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MONO代表・土田英生のブログです

2017年11月26日

開くこと閉じること

 3日前は下北沢で眠った。
 一昨日は嵐山で眠った。
 昨日は下北沢で眠った。
 そして今は嵐山にいる。ここで眠る。
 本当は今日も下北沢に残ってもいいと思っていたのだけど、明後日は大阪から北海道へ移動だし、戻ってこれてよかった。

 一昨日、大阪でケラさんと「劇作バトル」をいうのをやらせてもらい、その時、久しぶりに関西で演劇をやっている皆と飲んだ。リーディングに出ていた人は京都の人が多かった。初めましての人もいたけれど、やっぱり私として落ち着く。

 けれど「私は京都の演劇人だ」と思ったりもしない。
 だいたい「演劇人」という言葉も嫌いだ。
 誰なんだ、演劇人って? そんなやついるのか?
 それにだ。京都に関して言えば、私は京都で生まれ育ってない。
 愛知県で生まれ、大学入学まではそこで育った。
 かといって「愛知県だ」とも思わない。

 開くことと、閉じることを考える。

 私は自分の悪口を言われれば傷つくし、腹が立つ。
 親の悪口を言われても多分腹が立つ。
 MONOの悪口を言われても腹が立つと思うし、メンバーのことを悪く言われてもきっと嫌な気持ちになる。
 もちろん、言い方の問題もあるね。
 極めて客観的に指摘されるならば、自分のことを言われても腹が立たないかもしれない。

 けれど、今、書いているのはそんなことではない。
 どこまでを自分だと思うかという話だ。

 ロンドンに留学していた時、イギリス人の友達とパブにいた。
 「日本人ってこういうとこあるよな」という話をしていた友達に、私は一瞬、「けど、イギリス人だって……」と反論しかけてやめたことがある。
 だいたい、日本人だって千差万別だ。
 大嫌いな日本人もいるし、大好きな人もいる。
 それはイギリス人だって、アメリカ人だって、中国人だって、男性だって、女性だって、つまり、そういうカテゴリー自体が人の良し悪しの判断材料にはならないということだ。
 もちろん国や地域によって文化や習慣に違いはあるだろうし、傾向としての差異は存在するだろう。
 だから雑談として「日本人はさ……」という発言は別に気にするほどのことではないのだとも思う。
 
 しかし私はこの時に驚いたのは自分自身の反応だった。
 「日本人はさ」と言われて「けど、イギリス人だって」という反応をしかけたことだった。
 明らかに私は自分=日本人だと規定していて、その発言を自分への攻撃だと受け取ったのだと思う。
 日本のパスポートを所持してロンドンに滞在していたし、多分、何かあったら日本大使館に駆け込んだりしたんだと思うし、国籍は日本にあるので私が日本人であることは間違いない。
 けど、日本人が私ではないのだ。

 人は個人としての自信がなくなると、自分が属するグループなどと自分を同一視し始める。
 「演劇人」「MONO」「男性」「日本人」「京都に住んでいる人」「愛知県出身」「O型」……これらはもちろんどれも私に当てはまることなのかも知れないけれど、こうしたカテゴリーを集めたところで私にはならないし、ましてや私は男性代表でも、O型代表でもない。あ、MONO代表にはなってるな。ああ、この文章の中では邪魔な事実だ。おいておこう。
 
 とにかく自分をカテゴリーに当てはめて閉じてしまうことはとても怖い。
 閉じてしまうと、当てはまらない人を敵対視して攻撃してしまう。
 ◯◯人はダメだというような言葉が出てくる。
 それが今の社会だね。

 開きたいね。
 そして開くためには自分という個を強くするしかないんだと思う。

 けどね。
 完全に開いたらバラバラになっちゃうしね。
 それでもできる限り開く。
 そして、個として人に対し、個として人を愛することができればいいなあと願う。

 そう言いながら、今日も京都に戻ってきて、京都タワー見るとちょっとほっとする自分もいるんだけどね。

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posted by 土田英生 at 02:51| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月24日

調子に乗る。

 「怠惰なマネキン」が終了した。
 個人的にも色々と反省はある。
 これまで関わった公演の中で、規模は最も小さい部類だったけど、私にとっては密かに大きな区切りだったのだ。この一ヶ月くらいの間、ちょっとばかり色々あって随分と感情を消費していたからだ。
 けれど、千秋楽の公演を観ながら、自分の中で決めていたラインをクリアできたと判断したので、最終的には気分良く終わることができた。

 ただ、打ち上げの最後、なんだか微妙な空気になってしまい……翌日は気分の揺り戻しがきて落ち込んだ。自分のことは見えないけれど他人のことはよく見えるしね。まあ、この辺りのことはここで詳しく書くようなことではないな。

 昨日は事務所の片付けをしてからケラさんの台本『社長吸血記』と格闘した。
 今日行われた「劇作バトル」の準備だ。
 いやいや、難敵だった。
 話も理解できるし、つながりも分かる。おこがましく言わせてもらえば、どのようにして発想されたのかは掴める。もちろん、私にそれができるわけではないけど、同じ劇作家として、その作業の工程が感覚的には理解できるという感じだった。
 けれど、それをトークにするには『言葉』にしなければならないのだ。

 朝方までなんども読み返して、昼すぎに新幹線に乗った。
 久しぶりの関西。
 天満橋は一年ぶりだ。前回の「劇作バトル」以来だ。

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 会場に着くとリーディングをする関西の役者さんたちが練習をしていた。
 よく知っている顔もある。
 そして、よっこん、いや、横山拓也くんが待っていてくれた。彼はこの企画を3年連続で担当してくれている。頼りになるんだよね、この人。

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 脱線もしたけれど、私はとても楽しくトークをすることができた。
 ケラさんもとても協力的に話してくれたと。
 終わってから皆で打ち上げ。
 ケラさんが皆から写真を頼まれ……順番に撮られていて、まるで握手会のような様相だった。
 大丈夫なのかなと心配しながら私も撮ってもらった。

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 あ、『お風呂が入りました』という無機質な電子音が下から聞こえている。
 そろそろやめて、久しぶりにゆっくりと入ろう。

 明日の昼には家を出て、東京に戻る。
 ドラマの打合せなのだ。

 風呂から出て元気があれば、寝る前に次回のMONOの構想を練ろう。
 『社長吸血記』を読んだおかげで、ちょっとアイデアを思いついてしまったんだよね。
 
 あ、そうだ。
 今日のタイトルである『調子に乗る』。
 ケラさんが「土田くんのブログ、本にしたらいいのに」と、言ってくれたので調子に乗って更新しているからだ。
posted by 土田英生 at 01:43| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

「怠惰なマネキン」最終日。

 「怠惰なマネキン」。
 5日間8ステージ。
 今日が最終日で、昼と夜の2回。
 これまで関わった中で最も小さな会場での公演だ。
 40人マックスなので、おかげさまで全ての回が前売完売になった。
 
 昨日は……演劇をはじめてから、“私にとって”初めてのハプニングがあった。
 詳細は省くけど、本番を中断するしかなくなったのだ。中断を挟んで最後まで上演はできたけど……うんんん……。改めてそのことについては書きたいというか、考えなければいけないなあと思っている。
 あの場面ではあの選択しかないと理解しつつ、それでも自分の判断が間違ってなかったのか、モヤモヤしたものが残っている。「Show must go on」が基本理念だったしね。
 
 最後まで協力的だったお客さんに対しては感謝しかない。
 理不尽なことばかりが目につく社会の中で、とても真っ当な人たちを目の前にして、私自身が多くのものをもらった気がする。
 
 とにかく、残り二回、うまく行きますように。

 10月からとにかく忙しい毎日が続いている。
 「怠惰なマネキン」はその合間に稽古をしながら書き進める感じだった。前回の更新でも書いたことだけど、台本のフィクション度合いが極めて少なく、私のフィルターを通した役者本人の姿を、こうなればいいのにという思いを込めて書いた気がする。
 だから内容も、やや若いというか、私自身にとってはすでに通り過ぎたことだったりする。
 
 ……そんなことないな。
 わかったような顔をしてても、人間、年齢ではそんなに変わらないし。
 若いメンバーに書いたという言い訳の中、自分の中に残るどうしようもない幼さを書いただけかも知れない。
 
 現に今だって、いろいろと考えて眠れず……だからこれを書いてるのだ。
 考えるねえ。
 なんで私はこんなに考えるんだろう?
 しかもコーヒーを飲んで、アーモンドを食べながら。

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 そもそも、私はどうしてこんなにアーモンドを食べるんだろう?
 本番中なのでお客さんが差し入れてくれたりして、アーモンドの供給が潤沢だということもある。
 けれど、普段でも私はずっとアーモンドを食べている。
 リスより食べていると思う。
 どうしてアーモンドをこんなに食べるのかを、アーモンドを食べながら考えている。
 「ベラベラ喋るのをやめる」という決意をベラベラ喋ってしまったことがあるが、それと同じような矛盾を感じるな。

 年内は細々とした仕事をしながら、ドラマの脚本を書き進める。
 同時に準備しないといけないのが、次回のMONOの本公演だ。

 タイトルも決まっている。

 『隣の芝生も。』

 3月に名古屋公演で幕を開け、東京や大阪、その他の場所でも公演を予定している。名古屋は愛知県立芸術劇場、東京が座・高円寺、大阪はABCホール。

 私のこれまでの作品はすべて『一杯飾り』だった。
 「杯」は場面のことで、「飾り」は舞台美術。
 だから一つの場所だけで進行するのが『一杯飾り』だ。
 今回はそれを変える試みをしようと思っている。
 二つの話が同時に進行し、それがやがて一つの物語に収斂していくようなものにしようとしている。だからセットも二つ必要なのだ。『二杯飾り』だ。

 『隣の芝生も。』というタイトルから、隣り合わせに存在する人たちの話だろうと推測すると思うが……それはその通りだ。裏切らなくて申し訳ない気持ちだ。

 MONO特別企画「怠惰なマネキン」に出演している5人も全員出演する。

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撮影/吉田朱里


 だいたい、この写真はMONOのサイトなどに載っている写真と同じような雰囲気で撮ったやつだし。

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 ……踏ん張って遠くを見ないと。
 そこに少しでも明るい景色が見えるなら、まだまだ歩けるしね。

 アーモンドもなくなった。
 少しだけ眠ろう。
posted by 土田英生 at 07:34| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月17日

「怠惰なマネキン」初日

 ドラマの脚本を書きながら、MONO特別企画「怠惰なマネキン」稽古という毎日。
 それも終わる。
 今日は「怠惰なマネキン」の初日だ。
 
 けれど、普段と雰囲気が違う。
 今回は劇場ではなく、ギャラリーでの公演だからかもしれない。創ったものを観せるという感覚になっていない。体験型イベントをやる時のような気持ちに近い。
 ……とか書きながらそんなイベントをやったこともないのにね。
 だから正確にはわからないけれど、まあ、やっぱり近いな、それに。
 
 会場が決まった時「これは普通にやってもダメだ」と判断した。
 40人の観客が座ったらもうほとんど演技するスペースはない。
 だからその「部屋」にお客さんも一緒にいるという形にしようと思った。
 それには工夫が必要だ。
 創ったものにしか興味がわかないので、お客さんと直接やりとりしたりするのが嫌いだ。
 うんんんん。
 
 マネキンが出てくる芝居なので、観客の皆を『部屋に置かれたマネキン』に見立てようと思った。

 
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 ……あまり説明するのも野暮なので、この写真で察していただければいい。
 
 だから芝居もストーリー展開ではなく、人がその場で話していること自体を芝居にしようと思った。
 皆がマネキンになってその様を横で眺めているという感じだ。
 手を伸ばせば触れられる距離で、役者たちは会話する。
 
 だから登場人物の像も本人に近づけた。
 今回のMONO特別企画をやっていることと地続きに「怠惰なマネキン」の世界があり、そして私というフィルターを通した本人たちがそれぞれの役になっている。
 
 演技はドラえもんの道具「もしもボックス」のようなものだと考えている。
 役に成り切るとかではなく、その身体、仕草、そのままで、条件が少しだけ変わったところに身を置いてもらう。と、本人でありながら日常の本人とは差異が生まれてくる。その差異こそが演技だ。

 けど、考えたら私はスタートからそうだった。
 もともと、書くことに興味もなく、役者がやりたいだけで劇団を作った。
 だから書く技術もなければ興味もあまりなかった。
 一緒に始めた水沼君を見ていて、(私が思った)彼なら言いそうな言葉を書いたのが、私の劇作のスタートだと思う。それは私から見た水沼像だった。それが少しずつ形を変え、「彼がこんな場所でこんなことをしたら面白い」という形に変化していき、フィクションの度合いがそれに連れて強くなっただけだ。奥村君にも尾方君にも、そして金替君にも同じことをした。
 今はあまりそんなことを意識してはいないんだけどね。
 でも、それゆえ、私がMONOで芝居を作る時、私が書く台詞の多くは、彼らへのメッセージだったり、私の思いを伝えるものだったりしてしまうんだと思う。ラブレターみたいなものなのだ。

 今回はまさにそういう作業だった。
 「怠惰なマネキン」に出ているメンバーは「俳優育成講座」で三年前に出会った人たちがベースだ。書きながらそれぞれのことを考えた時間だった。
 
 そろそろ出かけないと。
 狭い会場なので完売してしまっている回も多いんですが、21日の昼などはまだ入れますので。
 ぜひ、役者のフィクションとノンフィクションの狭間を体験してください。
 
 サイトです!

 昨日の稽古帰り。
 渡辺啓太がいないけど。

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posted by 土田英生 at 08:23| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月07日

心理学マニア

 いつだったのかは忘れたが、フロイトやユングを読んでから心理学が好きになった。
 自分にとって必要だった。
 けれど、そこからは心理学を幅広く学ぶことには興味は向かわず、私の興味はもっぱら行動心理学や催眠心理学に集中した。

 そうした知識は、まさしく演劇の現場で役に立っている。
 MONO特別企画「怠惰なマネキン」の台本を書く時も、演出をする時も、久しぶりにそのことをかなり考えた。これがどういう結果になるのか、まだ見えないけどね。
 
 みなさん、お待ちしています。
 MONO特別企画サイト→
 出演者のインタビューや私のコメントなども載っています。

 明日も稽古。
 ああ、秋。

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posted by 土田英生 at 05:02| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月02日

上がった分は下がる

 こんなものを書いている場合じゃない。
 締切を抱えているので、とにかく脚本を書かなければいけない。
 そんなことは重々承知している。

 けれど、このままではダメなのだ。
 明日の朝まで集中して書くことを考えると、とにかく自分の状態を整えることが優先だ。
 お酒を飲みたいけど、そんなことをしたら仕事ができない。
 なのでこれを書いているのだ。
 これはお酒の代わりだ。晩酌ではなく晩ブログだ。
 
 昨日、稽古を夕方からだと思い込んでいた。実際は13時からだったのだが、15時まで別の用事を入れてしまっていた。それを早く切り上げさせてもらい、1時間遅れで稽古場に向かった。両方に迷惑をかけた。
 
 そんなこともあり、移動中、ずっと考え事をしていた。
 気分が滅入った。
 稽古場に着いた時はちょっとだけ感情が乱れていた。
 けれど、稽古を開始すると気分が上向いた。テンションも上がってくるので急上昇して行く。
 
 これが私の問題だ。

 終わると……その反動がやってくる。上がった分だけ下がってしまう。
 だから稽古で元気を出せば出すほど、終わってから勢いよく落ちる。
 
 17時に稽古は終わったが、このままではまずいと思った。絶対に急降下すると自分で分かったからだ。なのでソフトランディングを試みた。急降下じゃなくて、優しく着陸しようという作戦だ。

 そこで皆に声をかけ、何人かとご飯を食べた。
 しかし……。
 「じゃあね」と言って皆と別れた途端にダメになった。

 身体の内側に広がる厭世的な気分。周囲の景色がモノクロになっていくような感覚。
 見事に急降下していく。

 ハイボールがいけなかったのだろうか? 一杯だけにしておこうと思ったけど、結局、4杯飲んだし。いやいや、それくらいでは酔わないはずなんだけどね。

 仕事ができる状態ではない。
 思わず知り合いの店に立ち寄り、さらに2杯だけ飲み、事務所に戻ってシャワーを浴び、そのまま二時間ほど眠ってみた。
 ……電話で起きた。
 仲のいい女友達からだった。
 最初は気をつけて話していた。考えていたのだ。元気を出したらダメだ。その分落ちるんだから。ゆっくりゆっくり……ソフトにソフトにだ……。

 気がついた時には元気に喋っていた。
 部屋を歩き回りながら電話している自分がいた。
 
 案の定、電話を切った後……ダメだった。
 パソコンには向かっていたが、全く集中できなかった。
 
 今日は稽古もない。
 だから朝から書いていたのだが気分は相変わらずだ。
 書いてはため息をつき、しばらく休んで、まずいと思ってパソコンに向かう。
 少し乗ってきたと思って書いていると、自分の台詞に傷ついたりする。
 そしてため息をつき、しばらく休んで、慌てて机に戻る。
 その繰り返しだ。
 なんだこの一人芝居フェスティバルは?
 しかも……そんなことしているから……。
 おいおい、気がつけば、もう夜になっているではないか?
  
 こういう時、誰かに話を聞いてもらったりして楽になるのが定石なんだと思うけど、私の場合はそれに効果がない。喋っているうちに、不必要に元気になってしまうからだ。
 問題はこの「不必要に」という部分だ。
 結局、一人になった時にはその分「不必要に」落ち込んだりするので逆効果だったりする。
 
 そういう意味ではお酒と似ている。酔っている間だけ楽になる。
 人前で喋っている時だけ楽になる。
 
 昔、病院でカウンセリングを受けた時だ。
 その時の気分はどん底だった。
 ま、どん底だから行ったんだけどね。

 診察室に入って、最初は普通に悩みなどを話していた。
 少しだけ面白くしてみたら横にいた看護師さんが少し笑った。
 すると私は調子に乗ってきてしまった。今、私がいかに悩んでいるのかを、とても愉快に話してしまった。
 最後には先生も微笑んでいた。
 どんどん気分がよくなった。話し終わった時にはイベントをやった後のような爽快感があった。
 「すっきりしました!」と、言いながら手を振って元気に病院を出た。
 
 けれど……。
 あの時も余計に落ち込んだことを覚えている。
 あれ、カウンセリングになってなかったんだよね。ただ、喋っただけだ。

 私はプライドが高い。
 正直な心情を吐き出してしまうと、自分の内側から逆襲される。
 だから正直には話せない。

 これでも随分と改善されたんだよねえ。
 昔はもっと我が強かったし。
 思い込んだら、それが世界の全てだった。

 そのせいで色々な物を失った。
 後悔と反省を繰り返し、少しずつだけど、他人の考えも受け入れられるようになった。
 そして、そのことが前よりは見えるようになった。
 失う前に考えるようになったからだ。
 これは進歩だ。うん、随分と進歩している。

 やっぱりこんなものを書いている場合ではない。
 仕事に戻ろう。
posted by 土田英生 at 21:51| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月30日

自己嫌悪

 ブログやSNSの難しいところは、何かを書いた時、周囲の人に「もしかして俺のことか」と思われてしまう可能性があるところだ。腹が立ったことなどは、時間が経ってからなるべく分からないようにして書くことにしているが、これはなかなか難しい。

 特に文章などにすると、どうしてもニュアンスが削ぎ落とされて、はっきりとした意味が生まれてしまう。
 誤解も生む。

 話し言葉も同じだだけどね。
 一旦、発してしまったらもう戻せないのだ。
 相手を傷つけてしまえば、後でどんな言い訳をしようが完全に無しにすることはできない。
 時には景色を変えてしまう。
 
 そうなんだよね……。
 言葉にすることで、大事していたものを壊してしまう瞬間がある。
 後悔しても、いくら言葉をつぎ足しても……元には戻らない。

 すべての景色が変わってしまうことは、私だって耐えられない。
 猛烈な自己嫌悪。
 今の私は本来の状態ではないよね。その自覚はありながら、じっとしている訳にもいかない。歩みを少し進めるのに精一杯で、先が見えない方向に足を踏み出している。
 
 どこに向かいたいのか、それは私にも分からない。
 5メートル先しか見えない。
 だとしたら5メートルだけ進み、違ったら歩みを止めよう。
 
 私は無宗教だし、占いなども信じない。
 けど、時々、神が欲しいと思う。
 思し召しに従ってみたい。
 けど、そんなことはできないし。
 自分のプライドや欲望と闘いながら、判断をし続けることはとても苦しい。
 けど、それがまあ、生きていくこということだしね。

 そんな自分を抱えながら、今も台本を書いている。
 書くことで救われることもあれば、余計に苦しくなることもある。
 自分に都合いいものにならないよう、最大限の歯止めをかけながら、それでも出てくる台詞を書く。
 そこに何かしらが宿ると信じたい。

 ……今日はなんのこっちゃという内容になった。
posted by 土田英生 at 03:02| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月29日

なぜか連続で。

 しばらく全くここを更新していなかったのに、ここのところ三日連続で書いている。
 公演が近づいてきたので、宣伝をしなければという思いもあるし、自分の気持ちを整理したいのもある。
 
 高校三年間、私は日記をつけていた。

 小学生の頃からお調子者で、中学でもよく喋って、高校一年の時もクラスで一番騒がしいタイプだった。けれど……二年生の頭に突然、仲よかった数人から無視をされ始め、まあ、結構しんどい高校生活を送った。今は理由がわかる。何かにつけ「前へ前へ」と出る性格だったので、鬱陶しかったんだろうね。
 最後まで仲良かった子たちもいたけど、私のクラスは男子のみの19人で三年間一緒。しかも寮生活だったので、生活の中でそのメンバーの占める比重はとても大きく、それだけに辛いものがあった。

 その頃から私は日記をつけ始めた。
 現状の不満や、友達への苛立ち、やがて自分の悪いところを反省するようになり、そんな中で恋の悩みや、読んだ本の感想なども書くようになった。三年間でノート10冊くらいにはなっていたと思う。京都の家のどこかに残っているはずだ。
 ちなみに最初のノートを書き出した頃は、ちょうど悩んでいた時だったので、表紙になぜか「心」と書いてしまった。寮生活なので誰かに見られる可能性もあると思い、その後「心」という漢字に線を付け足して分からないようにした。結果、なぜか串にさししたおでんのようなイラストになった記憶がある。
 しかもじっと見ると「心」と書かれた部分だけ分かるという間抜けぶりだった。
 
 高校の時は日記を書くことで救われた。
 
 まあ、人が読むことを前提にしたブログとは種類が違うけど、それでも文字を書くと整理はできるね。

 現在、私は自分で勝手に自らを追い込んでいる気がする。
 これではダメだと頭では分かっているけれど抜け出せない。
 いろんなことが重なって……現状のままいることが苦しくなってしまっている。

 この前、MONO特別企画「怠惰なマネキン」で観劇三昧さんでイベントをやらせてもらった。iakuの横山拓也くんとの対談で「どんな俳優(特に若手)と仕事がしたいか」というタイトルだった。マネキン出演者も頑張ってくれたおかげで、雨にもかかわらず人も来てくれた。

 そこで「若手の定義は?」という質問が出た。
 「年齢ではなく、変われる素地を持っているかどうかが大事だ」というような答えをしたと思う。
 私はまだ変わりたい。
 だから自分の定義で言えば若手だね。
 
 この前、「私はまだ変われるだろうか?」と、書いたのはそういうことだ。

 大体、三十歳くらいまでには人は自分の価値観が固まってしまう。
 そして一度固まった価値観や性格で、人生が決まっていくといっても過言ではない。
 井上ひさしさんが、何かの対談で「性格は運命です」と言っていたけれど、私も全く同意だ。だから上手くいく人はスイスイ進むし、何をやってもつまづく人も出てくる。
 
 けれど。
 いつも書いているけれど、考え方と行動だけは変えられると信じているんだよね。ある時はスイスイ進んできたけれど、つまづくことも多かった。つまずいた時には、考え方を見つめ直し、それで突破してきた。

 だから今、私は再び考えている。
 その確認の為に書いているのかもね。

 「怠惰なマネキン」は二十代から三十代のメンバーの話ですが、こうした私の迷いが色濃く出てくる作品になっている。なんだか、青い感じだ。
 けれど、私もまだ若手なんだし、大丈夫だよね。
 
 みなさん、見に来てくださいませ。

 MONO特別企画サイト→⚫️
 
 
 
 
posted by 土田英生 at 07:26| 東京 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月27日

たまには楽しいことを。

楽しいことを書こう。
というより、どうでもいいことを取り留めなく記そう。

昨日は朝まで脚本を書いていた。
締切りが朝の6時になっていた。本当は前日の夕方に終わらせたかったけど、まあ、無理だろうなとは分かっていた。
結局、書き終わったのは朝の5時だった。
それから他のことを済ませて、9時過ぎに横になった。完全なる昼夜逆転だ。
しかし、考えごとをしていて中々寝付けず、眠ったと思ったのに昼過ぎに目が覚めてしまった。
ブログを更新してみた。
で、夕方からは打合せ。
打合せは3時間ちょっとで終わった。
今、一緒にやっているプロデューサーは私と同じくらいよく喋る。
そしてテンションも似ている。
考え方も似ているんだよね。今日も雑談中、お互いの美学について話し合ったりしたけど、うなずく部分が多かった。
彼もあれだけONの時が明るいとすると……一人の時はかなり暗いはずだ。

だからいつも話し合いはトントン拍子に気持ちよく進む。
今日も提出した脚本の打合せは1時間くらいで終え、次の話を考える。
ああだこうだと2時間話したところでストーリーなどが見えてきた。なので、そこで打ち切って後は私が書いてみるという話になった。こんなに短いのってあんまりないんだよね。しかも合間にかなり関係ない話もしてるのに。

けれど、まだまだ道のりは遠いね。詳細は書けないけれど、とにかく今終えた分の5倍くらいはまだ書かなければいけないのだ。世界観は掴めてきたように思う。だから後はその中でどういう風に遊べるかだ。

予想より早かったので、帰りに渋谷で降りてブラブラした。
本当はお酒が飲みたくて仕方なかったんだけどね。誰かを誘って少しだけ飲もうかとも考えた。けれど、そうすると夜に書けなくなってしまう……。
迷った。かなり迷った。
いや、実際に誘ったけど、その人は都合が悪かった。じゃあ……と、別の人を探しかけたけれど……我慢してみた。

我慢しただけで、すごく頑張った気分になった。
ご褒美が欲しくなった。
なのでコーヒーメーカーを買った。
前に使っていたのが、数日前に突然壊れたのだ。
私は常にコーヒーが横にないと落ち着かない。
書き物をする時はノート、ペン、パソコン、コーヒー、タバコ、素焼きアーモンド、カカオ86パーセントが現在の必需品だ。

揃えてから事務所に戻り「怠惰なマネキン」を書いた。
そうなのだ。これもまだ終わりまでいっていないのだ。

今、大体、1時間弱くらいある。
狭いスペースでの上演なので1時間20分くらいにしようと思っているのだが……。
それにしては1時間であんまり話は進んでないね。稽古を見てると長くは感じないんだけどね。
この辺りではっきりした展開を見せないとダメだな。

今回はわざと全くプロットを立てずに書いている。
役者の演技を見て、稽古をしている間に先の展開を思いつく。それを書いて稽古して……その繰り返して進めている。もちろんモチーフは決まっているんだけど。

ただ、今日はそんなに進まなかった。
一旦眠って、稽古までまた続きを書こう。

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楽しいことは書けなかったね。
ま、いいや。
posted by 土田英生 at 06:02| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月26日

フェイドアウト

 段々に消えていくのがフェイドアウト。
 突然、切れてしまうのがカットアウト。
 音響や照明の打合せで「ここはフェイドアウトにして」などと、私もしょっちゅう使っている。

 これまで年齢を気にしたことがなかった。
 35歳の時、楽屋で水沼くんに「俺は大人か子供かどっち?」と聞いて、とても淡々と「大人」と答えられたことも覚えている。
 当たり前だ。大人だ。彼が正しい。
 
 正直に言うと自分の中では今もあまり思いは変わっていない。
 だから「将来何になろうか」と、高校生のように想像することもある。
 この前は学校の先生になりたいとぼんやり思ったりした。
 ストレスが溜まると前髪を引っ張る癖があるが、それも大人になったらやめようと心に決めたりした。

 けれど、冷静に考えてみると違う。
 私は学校の先生にはなれない。絶対に無理だとは言えないけど、まあ、ならない。
 前髪を引っ張る癖も直らないだろう。

 この先に対する、前向きな変化ばかりを期待して生きてきた私としては、その事実に気付いて愕然とする。
 女性でも男性でも、年齢を重ねてから年下の人と一緒になったりする人がいるが、なんだか気持ちは理解できるね。もちろん好みの問題もあるんだろうけど、それ以前に、まだ自分は大丈夫だと確認したい欲求も隠されているのかも知れない。

 この前、ワークショップで知り合った高校一年の子と喋っていた時だ。
 その子が「私と友達になれますか」と聞いてきた。
 私は「なれるんじゃないの? ◯◯ちゃんも俺もそう思えるなら」と、答えた。
 
 その話をしている時は清々しい風が吹いた気がした。
 
 けれど……やっぱり先のことを考えると暗澹たる気持ちになる。
 自分のことだけじゃなく、取り巻く環境を思う。
 10年前には想像できなかったような速度で、とんでもない方向に進んでしまっている。
 政治がこうなっているのは、政治家だけの問題じゃない。
 むしろ私たちの社会全体を覆う空気こそが厄介だ。
 人々は政策などの良し悪しで政治を見ていることをやめてしまい、ただの代理戦争になってしまった。
 こうなると、もう自分に都合の悪い意見は耳に入らない。
 自分と考えの近い人だけで集まり盛り上がる。そして立場の違う相手を攻撃する。

 自民党がいいとか悪いとか、そんな次元の問題じゃないのにね……。

 私はもともと演劇しながら楽しく暮らし、まあ、選挙にはいくけど、あとはブツブツ文句だけ言いながら「のほほん」としていたいのだ。それを保証してもらいたいから税金を払って、選挙で政治家を選び、後はうまく頼むよという感じだったのだ。
 民進党政権の時だって、愚痴を言っていたし、どこが政権を担当していても嫌なものは嫌だ。

 私が怖いのは、実際に進められている政策なのだ。

 演劇をやっている身としては、新共謀罪が決まった時にも怒りと不安を感じたけれど、これで緊急事態条項なんかできた日には……。
 ああああ。
 いやだ。

 個人的なこと、社会のこと、様々なことが絡み合って、楽しくしていたい私の邪魔をする。
 フェイドアウトしたい気分になるよね。

 ✴︎ ✴︎ ✴︎

 言葉の無力を思い知る。
 まさに、今は、言葉の力がどんどん失われて行っている。
 
 これは仕事としても困るんだよね。
 台詞をベラベラ喋らせて話を組み立てる私としては、どうしたらいいんだという感じだ。
 演出をしててもよく喋るし。
 個人的な付き合いでも、他人とコミュニケーションを行うツールとして、完全に言葉に頼っているしね。
 困るのはなるべく正確に伝えようとすればするほど回りくどくなることだ。
 哲学書とか分厚くなるのは仕方ないんだよね。『時間には逆らえない』という一文を書こうと思っても、『そもそも私の考える時間の概念は……』とか、いちいち説明していくわけだから。
 
 けれど、いくら正確に話したところで、伝わらなかったら意味はない。
 そのことを改めて知った。

 だから考え、自分を見つめ直す。

 けれど、性格は一生変わらないと諦めている。
 人前ではしゃぐことも、調子に乗ってしまうことも、意味なく身体を動かしてしまうこともきっと変わらない。変えられるとしたら考え方だけだ。

 しかし、変えようとする私を、自分のこれまでの好みが邪魔してくる。

 いつからか、正月には必ず福袋を買うようになった。
 すると自分では絶対に着ない服が入っている。
 それを無理やり着るということをここ数年実践している。
 鏡を見て「え? ありえない」と思ったりするのだが……意外にも人から似合うと言われたりすることが多々ある。それを繰り返すことによって、自分の好みも変化していく。

 私はまだ変われるんだろうか?
 フェイドアウトしてしまう代わりに、クロスフェードしたいね。
 新しいものが出てくるように。

 朝まで脚本を書いていて、16時から打合せ。
 それまで寝ようと思ったのだが、考えていて眠れなかった。
 時間が余ったので、本当は公演の宣伝をしようとこれを書き始めたのに。
 思いの外、長くなってしまった。

 そろそろ準備をして出かけなくてはいけない。

 ドラマの仕事に追われながら稽古は毎日している。

 MONO特別企画『怠惰なマネキン』
 →サイト

 チケットの少なくなっている日もありますのでよろしくお願いします!
 
 さっき、出演者の一人から「昨日の稽古は興奮しました」という前向きなLINEをもらった。
 だったら、まあ、全力でやるしかないしな。

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posted by 土田英生 at 14:25| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月14日

子守ブログ失敗

 広島に滞在して、アステールプラザの演劇学校の稽古中。
 明後日が試演会。
 今回やるのは『ヒヤクモノガタリ』。
 参加者それぞれに自分のエピソードを書いてもらい、それを百物語のように順番に語って行く。
 基本的に私は会話主体の物しかやったことないので、戸惑いも満載だ。

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 これは担当の金沢さんが撮ってくれてた写真だけど、なんだか、自分の姿にも戸惑いが見えるね。
 いや、無駄話をしているだけかも知れない。
 今年は大学生とかも多い。
 高校一年もいるしね。
 楽しい。
 けれど、喋っていて、例えにちょっと困ったりする。
 無理して『けものフレンズ』で例えようとして諦めたりしている。
 慣れないことはしない方がいい。
 今日は結局、例えが『生活笑百科』になってしまった。
 
 明日は一日中稽古。
 明後日の15時から試演会だ。

 ……書いていいのかどうかわからないけど、この俳優コースを担当するのは今年で最後にさせてもらおうと思っている。

 最初は4年前。
 演出コースの講師に呼んでもらった。その時は私の書いたテキストを三人の演出家がそれぞれ上演。私はオブザーバーのような形だった。それをやっていて、もっと直接何かを伝えたいという衝動にかられた。で、翌年から今年までの3年間は俳優コースを担当させてもらった。毎年、それぞれに楽しい。演出コースの一本に出演し、さらには翌年の俳優コースに参加していたのが、MONO特別企画「怠惰なマネキン」に出演する立川茜さんだったりする。

 これだけやっていると顔見知りも増えるし、友達もできる。
 当然のことながら広島にも思い入れが生まれる。

 自己確認の為だと思うけど、私は『誰かの力になっている』と錯覚することでモチベーションが上がる。
 作品を創りたいという欲求はもちろんあると信じているけれど、その根本を突き詰めて行くと怪しい部分があるんだよね。
 どうも……そこには人がいる。
 人からの求めに応じて、自分の何かが左右されるのだ。

 だから関係が近くなると思いは濃くなり苦しくなる。
 もっと関わりたいという気になるんだけど、同時に、責任は取れるのかという疑問も湧く。

 だから離れた方がいいんじゃないかと考えたりするんだよね。このまま続けたら、そのうち広島に引越したくなるかも知れないし。

 同じ人が同じ場所で、あまりに長い期間アレコレするのも弊害があるしねえ。

 こんなこと書きながら来年も関わってたりするかも知れないので、このあたりで控えよう。

 つい三日前までは香川の坂出にいた。こっちは三日間で短い作品を創った。
 坂出も三年連続だった。
 やはり思い入れが生まれてしまった。
 なんなんだろ、これは?
 浮気性なんだよね、結局。
 その場所、目の前にいる人、そこしか見えなくなってしまう。

 坂出と広島の間。
 1日半だけ京都の自宅に戻った。
 けれど、締切があったのでずっとパソコンに向かっていた。いや、知り合いの女優さんが京都にいたのでちょっと散歩してお茶したけど。
 だけど、あれで随分と救われたし。必要な時間だったよね。
 
 と、言いながら……締切には間に合わず広島にまで原稿を持ってきてしまった。
 
 移動が多いと本当に面倒だ。
 ゴミ出しに苦労するし、今回は選挙だ。
 不在者投票の為の書類を送ったりしないといけなかったし……ああ、面倒だ。
 こんな忙しい時に、意義の曖昧な選挙。
 いい加減にしてくれと思う。
 ……そりゃ、投票はするんだけどね。

 本当、このまま進んだらどうなっちゃうんだろ?
 右とか左とか、保守とか革新とか……簡単に立場を決めて、脊髄反射で言い合うだけじゃなく……本当、自分たちの未来がどうなっちゃうのか、冷静に想像してみないと。

 ああ、こんなこと書いてないで眠らないと。
 さっきまで脚本を終わらせようと躍起になっていたが……無理だった。
 しかも眠ろうと思って横になっても目は冴えたままだし。
 
 書いてたら眠たくなるかもと思ってこれを更新してみたけどダメだね。
 子守唄のようにはいかない。子守ブログは失敗だ。
 
 疲れているせいかのか、それとも、いろんな場所で、様々な人への思い入れが生まれたせいか……。

 これまで当たり前に思っていた考えや人間関係、他人や物への感情が、自分の内側で違う顔を見せる。これはこれで戸惑うんだよねえ。急に冷静になってしまったりして。
 
 どうも私にはこういうところがある。
 突然、気付いてしまう。「あ、そういうことか」と思った瞬間に景色がすっかり変わるのだ。
 これまでだって、いきなり大学を中退してみたり、突然留学を思い立ったり、人と別れたり、これまでの生活を変えてみたり。

 眠ったらもとに戻るかも知れないんだけどね。
posted by 土田英生 at 03:41| 広島 🌁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月08日

アンパンマン気分

 今は香川の坂出にいる。
 前回の更新の時は京都にいたらしい。
 書くのも久しぶりだしね。

 あれから広島へ行き、広島からは東京に向かった。
 東京から香川にやってきた。このあとは京都に行き、広島に行き、そして再び東京だ。
 
 詳細は書けないがドラマ脚本に取り組んでいる。
 環境はよく、とても気持ちよくやらせてもらっている。
 だから、きちんと書かないと申し訳ない。
 気力だけは充分なのだが、いかんせん時間が不足している。

 ここにも何度も書いたけど、基本的に同時に色々なことができないので、かなり混乱してる。
 
 MONO特別企画「怠惰なマネキン」の稽古も始まった。まだ台本は3分の1。
 昔、MONOで上演した「なにもしない冬」と同じモチーフで書いているが、それは自分の中での話で、実際はまったく別の作品だ。新宿眼科画廊のスペースOという、とても小さなスペースでの上演になるので、それに合わせたものにしている。舞台と客席も分けず、そのスペースで行われる人々の会話や行動を、一緒に体験してもらおうと思っている。→「怠惰なマネキン」サイト

 それに合わせて観劇三昧でイベントも行わせてもらうので、ぜひ、みなさん来てください。
  公演直前のiakuの横山君と「こんな俳優(特に若手)と仕事がしたい」というタイトルで喋ります!
 
 『月一観劇三昧/下北沢 土田英生と横山拓也の「こんな俳優(特に若手)と仕事がしたい』
 
 まあ、この告知の為にこれを更新しているんだね、きっと。
 これ、もう10日もないし。
 「きゅうりの花」のトークイベントをした時、告知が遅く、あまりにアットホームすぎる環境になった。一緒に喋ってもらった諏訪君にも申し訳なく思った。今回も急に横山君にお願いした。だから……なんとかみなさんに来てもらわないとと願っている。
 ああ、心配だ。
 観劇三昧さんでは小説に関するトークイベントもさせてもらったことがある。
 あの時はそこそこお客さんは集まってくれたけれど、それでも台風が来ていて予定人数より少なかった記憶がある。いや……私に皆を集める力がないだけだけね。

 ああ、本当に頭の中がぐちゃぐちゃだ。

 今日は坂出でワークショップ初日。
 明後日、発表があるので作品の形にしないといけない。明日は演技の講座のあと、別枠で戯曲の講座も入っている。15日には広島でアステールプラザの演劇学校の試演会もある。
 東京に戻ってMONO特別企画もある。
 ドラマの脚本もある。
 本当は小説も書き終わっている予定だった。
 来年のMONOの公演の台本もある。

 ……その上だ。

 とにかく日々のニュースや社会の動きに、恐怖心を感じながら過ごしている。
 衆議院解散からの一連の動きは……不条理劇を見ているようだった。
 目の前で起きていることが信じられなかった。
 解散理由を本当のところ誰も信じていないにもかかわらず、それをあたかも前提として選挙に突入していくこの流れについていけない。土台がないところに家が建って行くのを眺めるような感覚だ。さらに不条理劇は続いた。民進党のゴタゴタもそうだしね。次々と柱が倒れていく。

 台本を書く時だって、まずは設定が大事で、その設定にリアリティーを与えられなければ、そこから話を組み立てられない。だから私はいつも最初のシーンを何度も書き直すのだ。土台があるから、ずらしたりすることで笑いやドラマが生まれたりする。

 けれど、もう、何を基準にしていいのかわからないね。

 本当、ここ数年、発する言葉の価値低下は凄まじく、それが一気に加速している感じだ。
 みんなどんな気持ちでセリフを書き、どんな顔で稽古場でダメ出ししてるんだろう?
 まあ、私もやってはいるんだけど。
 頭の中に雑音が響くよね。
 
 イエローモンキーの『JAM』は、価値観を保てなくなった状態の人が、信用できる存在である『君』に会いたくて、明日を待ってるというような歌だ。……と思う。

 あんな気分だ。

 一生懸命、そういう身近な人の顔を思い浮かべ、手を伸ばしてみる。
 まあ、それだって思い通りに行かないけどね。
 こっちが求めているようには、他人は与えてくれないし。
 まあ、孤独としっかり向き合い、自分を補強して踏ん張り続けるしかないんだとは思うんだけど。けど、手綱くらいは欲しくなっちゃうんだよね、どうしても。
 
 観劇三昧でのイベントを告知しようと思って書き出したのに。
 これじゃ、ダメだ。
 
 私は人の前に出ると、自動的に元気100倍アンパンマンみたいになるので……ま、一生懸命喋るんだけどね。
 
 けどさあ、アンパンマンも大変だよねえ。
 だって、自分の顔すら新しいものに変わっちゃうんだから。
 きっと不安だと思う。この頰すら、この目すら、自分のものだと思えないんだから。
 アイデンティティーとかどうやって保ってるんだろ?
 だから「愛と勇気だけが友達」なんだよね。そう思ってないと、きっと存在できないんだと思う。
 
 ああ、そういう意味でもアンパンマン気分だ。
 
 わからないまま終わる、そんなのは嫌だ!
posted by 土田英生 at 05:36| 香川 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月13日

僕の京都日記

 京都にいる間は執筆時間に当てようと決めていた。
 だからほとんど人とも会っていない。
 なのに、なのに。
 思ったようには進んでいない。
 すでに10日も経っているのに。

 毎日、掃除して洗濯してご飯を食べて……空いた時間はパソコンの前に座っているのだが、時間だけがすぎて行く。
 
 静かすぎるのも問題だ。
 刺激がない。

 「きゅうりの花」のキャスト達は終わってすぐにそれぞれ別の現場で忙しくしている。
 金替くんは壁ノ花団、諏訪君はヨーロッパ企画、千葉さんは「関数ドミノ」、神田くんは「OZMAFIA」、内田さんは「僕の東京日記」、啓君は自身で監督した映画「この凹にハマる音をちょうだい」の上映。
 
 啓くんの映画だけ観られたけど、神田くんは終わってしまった。
 「関数ドミノ」とヨーロッパ企画はこれからなので観られる。壁ノ花団は通し稽古をみせてもらうつもりだけど……やっぱり本番を観たい。
 
 そうだ。
 内田さんのも行けないんだよねえ。
 「僕の東京日記」は内田淳子さんだけでなく、大分のワークショップで一緒だった平嶋さんも出ているし。
 それに、永井愛さんの作品の中でも、これは私のお気に入りの戯曲なのだ。
 だからなんとかして観たかったんだけど。

 あ、そういえば愛さんの手帳カバー作らないと。
 前に作ったやつはサイズが合わず、すぐに作り直しますと言ってから、随分と時間が経ってしまっている。

 埋め合わせに公演の宣伝でもしてみよう。
 ブログのタイトルも似せてみた。
 15日からキラリふじみです。きっと面白いので皆さん行ってください。

 サイトはコチラ→

 昨日は久しぶりに人に会った。
 随分、会ってなかった人と、これまたご無沙汰のお気に入り焼肉屋さんに行った。
 昔、偶然入ってからファンになった店だ。
 それ以来、焼き肉は京都ではここしか行ってないくらいだ。
 「熟撰近江牛 SEJONG」という店だったのだが……行ってみたらない。
 焼肉屋さんではあるけど「牛力庵」と書いてある。
 うわ、なくなってしまった。
 と、焦ったけど……どう見ても店の感じはそのままだ。
 おそるおそる店に入った。
 ……顔を見たことのある店員さんもいたし、店長さんが出てきて「お久しぶりです」というので安心した。店名が変わっただけだったようだ。

 いやあ、本当、美味しいんだよねえ。
 昨日も……満足だった。

 今からは打合せだ。
 出かける準備をしないと。
posted by 土田英生 at 14:20| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月08日

Twitterの隙間

私もTwitterをやっている。

このブログも連携していて、更新されるとTwitterに流れる。ブログにはコメント欄などを設けていないので、文章に対する感想もTwitterのリプライでもらったりする。

3日に広島から京都に移動してきて、その日の夜、ブログを書いた。
それから2日間、更新していない。

Twitterでは時々何かを書いていた。

その断片をつなぎ合わせてみよう。

4日の12時56分。
私はこんなTweetをしている。

“別の家のインターホンだったのか……。慌てて一階まで降りてドアホンのボタンを押し「はーい」と返事してたのに。どうりで誰も映っていないはずだ。相手のいない切ない返事が道に響いていたんだろうね。”


東京から広島に移動する前日、京都に送る荷物を出した。
時間指定は4日の14時から16時。
しかしTweetは12時56分。
まだ、来るはずなどないのだ。

私は荷物が届く日はいつも緊張している。
仕事部屋も寝室も2階。だから返事が遅くなって不在だと思われたらどうしようと心配になるのだ。だいたい、下北沢にいる時ですら、寝ていて不在伝票を入れられたりすることがあるのだ。再配達してもらうのは申し訳ないし、今、運送屋さんでは再配達が大問題なのだ。こっちも指定した以上、きちんと受け取らなければいけないのだ。

この日も、寝不足のまま待っていた。
眠たい……。
けれど万が一眠ってしまったら荷物を受け取り損なってしまう。
だから必死で踏ん張っていた。
で、ドアホンが鳴る音が聞こえたのだ。
確かに異様に小さな音だった。
けれど、私には迷いはなかった。すごい勢いで階段を降りた。降りている間も「はーい! 今、行きます!」と叫びながらだった。

そしてキッチンにあるドアホンのボタンを押し「はい!」と元気よく返事した。
……しかし誰もいない。
「はーい……」
もう一度言ってみた。
ドアホンのモニターにはただの道が映っている。
家の前ののどかな風景。
人影もない。
……どうやら別の家だったようだ。
それで上のようなTweetをしたのだ。

荷物が届いたのは結局16時前だった。
急いで荷物を出す。
そこにはカメラのレンズや三脚などが入っていた。

なぜ、こんなに焦っていたのか?
実はこの日、壁ノ花団の稽古場写真を撮ってくれと頼まれていたからだ。だからどうしてもレンズと三脚を受け取らなければいけなかったのだ。

17時から制作の垣脇さんとミーティング。
来年の仕事のことなどを話し、そのまま京都芸術センターへ。
稽古を見させてもらい……素人ながら頑張って写真を撮った。

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出演者の一人、匿名劇壇の松原由希子さん。
MONOにも「ぶた草の庭」「裸に勾玉」「ハテノウタ」と連続して出てもらった女優さんだ。

稽古終了後、キャストの皆と「清水家」へ。

痩せたいという水沼くんに、諏訪師匠から伝授された「低糖質ダイエット」を教えた。
もちろん私はビールも我慢し、大好きな小芋も食べなかった。家でもビールを我慢しているという話になった時、「糖質ゼロのビールとか飲んだらいいじゃないですか」と金替君がアドバイスをくれた。その手があったなと今更ながら気づいた。

稽古を見せてもらった箇所は断片だけだったけど、それでも面白かった。
その帰り、電車に乗ってTweetしたのがこれだ。
4日、23時13分だ。

“壁ノ花団「ウィークエンダー」の稽古見学。微妙なニュアンスで攻める言葉選びに笑ったね。役者さんもみんないい。”

風呂から出ると、そのままベッドに直行してぐっすり眠ってしまった。
なんせ寝不足だったのだ。
しかも……翌日、5日の昼頃まで寝てしまった。荷物の届く予定もないし、ゴミ出しの日でもないので安心して眠ることができた。

あ、そうだ。
ちなみに「ゴミの日」の前日も私は緊張する。
周りの皆は朝の8時から9時くらいに一斉に出す。だからその時間に私も出さなければという重圧に苦しんでいるのだ。7時とかなら問題ないと思うのだけど、前に一度、持って出てみたらまだ誰も出していなかったので持ち帰ったこともある。あの時は待っている間に眠ってしまい、起きた時には出せなかった。

京都の“近所の目”はなかなか手強い。

実は……今日もゴミの日なのだ。
だから頑張って起きているのだ。
これを書いている理由はまさにそれだ。

とにかく5日は昼過ぎに起きて、そこから机に向かった。
ドラマの構想を大まかに立てて行くのだが、なかなか捗らない。
すぐに机を離れ、ベッドに転がってしまう。
それでもなんとか少しだけ考えた。

だけど、本来はそれを終えたら、MONO特別企画「怠惰なマネキン」の箱書きまで済まそうと思っていたのだ。

全然ダメだ……。
これでは「怠惰な私」だ。

夜、ご飯を食べてからは……ますますやる気が出なくなった。
一件電話があるかも知れなかったので、仕事に取り掛かるかどうか迷った。乗って来た時は一気にやりたいと思ったのだ。なんとなく待ちながら時間は過ぎてしまった。

そういえばメールの返信もしなければ……。
メールの返信だけ3通済ました。

そして5日、22時30分に次のようなTweetをしている。

“メールの返信を3件しただけなのに、今日の仕事をすべて済ました気分になってしまっている。”

この日は電話がないとわかったので、夜中になってから机に向かった。
ドラマは少し進んだが、「怠惰なマネキン」の方は手付かずのままだった。

翌日、朝、トイレに入ったらトイレットペーパー残りわずかだった。
買いに行かなければ。

嵐山は買い物するには不便だ。しかも、今は車もない。
行動はバスが電車になる。
面倒くさい。
買い物は……明日にしよう。

午前中、掃除などを済ませ、昼から「怠惰なマネキン」に取り掛かった。
……思いつかない。
ダメだ。ああ、もう、自分の能力のなさに嫌気が指す。
午後になっても全然ダメだった。

私はやっぱり出かけることにした。
トイレットペーパーも買いたいし、糖質の少ない食材も買わないといけないし、アーモンドも必要だし、金替君の勧めに従って糖質ゼロのビール的なものも欲しい。

どうせなら外で仕事しよう。

考えた挙句、私は昔住んでいたマンションの近くまで行くことにした。
スーパーもある。そして何より、一時期、頻繁に通ったカフェがある。

あそこで一度、驚異的にものが書けた記憶があるのだ。

あの時、MONO「なるべく派手な服を着る」を書きながら、同時並行でドラマ「斉藤さん」も書いていた。
それだけでも限界だと思っていたのに、当時のフジテレビのプロデューサーから電話があり、「ロスタイムライフ」というドラマを1話分書いてくれと頼まれた。
事情を聞いて引き受けることにしたのだが……初稿を3日後に欲しいという。
資料などをデータで送ってもらい、私はそのカフェに行った。
そこで40分くらいで構想がかたまり、私は翌日には脚本を書き終えた。そして、それはなかなか満足の行くものだった。

あそこに行けば書ける気がする。

バスに乗って「南広町」まで行った。
買い物を済ませ、私はそのカフェに入った。内装はきれいになっているが雰囲気は変わらない。
いつも頼んでいたカフェオレを注文する。

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16時2分のTweetはその時のものだ。

“7年前まで住んでいたマンションの近く。いつもノートを広げに通っていたカフェに来た。ここなら思いつくはず。”

そこから30分。
ノートはどんどん文字で埋まる。
そして……。
「怠惰なマネキン」の箱書きが終わった。

16時37分に写真付きでTweetしている。

“アイデアはまとまった。やっぱりこのカフェに来て正解だった。”
 

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もうこうなったらすぐにパソコンに向いたい。
私は構想はノートでしかできない。
まとまれば台本はパソコンで打つが、なぜか外では書けないのだ。
早く帰りたい。けれどバスなので時間を調べなければいけない。
市バスがどこを走っているかをアプリをひらいて見てみる。
それが16時45分。

“家に戻って台本書こう。カフェはバス停の目の前なので、これ見ててバス来たら出る。便利な世の中だ。

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家に帰って台本を書いた。
買ってきたトイレットペーパーを収納しようと戸棚を開けたら、そこには大量のトイレットペーパーの予備があって軽いショックは受けたけれど、それでも台本は進んだ。

その日の夜、ベッドに入って嫌な夢を見た。
今日の朝、起きて……そこからは気分がダウン気味だった。

一日中、机に向かって書いてはいたけど、他のことを考えてしまう。
これから先のこと、そして人間関係のこと、などなど。
気がつけば夜になっていた。

今日の21時52分。

“考え過ぎて気持ちが滅入って来た。これじゃ逆に書けないよね。こういう時、下北沢だと少しぶらっと出来るんだけど。嵐山は今日も真っ暗だ。”
 


何かしよう。
気分転換にはクラフトだ。
私は何かを作るのが好きなのだ。木工も好きだしレザークラフトも好きだ。
けれど、革は時間がかかるし、夜なので木工を一からやる訳にもいかない。
前にコーヒーのメジャースプーン掛けを作ったのだが、色がちゃんと塗れてなかったので、それをすることにした。すぐに終わった。かかった時間は20分。

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全く気分転換にならなかった。
時間が短すぎたようだ。

私は模様替えを始めてしまった。
タンスを移動し、食器棚を移動し……。
これは大変だった。途中で本当に嫌になった。

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けど、やめるわけにはいかない。
なんとか終えたが、気に入らない。
またの機会にやり直そう。

“気晴らしをしようと、こんな時間に模様替えをした。あっちを動かせば、こっちが出っ張り……1時間かけて前より変になった。もう戻す元気はない。”

このTweetは0時4分だしね。
これが現在のところ最も最近のTweetだ。

疲れてしまったので、お風呂に入った。出てきてから糖質ゼロのビール。

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ああ、もっと買ってくればよかった。
昨日、2缶。今日は3缶。
6缶入りだったので残りは一つになってしまった。

で、ビールを飲んでから台本の続き。
ひと段落して時計を見ると6時前だ。
そろそろ寝よう……が……今日がゴミの日だという事実に気づいてしまった。

起きていなければ。

で、これを書いている。
書くこともないのでTwitterの隙間を埋めてみた。

書き終わったけど……まだ……ゴミ出すには早いしねえ。

仕方ない。
もうちょっと仕事するか……。

あ、その前にTweetしてみよう。
posted by 土田英生 at 06:48| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月04日

徒然なるままに。

 ゆっくりお風呂にも浸かったし、一回ベッドに入ったんだけどね。
 涼しい風と虫の声があまりに秋の気配を押しつけてくる。
 秋は誰だってちょっと切なくなる。

 色々と考えていたら眠れなくなってしまった。

 ポークウンインナーをかじりながら、水割りを飲むことにした。

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 何を書くあてもない。

 だったら仕事をしろよという声も聞こえるが、それはとても小さな声だ。
 仕事部屋に置いてあるチェーホフの肖像画も「今日はもういいよ」と言ってくれている気がする。
 
 だから徒然なるままにこれを書こうと思った。

 広島に行っていた。
 アステールの演劇学校だ。10月に試演会があるので、今回はその台本作りがメインだった。
 今年の参加者は14人。女性11人、男性3人。高校生から大人までいる。
 この俳優コースを担当させてもらうのも3年目なので、今年で区切りをつけさせてもらおうと考えている。広島の街に対する愛着もどんどん湧いてきているけど、あまり長い間、同じ人がやり続けるのはよくない気がするからだ。ま、離れることを考えると寂しいんだけどね。

 出会いもある。
 一昨年の参加者の中に立川茜さんがいた。

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 現在、彼女は東京で働いているが、秋から本格的に演劇の道に進む。
 MONO特別企画「怠惰なマネキン」にも出演することになっている。

 広島の飲み会で一緒になった時、「東京にでも出て演劇続けたらいいのに」と私が無責任に言ったらしい。
 もちろん私の言葉にそんなに力があるわけでもないし、道を決めて行くのは本人なので、彼女の人生を背負う気はない。けれど、まあ、言葉を発した責任は感じる。
 
 声をかけたこと、かけることについて。
 時々、考える。

 大学を中退して東京に出て、その後、京都に戻って劇団を作ろうと思った時、私は水沼君、犬飼君、西山君に声をかけた。その4人でスタートしたのが現在のMONOの前身になっている。

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 これは「さよなら、ニッポン」の宣伝写真とした撮ったものだね。
 犬飼君(左)はMONOを抜けて俳優を続けているし、西山君(右)は完全に演劇から離れた。
 真ん中にいる……私と水沼君は今も一緒にやっている。
 
 あの時、声をかけなかったら今頃何をしてるんだろう?
 ま、そんなこと分かんないしね。

 で、そのまま関係が続くことにつても考える。
 長くやりゃいいってもんでもないけど、時々「うわあ」と、思ったりする。

「ハテノウタ」の楽屋でふと気がつくと水沼君が顔を洗っていた。
 他には誰もいなかった。
 洗面台に屈み込む後ろ姿を眺めながら、「長い間、この後ろ姿を見てるなあ」とぼんやり思ったりした。

 そして、それはやっぱり少し嬉しかった。

 なんでこんなこと書いてるんだろ?
 虫の声と水割りのせいだ。
 三杯目だし。

 その後、奥村君が参加し、尾方君が加わり……最後に、所属劇団が解散してフリーになっていた金替君に声をかけた。あれ20年前だよね。その人たちと今もやっている。
 そう考えると長いな。

 とにかく私はこれまで全員、自分で声をかけて来ている。
 一緒にやりたいと思った人を先のことなど何一つ考えずに誘ってきた。
 皆はどう考えているのか知らないけど、私には一片の後悔もない。
 
 立川さんに声をかけたのだって一緒なんだよね。

 いや、違いはあるな。

 現在のMONOのメンバーに声をかけた時、彼らは同世代だったし、私も始めたばかりだったので未来には明るい景色しか見えなかったしねえ。けれど、今、私も結構長くやってきて、昔とは違った景色が見えてしまっている。まだまだ勉強もして、もっと面白いものを創りたいとは思っているけれど、色んなことが思い描いた通りに進まないことも知ってしまっている。

 けれど声をかけるのは、私自身がまだまだ坂を登りたいと感じてるからだよね。
 一緒になにかやろうよってことだし。

 次のMONO特別企画に出るメンバーも結局、私が全員に声をかけている。
 3年前の俳優講座がきっかけだ。その中で一番古いのは高橋明日香さん。彼女とは出会って6年になる。
 決して器用な役者さんだとは思わないけど、声をかけた時の直感を私は全く疑っていない。
 こうして一緒に活動を続けていることが何よりの答えだ。

 私が声をかけた5人が出演するMONO特別企画「怠惰なマネキン」。
 絶対に面白くしてやる。
 
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 情報はコチラ
 
 ……人との出会いだけは、外れてない感じがするんだよねえ。

 この前、アトリエ劇研が閉館した。
 私は東京にいたのでクロージングイベントにも参加できなかったけど、Twitterに流れてきた写真を見た。
 吉本有輝子さんが仕込んだ照明が劇研の空間を照らしていた。
 それを眺めながら一時期の京都に思いを馳せた。
 劇作家もたくさんいた。
 マキノノゾミさん、松田正隆さん、鈴江俊郎さん、そして亡くなった深津篤史君……他にもたくさんいたな。一緒に劇作家協会の京都支部を作ったり、特に松田さんと鈴江さんとは同人誌「LEAF」を創ったり。編集作業をやった帰り、朝まで話して、鴨川の河原に座って一緒に朝日を見たりしたね……って、なんだ、この青春群像は。なんだかとても恥ずかしくなった。四杯目になってるからだ。

 話はそれるけど、前にヨーロッパ企画の上田君と話した時、彼はLEAFを全部持っていると言っていた。そうなんだよね。彼も京都だし。
 
 とにかく人との出会いや、そこからの関係は大事だという話だ。
 
 今、ドラマの脚本に取り掛かっているが、これだってそうだ。
 今回の話を持って来てくれたのは、出会って以来、ずっと信頼関係を維持してきた人たちだ。
 プロデューサーのYさんは、先日の打合せの時、局のロビーで私を出迎えてくれた。
 今回初めての本打ちだった。
 目が会うと、彼は立ち上がって走ってきた。
 そして私にハグをしながら言った。

「また一緒にできますよ! 嬉しいです!」

 「俺、あの時泣きそうでしたもん」と後で彼が言って来た時、私は茶化した答えをしたが、もちろん私も泣きそうだった。
 
 ……徒然なるままに書きすぎた。
 どこに着地していいのか全く分からない。
 
 明日は壁ノ花団「ウィークエンダー」の稽古に顔を出すことになっている。
 水沼君が作・演出だし金替君も出てるし。
 あ、あと、MONOの常連である松原由希子さんも出てる。
 出会って関係の続いている人たちがやっている。

 壁ノ花団の情報はコチラ
 
 水割りもなくなった。
 そろそろ眠ってみよう。
posted by 土田英生 at 04:23| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月02日

行き来の悩み

 やっと一段落着いた。
 いや、実際には締切を過ぎて終わってないものもあるので、本当はダメなのだけれど、今日はもう限界だ。

 今は東京。
 明日は朝から移動して広島。
 明後日の夜に京都。
 
 だから本当はもう眠らないといけない。
 けれど、いろいろと考えて眠れないのでこれを書いている。

 広島はアステールプラザの演劇学校をする為だけれど、とにかく私は京都⇆東京という移動が多い。
 これには小さな悩みがある。
 移動しなければいけない日が、ゴミの日じゃなかったりする。
 するとゴミも出せない。
 洗濯も前日に終わらせられるとは限らない。
 それに、服だって一々たくさんはもって移動していられない。
 そうなのだ。
 いろいろと困る。

 だから大体は似たようなそれぞれ京都と東京にある。
 レザークラフトの道具も両方にある。
 服も似たようなものがあったりする。
 それでこの前は混乱した。

IMG_6973.jpg

 
 この二着のパンツ。
 こうして写真で見ると全然違うのだが、実際には色はどちらも紺で、しかも裏地が同じ柄だ。
 多分、東京と京都にそれぞれあったはずなのだが、いつの間にか東京に両方来ていた。
 しかし、私は気づいていなかった。
 全く同じものだと思っていたのだ。

 ある時、落ちそうになったので紐を締めようと思ったら……紐がなかった。
 「あれ? 勘違いしてるのか? 紐はなかったんだっけ?」
 その時はそう思った。
 
 ある日、いつもより長く感じた。
 短パンだと思っていたら七部丈になっていた。
 「あれ? 長いな……」と、思ったら紐があった。

 自分がおかしくなったんだと思っていた。
 けれど、解明した。似た物が二着あっただけだ。

 とにかく行き来が頻繁にあることはとても厄介だ。

 そして……なぜか今、突然、忙しくなった。
 去年もそうだった。
 夏は暇だったのに秋から宮崎に書き下ろした「板子乗降臨」、小説「プログラム」、MONO「ハテノウタ」、NHKドラマ「この世にたやすい仕事はない」の執筆が重なって大騒ぎだった。
 
 そして……。
 今年もそうなりそうな予感だ。
 MONO特別企画「怠惰なマネキン」、来年のMONO本公演「隣の芝生も。」、まだ詳細は明かせないが連続ドラマ、新しく出す予定の小説、そして来年の夏に書き下ろす舞台……。考えただけで「うわー」という気分だ。

 けれどどれも大事だしね。
 ちなみに来年のMONOの公演のタイトルを確認も取らずにさらっと書いてしまった。
 9月には発表になると言っていたし……。
 これも構想だけ立っているのだが、MONOにしては大掛かりで面白いものになると思う。

 ドラマは……大好きな人たちとの仕事だ。
 この前、一回目の打合わせをしたのだが、もう楽しくて仕方なかった。
 何より私を褒めて持ち上げてくれるんだよね、この人たちは。
 猿もおだてれば木に登るが、私は猿以上に登れる自信がある。

 さっきは京都と東京の行き来のことを書いたが、人間関係の行き来もとても大事で、そして難しい。
 
 MONO特別企画「怠惰なマネキン」の準備稽古も始まっている。
 ここでも私はとてもそのことに頭を悩ませている。
 出演する5人は私より随分と年齢が下だ。
 けれどとにかく対等にやりたいと思っている。だから私が間違ったら注意してくれれば聞くし、私も思ったことは言う。

 けれど。

 人は褒められば褒め返したくなるし、貶されれば言い返したくなる。
 それが人間というもんだ。
 ただ、私は演出もしている。
 ある役者が伸びるかどうか……技術もさることながら、その人の人間性やコミュニケーション能力も大きく作用する。私は彼ら彼女らを見る立場なので、そのことに気づく。
 だからそれを分かってもらいたい。
 けれど、その伝え方。これが難しい。
 批判めいた言い方をしてしまえば、その相手も反発してしまう。私に対して「お前だってダメなことあるだろう」という気分になってしまう。
 
 そういう勝ち負けを越えたところで理解してもらいたい。
 それには私はまだまだ未熟だな。
 ついつい腹も立ったりするし。

 この三日間の準備稽古では色々なことを試させてもらった。

 
DSC00547.jpg


 これは設定エチュードの写真。
 大村わたると高橋明日香。
 この稽古の日は……明日香さん、舞台が終わった翌日だ。
 わたる君も27日までやっていたしね。

IMG_7026.jpg
 
 
 これは今日の休憩中。
 左から石丸奈菜美、渡辺啓太、立川茜。
 ……なんでこんなに表情が怖いんだろ?

 とにかく行き来は大変だね。

 明日は行かないといけないし、眠ろう。
 
posted by 土田英生 at 04:24| 東京 ☔| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月27日

ハート

 5年ぶりのENBUゼミだった。木曜日1コマ、土曜日2コマで終了。
 合計7時間半なので、じっくりとは出来なかったけど、ダイジェスト的に一通りのことをやった。

 ずっと気になっていることだが、「台詞を喋ろう」「表現しよう」という役者さんが多すぎる気がする。だからそれをいかに排除するかに力点を置いたプログラムにした。
 
 皆から呑もうと誘ってもらったので、少しだけ一緒に行った。

 色々と話した。
 皆、これからのことに希望と不安を抱いている。アドバイスしたかったが、無責任はことは言えない。先のことなど誰にも分からないし、私自身、えらそうに何か言える立場でもないのだ。
 いや、随分と言いかけたけど。
 途中でまずいと思って自戒した。
 私は元々、油断すると語ってしまうタイプなのだ。語りながら自己確認をしようとする困った癖がある。
 もっとも嫌いなヤツだ。

 私は人の相談によく乗る方だと思うし、実際、わりと頻繁に皆からSOSがくる。

 しかし、その事実に私が救済されているのだ。
 優しさなどではなく、自分の為だ。
 私は欲深いし、煩悩の塊だしね。

 時々、そのことに気がついてとても嫌な気持ちになる。

 自分の言葉を信じてもらうことはとても気持ちがいい。
 作品を創る動機だって、このことと無縁ではないと思う。

 けれど、そうしたことから離れて言葉を発してみたい。

 今日、友達を励まそうとして色々と言葉を並べてみた。
 自己確認の道具にはしないと決め、相手の為だけに言葉を発しようと努力してみた。
 なんだか言葉だけが哀しく舞っていた。
 喋りながら、私は勝手に傷ついた。
 まだまだ未熟者だ。
 
 台本を書いている時、常に効果を計りながら台詞を並べる。
 観客にどう届くかばかりを気にしながら書いている。
 ここで笑い、ここで事情を説明し、ここで、ここで、ここで……。

 けれど、時折、無心でページを進めている時がある。
 何かに書かされている気分に陥る。
 その部分はほとんど手直しせずに済む。

 まあ、滅多にそんなことはないんだけどねえ。
 
 ジーンズを履いたらポケットから紙のカタマリが出てきた。
 ポケットに紙を入れたまま洗濯したんだよね。
 元はなんだったんだろ?
 微妙なハート形をしてるな、これ。

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posted by 土田英生 at 03:20| 東京 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月25日

全く変わっていない人

 Wさんと最初に会ったのは2001年。
 だから16年前だ。
 MONOの公演「約三十の嘘」をシアタートラムで上演していた時。
 その終演後だった。

 楽屋に突然、背の高い人がやってきた。

「××テレビのWと言います。いやあ、君、面白いねえ。ちょっと話そう……と言いながらさ、俺、ちょっと今日は時間ないんだけどね」
 
 その人はいきなり勢いよく喋った。

 ……MONOは東京公演を定期化させて2年くらい経ち、私自身もアルバイト生活から抜け出し、外部への作品提供をし始めた時期だ。劇団M.O.P.に「遠州の葬儀屋」、G2プロデュースに「いつわりとクロワッサン」、宮本亜門さんのパルコミュージカルに「BOYS TIME」を書いた。そして文学座に「崩れた石垣、のぼる鮭たち」劇団青年座に「悔しい女」を書くことが決まっていた。
 やっと劇作家の仲間入りが出来たと喜んでいた頃だ。舞台だけをやっていくつもりでいたし、映像の仕事にも興味はあったけれど自分には無縁のものだと思っていた。

 終演後は、とあるテレビ局の映画制作の人と約束があった。
 実現はまだまだ先だけど、いずれ映画を一緒にやりましょうと言ってくれていた女性だ。

 待ち合わせ場所であるカフェに向かった。
 と……なぜか隣にWさんも一緒に座っている。

「いやあ、彼女とは同じ局だからさ、偶然いてびっくりしてねえ。で、聞いたら今日は土田さんと喋るっていうもんだからさ、いや、時間ないんで、俺はすぐにいなくなるけど、ちょっとだけでもと思って」

 結局、それからWさんがほとんど喋った。
 最初はやたらめったら褒めてくれ、それから「ここが弱いんだよ」などと勢いよく語って帰って行った。
 映画制作のSさんとはほとんど何も話せなかった。

 それから一ヶ月後。
 公演が終わって京都にいると、いきなりWさんから電話がかかってきた。そして翌日には京都までやってきた。その行動の早さにも驚いたが、Wさんから聞いた話の内容にさらに驚いた。
 草g剛さんのリーディングドラマの作と演出をしてくれという話だった。

 知ったばかりの私にいきなり頼むなんて大丈夫なのかと、こっちが不安になった。
 しかし、Wさんは恩に着せる風でもなく、まるで当然だというように「なんか面白いアイデアない?」とあっけらかんと聞いてくる。そして内容について打ち合わせを始める。

 結果、私は「ヴォイス」という、椿姫を題材にした朗読劇を書いて演出させてもらった。一緒にツアーも回った。Wさんに会って半年後のことだ。

 とにかく決断の早い人だった。

 同じ年、私は初めて地上波の連続ドラマを書くことになった。
 プロデューサーは当然Wさん。
 「天才! 柳沢教授の生活」というドラマだった。
 今でもとても気に入っているドラマだ。MONOの金替君も初めてのレギュラー出演をしている。
 DVD化されていないので今は観られない……と、思う。
 
 それからしばらく経って、Wさんから会いたいと連絡をもらった。
 会ってみるとまたしてもいきなり言った。
 
「北海道にさ、面白い奴がいるんだよ。一回さ、土田君と会わせたいと思ってるんだよ」

 それが……“大泉洋”のことだった。
 で、結局、それが後々「おかしなふたり」という洋ちゃん主演のドラマにつながった。
 
 しばらくWさんと会わなかった。
 その頃になると、私は他局のドラマなども書くようになっていた。
 劇団活動も含め、かなり忙しくなっていた。

 そんな時。
 再びWさんから電話がかかってきた。

 リリーフランキーさんの「東京タワー」をドラマ化するという話だった。
 電話口のWさんは興奮気味に言った。

「演出だれがすると思う? 久世さんだよ。やりたいだろ? で、俺、脚本に土田君を推薦したんだよ」

 久世さんは私にとっても憧れの人だった。
 舞い上がるような気持ちだった。
 もちろんやりたい。
 けれど、私はスケジュールが詰まっていた。どうしても無理だった。

「え? これを断るの? ダメだよ。俺さ、推薦しちゃったんだよ。俺はどうするの? 困るでしょう?」

 書くことになった。

 けれど。
 ここがWさんの面白いところなのだが……。
 初稿を書き終え、本打ちをしていた時だ。
 リップサービスだろうとは思うけど、久世さんがいきなり言った。

「土田君と出会わせてくれてありがとう」

 私は嬉しかった。あの久世さんがそんなことを……。
 笑みを堪えきれない。
 私はWさんを見た。
 
 しかし……彼は狐につままれたような表情で久世さんを見つめていた。
 そして私を指さしてこう言ったのだ。

「え? それ……こいつのことですか?」

 おいおい。
 推薦してくれたのはあなたではないのか、と私は思った。

 それを最後に一緒に仕事をすることはなくなった。
 いや、正確に言えば、一緒にやりかけた仕事は何度かあった。
 けれど実現しなかったり、それからWさんの部署が変わったりしたこともあって、段々と会うこともなくなった。
 時々、ふと思い出しては喋りたいなあと思ったりしていたが、なかなか叶わなかった。

 月日は流れた。

 で……。

 この前の「きゅうりの花」。

 お客さんのリストを確認していると……Wさんの名前があった。

 え?
 
 やはりWさんは勢いよく楽屋にやってきた。
 
「いやあ、やってるねえ。相変わらず、ええ? いや、俺さ、前に偶然、ブログを読んだのよ。普段、全然読まないんだけどね。そしたらさ、土田英生がなんか世の中に対して怒っててさあ。『お、これは、まだやってるなあ』と思ってねえ。で、観に来たのよ。一回、会って色々相談しようよ」

 そしてやはり嵐のように去って行った。

 ……で、今日、会った。

 本当に、本当に……出会った頃と全く変わってなかった。
 相変わらずモチベーションは高いし、私に対して失礼なことも平気で言う。

 けれど、そこには創作に対する愛が溢れていた。

 なんだか妙に幸せな気分になった。
 Wさんもまだまだやってる。

 私もやらないとね。
posted by 土田英生 at 04:30| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月22日

自称牧師と怠惰なマネキン

 酔って帰ってきてウトウトしてたんだけど、なぜか突然パッと目が覚めたので更新。

 今は下北沢にいる。

 19日。京都から広島に向かい、この3年続けてやらせてもらっているアステール演劇学校「俳優コース」を2日間やった。今年は顔なじみもいれば、初めましての人もいるが、比較的若い人が多い。
 10月に試演会がある。
 この構想もかたまりつつある。

 20日の終了後、そのまま新幹線に乗って東京へ移動してきた。
 ちなみに新幹線車内では隣の人と小さな争いを繰り返した。
 なんか……本当にトトロそっくりの人だった。
 まさに「隣のトトロ」だった。
 この争いについても書きたいが、今日は他に書かなければいけないエピソードがある。
 「隣の牧師さん」についてだ。

 28日に花組芝居「いろは四谷怪談」にゲスト出演させてもらうことになったので、今日は稽古を覗きに行かせてもらった。サイトはこちらです!→

 通し稽古を見せてもらうことになり、始まるまで少し時間があった。
 なのでちょっと書き物をしようとカフェに向かった。

 私はノートを広げた。
 隣のテーブルには若い女性と少し年上の男性が向かい合って座っていた。
 ノートに作品の構想などを書き出したその時だった。

「いやあ、それは悪魔の所業なんですよ」

 という男性の声が聞こえてきた。
 “悪魔の所業”というワードを日常会話で使っているのを初めて聞いた。
 私のペンはぴったり止まった。
 そこからは……もう全神経が隣のテーブルに向かった。
 
「そいつは悪魔に取り憑かれていると言わざるを得ませんね」

 女性は小さくうなずいている。
 しばらく聞いていると、男性は牧師さんなんだと分かった。
 会話の中で「僕ら牧師はですね」と言っていたので間違いない。だから悪魔などという例えが出てくるのだろう。そして女性は、牧師さんに相談しているということらしい。

 話から推察したところ、どうやら女性は旦那と別れたばかり。
 その旦那がとんでもない男で、やっと逃れられて安心している。けれど、その旦那がそのままではあまりに理不尽なので、なんとかして反省させたいというようなことだ。

「神は見ています。見ていますから大丈夫なんです」

 牧師さんは言う。
 
「そりゃ見てはくれているんだと思いますが、あの人はきっとあのままですよ」

 女性はどうやら具体的な方策が欲しいようだ。

「大丈夫です。神は見ていますから」
「ということは……そのうち、あの人に何か罰などがくだるんでしょうか?」
「本当にそうしたいのなら……簡単です」
「簡単?」
「はい。祈るんです」
「私が?」
「私も祈ってあげますよ。あのね、神は、意外と残酷なことを平気でしますから」
「どういうことでしょうか?」

 私も女性と全く同じ気持ちだった。
 どういうことなのだ?
 祈ればその元旦那に何かしらの罰がくだるということだろうか?

「殺せますよ、私が祈れば」

 衝撃な的な一言が、洒落た店内に響き渡った。
 私はコーヒーを危うくこぼすところだった。

 おいおいおい。
 
「え? あの人をですか? いや、私は別に死んで欲しいなんて思ってないんです」

 女性は慌てて言う。
 私も全く女性と同意見だ。
 殺さなくたって、ねえ?

「けど、本当なんです。実は僕の場合もそうでした。うちの父が……」

 その後は、もうとんでもない会話が繰り広げられた。

 この自称牧師は論理も倫理もめちゃくちゃなのだ。
 しかも、女性の話は聞かず、すぐに「僕の場合はですね」と自分の話を披露する。
 そして最後には「祈ればいいんです」という言葉だけでまとめてしまう。
 
 しかしだ。

 これは……ここに具体的に全部書くのはやめよう。
 必死にメモは取って来た。けれど……本当に面白かったので、作品に使いたい気持ちが湧いてきた。

 そうしよう。

 次回のMONO特別企画「怠惰なマネキン」の中に多分出てくると思う。

 隣のトトロも牧師の話もやめて、公演について書こう。

 
1707_monospecial_omote.jpg


 11月に新宿の小さなスペースで公演する。
 ちなみに出演者の一人である立川茜さんは、一昨年、広島でのアステールの演劇学校《俳優コース》に参加していた。昨年、大学を出て東京にやってきて、一緒にワークシップなどを続け、出てもらうことになった。

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 この写真だと一番右端にいるのが立川さんだ。
 
 それ以外の4人は3年前の「俳優育成講座《東京》」の参加者だ。4人は土田英生セレクションvol.3「算段兄弟」にも出てくれている。
 ついでに紹介しよう。
 立川さんの隣が渡辺啓太くん。
 その隣、真ん中に写っているのが高橋明日香さん。彼女は6年前に出会ってから9回も一緒に芝居をやっている。その隣が大村わたる君。
 
 あ、そうか。
 23日から高橋、大村の2人はそれぞれ別の舞台に出ている。
 これも紹介しておかないとね。
 興味のある方はぜひ。

 高橋明日香さんはaibook「疾走」→
 大村わたるくんはKUNIO「夏の夜の夢」→

 で、左端が石丸奈菜美さん。彼女とは「歪(ibitsu)」でも2回一緒にやった。二十代とは思えない昭和の香りをまとった女優さんだ。
 
 とにかく、この5人で芝居を創る。
 この1年、このメンバーでワークショップを続けてきた。
 共通言語もできてきたし、それぞれのメンバーの課題もはっきりしてきた。私がこれまで大事にしてきた呼吸や自意識のことだけでなく、最近は新しいことを色々試している。
 毎回発見があり、演技についてこれまでと違った回路ができつつある。
 
 これはクローズドでやっている。だから私もお金はもらっていない。前にこの話を人にしたら「ボランティアですか」と聞かれたことがあるが、ここに大きな誤解があるよね。
 
 いつからか、「ワークショップ」を講座的な意味合いで使う人が増えた。
 もちろんそれもあるんだと思う。
 実際、私もそうしたワークショップはたくさんやってるし。
 けれど、本来、ワークショップは「工房」という意味で、何かを試す場だ。むしろ、劇作家、演出家にとっての勉強の場なのだ。本当なら私が皆にお金を払って開かなくてはいけない。実際、そうしている人もいるしね。

 新作などを書く時の大きなヒントをもらっている。これがMONOの本公演などにつながって行くのだ。
 
 話がそれた。
 もっと公演のことを具体的に書きたかったけど、また改めよう。

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posted by 土田英生 at 04:00| 東京 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月16日

「きゅうりの花」終了

 土田英生セレクション「きゅうりの花」の公演が終わった。
 いやあ、楽しかった。

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 ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。

 実を言えばMONO公演「ハテノウタ」が終わってから、どうも調子が出なかった。
 ま、個人的にも色々あったしね。
 正直にいえば、初めて「そろそろやめた方がいいかも」という考えが頭をよぎったりした。
 やめたところで、他にできることもないんだけど、それでもどうも続けていく自信を失っていたのだ。
 自分の能力に対する疑いがどんどん広がり、もう無理なんじゃないかと思えてしまう。社会の動きを見ていても嫌になることばっかりで、こんな世の中で一体私は何を創って行くつもりなのか、そんな覚悟はあるんだとうかと自問した。

 こんな状態で「きゅうりの花」ができるんだろうか?
 
 そんな時、ケラさんから呑もうよと誘ってもらった。
 あれで助かった。
 差し呑みをしながら色々と話す中で、随分と楽になった。
 
 「きゅうりの花」の稽古が始まったのはそんな時だったのだ。

 この企画の難しいところは、昔、書いた自作を演出することだ。
 どうやら私は、“現在考えていることを作品にして発表すること”が好きらしい。過去にすでに書かれたものにあまり興味が湧かないのだ。それもあって「本当にできるんだろうか」と不安だったのだ。
 
 今回はキャストとスタッフの頑張りに背中を押してもらった。
 金替君は別として、他のメンバーはこの作品をやるのは初めてなわけで、彼らが戯曲に向き合ってくれることで、私自身も新たな発見ができ、結果、モチベーションが上がって行った。

 本当、皆、真面目に稽古に取り組んでくれたしね。
 チームワークも良く、まるで劇団のようだった。とても大人な座組でキャッキャとはしゃぐ訳でもなかったけど、皆が適度な距離を取り、仲良くやってくれてたし。

 大阪の最終日。
 東京に戻るメンバーもいたので、その時間まで皆で焼肉に行った。

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 ……この店がとても美味しかった。
 「うまいよね」という言葉が、皆の口から出た。
 金替君は5回くらい言っていた。

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 とにかく終わった。それもいい感じで。

 そうだ。
 食べ物といえば、諏訪君に影響されて、東京公演に入ってから、私は低糖質ダイエットを試みた。
 始めて四日くらいで痩せてきた。
 お弁当もおかずだけ。朝もパンなどは食べない。
 あんなに大好きなあんぱんすら控えた。
 差し入れにいただいた甘いものなども我慢した。
 いや、正直に言えばちょっとだけ食べたけど。特にアンコのものは……大判焼きなどは何個も食べたけど。

 嬉しかったのは大阪公演に空晴の岡部さんがきてくれた時、彼女は……なんとそのことを知っていて、低糖質のものを差し入れてくれた。あのクッキーはいいね。むさぼり食べたよ。美味しかった……。

 一々、諏訪君に「これ食べてもいいかな」と聞きながら過ごした。
 なんせ私のダイエット師匠なのだ。

 問題は……師匠も時々ブレることだ。
 師匠自身が誘惑に負けて食べてしまうことがある。
 これは困る。
 しかもだ。そういう時、必ず彼は言うのだ。「これくらい大丈夫」と。そして私にも食べることを勧めてくる。元々食べたいのに、師匠にそんなこと言われたら百パーセントの確率で食べてしまう。
 
 東京公演の最終日も、皆で飲んだ後、諏訪君と二人で呑みに行き、二人でレタスチャーハンを食べてしまった。それにしても……アレ……美味しかったな、マジで。

 大阪の最後もそうだった。
 焼肉を食べ、それから私たちはピザが美味しいという飲み屋に入った。
 私は飲むだけで我慢するつもりだったのに。

 なのに。

 師匠は……師匠は……。

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 ……師匠が食べたら弟子も食べてしまう。
 アレも美味しかった……。

 終わってからの二日間、京都の家でじっとしていた。
 戦争のドキュメンタリーばかり見ていた。

 本当に切実になってきたね。

 歴史から学べというけれど、なかなかそうは行かないらしい。

 問題は……人は原理原則だけでは動かないということだ。
 情けないことにすぐに感情に支配される。
 自分と同じ考えでも、嫌いな人が言うから反対に回ったり、面倒になるとスイッチを切ってしまったり。
 一旦言い出すと引けなくなっちゃうし。

 後、怖いのは世の中の動きなどに関して「仕方ないや」と思ってしまうことだ。
 今ある範囲で物事をやろうとしてしまう。
 その範囲がおかしいなら、そこに対して物を言わなければいけないのに。
 根本にある問題をすぐに見失うんだよね。
 
 黒澤明の「七人の侍」を良く思い出す。

 敵から嫌がらせをされて困っている農民たちは、最初、七人の侍たちに助けを求める。
 七人は農民の為に戦う。
 当然、敵の攻撃も激化する。
 と、ある時、農民たちは言うのだ。
 「あんたたちのせいでこんな目に遭う」というようなことを。

 相手を倒さなければ根本解決にはならないのに。
 
 自分が何を望むのか、静かに向き合わなければいけない。

 芝居創りでも一緒だ。
 こんな条件だからこうする、とか、あの人に褒めらるからこうする、とか、そういうことではなく、本当は自分がどんな芝居がしたいのか、それだけは見失ってはいけないしねえ。
 
 色々と嫌な気持ちになるけど、今の私には創作意欲はある。
 どんなことをやりたいか、具体的に見えてもいる。
 
 やって行くしかない。
posted by 土田英生 at 04:38| 京都 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする