとかやっているしね。
 締切は遅れがちだけど、仕事に穴を開けたこともないし。
 
 ま、大人になってからも病院で相談した時ははっきりそうだと診断されたけど、自分なりの方法でコントロールしている。

 注意力散漫を直すのではなく、結果だけよければいいと開き直ってからはあまり悩まなくなった。
 許される限りは自分の衝動にしたがって動くようにしている。
 コーヒーメーカーの洗浄だってすればいいのだ。
 我慢すると、郵便物の整理も嫌になってしまうことを分かっている。

 とにかく郵便物の整理が終わった。
 夕方までかかったけれど目処はついた。
 おまけにミルもコーヒーメーカーもピッカピカだしね。

 普通なら、このままクレジットの申し込み用紙を書くべきだ。

 けれど、私にはそれは無理だ。

 気分転換に出かけようと思った。
 未払いのものだけは支払い用紙を使ってとりあえず払わないといけないし。
 ついでに美味しいものを食べ、ちょっとしたものを買い、家に帰ってきたら申し込み用紙を書けばいい。

 いい。
 上手に自分をコントロールしているな。

 出かける為に着替えようと思って寝室に入った。
 と、無性に眠気が襲ってきた。
 ちょっとだけベッドに横たわった。
 
 ……。

 あれ?
 起きたとき、ここがどこで、今は何日の何時で、一体どうしてベッドで寝ているのか分からなかった。
 自分が何者かすら把握できないくらいだ。

 窓の外も暗い。
 時計を見ると夜の10時半。

 5時間半も眠っていたらしい……。
 
 買い物に出かける気力はもうない。
 だいたい、もう閉まっているしね。
 せっかくカレー食べようと思ってたのに。

 仕方ないのでローソンで支払いだけ済ませ、食べ物も買ってきた。
 けど、ここですでにもう嫌になっていた。
 
 申し込み用紙を書かなければと思うが、とてつもなく面倒臭い。
 書けば20分で終わることだ。

 私はまた自分を動かす方法を考えてみた。
 お気に入りのボールペンを使って、なるべく丁寧に書いてみよう。
 いつもこうして何かしらの楽しみを無理やり作って自分を前に進めるのだ。
 自分の取り扱いの知恵だ。
 いい。
 やる気になった。

 ふふふ。
 ペンケースを開いてみる、

 ん?……あのボールペンがない。

 そこから1時間はボールペン探し。
 どれだけ探しても出てこない。
 東京に置いてきたのだろうか?
 しかし、それを確認するすべはない。

 私は頻繁に物を無くすくせに、一度気になると何も手につかなくなる。
 簡単に言ってしまうとパニックになる。
 ま、これも同じだよね。
 
 ああ、天は私にどれだけ試練を与えれば気が済むのか?
 と、八甲田山のような気分になったけれど、考えたらクレジット払いの申し込み用紙を書くだけのことだった。

 こういう場合の処方箋もわかっている。
 すぐにamazonで同じペンを注文した。
 東京にあるかもしれないし、安いものでもない。
 常識的に考えればもったいないけど、こうしないと自分の中で終わらない。
 6日に確認するまでボールペンを探し続けることを知っているからだ。
 
 いやあ、まあ、けど、本当に自分自身を持て余すね。

 だいたい、今、これを書いているけれど、まだ申し込み用紙は書いてないし。

 今からやるんだもんね。
 なにか新しい楽しみを作らないと。
posted by 土田英生 at 04:20| 長野 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月27日

迷宮入り

こんなことを書いている暇はあるのかと自問しているけど、この前、「更新する」と宣言したので少しでも書こう。
今やっている仕事のことは……改めて書く。

今日中に脚本を書き上げる。
「どうせ終わらないんだよ」と頭の中では不愉快な声が響いているけれど、終わらせる意志だけは揺るがず持っていよう。
毎回、どっかで書き上がる瞬間は来てるんだし。
終わる終わる終わる!

長い間やっていると自分の中でパターンが出来上がる。
いい面もあるけど、「結局はこうなるだけだし」という悲観的な考えも定着したりする。
けれど、私はそれに関しては「狼少年」でいいんだと思う。前向きな気持ちでいたらいい。

これまでだってそうだった。

20代の後半、アルバイトも続かず、常にお金がなかった。劇団の公演は年2回やっていたけれど、お客さんが増える訳でもなく赤字が積み重なって行くばかりだった。持ち出しばかりで借金がかさみ、かといって具体的な展望があるわけでもなかった。

事あるごとに親から「いい加減に諦めたら」と言われていて、その度に「来年にはちょっと変わりそうなんだよね」と全く根拠のない答えを繰り返していたのを覚えている。

よくあんな状態で希望を持ち続けられていたなと驚く。

電気はもちろん、電話やガスも止まってたし、家賃を9ヶ月払わずに、大家さんからも「占い師のところに連れて行ってあげる。それでいい占いが出ないなら諦めなさい」と怒られたこともある。

話はそれるけど……あの大家さんは素晴らしくいい人だったよね。本来なら占い師がとか言ってる場合じゃないのにね。

東京に一ヶ月滞在して猛烈に肉体労働をして50万円稼ぎ、たまっていた家賃を払った時は『祝』とかかれたビールが1ケース届いたりしたしね。本当に懐の大きな人だった。けど、なんの祝いだろ?

あのアパートは私のような人ばかり住んでいた。

隣のバンドマンとはよく話しをしていたけど、彼も家賃たまってるって言ってたしね。まあ、彼はきちんと見切りをつけたけど。ある時、いきなり「俺は諦める。お前は頑張れ」と言って彼は田舎に帰って行った。彼が失恋した時、一晩中自作の曲を歌ってたことがあり、壁越しに聞きながら……売れないだろうなとは思ってたけどね。用事があるときはドアにメモを挟んで行くんだけど、いつも「MR.隣人」と書かれていて、そのセンスもちょっとやばいなあとは思ってたし。

とにかく、あの大家さんは仏だった。

自分の話に戻すと、私は隣のバンドマンよりひどかった。さすがに彼は2ヶ月払ってないくらいだったと思う。こっちは9ヶ月だからね。何かある度に母親に電話をしてお金を借りてた。
劇作家協会ができた時も入会金が払えずに母親に頼よった。けど、自分のキャッシュカードで振り込んでしまったらしく、

「どうしよう? お母さんが劇作家協会に入っちゃったがね」と連絡があった。

そうなのだ。息子よりも先に母親が入会してしまったのだ。もちろん、後日、事務局に連絡をして私の名前にしてもらったけど。

とにかく全く先は見えず、常にモヤモヤした毎日だった。いつそこから抜け出したんだろ?

「どこからやっていけるようになったんですか」と聞かれるけど、私にもはっきりとは覚えがない。「そういえば半年くらいアルバイトしてないな」と思ったことは鮮明に覚えている。

それからは今までなんとかやらせてもらっている。


これから先だってどうなるかわからないし、もちろん私にも将来の不安は満載だけど、大事なことは自分が今やりたいことをやり続けることだなと思う。

だから今は脚本を書かないといけない。
やっぱりここを更新している場合じゃないのだ。
やる。
ちゃんとやる。
ま、だけど休憩は必要だしね。

くだらないことを書いて終わろう。

最近は休憩の時にパソコンの中を整理している。
新しいMacを買ったのを機に、ごちゃごちゃだった書類や写真をちゃんとしようと思ったのだ。

半年くらい前に外付けのHDDがクラッシュして、その時にほとんどのデータが飛んだ。アプリを使って材料だけは抜き出したけど、もう何がなんだかわからない状態だった。写真の日付なんかも変わってしまい、MONOの昔の写真などが「2040年」になってたり、一昨年の公演写真が「1970年」になってたりする。月日だけあってたり、中には全くデータの壊れていない写真も混ざっている。

で、暇を見つけてはそれを整理しているのだ。
グーグルカレンダーでスケジュール管理しているので、それを参考にしながら「あ、この写真はこの時のものだ」など日付を正す。面倒な作業だ。


「2096年」の日付がついたこんな写真があった。

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写っているのは私と七味まゆ味、高橋明日香に大村わたる。

かすかに記憶がある。
アゴラ劇場に芝居を観に行った時だ。

この写真を七味さんに送って「覚えてる?」と聞いてみた。
すると2017年4月ですよ、という答えが返ってきた。

写真アプリを開き、2017年4月のところを見ている。
と、そこにはこんな写真があった。

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思い出してきた。
大村わたるが出ている舞台を観に行き、そのあと近くのインド料理屋さんでご飯を食べた。
記憶が蘇ってくる。
最初、三人でカレーを食べていて、後から片付けを終えたわたるが合流してきたんだ。
このツーショットはわたるが来る前に私が撮ったんだね、きっと。

ということは、さっきの写真はこの後に続くんだな。
駒場東大前の駅だ。

おおお。
辻褄があった。
そしてこのストーリーは完結を迎える寸前だった。
なぜなら、その後にはこんな写真があったからだ。

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駒場東大前から下北沢まで一緒に井の頭線に乗ったんだな。

写真では電車に七味さんと大村わたるが乗っている。
ドアが閉まっているので、どう考えても私は乗っていない。

バイバイと言いながらホームから写真を撮ったんだと思う。
ああ、すっきりした。

いや、いやいやいや。

私を推理を迷宮に導いたのは、その後に続いて見つかった写真だ。

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大村わたる。

背景は私がいる下北沢の事務所だ。
そして時間は深夜0時過ぎになっている。

……どういうことだろう?
わかれたはずの彼がなぜいるんだろう?

彼は後で戻って来たとでもいうのだろうか?

そろそろ休憩は終わりだ。
この問題はまた考えよう。
posted by 土田英生 at 06:25| 兵庫 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月23日

更新する

そういえば全く更新していない。

昨年の秋、ゴドーがどうしたという台詞をツラツラ書いた辺りからだね。
ピタリと止まってしまっていた。

今年に入って、MONO「はなにら」の告知をしなければと初日前に一回だけ更新したものの、すでに習慣ではなくなってしまったようでそれから2ヶ月は再び放置だった。

で……。

最近、連続して何人かから「更新しないんですか」と聞かれた。

しかし間が空きすぎた。
何を書いていいのかすらわからない。

昨年の後半は福岡で戯曲講座をさせてもらったり、出雲で戯曲講座をさせてもらったり、東京で戯曲講座をさせてもらったり……おいおい、戯曲講座ばっかりやってるな。
なんなんだろう?

他にもいろんなことはやっていた。けど……まあいいや。とにかく年を越し、今年に入ってからはMONOの執筆と稽古。
東京、豊橋、京都、広島と公演をして4月に終了。

いい舞台になったんじゃないかと自分では思う。手応えもあったしね。
9人体制になって初の公演ということもあり、これからの劇団のことを考えながら創った。
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撮影・谷古宇正彦


もっとくだらないことを書いた方が楽だな。
演劇や仕事から離れてみよう。

そうだ。
昨年末は久しぶりに京都の自宅で過ごしていたので内装をちょこちょこいじった。

私はDIYが好きなのだが、東京にいる時間が長くて欲求不満がたまっていたのだ。
この欲は厄介なほど高まっていて、どうにかしないとまずいと思っていた。けれど台本を書かなければいけなかったし、あまり大掛かりなことはできない。なので100均で買った材料などを使って、ちょっとした工夫をすることで欲を抑えようとした。
→『出かける前』10月27日で書いていた窓は結局こうなっている。
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まだ欲はおさまらなかった。だからついでにトイレの窓もやってみた。
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ダメだ。
こんなことでは全く欲求はおさまらない。
しかし大掛かりなことをしている余裕はないのだ。
だからむき出しだったインターホンにカバーを作ってみた。
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……。
ダメだった。
おさまらないのだ。

こうなったら一番気になっていることをやってしまおう。
前からキッチンのシンク前の壁が気になっていた。真っ白だしテカテカだし。
それにレンジフードもクリーム色の鉄板で味気ない。
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欲求を解消するには、この最も気になっていることをやるしかないのだと腹を括った。
まずレンジフードには板を貼って装飾をした。

そして壁だ。

ブリックレンガをネットで四箱購入し、まずは木枠を作り、内側にそれを貼り始めた。
これは結構大変だった。
ブリックを切るのがキツイ。しかも家中が粉だらけになった。
二日間で完成。
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ふう。
これでDIY欲はおさまった。
テーブルに座ってコーヒーを飲んだ。
シンク前にあるカウンターが気になる。
コーヒーメーカーなどが見えてどうも落ち着かない。

私は一回気になると、それが解消されるまでどうにもならない。
おさまったと思ったのは錯覚だったようだ。

なので目隠しになるような棚を作ってみた。
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これでテーブルでコーヒーを飲んでいても無駄なものは見えない。
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内側はこうなっている。
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よし。
マグカップも私の気持ちもおさまった。
これで静かに過ごせる。

そう思って二階の仕事部屋に向かった。
すると……。
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DVDやレザークラフトの道具などを置いている部屋。
ここにはドアがなかった。なのでカーテンをぶら下げてごまかしていた。

気になり始めたが、もうやらないと決めた。
台本を書かなければいけないのだ。

けれど通るたびに気になる度合いが上がっていく。

……正月に実家に戻った時にドアを作った。
実家には木工場があるのだ。
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そしてそれを京都に郵送してもらい(これは送料が大変だった!)、塗装して取り付けた。
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今の所、DIYにたいする欲はおさまっている。

ん?

待て待て。
これでは趣味ブログだ。
ま、いいや。
これからまた更新して行こう。


posted by 土田英生 at 21:07| 兵庫 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月28日

MONO「はなにら」

 とにかく久しぶりの更新だ。
 今年に入ってから初めてだと思う。
 しかもすでに2月の終わりだ。

 いや、昨年だって12月は全く書いていないので三ヶ月まるまる更新しなかったことになるね。
 
 
 今日、奥村くんから「全然更新されませんね」と言われて、それをきっかけに書いている。
 MONO「はなにら」の最後の稽古が終わった。

 私は1月に稽古が始まってから、1日しか休みがない状態だった。
 まだ休めない。
 なんせこれから初日なのだ。

 いい舞台になりそうな予感だけはあるが、いつものことながら不安でいっぱいだ。

 今回は劇団メンバーのみでの公演。
 とはいっても昨年4人が入ったので9人だ。
 そして……この作品の中でそれぞれが重要な役割を占めている。

 新しさももちろんあるが、劇団としてのこれまでの美学は変わっていないのだ。
 
 明日は仕込み。
 私は舞台をチェックする為に夕方には劇場に入る。
 
 皆様、劇場でお待ちしております!

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posted by 土田英生 at 01:32| 兵庫 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月02日

2つの時間

 姫路にいる。

 ……腰がいたい。
 先日、久しぶりに自分への嫌悪がMAXになってじっとしていたからだ。
 トイレを除けば38時間動かずにいた。
 『動かない鳥』として有名なハシビロコウより動かなかったな。
 やっていたことと言えば『ゴドーとの電話』というアドリブ台本を更新していただけだ。

 色々と待たせている仕事もある。
 本当に申し訳ない。すみません。
 頑張ってやりますので。

 それぞれに連絡をするつもりだけど、今日はまだ無理なので、言い訳の為にこれを書いている。
 
 2つの時間について考えていた。

 人は楽観的にならないと生きていられない。
 例えば南海トラフ地震が来ると言われて久しいが、プレートの軋みを考えばいつかは必ず地震は起こるのだ。
 今だって少しずつ動いているはずで、それがある限界を越えた時に地震はやってくる。

 けれど明日起こるかと問われれば、多分、ほぼ全員が「起こらない」と考えている。
 だから私たちは暮らせるのだ。
 つまり自分たちの、ある主観の中で「楽観的時間」を生きている。

 個人のことを考えたってそうだ。
 私たちは間違いなく死ぬ。
 ただ、それはきっと明日ではないと思っているから生きられるのだ。
 
 人間はそれぞれに主観の時間を持っている。

 仕事でもこのことが原因で問題が起きる。

 「すぐにやりますね」
 「お願いします」
 答えた方はリミットが2週間くらいだと思っていたとしても、頼んだ方は3日かも知れない。

 この例だと一週間くらした時に揉める。
 
 受けた方はまだ残りが一週間もあるのにどうして怒られるのかと不思議に思う。
 頼んだ方はリミットを過ぎてから4日も待ったのに、どうしてそんなにヘラヘラしてられるのかと信じられない。
 両方とも自分は悪くないと思っているので感情的になってしまう。

 感情や気持ちの問題になるともっと難しい。

 これを埋めるのは難しい。
 埋めるのは「言葉」しかないと思うのだが、この言葉のニュアンスにも違いがある。
 それに思っていることを全て言葉で表すのは不可能だし、受けとる側のリテラシーもあって正確には伝わらないことがほとんどだ。

 主観と主観のズレ。
 チェーホフなんてこればっかり書いている。
 ただ、唯一救いとしてあるのは、それでも許したいとか、共存したいという想いだよね。
 ま、簡単に言えば「相手の立場に立つ」ということだけど、これは本当に難しい。

 今日はこれだけ書くのが精一杯だな。
posted by 土田英生 at 00:19| 兵庫 🌁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月27日

出かける前

 久しぶりに京都にしばらくいる。
 今から東京に舞台を観に行くのだが、出かけるまでに30分ある。
 明日の夜か明後日の朝には戻ってくるつもりだし、なんの準備もいらない。
 着替えるだけだ。

 この2週間は膨大な量の台詞やト書きを読んだ。
 それも全て人の書いたものだ。

 13日には東京で劇作家協会の月一リーディングのゲスト、14日に京都に帰ってきて17日には大阪でNHKラジオドラマ脚本賞の審査会。
 18日からは京都造形大学で川村毅さん演出のリーディングの稽古。
 並行して新人戯曲賞の二次審査も引き受けていたので、全部で23本読んだことになる。
 
 引きずられたようで、昨日もプロットを書いていたけれど、どうにも自分の感覚が取り戻せない。
 
 こんな風に家で過ごすのも久しぶりだ。
 家の中にいると色んな場所が気になり出した。
 
 階段を上がったところの窓。
 殺風景で嫌だなあと前から思っていた。
 カーテンをしてごまかしていたのだが、それを外すとこんな感じだったのだ。

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 リーディングの稽古帰り、Can Doに立ち寄った時、ふとこんなものが目に止まった。

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 なんだこれ?
 マグネットになっているテープ。
 厚みもある。
 ステンドグラスの枠に使われている銅テープっぽいなあと思った。
 その途端、「あ」と思った。

 早速買ってきて、これで枠取りをして、中をガラス用のペイントで塗ってみた。

 まだ途中だが、今はこうなっている。

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 寝室に小さいゴミ箱が欲しいとも思っていた。
 けれど隙間が狭くて、家にあるものだと置けない。

 マグネットテープを買った時、ついでに板を何枚か買ったのを思い出した。
 あれで作ってみよう。
 100圴で売っている板は反っていたりするし、質も悪いけれど、柔らかいから加工はしやすいんだよね。

 昨日、プロットを書きながら合間に作ってみた。
 
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 材料費は400円だ。
 ちゃんと隙間におさまった。

 
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 ……なんだこれ?
 ただのDIYブログみたいになっている。

 私は人と喋っているのも大好きだが、一人で引きこもって何かを作っているのも好きなのだ。
 レザークラフトもそうだし。
 常に自意識が騒がしい私だが、集中していると忘れられるんだよね。
 だったら台本を書けと思うけど、台本は書きながらも常に色々と考えてしまうから苦しいのだ。

 もう時間がないのであまり書けないけれど、造形大学まで三日間、バスで通った。
 3番の市バスに乗って始発からほぼ終点まで。

 このバスは京都を東西に横断する。

 途中、住んでいた場所もたくさん通る。
 南広町、四条大宮、出町柳。
 そして様々な思い出の中をバスは通り過ぎていくのだ。
 意図的に考えるつもりもないのに、過去のあらゆる景色がフラッシュバックして侵入してくる。
 深夜に水沼くんと歩いた道、鈴江さんや松田さんといつも朝まで話したタナカ珈琲、深津くんと喧嘩した交差点、マキノさんから初めて台本の依頼をしてもらった高木モータースがあった場所。
 
 3番のバスはやばいね。
 
 着替えないと。
 どうでもいいけど、スエットがまた前後ろ逆だ。
 もう脱ぐからいいけど。
 
posted by 土田英生 at 12:40| 京都 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月30日

言葉、言葉、言葉。

 上田で『尼ヶ淵スケッチ』を終えて、ちょっとだけ京都に戻ってきている。
 
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 写真は劇場の裏に流れる千曲川。
 それにしても上田は楽しかった。
 
 参加者の皆も頑張ってくれ、本番は二回共うまく行ったと思う。

 初舞台だという人もいたけれど、全く問題なかった。
 そして劇場の皆のサポートが素晴らしかった。
 劇場のスタッフたちはセクションなどを越えて、企画を支えてくれた。
 個人的にも様々な形でお世話になった。
 上田の街にも詳しくなり、そこにいる人たちとの交流も含めてとても愛着のある場所になった。

 毎日露天風呂に入り、稽古をして、美味しいものを食べた。

 また来年も行けるのが嬉しい。

 MONOから演出助手兼出演で参加した立川茜さんも立派に役割を果たしていたね。
 多分、彼女も上田が気に入ったんだと思う。
 とてもリラックスした表情で過ごしていた印象だ。
 
 それにしてもよく歩いた。
 
 稽古の前にも後にも上田を歩き回ったし、時には郊外まで足をのばした。

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 本番の翌日、帰る前にも観光をした。

 小諸の布引観音には感動したねえ。
 崖の上に建っているので、登るのは大変だったけど。

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 上田では2週間弱滞在。
 恵まれた環境の中、いろんなことを考えることができた。

 仕事の具体的な内容から、これからの私が歩む道についてまで。


 ……ま、考えることがいいことなのかはわからないんだけどね。
 

 この前も人から「言葉にし過ぎだ」と言われた。

 まあ、そうなんだろうね。

 私は言葉でしか物事を捉える事が出来ないんだよね。
 気持ちを意識化、つまり言葉にすることで、確かにこぼれ落ちてしまう部分はあるのはわかっているけれど、それでも言葉にしようとしてしまう。

 ハムレットはボローニアスから「何を読んでいるんですか?」と聞かれ「言葉、言葉、言葉だ」と答えるけれど、私の場合は「何を思ってるんですか?」と言われればそう答えたい気分だ。


 言葉にせずにどうしたら理解出来るんだろ?
 行動は予測もつかないし、言葉以外で判断するってどうしたらいいのか?

 私は昔からそうだ。
 心理学マニアのくせに、自分が関わることについては微妙こと、つまりキビが分からないんだよね。
 だから言葉を欲してしまう。

 劇団を長い間やってきたけど、最初の頃はメンバーともそれでよく揉めた。
 相手が「そんなこと聞かなくてもわかるだろう」と考えていることを、確実な言葉として求めてしまう。
 
 30代の前半の頃。
 ある女性を好きになり、思い切って誘ってみた。
 彼女はオッケーをしてくれて、二人で飲みに行った。

 話している感じから向こうもその気があると判断した。
 しかし、そこに確実は言葉はなかった。
 どうしよう?
 私は勇気が出なかった。言葉が欲しい。

 私はもう一軒誘った。彼女もついてきた。
 とてもいい雰囲気だった。
 これは、これは絶対に大丈夫だと思った。
 けれど、まだ言葉はない。
 やっとそういう話題に持って行った。
 彼女は「今、彼氏はいるんですけどね」と呟いた。
 それが拒絶の言葉ではないことくらい理解できた。

 しかし、しかし……。
 「だけど××なんです」というような確実な言葉はなかった。

 だから私はさらにもう一軒誘った。
 彼女もついてきた。
 
 7時くらいから飲んでいて、気がついたら朝の4時だった。
 その時だ。
 彼女は言った。

「あの、私、ここまで気持ち出してるのに気づきませんか?」

 ……時々、あれを思い出す。
 
 言葉を求める病だな、私は。
 他者と関わる中では言葉が一番頼りになると信じてしまっているんだよね。

 
 なんでも『話せばわかる』と考えている節がある。

 いやいや、5.15事件でも「話せばわかる」と言っていた犬養毅首相は死んじゃったしね。

 話してもわからないのかもしれないよね。
 

 だいたい、台本を書くということは言語化する行為だし。
 そればっかり何十年もやっているからこうなったのかもしれない。
 
 この一ヶ月くらい、私は暇があると絵を描いている。
 別になんの目的もない。
 もしかしたら言葉以外の表現をどこかで求めているのかもね。

 といいながら、今も台本を書いている。
 観劇三昧が企画している路上演劇祭にMONOとして「立川茜、高橋明日香、石丸奈菜美」の三人が出ると言ってくれたので、その台本を考えているのだ。
 
 MONOは10月8日の14時15分から。
 →タイムテーブルなど

 全部で20枚くらの短編だけど、書く以上は面白いものにしないとね。

 ああ、また言葉、言葉、言葉だ。
posted by 土田英生 at 05:01| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月23日

明日は本番

本当は眠りたい。
しかしだ。
洗濯物を乾燥機に入れてしまった。
まだ待たなければいけない。

上田のサントミューゼで上演する市民参加劇『尼ヶ淵スケッチ』は明日が本番。

この公演はサントミューゼが行っているレジデント・カンパニー事業の一環だ。

今年から来年にかけて私とMONOがレジデントアーティストとして参加させてもらっている。だから私だけでなく、MONOからは立川茜が演出助手兼役者で参加させてもらっているのだ。

1年目はアーティストとのふれあいで2年目に本格的な作品創作をする。だから今年は地元の役者さんを使ってリーディングなどをやってもらえればという話だったのだが、どうせなら作品を創りたいと思ったので、わがままを言わせてもらった。

芝居の形にしてもらってよかった。
やっぱり役者は台詞を覚えてから全ては始まる。
45分の短い芝居とはいえ、個々の魅力も出ているし、いいものになっていると思う。

こういう企画で面白いのは役者さんが目に見えて変わっていくことだ。
全くの初舞台の人もいるが、これがとてもよかったりするんだよね。
本当にグングン伸びて行くのが分かる。
モンステラくらい成長が早い。
……という喩えを使いながら私はモンステラをよく知らない。
成長の早い植物だと、この前誰かが言ってたのを聞いた。

何人かの知り合いが東京からも観に来てくれるという。
とにかく最後まで手を抜かずに頑張ろう。明日の朝にももう一度通し稽古ができるしね。

だけど今日も本当に疲れた。
朝の10時から8時間の稽古。
小返し、通し、さらに小返し、二回目の通し。
終わってさすがに一直線にホテルまで戻って来た。

しかも……筋肉痛だ。
理由はわかっている。

歩きすぎなのだ。

特に昨日。
トレーニングだと言っても通用するくらい歩いた。


夕方からの稽古だったので昼間に時間があった。
思い立って少し遠出してみた。

上田から電車に乗って小諸まで行ったのだ。
雨がひどい。
それでも小諸城は見たかったので後悔はない。
想像以上に石垣が素晴らしかったしね。

小諸からは再び電車に乗って海野宿を目指した。
今回の芝居に出てくるので、実際に見ておきたかったのだ。

移動はしなの電鉄。昔はJRだった路線だ。

ただ、この列車。
私はドアを見て戸惑った。

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時々、ドアの横にボタンがある列車などは知っている。
けど、この電車にはそんなものもない。

私が降りたかった「田中」という駅に着く。
マゴマゴしていると、横の人が普通に手で開けてくれた。

……なるほど。
そんなにシンプルなのか。
もう学習した。
これからは積極的に私が手で開けてみよう。

田中駅から雨の中を歩いて海野宿を目指す。

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いやあ、本当にいい場所だった……。
晴れたときに来たかったけど。

そこからまた延々と歩き、電車に乗って上田に帰って来た。

電車が上田に着く。
わかってるわかってる。
ドアを開けるのは私に任せといてください。
自慢気にドアに手をかけた。

……自動でドアが開いた。

私は思わずつんのめった。
恥ずかしい。どうやら大きな駅では自動で開くようだ。
また一つ学習した。

とにかくこの日は、稽古前だというのに雨の中を4時間くらい歩いたと思う。

なのに……。

稽古が終わってクタクタだった。
立川さんと一緒にホテルに向かう。
「ご飯だけ食べようか」という話になり、軽くのんだ。
店を出て上田の街について話していた。

あそこがあの店だったよな、いや、違いますよ、などという会話になり、じゃ、確かめようという展開になって私たちはホテルと反対方向に歩き出した。
一つの目的地につくと、さらに、そういえばこっちに面白いアレあったよな、あの看板は笑ったよね、などという話になり、なぜか見てみようという結論に達して、さらに歩き出す。
途中、街の人から声をかけられて色々と興味深いものを見せてもらったり……そんなこんなで、結果的に……ホテルに戻って来たときには12時過ぎていた。

1時間以上は歩いていたと思う。
私は昼間に散々歩いたのに、稽古を挟んでまた歩いてしまった。


……こんなに歩いているのに私はやや太った。

毎日、せっせと食べているせいだ。

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最後のは長野あんかけ焼きそば。
からし酢をかけて食べる。

……これ、ハマりそうだ。

お、さすがに乾燥機終わった。
取りに行って寝よう。
posted by 土田英生 at 02:44| 長野 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月21日

あと一歩

 今日は「尼ヶ淵スケッチ」の通し稽古。
 1日でぐっとグレードが上がった。
 音響、照明との場当たりも昨日終わったので、カーテンコールを除けば芝居はできている。

 今のまま本番をやったとしても市民参加劇としてはよくやったねという感じにはなるだろうね。
 でも欲が出る。
 純粋に舞台作品として面白いものにしたい。
 少し演出も付け足した。
 よりいい感じになった。
 嬉しいことに皆のモチベーションも高いし、まだまだいける。

 どんどん付け加えて行こう。

 明日も通し稽古、明後日は朝から小返しも通しも出来るし。

 
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 日常をモチーフに芝居を創る時、役者に年齢の幅があるのは嬉しい。
 今回は17歳から70歳を過ぎたメンバーまで様々だ。
 それぞれの存在が作品の上で何よりのスパイスになっている。

 今回のタイトル『尼ヶ淵スケッチ』について。

 昔、上田城は尼ヶ淵城とも呼ばれていた。
 千曲川が城の南側まで来ていたので、それを堀として使っていて、そこが尼ヶ淵と呼ばれていたからだ。のタイトルはそこから取った。上田に暮らす人々の会話の切り取りなのだが、過去から現在にかけての時間軸を感じてもらいたいと思って「尼ヶ淵」を使ってみたのだ。

  
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 ここが尼ヶ淵と呼ばれていた場所の現在。
 
 ……いやあ、それにしても今日は上田城についての知識が深まったね。

 稽古が夕方からだったので、朝からホテルに迎えに来てもらい、ブラタモリなどにも出ていた上田市教育委員会文化振興課の和根崎剛さんに案内してもらいながら町歩きをしたのだ。

 私は小学校の時からお城が好きで、それを知った劇場の方が企画をしてくれた。
 いやあ、楽しかった。
 
 カメラマンの方も一緒で、時々掲載用の写真を撮ってもらいながら歩き回った。

 様子を覗きに来ていた立川さんも一緒に参加する形になり、彼女は美味しい天然酵母のパンを食べている姿などを撮ってもらっていた。あ、ここのパンは……本当に美味しかった。

 
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 終わってからは蕎麦を食べ、劇場で和根崎さんと対談。
 いろいろな話をきかせてもらい勉強になった。
 うかがった話を元に本でも出したいくらいだけど、ただの盗作になってしまうからダメだね。

 好きなものといえば……。


 サントミューゼには劇場と美術館がある。

 日本の城と並んで私が好きな物は……アンティーク家具を含むインテリア。
 しかもイギリスのもの。

 となると……壁紙などで有名なのはウィリアム・モリス。

 生活と芸術を一緒にしようという『アーツ&クラフツ運動』を始めた人で、家具や壁紙のデザインを多くしている。
 私は彼の大ファンで写真集なども何冊も持っている。
 
 こんな偶然はあるのかという感じだが、美術館では『ウィリアム・モリス展』が開かれているのだ。
 ああ、ああ……。
 嬉しい嬉しい嬉しい。

 昨日の稽古前に行ってきた。

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 興奮したなあ。
 売店で本やTシャツを買った。

 しかし……。
 喜んで着てみたものの……ピチピチになってしまった。サイズは合っているはずなのに。

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 まるで加圧シャツのようだ。
 
 いや、いい。
 私なりの『アーツ&クラフツ運動』、いや、違うな、ただの運動だと思うことにする。

 なんせ連日食べ過ぎているからだ。

 あ、いや、そういう時間も過ごしつつ、あくまで大事なのは舞台だ。
 明日も頑張ろう。

 そう、あと一歩なのだ。
 
posted by 土田英生 at 03:29| 長野 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月19日

上田での滞在

劇場が休館日だったので今日の稽古は休み。

夕方には劇場の皆に焼肉屋さんに連れて行ってもらった。
一ヶ月前から予約しないと取れないという店らしい。前から噂は聞いていたので行けてとても嬉しかったし、予想通り美味しくて信じられないくらいの量があった。

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私は皆と飲んでいる時、最後までいるタイプだ。
けれど、今日はそんなにアルコールも入っていないのに、眠気が襲って来て我慢できなかった。
残念だが途中で失礼した。

で、ホテルに帰って来てからしばらく眠り込んでいたのだ。
どうしてあんなに眠たかったんだろ?
昨日までの三日間、朝から7時間の稽古だったのでその疲れもあったのかも知れないし、今日、4時間も歩いたせいかも知れない。

けれど最大の原因は夜に眠れないことだね。

ホテルも快適だし、毎日露天風呂に入って美味しいものも食べている。

これ以上のリラックスはないはずなんだけどねえ。
なんでだろ?

今日は昼過ぎに起きて、街をぶらぶらした。
上田は小さな街だ。
人口は15万7千人。
市街地はコンパクトで歩きやすい。

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二時間くらいぶらついた。
今、稽古をしている「尼ヶ淵スケッチ」は上田に暮らしている人たちの会話を切り取ったものなので、演出する上でも街の空気を把握したいと思った。

旧北国街道で昔の面影が残る柳町を越え、海禅寺の辺りまで来た時、道端でかがみこんでいる高校生がいた。
茶髪の男子だ。
何をしているのかと思ったら……虫を探していた。
私と目が合ったら恥ずかしそうにしながら会釈してくれたので私も笑顔を返した。
なんだか……切なくいい気分だった。

それからは一緒に来ている立川さんと待ち合わせをして上田電鉄に乗ってみた。

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適当な駅で降りた。
あてもなく歩いた。
広がっている田んぼや大きなため池。
遠くに山の稜線が幾重にも重なっている。

新しく開発された宅地には瀟洒な住宅が並び、中学校からは部活動の声が聞こえる。

二人組の男子中学生が「こんにちは」と挨拶をして通り過ぎていく。
その自然さにふいに涙が出そうになった。

寂れた神社があった。巨木が立っていた。
思わず見とれ、この土地の歴史を思う。

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いい時間だったね。


明日は音響や照明の打ち合わせもし、段取りを組んで通し稽古をする予定。
多分、上演時間は50分くらいになると思う。

23日と24日。
サントミューゼでお待ちしています!

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情報はコチラから!

明日は稽古前にへ併設されている美術館で『ウィリアム・モリス展』を見る。
楽しみだ。これについてはまた書こう。
posted by 土田英生 at 03:59| 長野 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする