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MONO代表・土田英生のブログです

2018年05月16日

距離の問題

 朝になってしまった。
 一応、パソコンに向かっていたがあまり進んでないな、昨夜は。
 
 お風呂にでも入ろう。

 本当は昨日のうちに下北沢に戻ろうと思っていた。
 戻った目的であった用事が終わったのが夜になってしまったのでそのまま京都にいる。

 現在の私は東京にいても京都にいてもどっちみち1人暮らしなので、その点では変わらない。
 京都は小さいとはいえ一軒家で、何かと揃っているので下北沢よりも快適だ。
 仕事部屋に買ったばかりのイスも座り心地いいしね。

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 下北沢も静かだけれど、嵐山には勝てない。
 寝室の窓を開けたら、裏は山だしねえ。
 窓を開けたまま昼寝すると気持ちいい。
 まあ、夜中に道をイノシシの親子が歩いていたりするけど。
 
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 それでも駅まで徒歩5分だし、家からすぐのところにコンビニもできて便利になった。
 じゃ、次の打ち合わせまでここで書いてたらいいんだけどね。
 明日の朝には下北沢に戻るつもりだ。
 本当は今日戻ろうと思ってたけど、昨夜コーヒーメーカーが壊れ、思わずAmazonでポチッとしてしまったのでそれが届くのを待たなければいけなくなった。また、しばらくいないのになんで慌てて買っちゃったんだろう。
 
 それはいい。
 問題はどうして戻るのかということだ。

 やっぱり距離の問題ってあるんだよね。
 今の仕事にかかわっている人たちはみんな東京にいる。京都にいるとどこか遠く感じられてしまう。
 昨日もプロデューサーと電話で相談をした。
 それは下北沢で電話をしているのと変わらないはずだし、その相談も充実したものだった。
 なのに、なんだろ?
 やっぱり東京で書いていないとダメな気がする。
 東京と地方という問題でもない。
 相手との距離だ。
 きっとMONOの台本を東京で書いていたら同じように感じるんだと思う。
 これだけ通信手段が発達しているというのに、やっぱり現在進行形で仕事している時、会える場所にいるということは大きいんだよね。


 海外に行くと途端に楽になるのも、そういうことだよね。
 ま、逆の意味だけど。離れるから楽になるというか。
 最近行けてないけど、ロンドンに頻繁に行っていた時、ヒースロー空港に降り立つだけで毎回身体が楽になるのを感じた。
 BBCWorldなんかで日本のニュースを見ても、どこか遠い感じがして傷つく度合いも少なかった。
 日本にいるとやっぱり責任を感じるんだろうね。
 
 
 こうやって書いていたら行きたくてたまらなくなってきたな。
 なんで喩えでロンドンのことを出したんだろう?
 昨日、掃除をしていたらロンドンで買ったスケッチブックが出てきて、そこでGoldhawkRoadの駅の絵を見つけたからだ。
 住んでいたフラットから歩いて30秒のことろにあった駅だ。

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 こんな中途半端な絵を晒している場合じゃないな。

 距離の問題があるなあということを書きたいだけだった。

 そろそろ終わろう。
 何するんだっけ?
 あ、お風呂に入るんだった。

 ロンドンのことを書いたら無性に懐かしくなったので、ラジオでBBC4を聴きながらつかろう。
 これは留学中、英語の先生からリスニング力強化にと勧められて毎日寝ながらかけていた。
 条件反射になってしまい、BBCを聴くとすぐに眠りに入ってしまう癖がついた。
 だから全く意味をなさなかった思い出がある。
 今でも聴くと眠たくなる。
 面白いのは、突然、全てがクリアに聞き取れるなと思ったら夢だったりすることだ。
 ああ、英語もやらないとね。

 ま、今の仕事が終わってからだな。

 全てを先延ばしにしてる。
 いろんな人から、様々なことに関して決断を求められたりもしてるんだけど、それも放置してある。

 動かなければ。

 何をするんだっけ?
 だから……さっさとお風呂に入ろう。


posted by 土田英生 at 06:15| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月13日

書けた時にすること

 『崖っぷちホテル!』は佳境。
 あと、一息。
 
 苦しい。
 ふと考えると、これまで連続ドラマを全部一人だけで書いたことはないもんね。
 『保育探偵』はほとんど書かせてもらったけれど、それでも他の脚本家の方が書いた回もあるし。『斎藤さん2』も1人で書くことになっていたのに、途中で間に合わなくなって相内さんに4話だけ書いていただいたしねえ。

 今回は……一応、最後まで1人だ。

 脚本家の中には個人的に助手のような人をつけて、その人にプロットを書いてもらったりしている方もいるようだけど、人望のない私にはそんな存在もいない。

 けど、まあ、こうやって仕事させてもらえるのはありがたいことだしね。頑張ろう。
 

 この前も締切から随分と遅れて原稿を出した。

 最近の楽しみは提出した日だけお酒を飲むことだ。

 けれど……出したのは朝の5時。
 誰かを誘うわけにもいかない。店もやっていない。
 部屋で一人で飲むのは虚しい。
 
 お酒は諦めた。

 しかし、なにかスペシャルなことがしたかった。
 それにしたって……買い物するにしても店だって開いていない。
 元気であればドンキに行くという手もあるが、徹夜明けでその元気はなかった。
 Amazonで何かを買おうと考えて、しばらくパソコンを眺めた。
 違う!
 今だ。今、なにかの喜びが欲しい。
 喜びを手に取りたいのだ。

 とにかく出かけようと思った。
 何も考えずに部屋を出た。

 しつこいようだが朝の5時。
 とても……静かだ。

 足は自然とローソンに向かう。
 けど、止まった。
 おいおいおい。これではいつもと同じじゃないか。
 原稿を書いている間も、1日3回はローソンに行くというのに。

 方向を変えてセブンイレブンに向かった。
 そしてまた足を止める。
 ローソンに飽きた時、時々行くではないか。
 全くスペシャルじゃない。

 しばらく道で立ち尽くした。

 やることがない。
 行く場所もない。

 ファミリーマートに向かった。
 少しだけ遠いのだ。
 とはいっても5分歩くだけだけど。

 そして店に入った。
 困った。
 入ったものの……買うものはない。
 
 カゴを手に取り、牛乳やアーモンドなどを入れた。
 これでは全くいつもと変わらない行動だ。

 あああ、スペシャル、スペシャル……。

 無印の商品が並んでいる一角でいろいろなものを手に取ってみる。
 ノート、ペン、高濃度の化粧水、ネイルケアするヤスリ的なもの。
 どれもこれもいらない。
 必要なものも、買いたいものもない。
 
 ……なぜかコンパスを買った。
 300円だった。
 
 もちろん必要もない。
 ただ、事務所にないというだけだ。

 帰ってきてコーヒーを飲みながら、裏紙に円を描いてみた。

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 全く楽しくなかった。
 ……なにをしてるんだか。
 
 結局、仕事をした。
 テアトル・エコーに書き下ろさせてもらう作品の構想を練った。
 いい感じで作品の形は見えた。
 
 うんん……。
 それにしてもだ。
 何かがおかしい。
 このところ、ずっと欠落感に苛まれている。

 仕事は忙しいし、人と会えばいつものように喋る。
 だけど、大きな何かを忘れたまま暮らしているような感覚に陥ってるんだよね。

 なんだろう?

 忙しさを理由に、いろいろなことから目をそらしているせいかも知れない。
 社会のこと、周りで起きていること、そして自分のこと。
 大事なことに向き合っていないのかもね。

 日々、目にするニュース。
 そして新たに知る情報。

 それら一つ一つに対して、私なりにダメージを受ける。
 自分の反応を足がかりにして、それについて考え、意見らしきものが形作られる。
 ただ、それを吐き出すことはせず、溜め込んだまま過ごしている。

 全部を先延ばしにしている感覚。

 傷つきたくないので、傷ついていることに必死で気づかないようにしているのかも知れない。
 
 このままにしておくと危ないなあとは思うけど、今はどうしようもないんだよね。
 
 時間がないし。

 
 人が宗教を求める気持ちがわかる気がする。
 やっぱり何かに寄りかかりたい時はあるよね。
 今、私を支えてくれているのは心理学だ。

 けれど、これだって宗教みたいなもんだよね。
    
 今から京都に戻る。
 持って帰るものを机の上に並べたら、いつものように革だらけだ。

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 自宅に帰ればもう少し落ち着けるはずだ。

 ま、京都でもただ仕事するだけだけどね。
 
 でも、今晩は『崖っぷちホテル!』の5話を見ないと。
posted by 土田英生 at 08:53| 東京 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月23日

デューク土田

 寝ようと思ったらすでに朝だった。
 昨日は「崖っぷちホテル!」第2話のオンエアだった。
 毎回、翌朝にはプロデューサーから諸々報告の電話がある。
 なのでそれまで起きていようと思い、これを更新することにした。
 
 MONOの公演が終わって、休む暇もなく東京にいる。
 毎日パソコンの前に座り、ローソンに一日三回行くだけの生活だ。
 おかげでポンタカードのポイントがどんどんたまっていく。

 積み重ねってすごいよね。
 2年前、友達と花見をしようということになった時、ローソンでたまっていたポイントを使おうと思った。それまで一度も使ったことがなかったのだ。見てみたら4000ポイントくらいたまっていたので全部使った。

 そして去年の秋にもポイントで払おうとして確かめたら2000ポイントあった。その時にも全部使い、今は700ポイントくらい。
 
 あれ、100円で1ポイントだよね。
 ということは……67万円もローソンで使っていることになる。
 チリも積もればだ。

 そうそう。
 積み重ねと言えば……。
 私は去年の12月から気が向いた時に腕立て伏せをすることにしている。
 別に真剣に鍛えている訳でもないけど、続けていたら明らかに身体つきが変わってきた。
 胸と腕がパンパンになってきた。
 こう書くとかなりムキムキなイメージだけど、そこまでではない。
 前がポヨポヨだったので、それが引き締まったというだけかもしれない。
 だけど、どうやら嬉しいんだよね。
 前回の公演の時とか、楽屋で衣装に着替える前、上半身裸でいる時間が長かった気がする。
 
 いや、書きたかったことは日々の積み重ねは侮れないなということだ。
 ポンタカードも私の胸筋も増えて行くし。
 
 ま、そのおかげもあって体力的には全然問題ないんだけど、今キツイのはメンタルだね。
 緊張状態がずっと続いている感じだ。
 まあ、これはドラマが終わるまでは続く。
 しかも、終わってからもすぐに舞台の新作を書き下ろすのでまだまだ休めない。
 テアトルエコーさんに新作を書き、演出もさせてもらうのだ。
 だから、今のところ、お盆までは休みがない。

 ああ、本当は一ヶ月くらい休みたいんだけどねえ。

 ロンドンにも長い間行ってないし。
 最後に行ったのは……3年くらい前かもしれない。
 そうだ。
 ホテルにいたら佐々木蔵之介くんもロンドンにいるということがわかり、朝方までSOHOのバーで飲んだ記憶がある。
 楽しかったな、あれは。
 
 だけど、休めないものは仕方ない。

 舞台にしろドラマにしろ、作品を発表すれば様々な反応もある。
 どうしたって嫌な声も耳には入ってくる。
 それに対し、私にだって言いたいことは山のようにあるんだけど、ま、我慢だね。
 
 去年、自分を見つめ直す機会があって、泣き言を周囲にばらまくのをやめようと決意した。
 私は息を吐くように愚痴を言うタイプなのだ。
 だけど、それを変えてみようと思った。
 もちろん劇的には変えられないけど、心がけているだけで前よりましになった。
 これだって腕立てやポンタカードと同じだ。
 日々の積み重ねだ。
 気がついた時にはメンタルが強い人間になれているかもしれない。
 
 異常に打たれ強い、鉄のようなメンタルを持った人間になったらどうしよう?
 もしかしたらゴルゴ並みになったりして。

 デューク土田に改名しよう。
 
 ……いいんだけど、これ、難しいところなんだよね。
 嫉妬深く、人を妬んだり、泣いたり、喚いたり……そういう負の感情が何かを書くモチベーションになったりするし。
 弱いからこそ、他人の弱さに共感できたりするということもある。
 物を書くならやっぱりジェラシー土田のままがいい。
 
 とにかく粛々と目の前のことをこなすしかないのだ。
 心の中で大騒ぎしながらも、表向きは『デューク土田』として自信を持って進む。

 休みがないので、せめて日々の仕事環境を整えようと思いイスを買った。
 仕事のイスだけはアンティーク家具だと座りずらいので、デザインだけのリプロダクションものだ。
 だから高さも調節できる。
 仕事部屋で使っていたイスがボロボロになってきてたのでいい機会だと考えたのだ。

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 しかし……このイスに座って書くことはなかった。
 これは京都の家にある。
 私が仕事をするのは下北沢だったよね。なんで気づかなかったんだろ?

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 この前、久しぶりに打ち合わせが日テレであった。
 駅にあったポスターの写真。

 ああ……後、一時間ちょっとで電話があるね。
 怖いんだよね、毎週。

 いかん。デュークなのに。
 腕立て伏せでもして待とう。
 
 
posted by 土田英生 at 07:28| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月10日

「隣の芝生も。」終了

 MONO「隣の芝生も。」の公演が全日程終了した。
 稽古開始は1月後半、3月10日に名古屋で幕を開けて、東京、大阪、四日市、そして4月8日に北九州で千穐楽。

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 今回はビルで隣り合う二つの部屋が舞台になっていた。
 一つが元ヤクザたちが探偵事務所をやろうとしている部屋、隣がスタンプ屋。
 「盆」が回って違う部屋になる仕組みだった。上の写真はスタンプ屋の状態だ。
 お客さんからは見えなかったと思うけど、ちゃんと棚にはスタンプが並んでいたりする。

 
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 作品の評価は観客の皆がするものなのでわからないけど、とにかく登場人物10人、それぞれをキャラ分けして見せて行くことに最も苦心した。

 まあ、これは毎回のことだけど。

 私はいわゆる“ちょい役”というものが書けない。
 これは完全につかこうへいさんからの影響だと自分では思っているが、どの役者も「出ている」と実感できるだけの役割を振るように心がけている。もちろん出番の多さや台詞の量で、役の重要度が決まる訳じゃない。大事なのは作品だ。
 そうは思うんだけど、あまりにも出番が少ない人がいたりすると、稽古場で気になって仕方ないんだよね。
 私が耐えられないのだ。
 同じだけ時間を拘束されているのにきっと不満だろうな、と、気が気じゃなくなってしまう。
 
 MONOでは、自分が出ていないシーンが続いていても、基本的には皆が稽古を見ている。
 強制している訳じゃないけど自然にそうなった。
 一緒に芝居を創っていたら他のシーンだって見るのが普通だしね。自分の台詞を覚えていたりするのは構わないけど、稽古中に作品以外のことをされるのはなんとなく嫌だし。

 ある稽古場を見学した時だ。
 二人のシーンをやっていて、演出家がいろいろと稽古をつけていて……けれど他の役者は喋ってたり、スマホを眺めてたりしていた。中にはゲームをしている役者もいた。自分の現場ではないけどイライラしたし、その舞台は観に行かなかった。だいたい、他人の稽古を見ている時にこそ発見があったりするのにね。

 MONOでは稽古中にスマホなどを眺めている役者もいない。
 そういう役者さんは私の中ではNGになっていってしまうので、そういう人は残らないからだ。
 
 話がそれたけど、人の稽古ばかり見ている役者に気づくと「やばい。あの人、しばらく出てきてない」と焦り、慌てて出番を作ったりしてしまう。
 そのせいで話が変わって行くことすらある。

 ……これは私の欠点でもある。
 そういう意味では本当の劇作家ではないのかもなと思う。

 全くそういうことを気にせず書いてみたいと思ったりもするんだけどね。
 外に書き下ろす時で、自分が演出をしなかったり、「主役をこの人で」と頼まれたりした時は役の大小があったりするけど、自分の劇団では無理だね。
 
 自分の中では様々な思いはあるけど、とにかく終わった。
posted by 土田英生 at 05:34| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月04日

残りは北九州公演のみ! そしてドラマ!

3月10日に名古屋で幕を開けた「隣の芝生も。」。

……どうでもいいけど、タイトルの最後に『。』がつくせいでどうも文章にしまりがなくなるな。
タイトルの最後にマルは金輪際つけないことにしよう。

とにかく名古屋、東京、大阪、四日市と終わり……残すは北九州の3ステージだけになった。
多分、この作品も再演することはないだろう。
そう考えると切ないもんだ。

再演をしたくないというのではないんだけど、それなら他にも再演したいと思っている作品はたくさんあるしね。「約三十の嘘」「その鉄塔に男たちはいるという」「相対的浮世絵」「なるべく派手な服を着る」「ぶた草の庭」「裸に勾玉」……今の公演ペースで考えると実現は難しい。
本当に演劇は厄介だよね。
DVDなどでは撮っているけど、劇場で体験する舞台作品ではないし。
役者も年齢を重ねる。今回の「隣の芝生も。」だって出演者一人一人にあてて書いているので、何年か後には書き直さないと再演できない状態になってしまう。

時間が経てばいろんなことが変わっていく。
演劇を大げさにいうつもりもないけど、やっぱり生でやるということは奇跡だなと思う。
毎回、ツアーを組んで回っているけど、キャストもスタッフも毎回、全員が揃わないと上演ができないって……なんて効率が悪いんだろう。

今となっては当たり前の風景。
けれどその前にはいろいろなことがある。そして結果が現在だ。

稽古を始めた頃は嵐山駅だって冬景色だった。けれど今は桜が咲き、すでに散り始めている。

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稽古期間中は工事していたコンビニもすっかり営業中で、毎日ここでアーモンドを買うのが私の日常になった。

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去年の春からワークショップをし、特別企画をやっていた5人も、今はMONOの古参メンバーとともに「隣の芝生も。」を創り、毎日アップをして本番に臨んでいる。

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これまで離れて行った人のことを思い出す。
通り過ぎて行った人たちもたくさんいたのだ。

だからこそ今も一緒に活動してくれている一人一人のことを考える。
とにかく古い新しい関係なく、今、一緒にいる人たちを大事にしてやって行かないとね。
その結果が、またさらなる現在を作っていくんだし。

そんなこんなで残りは北九州。
10人のキャストと盤石なスタッフでいい舞台にしたいと思っておりますので……皆様、お待ちしています。
公演サイト

✴︎ ✴︎ ✴︎

そして……4月15日から始まる日本テレビ系列の新日曜ドラマ『崖っぷちホテル!』。
これも間もなく始まる。
撮影は順調らしい。
私は公演中なので顔を出せていない。だからプロデューサーからの報告を聞いているだけだ。

だいたい、脚本家って孤独なんだよね。
私が触れる人はプロデューサーや監督など、一部のスタッフだけで、役者さんなんかとは顔合わせの時に挨拶して、撮影に顔出した時に少しだけ喋ったりして、次に皆とガッツリ会うのがいきなり打ち上げだったりするからね。
現場にしょっちゅう顔を出して、役者さんに直接ダメ出しする脚本家もいるみたいだけど、できないよねえ、そんなこと。

明日は本打ち。
もし早く東京に行けたら、そっと撮影に顔を出してみよう。
posted by 土田英生 at 01:53| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月31日

不条理な時間

 MONO「隣の芝生も。」の大阪公演最終日のことだ。
 劇場での片付けを終えて自宅に戻ったのは12時頃だった。
 本番もやった後だったので疲れていたけれど、私には締切が待っていた。
 とにかくお風呂に入り、パソコンに向かった。
 それから二時間経った頃だ。どうしても頭が回らない。

 ……気がついた時には床に転がって眠っていた。
 
 本番の疲れもあるが、実は前日もあまり眠れていなかったのだ。

 26日の公演後、お世話になっている編集者の皆がきていたので居酒屋に顔を出した。
 いつもならそのままズルズル飲んでしまうのだが、仕事があった私は一時間余りで切り上げ、きちんと京都まで帰ってきた。嵐山までの電車はすでに終わっていたので、桂からタクシーに乗って自宅に到着。

 ……カギがなかった。
 iphoneの明かりを使ってカバンの中をなんども探す。
 カバンを四回くらいひっくり返したけれどやっぱりカギはない。

 思い出してみる。
 あ!
 私はよくカギをなくすので、今はジーンズなどにキーホルダーをぶら下げていてそれは決して外さないことにしている。
 なのにだ。
 ちょうどこの日は、終演後のトークに登壇することになっていて、出る直前にみっともないと思ってそれを外した記憶があった。
 
 とにかくカギはなかった。
 目の前に私の自宅はある。
 しかし入れない。
 これはなかなかに不条理な空気を漂わす。
 
 冷静になって、カギのレスキュー的サイトを探して電話してみた。
 5,800〜となっていたので、これならいいやと判断した。
 高くても1万円では収まるだろうと思っていた。

 待つこと30分。
 車がきた。そしてカギ穴を見るなり言った。

『これ、開かないやつです』

 私は黙っていた。
 
『無理やり開けることはできますけど……そうします?』
『いくらかかるんですか?』
『98,000円です』

 別の不条理空間が現れた。

 面倒なのでこの先の会話は書かないが、私はちゃんと抗議した。
 サイトの話もしたし、消費者生活センターの話にもなった。
 結論だけ言えば……ガチャガチャやってはいたけれど、その人は玄関のカギを開けられずに帰って行った。
 
 入れない自宅の前に立つ私だけが残された。
 なぜか写真を撮ったりもした。

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 近くのホテルに片っ端から電話してみたが、満室。
 結局、家から一番近いネットカフェで過ごす羽目になった。
 なのでしっかり眠れなかった。
 そんな中で次の日が大阪公演の最終日、そして片付け、帰ってきての執筆だったのだ。
 だから崩れて眠ってしまったんだと思う。

 仕事は……約束から36時間後に提出。

 三日間は全く休めなかった。

 明日は四日市に移動。
 明後日は四日市で一回限りの公演。

 どんなことがあってもカギだけは外さないようにしよう。
posted by 土田英生 at 01:04| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月29日

休憩中

 時間が経つのは早い。
 ブログを更新する余裕もなかった。
 前回書いたのはMONO『隣の芝生も。』初日前夜だ。
 精神状態も最悪の時だ。幕が上がる直前は毎回沈む決まりになっている。
 「これまででもっともひどい作品ができてしまった」という気分になってしまうのだ。
 始まれば大丈夫になるんだけどねえ。もちろん辛辣な意見だってあるだろうけど、それでもお客さんが笑ってくれたり、それなりにいい感想をもらったりしてやっと落ち着いてくる。

 これをずっと繰り返してきた。
  
 無事に幕を開け、名古屋、東京、大阪とすでに公演が終了した。
 面白い作品になっていると思う。キャスト、スタッフもとてもいい。
 去年、特別企画を一緒にやった5人もはっきりと伸びた。 
 このことは改めて書こう。

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 今回の芝居は解釈が人によって違う。
 私なりの見解もあるのだが、それを書くのは野暮だね。まだ四日市と北九州で公演が残っているし。

 その二箇所の近辺の皆様、お待ちしております!
 →公演サイト 

 で、こうしてブログを書いているけれど、余裕がある訳ではない。
 むしろない。
 今も私は苦しんでいる最中だ。
 休憩時間にこれを書いている。
 崖っぷちに立っている感じだ。
 
 4月15日から始まるドラマ『崖っぷちホテル!』。
 →番組公式サイト
 
 このドラマの脚本を書かせてもらっている。
 クランクインして撮影も順調らしい。公演が終わったら顔を出そうと考えている。
 顔合わせの本読みでも役者さんはとてもハマっている感じだったので楽しみだ。
 
 すっかり春になった。
 ジーンズの下にタイツ的なものを着用しなくなり、トイレがとても楽になった。
 京都の自宅近くにはコンビニができて気軽に素焼きアーモンドを買えるようになった。

 けれど、ちょっと恥ずかしいんだよね。
 毎日アーモンドを買うし。
 きっと店では「アーモンド男」というあだ名をつけられていると思う。

 悪いことではないんだけど……。
 私は覚えられやすい顔をしているようだ。

 下北沢でも事務所の近くにあるコンビニのうち、二軒では挨拶をされてしまう。
 レジで「髪きりましたね」などと話しかけられたりするし、ある日などは、買い物をして店を出た時、バイトの子が後ろから走ってきて「私、ちょうど上がりなので……」と言われてなぜか駅まで一緒に歩いたこともある。
 なんなんだろ?
 私がイケメンだったら、モテているんだと勘違いもできるんだけどね。
 どうもそうじゃない。
 だいたい、男女問わずだし。
 下北沢の服屋さんも前を通ると「最近、京都に帰ってます?」と声をかけられたりする。
 そういえばロンドン留学中も飲んで帰って来たりすると、近所の人から『ヒデオ!! ドランク!』とからかわれたりしていたし、近くの店で働くネパール人の店員さんからはレジでいきなりプレゼントをもらったこともある。
  
 京都でも同じことが起こっている。
 前まで頻繁に立ち寄っていたコンビニでも、店に入った途端に「こんにちは。今日、ゆでピーナツ切れてるんです」と牛乳を買おうとしていただけの私に話しかけてくる店員さんがいたが、今回の店でもすでに同じ現象が起きている。

 店がオープンして二回目に訪れた時だ。
 レジは前日と同じ子だった。
 と、彼女が笑いながら「今日もありがとうございます」と言うので、「明日からしばらく来ないんですけどね」と答えた。まあ、こういう一言が余計なんだろうけどね。
 次の日から名古屋に移動だったのでついつい言ってしまったのだ。
 すると、「ええ? どうしてですか?」という予想外の返事が返ってきた。
 私は「いや……仕事で……しばらく京都を離れるので」としどろもどろで答えた。

 そして名古屋公演があり、京都には戻ることなくそのまま東京へ。

 二週間ぶりに京都に戻り、そのコンビニ立ち寄った。
 と、レジで「戻ってきはったんですね」と言われた。
 「ええ」と、私は答える。
 「だけど、私、明日から三日間休みなんで、会われへん」と彼女は言う。
 この衝撃的な発言をに私はどう返したらいいのかわからなかった。
 「じゃ、四日後に、また」と意味不明な答えをしてしまった。

 さっき眠気に襲われて強眠打破を買いに行ってきた。
 レジは見たことのない男性だった。
 店を出ようとすると、「ありがとうございました!」と後ろから声がした。
 振り返ると彼女が笑っていた。私も思わず手を振ってしまった。
 もうあの店では変なものは買えない。
 上品なものだけ買うことにしよう。
 
 ……こんなことを書いている場合じゃない。
 自分の家に入れなくなった話を書きたかったんだけどね。
 もう休憩は終わりだ。 
posted by 土田英生 at 01:48| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月09日

初逃避

 締切のある仕事をしている人なら分かってくれると思うが……ああ、ああ、本当に嫌だ。
 どうしてだろうか? 
 好きなことを仕事にしているのにね。
 書いている間は苦しくて仕方ないので、すぐに休憩を挟み、なんとか理由をつけて取りかかるのを回避しようと試みる。無意味に部屋掃除をしたり、お風呂に長く入ってみたり、そして……更新する必要のないブログを書いたり。
 
 ああ、今年に入って初めての大胆な逃避活動だ。
 初逃避だ。

 もちろんこのブログの前にありとあらゆる逃避は試みた。

 昨日の夜中、トイレがコポコポいう気がした。
 どこかで排水が詰まりかけているのかも知れない。
 だったら「ラバーカップ」を買わないとと考えた。
 スポスポするやつ。

 いや、実際はそんなものを買う必要はない気がするのだが、逃避活動の一環だったんだろうね。
 で、いつものようにAmazon。

 今日の昼間、仕事をしながら、あのスポスポがいつ届くのかが気になった。
 Amazonのサイトから配送状況を見る。

 運送会社はヤマト運輸だ。クロネコだね。
 追跡番号が分かったので、クロネコのページに行ってみた。

 と、私は知らなかったのだが、LINEと連携して会話形式で日時変更や配送日時の確認が出来ると書いてある。これは、これはやらなければ。

 脚本から逃げる言い訳が見つかった。

 早速、登録をしてみる。
 そしてLINEを開いた。
 ヤマト運輸とお友達になった。

 すると。

 『ご用件をどうぞ。「いつ届く?」「日時変更」など話しかけてみてください』
 
 と、コメントが来る。

 え? 
 いきなり、いきなり話しかけろって言われても……。
 友達になったばっかりだし。
 そんな積極的なの?
 なんと返そうか悩んだ。
 そして……「あの」と書いたところで間違えて送信してしまった。

 するとまたすぐに、

『「いつ届く?」「日時変更」「コンビニ受け取りにしたい」など、知りたい情報を入力してみてください』

 というコメント。
 グイグイ来るね。

 なるほど。AIで自動返信されるらしい。
 けど、どんな言葉なら認識されるのかが分からない。
 「いつ届く?」は例文にもなっているので大丈夫なんだどうけど、そんな失礼なことはできない。
 だって友達追加したばっかりだよ。

 もちろん時間指定はしたいんだけどさ。

 迷った挙句、追跡番号を書いてみた。
 そして『明日、届く時間が知りたいです』と、送ってみた。

 一瞬で返信が来た。

『お問い合わせの結果は以下の通りです』
 
 おおおお。
 私の荷物の情報が出ている。通じた!
 9日に到着だと書いてある。
 ただ、時間は載っていない。時間が指定したいのだ。

 すると……すぐに『お届け日時を指定されますか?』というコメントが来た。

 そうなのだ。それが私の希望だ。
 分かってくれてるねえ。
 もしかしたら、お前とはうまくやっていけるかも。
 
 え? だけど、どう返信したら……?
 「はい」でいいのか、それとも日時だけを書いた方がいいのか?

 失礼はいけない。

 「その方がありがたいです」と返信してみた。

 と……。
 
『「いつ届く?」「日時変更」「コンビニ受け取りにしたい」など、知りたい情報を入力してみてください』 
 
 ……元に戻ってしまった。
 こいつはどうやら、キビのわからない相手らしい。
 お前とは恋愛はできない。

 だったら……こっちも、こっちも、事務的にやってやる。
 と、決意したのにも関わらず、「いつ届きますか」とやや丁寧になってしまう。
 
 するとまたさっきと同じ情報が出ててから、

『お届け日時を指定されますか?』

 なるほど。そこに戻ったんだね。
 もうお前が恋の駆け引きをするつもりないということは分かった。
 だったらだ、気を使ってはいけない。
 9日午前中とだけ書けばいい。
 相手はAIだ。
 丁寧さは必要ないってことだもんね。

 と……思ったが、「9日午前中だとありがたいです」と送ってしまった。

『お届け日時を指定されますか?』

 ……「ありがたいです」が邪魔らしい。
 ああ、もう!
 
 こうなったら「時間指定」とだけ送ろう。
 もう、もうお前には金輪際気遣いしないのだ。
 多少、傷ついても……もう、それは、俺のせいじゃないからな。

 「時間の指定したい」

 という、カタコトな感じの中途半端な文章になってしまった。
 
 すると……。

『❗変更前の最終確認です❗
【伝票番号】 ×××××××
【お届け希望日】1月9日(火)
【お届け希望時間】午前中

お届け希望日時はこちらでよろしいですか?
よろしければ「はい」、訂正が必要な場合には「いいえ」を入力してください』


 と、いう返信が来た。
 やった!
 
 しかも、今度は「はい/いいえ」と入力しろと書いてくれている。

 迷わず「はい」と送った。
 
『お届け日時の変更が完了しました
【お届け希望日時】1月9日(火)午前中
お届け前に変更いただきありがとうございました』


 うまく行った!
 私は喜んで「よろしくお願いします」と返信した。
 
 と……。

『「いつ届く?」「日時変更」「コンビニ受け取りにしたい」など、知りたい情報を入力してみてください』 

 という返信が来た。
 やっぱりこいつとは恋はできない。

 ……仕事に戻ろう。
 もう逃避は終わりだ。
posted by 土田英生 at 06:21| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月07日

休憩

 今日の夜からはドラマに取り掛かると決めている。

 だから今はまだ「隣の芝生も。」を書いている。
 で、止まった。
 ……また最初に戻ってしまった。

 どうもオープニングがうまくいかない。
 頭のシーンが面白くないと絶対にダメなんだよね。
 ジェットコースターと同じで、最初に高さがないと勢いが出ないのだ。

 人物がうまくはまって来てないんだよなあ。

 登場人物は10人。
 私はチョイ役は作らないということを肝に銘じている。だから全員をちゃんと物語に絡ませる。

 この考え方になったのは完全につかさんの影響だと思う。エッセイを読み過ぎたせいだ。「傷つくことだけ上手になって」はボロボロになって三回も買ったし。
 
 一時期は7人の芝居ばかりを書いていた。
 現在のメンバー5人+2人の女優。その13年間は客演なしだった。
 だからその人物構成に慣れちゃったんだよね。
 けれど、最近は増えてきた。
 前回の「ハテノウタ」は9人。「裸に勾玉」9人。「ぶた草の庭」10人。
 そうだそうだ。「ぶた草の庭」と同じ人数だしね。
 全く問題ない。

 もう一つ難しいのは話が二つあることだ。
 なんで、こんな設定にしたんだろう?……って、自分で決めたんだけどね。

 毎回、ちょっと無理だと思うことに挑戦することにしている。
 最近で最も難しかったのは「裸に勾玉」での上代語をベースにした台詞だった。あれは辛かったねえ。パソコンでも変換してくれないし。「アーのそれのすること、まことつらいんたよ」とか書きながら、途中で訳がわからなくなった。

 今回もおかしな方言を使って書いている。
 新しく作っているんだけど、これも厄介なんだよね。
 いつも使う言葉にしようかなあ。エセ名古屋弁的なやつ。「きゅうりの花」「錦鯉」「相対的浮世絵」、あとは「ぶた草の庭」でもガンジ人の方言として使った。
 あれなら、わち、慣れとるですぐに書けるで。

 いやいや、挑戦挑戦。

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posted by 土田英生 at 10:53| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月03日

今年もよろしくお願いします

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2018年になって初めての更新なので年賀状代わりの画像。
今、慌ててつくったのでかなり適当だ。
戌年ということで、皆がSNS上に飼っている犬の写真をあげていたりする。
だから真似をしてみた。
この前のブログで書いたナッツだ。

本当、よろしくお願いします。
去年は自分にとって大きな生活の変化もあった。
いろいろと先行き暗い世の中だけど、できる限り前に進みたいと思う。
なにより……いい作品を創る。
勉強する。
そして、新たな夢を見たい。

で、今は、京都にいる。
2日の夜に愛知県から帰ってきたのだ。

31日に東京から愛知に移動。
久しぶりに実家で年越し蕎麦を食べた。

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深夜までしゃべって、妹夫婦は子供二人を置いて帰って行った。
実家からは車で10分の距離に住んでいる。

元旦。
朝、姪と甥を近所の神社に連れていった。
私の小学校の時の通学路。
二人が小学生であることも手伝って、現在の景色と昔の記憶がオーバーラップする。
忘れていた様々な思い出が蘇った。
切ない。
自分のこれまでのこと、そしてこの子たちの先のこと。
今の社会の状況なども頭を巡り、形容しがたい感情になる。

家に戻ってから甥と将棋をやったら負けた。
ちなみにポンジャンでも負けた。
けれど、ポンジャンはかなり納得できないルールのまま、曖昧な感じでモヤっと負けた。
形容し難い悔しさを感じた。

そんな中、暇を見つけてはノートを広げ「隣の芝生も。」の構想を練っていた。
まだ完全にピースがはまらない。
なんか、なんか足りないんだよねえ。

困って姪に相談したりもした。

姪は6年生なのだが、MONOの芝居は毎回来ているし、暇があるとDVDでMONOの作品を観ているらしい。私の戯曲集も全部読んでいるし、読書感想文は私の小説『プログラム』で書いたと言っていた。
かなりの通だ。
だから私も『どうしたらいいと思う?』と聞いてしまう。
しかも、彼女はとにかく私に優しいのだ。

1日の夜も風呂から出てくると姪が一人で待っていた
理由を聞くと、

『ツッチーが寂しいかも知れないと思って』

と、かわいいことを言う。
いろんな話をした。
彼女の学校での話などを聞いているうちに……作品のアイデアが浮かんだ。
まあ、使えるかどうかはわからないけど、感謝だ。

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4日には打合せや取材が入っている。
今日中にかためないと。

しかも、頼りになる姪は京都にいないしね。
よし、残りの腕立て伏せをしてちょっと寝よう。
posted by 土田英生 at 07:14| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月31日

タイトルを短く!

 大晦日だ。まだ下北沢にいる。
 30日は起きたら午後2時だった。
 そこから残っている掃除や洗濯をしていたら夜になってしまい、すっかり移動する気力をなくした。
 昨日は一人でワインを飲み、早く寝てみた。
 ……そしたらこんな朝早くに目が覚めてしまった。
 やることがない。
 初日の出は明日にならないとダメだし。
 だからこれを書いている。

 予定は変わったけど、逆に都合がいいね。
 大晦日は京都、1日に実家の愛知県、そして3日に再び京都に戻ろうと思ってた。
 東京→京都→名古屋→京都だ。
 だけど、東京→名古屋→京都という方が効率的だ。
 実家で年越しをさせてもらって、年が明けてから京都に戻ればいいのだ。
 名古屋は東京と京都とのあいだだしね。

 東京と京都のあいだ。
 「空と私のあいだ」という芝居を創ったことがあるな。
 このタイトルは気にいっている。
 
 この前、戯曲講座でタイトルについて話した。
 私はどうもタイトルが長い。
 文章になっているものが好きなのだ。だから必然として長くなる。
 けれど、長いと困る事が多いのだ。
 雑誌などに情報を載せる時とかね。
 制作からは「なるべく短くしてください」と言われる。
 あ……「なるべく短くしてください」……これもタイトルになるね。「なるべく派手な服を着る」というのもあったし。

 あと、最近重大なことに気づいた。
 MONOが好きでよく観てくれている人でも、タイトルを正確に覚えている人がほとんどいないという事実だ。
 例えば「その鉄塔に男たちはいるという」。
 これを正確に言ってくれる人は少ない。
 「その」が「この」になってたり、「いるという」が「いた」になってたり。
 面白かったのは「少しはみ出て殴られた」を「殴ったと思ったら殴られていた」と間違えていた人がいた。
 それはそれでいいタイトルだと思うけどね。
 だって殴ったつもりだったのにね。逆に殴られていたという。まあ、目に見えないスピードで来たんだろうね、そのパンチは。
 とにかく苦労してつけても、覚えてもらえないタイトルでは悲しい。
 
 だから現在、タイトル短くする運動を実施中だ。
 特にMONOの本公演はそうしようと決め、「ぶた草の庭」以来、密かに続けている。
 次回の「隣の芝生も。」も頑張って短くした。
 これまでの私だったら「隣の芝生も青いとは限らない」とか、そんな感じになってたと思う。

 これまで自分でつけた芝居のタイトルを思いつく限り、長い順に書いてみる。

✳︎ ✳︎ ✳︎ 

 
「チェーホフは笑いを教えてくれる」
「衛兵たち、西高東低の鼻を嘆く」
「その鉄塔に男たちはいるという」
「ノーティー・ナインティーズ」
「夢叶えるとか恥ずかし過ぎる」
「トナカイを数えたら眠れない」
「ローランドゴリラとビーバー」
「崩れた石垣、のぼる鮭たち」
「カップで自分を量るがいい」
「ソラミミホンネレソラシド」
「チェーホフを待ちながら」
「いつわりとクロワッサン」
「ウィンカーを、美ヶ原へ」
「なるべく派手な服を着る」
「ウェルズロード12番地」
「その受話器はロバの耳」
「三日月に揺られて笑う」
「少しはみ出て殴られた」
「さよなら、ニッポン」
「うぶな雲は空で迷う」
「梢をタコと読むなよ」
「時折、風が吹くと」
「橋を渡ったら泣け」
「床下のほら吹き男」
「地獄でございます」
「0時から5時まで」
「のぞき穴、哀愁」
「空と私のあいだ」
「ブーゲンビリア」
「紙にかいた青空」
「怠惰なマネキン」
「なにもしない冬」
「4つのテーブル」
「スタジオNO.3」
「遠州の葬儀屋」
「樅の木に短冊」
「相対的浮世絵」
「胸の谷間に蟻」
「きゅうりの花」
「月がみえない」
「REST ROOM」
「隣の芝生も。」
「南半球の渦」
「ロマン再生」
「路上生活者」
「初夜と蓮根」
「約三十の嘘」
「燕のいる駅」
「板子乗降臨」
「ぶた草の庭」
「ハテノウタ」
「Holy Night」
「BROTHER」
「京都11区」
「悔しい女」
「裸に勾玉」
「ー初恋」
「赤い薬」
「Sugar」
「錦鯉」

✳︎ ✳︎ ✳︎


 数字や英語は半角になっているので、一概には言えないけど、まあこんな感じだ。
 「ぶた草の庭」以降のMONOの本公演のタイトルを赤字にしてみた。
 こうしてみると「隣の芝生も。」はやや後退してるな。
 最後の「。」がなければいいのに。
 「隣の芝生も」……いや、やっぱり必要だな。
 「ー初恋」の「ー」とかも、なんだろうね?
 そういえば、英語に翻訳してもらう時、この「ー」をどうするとかいう話になった。
 結局はただの「First Love」になってしまったけど。
 
 とにかくタイトルはどんどん短くしていこう。
 数年後には「あ」とか「お」とか、そんな短さになっているかも知れない。
posted by 土田英生 at 06:42| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月30日

試してみる

 そのまま下北沢にいる。

 ドラマの脚本は1月5日まで手をつけないと決め、それまでは休みながらMONOの構想を固めると決めた。
 京都の家も気になるのでさっさと戻ろうと思っているのに、ごく普通に過ごしてしまった。

 マチネに福岡から来ている万能グローブパゴスダイナモスを観て、一緒に行ったオタツこと立川さんとご飯を食べて、事務所に戻ってきて残りの腕立て伏せしたら、疲れてそのまま眠ってしまった。
 残りの腕立て伏せとはなんなのか。
 これは後で説明しよう。
 
 起きたら21時だった。
 今晩中に事務所の掃除と荷物の整理を済ませ、できたら明日の夜には京都に帰りたい。

 ああ、面倒だ。
 戯曲賞の審査の為の台本の束は京都に送っておいた方がいいとか、ドラマの資料も一部だけは持って帰らないといけないとか、細かいところでいえば万年筆のインクをどうするかとか。これは同じ物が京都にもあるのでまあいいんだけど。しかも、これはインクが混ざってもいいやつだしね。
 
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 人間関係の疲れに気づき、無理に人と関わるのはやめた。
 頑張ってしまうと後でもっと嫌になることが自分で分かるからだ。
 なんだろ? ちょっとしたことで猛烈に腹が立ったりして。
 自分の感情に驚いている。
 Twitterは不特定多数なので続けているけど、知り合いばかりのFaceBookからはしばらく離れることにした。今まで二つを連携させていたけど、それも解除した。
 しばらくは好き勝手にする。
 
 私個人の状態はそんなに悪くないんだよね。
 創作意欲もあるし、腕立て伏せも順調に続けているし。

 そうだ。どうして腕立てをしているのか?
 さっき「残りの腕立て伏せ」と書いたけど、一日100回やることにしたのだ。

 皆に勘違いされるところなんだけど、別に身体を鍛えたいとかじゃない。

 私はどうやら何かを「試してみる」ことが好きらしい。

 4年くらい前だ。ココナッツオイルをやたらめったら身体中に塗っていた時期があった。
 「一体、どこを目指してるんですか?」という当たり前の質問を受けたりしたけど、これだって別にお肌をどうこうしたいとかじゃなかった。

 なんでも一回やってみたくなるというか。
 例えば「ダンボール箱を貼り合わせると机が作れる」と聞けば、やってみたくて仕方なくなる。実際にそれも作ってしばらくはこの事務所にあった。……いやあ、結構頑丈で、捨てる時、とても苦労した。

 そういう流れでレザークラフトもやってみたり、DIYで家具作ったり、家の内装をやってみたりするんだと思う。凝っちゃうんだよね。
 ここにも書いたことがあるけど、春に京都にいた時は、コーヒーテーブルを作ったり、洗面台の下に戸棚を作ったりした。

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 思えばいろんなことを試してみた。

 重曹を入れた水で鍋をグツグツ煮たりすると新品みたいになると知って、家中の鍋やフライパンを光らせてみたこともあるし、こうすると爪が綺麗になるというネットの記事を読んで試したら異様に爪がツルツルになって喜んだこともある。あ、爪は結果的に困ったね。光り過ぎて「あれ、土田さん、ネイルの手入れしてるんですか?」と聞かれたりしてとても恥ずかしかったし。

 で、 一週間くらい前、脚本を書いている合間にネットをうろうろしていたら「1日100回の腕立て伏せを一ヶ月続けたらこんな風になってワロタ」的なものを読んで、急にやってみたくなったのだ。
 一度にではなく、合計で100回でいいと書いてあったので、これならできると思った。

 現在、一週間経った。
 すでに引き締まってきた。
 まだ、ムキムキにはなってない。なんというか、「ムキムキ」の芽が出てきたという感じだ。双葉くらいは生えている。
 一ヶ月で花が咲いてしまうかも知れない。
 きっとまた「何を目指してるんですか?」と聞かれるだろう。
 
 昨日、シャワーを浴びる前に鏡で見て「お!」と声をあげた。
 思わず写真を撮ったものの、載せられない。
 洗面台は載せても大丈夫だけど、裸の写真は載せたら痛い人だと思われてしまう。
 笑えるくらいムキムキにならないと無理だな。
 ま、それまでには飽きると思うけど。

 ああ。
 「一気に荷物を送れて、大掃除も済んで、京都に帰って、台本の構想も立てられる画期的な方法」があるとわかれば、やってみることができるのに。
posted by 土田英生 at 02:36| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月29日

仕事納め……たのか微妙

 昨日の朝に出すつもりの原稿は、結局、昼過ぎまでかかった。
 そして夕方から打合せ。
 電車で帰れる時間には終わった。

 久しぶりにお酒も飲んだ。
 けれどすっきりしない。
 
 提出した原稿が自分で納得できなかったのが大きい。
 さすがに「これで行きましょう」とはならなかったし。
 これからの書き直しに関する方向は決まったものの、一週間ほどは脚本から離れさせてもらうことにしたので……なんというかモヤモヤした感じだけが残ってしまった。

 だから仕事納めだという気分にはなれない。
 今から一週間は『隣の芝生も。』に集中して、プロットを完成させようと思ってる。

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 それより問題は年末年始だ。
 いつ帰るんだろう? 
 京都に? 実家の愛知県に?
 
 もともとは今日、京都に戻ろうと思っていた。
 だけどずっと脚本を書いていたので事務所も片付けてない。
 1月からはMONOの稽古もあるし、基本的に京都に滞在するので、移動させなければいけないものもたくさんあるのだが……荷物も全くまとめてない。
 
 荷物を送るのは私にとってかなり大変なことだ。
 何をここに残し、何を送るのか?
 服もそうだし、書類なんかもそうだよね。
 東京、京都、どっちに置いておかないければいけないのか?
 全く考えてなかったのでぐちゃぐちゃだ。それに、それに、こうしたことがとても嫌いなのだ。
 私はとにかく日常の些事が苦手だ。
 銀行に行ったり、郵送したり、書類を書いたり、メールをしたり。
 ああ、書いているだけで嫌になる。
  
 観たい芝居もたくさんあったんだけど何も観れていない。
 
 今日の昼に一本だけ観ることにした。

 それが終わってから考えよう。

 掃除をしよう。
 洗濯もしよう。
 荷物を整理し、送ったりしてみよう。本当、嫌いだけど。

 ただ、一応、昨日の打合せで一区切りつけようと思っていた。
 だからなのか、突然疲れたなあと気づいてしまった。
 腕立て伏せをしすぎているせいかも知れない。

 いや、それじゃないな。
 
 今日の夜も忘年会に二つ誘われている。
 けど、ワイワイ喋る気分じゃない。
 顔をは出さず、静かにしてよう。
  
 明日か明後日、京都に帰ろう。
 明後日ってもう大晦日か?
 ああ、どうしよう。
 新幹線のチケットも取ってないし。
 
 悩むね。
posted by 土田英生 at 10:14| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月27日

残りは1日

 とうとう締切が残り1日になってしまった。
 28日の朝までに書いて夜に打合せ……の予定。
 それ以降がどうなるかは不明だけど、観たい芝居もあるのと、下北沢の事務所の大掃除くらいはしないとなと思っている。昨日、京都の事務所では年賀状の発送作業とかをしていたみたいだし、東京は私がきれいにしておかないとね。
 年内に京都に帰るつもりではいるけど、年明けは名古屋の実家に戻ろうとも思っているので、混乱中だ。
 それもこれもまずは脚本を終わらせないとね。
 
 昨日はロンドンの仲間で集まる予定だったけど、フタをあけたら二人だった。
 渋谷のカラオケに行き、一時間はただ喋り、そして残りの一時間歌をうたって帰ってきた。
 カラオケなんて1年振りだ。
 去年は「ハテノウタ」が控えてたので、それでカラオケに行ったのだ。
 
 それにしてもロンドンに行きたくなった。
 留学してた時に住んでたアパートの写真でも載せておこう。
 
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 仕事もあるのでまっすぐ帰ったのだが、帰りの電車ではテレビドラマのディレクターをしていると語っている男の子が横に立っていたので話をなんとなく聞いていた。
 女性が「へえ、すごいんですね」と答える。
 男の子は大きな声で色々喋ってたけど……あれはないな。

 「脚本はその通りに撮るんですか?」
 と、女の子が聞く。
 「普通はね。けど、俺の場合はほぼ変えちゃうね。撮りながら全て変えることもある」
 「じゃ、脚本家いらないじゃないですか?」
 「そうなんだよ。俺が自分で書けばいいんだよな」
 と、笑いながら答えていたが、私は蹴りたくなった。今、私が苦しんでるのを知ってて言ってるのかと詰め寄りたかった。
 
 まあ、どう聞いてもあれはディレクターじゃないよね。
 これまでにどんなドラマを撮ったんですかという質問にも「それは言っちゃいけないことになってる」と、意味不明な答えをしていたし。終わったものなら言えばいいでしょ。
 撮るのにどれくらいかかるのか聞かれて「1話で1ヶ月はかかる」と答えてたけど、それじゃ絶対に間に合わないよ。よくもまあ、あんなに大胆に嘘つけるなと感心した。
 
 年が明けたらすぐにMONO『隣の芝生も。』の取材や打合せが入っている。
 まだ人物相関図は完成していない。
 登場人物は10人。MONOの5人と特別企画に出演していた5人。それぞれに合った役を考えつつ、話をまとめていかないといけない。俳優に役がハマると作品が動くし。その為にもまずは土台をかためなければ。
 この前、北海道の戯曲講座で箱書きの大切さを喋った私としては怠けるわけにはいかない。

 やっぱり準備をするに越したことはないんだよね。
 近年のMONOだと『ぶた草の庭』は最後までプロットを立ててから書いた。
 箱も割と綿密につくったし。箱書きがしっかりしてると後半になってから楽なんだよね。
 『裸に勾玉』は前半はかなりちゃんと書いたのに、後半になって混乱し、結構苦しんだ。『ハテノウタ』は設定だけを決めていきなり書き出したので……もう全編に渡って苦しんだ。

 今回は入り組んだ物語になるので、箱書きを細かくする必要がある。

 これまでの良さを出しつつ、これからに向けての一歩を踏み出す。
 
 と、そんなことを書いてるけど、まずは脚本だったね。
 今日一日、猛烈に頑張ろう。
 
posted by 土田英生 at 07:22| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月25日

3代目

 どうもおかしなリズムになってる。思ったより早く目が覚めてしまった。
 もう一回ベッドに入れば眠れる気もするけど、コーヒーを淹れてしまったし。
 正確には今、淹れている最中。
 ……遅いんだよね、三代目は。
 コーヒーメーカーのことだ。
 下北沢の事務所で結構な時間を過ごすようになってから、二回、コーヒーメーカーを買った。使いすぎて壊れるのだ。あ、さすがにこれは自分で買っている。ほぼ、私が一人で使ってるし。

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 こいつが三代目だ。
 3台目と書くのが正しいけど、私にとってコーヒーメーカーはなくてはならない存在なので擬人化して捉えてしまってる。コーヒーメーカーが横にいてくれないと仕事ができない。お前がいないと俺はダメだという気持ちだ。だから三代目と表現する方がしっくりくる。
 
 二代目は出来上がるのは異様に早かったんだよね。
 なあなあ、本当に濾過してるの? と、何度も問いかけたけど、ちゃんと入ってたしね。
 しかも下が保温ポットだったので便利だった。一回に淹れられる量も多かった。
 ま、去ったコーヒーメーカーのことを言っても仕方ない。
 
 あ、ピーって鳴ったね
 コーヒーが入ったようだ。

 ……けど、三代目の方が美味しくできる気がする。
 ま、それぞれの個性だ。
 
 昨日、「極端」というタイトルでこれを書き出したけど眠たくなってやめてしまった。

 何を書こうとしてたんだろう?
 忘れてしまった。

 私は昔から「極端」なことが嫌いだ。

 Aが正しいか、Bが正しいのか。
 そういうときに100対0で結論を出すことにいつも違和感を感じる。明確に線を引き、敵味方に分かれてしまうのが嫌だ。嫌だというか、怖い。

 人間はそのまま何も考えずに存在することが難しい。
 コーヒーメーカーはただ存在している。
 二代目の方が早かったと言われようが、三代目は焦ったりもしない。
 同じペースでお湯を落とす。
 けれど、人間はそうはいかない。
 周囲の人の中で、社会の中で、自分の立ち位置を確認しないと不安になる。

 Aが正しいと思っているところに、Bが正しいと言う人が現れる。
 と、不安になる。自分の存在が脅かされたような気になる。
 その不安を払拭しようと絶対にAが正しいと言い張ってみる。
 しかし相手も負けていない。
 Bがいかに正しいかをまくし立ててくる。
 と、確かにBにも一理あるなと思っても、それを認めてしまうと自分の存在が危うくなる。
 こうなってしまうと、どこに正しさがあるかは関係なくなり、とにかくAだ、Aだと感情的に喚くだけになる。相手もそうだと着地点はない。不毛だ。互いに敵でしかない。

 ネット上での人の罵り合いなんかを見ていると、まさにこんな感じだ。
 
 外部にあるものと自分と同一視して、それを存在基盤にしてしまうから起きるんだよね。
 Aが正しいと思うけど、Bのここは理解できるよ。そしてその前に、あなたとこんな話できていることは素晴らしいね、というくらいのスタンスでいたいのにね。

 ✳︎ ✳︎ ✳︎

 
 演劇の世界でもセクハラの事例が明るみに出てきた。
 それらが本当のことだとすれば、即刻、改めるべきだと思う。
 ただ、これだって、ゴシップにして誰かをバッシングするだけでは意味がない。
 それに、男性対女性という単純な構図にしてしまってはダメだよね。
 圧倒的に女性が被害者になる事例が多いのは事実だけれど、もちろん反対だってあるし、それこそLGBTのことまで含めて考えればどんなベクトルにだってセクハラは存在する。

 大事なことは性別問わず「セクハラは許されない」というという意識を共有することだ。

 セクハラに厳しくなったおかげで、女性に告白できなくなった、と前に話していた人がいたが、アホ抜かせと笑った。もちろん相手の受け取り方で変わる部分もあるんだろうけど、告白とセクハラは全く違う。
 あの人はどんな風に告白するんだろ?
 
 ちなみに私も女性が大好きだ。
 そして時折、恋などもする。
 告白したことだってもちろんあるし、振られて泣き叫んだこともある。

 付き合っていた彼女に「もうあなたとは無理」と、突き飛ばされ、タクシーに乗って去られた時、三百メートルくらい京都の北大路通りをダッシュしたこともある。
 最後は道の真ん中で泣き崩れ、しかもその後、ヤンキーに絡まれた。
 「お前、なに泣いてんねん。はよ、家帰れや」と蹴られたな。
 けど、「振られたけど、お金ないもん」と言ったら、三百円くれたんだよね。しかもそのお金でおにぎりを買ってたら見つかって「あ、にいちゃん、もう使うてるやん!」と言われてまた泣いた。

 完全に話がそれてる。
 それにエピソートとしてもしっくりハマってない。

 「仕事をやるからこういうことをしろ」とか、それが本当にまかり通ってるようならそれは絶対にダメだ。
 今回、明るみになった事例はまさにこれだったしね。

 相手に何かを求めるなら、正々堂々と求めないと。
 人間対人間として接しないと駄目だよね。

 演劇の世界にはまだまだ理不尽なことは残ってるね。
 劇団なんかでも、上の人が新人をいじめたり。
 演出家が若手の役者を、演技じゃなくて人間的に抑圧したり。
 こういう環境がセクハラを生むんだろうね。

 私は清廉潔白な人間ではないけど、MONOはメンバー全体でそうしたことがないようにしてきたと思っている。上下関係も極力なくそうと努めてきた。
 演出としての決定権はもらっているけど、稽古場を離れたら私も立場は一緒だ。
 メンバーもそれを許さないようにしてくれている。
 だから長く続いてるんだと思うし。
 外からは若手にもっと厳ししくした方がいいとか、甘いとか言われたりしたこともあるけど、そんなことは大きなお世話だしね。

 いや、えらそうには言えないな。
 自分の中にも改めないといけない点はたくさんあるだろうし。

 今年は自分のことを考えた一年だった気がする。
 まるで思春期だ。
 特に後半はいろんな点で反省もした。
 
 自分なりにはすっきりしてきているはずなのだ。
 
 ……脚本を書かないと。
 人と会う約束などもいくつかあるので時間がない。
 行きたかった芝居も観られていないし。
 
 これを書いている間にコーヒーがなくなってしまった。
 大きいマグで二回飲んだらなくなっちゃうんだよね。

 三代目……働かせすぎだ。
posted by 土田英生 at 08:02| 東京 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月24日

極端

 札幌にいる。今日は戯曲講座の2回目だった。
 プロットと箱書きを全員提出してくれていたので、それを元にやったのだが……講座が5時間あると勝手に思い込んでいた。実際は3時間だったのでやや尻切れになってしまって反省している。
 終わってから参加者数人とご飯に行き、早い時間にホテルに戻ってきた。

 湯船に浸かり、さて仕事しようと張り切ったのだけど、睡魔に襲われている。
 本来は負けずに闘いたいのだが負けている。
 昨日も結局、あまり寝ていないからだ。
 
 昨日は脚本を書いていたのだが、なぜか猛烈に肉が食べたくなった。
 いや、数日前からずっと食べたかった。
 しかしそんなことをしている場合ではないと思い、我慢して脚本を書いていた。
 夕方。お腹が空いた。ご飯は食べなければ。
 やっぱり肉を食べよう。どうするか? 焼肉がいい。

 ふと、前に友達からご飯に誘ってもらっていたのを思い出した。もし24日に時間があれば何か食べようと言われていたのだけれど、24日はワークショップをすることになったので断っていたのだ。
 だから昨日、焼肉だけ付き合ってもらおうと思った。
 
 夜は三時間ほど眠り、戯曲講座の準備をして、朝の飛行機で札幌までやってきた。
 それで今だ。
 ああ、やっぱり眠たい。

 「極端」ということについて書きたかったけれど、それも無理そうだ。
 タイトルだけ残ってしまったけど、もういいや。
 明日、東京に戻ってそのままワークショップをするので、その準備もしたいんだけど、これも無理。
 とりあえず眠ろう。
 朝起きてやろう。

 寝不足には慣れてるのに、どうしてこんなに眠たいんだろう?
 ホテルに戻って、猛烈に腕立て伏せをしたせいかもしれない。

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posted by 土田英生 at 00:56| 北海道 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月22日

土座

 誰でもそうだと思うけど、年末は忙しい。

 私にとって去年の12月は本当に苦しかった。
 小説「プログラム」、宮崎県立芸術劇場の「板子乗降臨」、NHK-BSの連ドラ「この世にたやすい仕事はない」を書いていた。31日もこの事務所で紅白を見ながらドラマの脚本を書いていたのを覚えている。
 今年はそれほどではない。書かないといけないのはドラマとMONO「隣の芝生も。」。……タイトルの最後の「。」がややこしいな。
 ただ、現在はドラマだけに集中していて、「隣の芝生も。」はまだ書き出してもいない。休憩時間に、息抜きのように箱書きなどをしている程度だ。
 けど、ウッディアレンの「重罪と軽罪」をもう一度観ないと。
 全然違う話なんだけど、「隣の芝生も。」の着想のヒントになっている作品だからだ。京都にはDVDがあるはずなので帰ったら観よう。

 去年ほどではないにしても、今もだいたいパソコンの前には座っている。
 「師走はお坊さんが走るというけど、私も走っている」的なことを毎年書いたりしてる気がするけど、正確に言えば私は忙しくなると走らない。座る。座る時間が長くなるのだ。
 だから私にとっての12月は「師走」などではない。
 土田も座る月なので「土座」だ。
 ……読み方どうしよう? 
 「つちざ」だともう一つだし、「どざ」もゴロが悪いしね。
 「師走」は「しはす」……だとしたら、まあ、「どすわ」でいいか。
 京都だし。「『どすわ』は忙しいどすわ」というね。
 いうね、じゃないな。やばいな。ワインを飲みすぎたのかもしれない。
 
 昨日はMONO特別企画に出たメンバーでワークショップをやって、そのあと流れで忘年会的なことをした。
 最後にワインを開けたらみんな帰ってしまったので、今日は一人でその残りを飲んでいたのだ。
 忙しいくせに……今月は土座だというのに……ワインなんか飲んでいる場合ではないのはわかっている。
 けれど、昨日、プチ忘年会をお開きにした後も私はかなり頑張ったのだ。
 仮眠を取り、夜中の2時に起き、そこから朝の8時まで脚本を書いた。
 昼間はカザフスタンからきた劇団の芝居を観て、夕方の6時からの5時間、脚本の打合せをしていた。
 今日はすでに書き上がっている最初の方の何話かを一から見直すという、とても真面目な打合せだった。だからワインを飲むくらい許されるはずだと思っている。

 ……いやあ、今日も自分を恨んで少しだけ褒めて、そして呪った。
 もう書き上がっている脚本なのに、打合せ中、プロデューサーや監督の意見を聞いていると、「あ、だったらこうした方がいいな」とアイデアを思いつく。そしてそれを言うかどうかちょっと迷う。
 なぜなら、言ってしまうと全面的に書き直さないといけないことになるからだ。
 はっきり言って面倒だし辛い。
 小さな直しは問題ないけど、設定なんかを変えてしまうと、本当に直すのは大変なのだ。
 台本でも脚本でも、微妙なバランスで成り立っている。
 一つ設定を変えれば、シーンが丸ごと必要なくなったりして、そうするとそのシーンで出していた事情が説明できなくなったりする。だから結局、一から直さないと駄目だったりするのだ。

 私はとても怠け者だけど、面倒だからやめるという選択だけはしないと言い聞かせている。
 その選択だけが私をなんとかしてくれているとも思っている。
 この前も、組んでいるプロデューサーが何気なく言ってくれてハッとした。

「土田さん、こっちのオッケー出ても、自分で納得してないと書き直したいって言ってくれるから、だから信用してるんですよね」
 
 この言葉をもらった時も、私は書き直したいと言うかどうかかなり迷ったのだ。
 だから、この言葉を聞きながら「思いっ切り頬を殴れ。途中で一度悪い夢を見た。君が殴ってくれ」と、メロス気分になった。

 まあ、言い出してしまえば、やるしかないしね。
 だから今日の打合せでも直したいと思うことは全部言った。
 結局……最初のシーンから全部直す。それでいいんだよね。
 いいんだけど、最終的には自分を呪った。

 一人で飲んでいるとアルコール回るね。 
 もう朝だしな。
 で、回ると……ま、今は置いておこう。

 本当は今年は年末を嵐山で過ごすつもりだったのに。
 28日の夜にもこっちで打合せが入ったので、帰れたとしても最短で29日。
 仕方ない。なんせ土座だしね。
 
 写真は嵐山。
 この前紅葉を見にブラブラしてた時、海外の雑誌かなんかが撮影をしていたので……それを撮った。
 
 
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posted by 土田英生 at 05:37| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月19日

隣は何をする人ぞ

 松尾芭蕉の句に「秋深き隣は何をする人ぞ」というのがある。
 「秋深し」だという意見もあるらしいが、ま、それはいい。
 芭蕉が亡くなる十日ほど前に詠まれたものだ。
 俳句にはまったく詳しくないけど、床に臥せながら隣の人の物音を聞き、人恋しく思ったんだろうね。

 下北沢の事務所にこもってだいたい夜中はずっと書いている。
 いろいろと考えなければいけないことも抱えつつ、それでも締切に追われて必死で書いている。
 素焼きアーモンドとチョコレート効果を食べながら、ああでもない、こうでもないと悩んでいると、隣からは笑い声などが聞こえてくる。
 『こっちは大変なのに、ふん、幸せそうに』と思ったりする。

 けど、実際は違うんだよね、きっと。

 昔、よく交通量調査のバイトをした。
 1日中、座ってカチカチとカウンターで車の数を数え続ける。
 時間が全然経たなかった。そんな時、通り過ぎて行く人たちのことが羨ましくて仕方なかった。
 『いいなあ、あの人たちは今自由なんだなあ』と、羨望の眼差しで見つめていた。

 けど、あの人たちが幸せだったのかどうかは判断しようがない。
 きっとそれぞれいろんな問題を抱えて歩いてたはずだ。莫大な借金を背負っていたのかも知れないし、もしかしたら不幸のどん底にいた可能性だってある。
 
 私たちは自分の抱えている問題だけが大変で、いつだって他人が羨ましい。
 
 その感触をコメディにする。
 MONOの新作の話だ。
 いきなりだな。
 松尾芭蕉とか書きながら、結局舞台の宣伝だ。

 タイトルは『隣の芝生も。』

 隣合わせに並ぶ会社。お互いのことは詳しくしらず、印象だけで相手のことを羨ましく思っている人たちの話だ。登場人物は10人。それが二つの部屋に分かれてそれぞれの話が展開する。ま、実際はもう少し入り組んでいるんだけどね。両方に関わる登場人物もいるし。途中で話が絡み合ってくる予定だし。
 そうだ。
 まだ予定だ。
 どうなるのかはわからない。まだ書き出してないし。

 ツアースケジュールが公表された。→
 
 今回は名古屋が初日だ。
 稽古は京都でやる。
 もうどこの劇団なのか不明だ。
 出演者10人のうち、東京在住が7人。1人が大阪。もう2人が京都。しかもこの京都の2人のうちの1人は私だ。ちなみに今年、私が京都にいたのは全部で2ヶ月くらいしかないし。
 
 MONOの現メンバー5人とこの前の特別企画「怠惰なマネキン」に出ていた5人。その10人が出演する。
 
 私にとっては3年前くらいから考えていたことだ。

 どこの劇団でもそうだと思うけど、活動を共にしていると、芝居を創る上での文法のようなものができて行く。全体で守るべきものが緩やかに醸成され、それが役者個々の身体にも入っていく。
 MONOも長くやっているので、まあ、それは確実にある。
 台本を書きながら「あ、ここはこういう愉快な感じにしよう」と思ったりして、MONOのメンバーにやってもらうとすぐにイメージ通りのものができる。
 だからこそマンネリに陥らない為の挑戦は必要だけど、それでもやっぱりベースが揃ってないと創っていけないんだよね。

 他にもそういう役者が欲しいと思った。下北沢を歩いていて、突然、思ったことを覚えている。すぐに制作の垣脇さんに電話をして「俳優育成の講座をやりたい」と伝えた。
 金銭的には赤字だったけど、そこで出会ったメンバーと3年間試行錯誤を繰り返した。

 で、今回につながった。いや、無理やりつなげたのかも知れないけど。

 ……と、書きながら、私はまだ締切の中にいる。
 今日中にこれを書き上げ、「隣の芝生も。」にちょっとは手をつけたい。

 
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 京都の家の窓。
 近所では私が何者なのかと噂されているようだ。
 普段いないくせに、突然帰ってきていたりする。
 しかも部屋を暗くし、ヒーリングミュージックをかけてたりする。
 向こうからしたら、まさに「隣は何をする人ぞ」だ。

 家の中ではこんなことになってるんだけどね。

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posted by 土田英生 at 09:03| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月11日

犬たちに会いたい

 昨日の朝は脚本の締切だった。
 仕事の詳細は公表できないけど、9月の終わり頃から書いている。
 だいたい、各話の初稿を一週間で書き、打合せをしたら三日くらいもらって修正、さらに打合せをしてまた三日くらいで直す。つまり1話が完成するのに二週間くらいの計算だ。

 計算で行くとすでに5話分は出来上がっているはずだったのだが、随分と遅れてしまった。

 今回は初稿の締切だった。
 これが一番大変なのだ。ラストまで書けたものを修正するのは、案外楽なのだが、最初の稿はどうしても時間がかかるし、進まない時は全く進まない。

 予定では遅くとも朝の9時には提出。一度眠ったあと、夜に打合せ。翌朝に京都に帰るはずだった。
 そうなんだよね。京都には戻らないといけない。
 ロンドンに留学していた時、英語の個人レッスンをしてくれていたSheilaが京都に来ているので会いたいのと、この前、京都にいた時のゴミを出したいのだ。
 可燃ゴミは火曜日と金曜日。
 だから月曜の夜にはどうしても戻りたい。

 けれど……間に合わなかった。
 半分も書けなかった。
 謝った。もう京都に帰るのは諦めていた。

 それでも一応、夜に打合せをすることになり……。
 いやあ、本当に皆、優しい。
 書けなかったけれど誰からも怒られることもなく、しかも京都にも戻れるように予定を組んでくれた。
 私が「ゴミを、ゴミを出したいんです」と繰り返し訴えたからかもしれない。

 打合せのあと、恒例の焼肉に行き、そこで結構飲んだ。
 いい気分で帰ってきて眠った。

 なのに……。

 夢を見て飛び起きてしまった。
 なんであんな夢を見たのだろう?

 これまで実家で飼って来た犬たちが一堂に登場している夢だった。
 芝生に座っている私を、犬たちが囲んでいる夢だ。
 どの犬も私に尻尾を振っている。

 「え? あれ? そっか、お前たち、生きてたんだっけ?」
 そう言いながら私は犬たちを撫でていた。

 しかしだ。
 撫でているうちに「いや、違う」と思った。
 「死んでるんだよね」と気づくと犬たちは消えていく。
 私は必死で名前を呼んだ。
 ……そのまま目が覚めた。

 で、眠れなくなってしまった。

 書いたことがあるかもしれないが、うちの実家にはやたら犬がいたのだ。

 父親が保健所に連れて行かれるトラックを見かけて引き取ってきてしまったり、私や妹も野良犬を見かけると連れて帰ってきていた。しかも近所で飼われている犬も、なぜか昼間はうちに遊びに来ていたので、うちの庭はもう犬だらけだった。
 
 全部合わせたら、犬ぞりが引けるくらいいたね。
 トラ、クマ、ゴロ、チロ、エス、もんた、タロ、ペル、メリー、ナッツ、ログ……もっといたはずだ。

 それぞれに思い出がある。
 どの犬も可愛かったが、すでに亡くなっている。

 最初にショックを受けたのはゴロの死だった。
 ゴロは野性味溢れる犬で、隙を見ては逃げ出すやつだった。三日くらい戻ってこないことはしょっちゅうだったし、ゴロの捜索をすることが頻繁にあった。
 逃げた先でいろんな犬と喧嘩したり人を噛んだりするのだ。
 ゴロのしでかしたことで、うちは何度も怒鳴り込まれた。
 
 そんな犬なので、人に尻尾を振って懐いてくるなんてことはなかった。
 父親のいうことはなんとか聞いていたし、ご飯をくれる母親にも多少は愛想を振りまいたが、小さかった私のことは全くもって無視だった。
 近づくと唸られ、撫でたりすると噛まれたりもした。
 私はこいつをライバルだと思って、いろんないたずらをした。
 けれどいつも負けた。
 私が持っていたお菓子は必ず奪われた。

 けど、もともと体力のある犬だったせいか16年も生きた。

 私が小学6年の時、ゴロが倒れた。
 老衰で足が立たなくなり、寝たきりになった。やがて食べる力も失った。
 普通の犬ならそこで亡くなっていたと思うが、心臓が強いのか死ねないのだ。

 夏休みだったので、私はゴロを看病した。
 卵と牛乳を混ぜたものを飲ませ、毛が抜けてただれた体に薬を塗った。
 ゴロは私に向かって「クーン」と甘えた。潤んだような目をじっと私を見ている。
 悲しくて仕方なかった。
 あんなに強かったはずのゴロがこんなことになっている。

 ある朝、ラジオ体操から帰ってくるとゴロが亡くなっていた。
 家を出る時には撫でたらこっちを見ていたのに。
 私は自分がラジオ体操に行ったことを猛烈に後悔した。
 
 エスもそうだった。
 人懐っこい犬で、途中で人にもらわれて行った。
 けれどある台風の夜だった。
 玄関で音がする。
 私は起きて開けると、そこになぜかエスがいた。
 しばらく撫でて、帰らそうとしたが、頑なに帰らない。
 父親を起こして、エスを寝かせた。

 朝、エスは亡くなっていた。
 会いに来たんだと思うと、たまらない気持ちになった。
 一晩中、横にいてやればよかったと後悔した。

 ……こんなこと書き出したら、犬の数だけ書かなければいけなくなる。
 やめておこう。
 
 夢の中で、最後まで私の横にいたのはナッツだった。

 ナッツは私が大学入学後、京都に行ったあとに実家で飼った犬なので、実際は一緒に過ごしていない。
 けれど、どういう訳だか、私にも異様に懐いた。
 私はナッツに会いたいが為に帰ったりしていたし、帰ると必ずナッツと遊んだ。
 人の様子に敏感な犬で、言葉もよく理解したし、私が落ち込んでいる時などは決して尻尾も振ってこなかった。ただ、近くに寄って来て、いつまでも私の手を舐めてくれていた。
  
 実家に帰る時は駅まで車で親に迎えにきてもらっていたのだが、車が家に着くとすでに飛び跳ね、一目散に駆け寄ってきた。どうして帰ってくることがわかるんだろうといつも家族で言っていた。

 ああ……。

 ナッツの最期も悲しかった。

 ある時、妹から電話があった。

 「ナッツがいなくなった」
 
 私は仕事をほったらかして実家に帰った。一週間以上はいたと思う。
 情報を聞いては探し回った。

 ……ナッツは白内障で目が見えなくなっていた。さらに終わりの方は耳まで聞こえなくなっていた。
 にも関わらず、近づくと尻尾を振って寄って来たし、相変わらず手を舐めてくれる犬だった。
 
 交差点で車に囲まれ、右往左往しているナッツを見たという人もいた。
 目も耳もダメだったので、どうしていいのかわらかなかったんだと思う。
 それを想像すると、今でもいたたまれない気持ちになる。
 
 私が京都に戻って一週間後、用水路に落ちて亡くなっていたという電話をもらった。
 冬だったので心臓麻痺だったと思う。苦しまずに死んだと思いたい。
 綺麗な体のままだったらしい。
 連れて帰って弔ってあげられたのが唯一の慰めだ。

 ……夢の中のナッツは元気だった。
 ああ、会いたいね。
 夢の中では久しぶりに撫でてやれたし、それだけでも嬉しかったけどね。

 ダメだ。
 犬のことを考えると距離感を失ってしまう。

 眠ろう。
 そして起きたら準備して京都に戻る。
 ゴミも出さないといけないしね。

 ゴロと私。

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 そしてナッツ。

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posted by 土田英生 at 04:28| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月08日

ガンガン行く

 朝方になってここを更新するのが日課になってきてしまった。
 と、言っても三日目だけど。
 同情をひくような、当てつけがましい愚痴が多いので、もうやめよう。

 ……私は自虐が多いと言われる。
 まあ、その方がリスクが少ないんだよね、責められなくて済むから。
 取材をしてもらっている時でも、だいたい後ろ向きな発言をしてしまうし。
 「そんなことないですよ」と、言ってもらうのを期待してるんだと思う。
 嫌なヤツだ。
 
 3年前になるけど、ソウルのLGシアターで「少しはみ出て殴られた」を上演してもらった。
 韓国で人気のある俳優たちが集まり、かなり大きなプロダクションでの上演だった。
 私は初日に合わせて劇場へ行った。
 終わってから皆で飲んでいた時だ。
 スタッフたちと話していて「いやあ、よくもまあ、私なんかの、こんな作品をやってくれて」というようなことを冗談めかして喋っていたら、
 「どうしてそんなことを言うんですか? 私たちは面白いと思ってこの戯曲に取り組んでいるんです。自信作だと言ってくださいよ」と怒った人がいた。

 私は必死で弁解したが、確かにそういうことをすぐに言うね、私は。

 当たり前だけど、自分で創るものは面白いと信じている。
 そう思わないと書けないし。
 ただ、好みは人それぞれだろうしなあ、と考えてしまうんだよね。
 
 一時は自信の塊だった。
 学生劇団の時は台本を書いたこともなく、その気もなかった。書き出したのは劇団を結成してからだ。
 けれど、書き始めてすぐ、私はやれるのではないかと錯覚した。
 ま、勘違いした自信だったと思うけど、それでも自分はやっていけると思った。

 その頃はとにかく攻撃的な性格で、他の人が創る芝居にも文句ばっかり言っていた気がする。
 稽古場でも思い通りに進まないとすぐにイライラした。
 ダメ出しで興奮し、怒鳴りながらメガネをどこかに投げ、最後に「メガネはどこだ!?」と大声で叫ぶ理不尽さだった。
 扇町ミュージアムスクエアで本番前にわめき散らし、劇場の外に出て泣き、劇場関係者の話題をさらったのもいい思い出だ。

 ……よくもまあ、メンバーはやめずに付いてきてくれてるなあと思うね。

 やがて……京都の演劇が注目を浴び始め、私の周りは戯曲賞ラッシュ。
 しかし私は落ち続けた。
 そこで初めて凹み、完全に自信を喪失した。
 自分の態度とか才能について冷静に考え込んだ。
 けれど、なぜだか、その頃から仕事が増え始め、それこそ芸能界の仕事やテレビドラマなども書くようになった。自分ではダメだと思い始めていたのに仕事は増える。
 その矛盾に悩んだ。
 状況の変化に疲れて……鬱になった。
 そしてロンドンに留学。
 今でも本当にロンドンには感謝している。あの一年で落ち着いたし、人間としても随分と成長した。
 
 戻ってきてからはかなり温和な性格になった。
 稽古場でもかなり優しい演出家だと思う。

 だけど……その頃からだよね。同情をひくような自虐を連発するようになったのは。
 なんだろ?
 自分の攻撃性を和らげる方法だったんだろうか?
 ま、何かしらの理由があってのことだと思うし、これからも劇的には変わらないと思うけど、そういう自分にも飽きてきた。
 
 自信持って書こう。
 そして自虐を減らそう。

 9日には締切がある。ここを乗り切らないとスケジュールが狂ってしまう。愚痴をこぼしている暇などないのだ。本当は京都に戻ろうと思ってたけど、そんな暇はないのでとにかく書き上げるまでは下北沢で頑張る。

 遠くをしっかりと見つめ、こらからガンガン面白いものを創ってやる。
 今度取材を受ける機会があったら、自虐なしで喋る。

 もしかしたら、次の稽古場ではメガネを投げるかもしれない。
 
 まあ、それはないね。
 人には優しくしよう。

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 このクマには意味はない。
 ただ、いつからか、この事務所にいるな、こいつ。
posted by 土田英生 at 04:48| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする