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MONO代表・土田英生のブログです

2019年02月28日

MONO「はなにら」

 とにかく久しぶりの更新だ。
 今年に入ってから初めてだと思う。
 しかもすでに2月の終わりだ。

 いや、昨年だって12月は全く書いていないので三ヶ月まるまる更新しなかったことになるね。
 
 
 今日、奥村くんから「全然更新されませんね」と言われて、それをきっかけに書いている。
 MONO「はなにら」の最後の稽古が終わった。

 私は1月に稽古が始まってから、1日しか休みがない状態だった。
 まだ休めない。
 なんせこれから初日なのだ。

 いい舞台になりそうな予感だけはあるが、いつものことながら不安でいっぱいだ。

 今回は劇団メンバーのみでの公演。
 とはいっても昨年4人が入ったので9人だ。
 そして……この作品の中でそれぞれが重要な役割を占めている。

 新しさももちろんあるが、劇団としてのこれまでの美学は変わっていないのだ。
 
 明日は仕込み。
 私は舞台をチェックする為に夕方には劇場に入る。
 
 皆様、劇場でお待ちしております!

mono2019.jpg
posted by 土田英生 at 01:32| 兵庫 ☁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月02日

2つの時間

 姫路にいる。

 ……腰がいたい。
 先日、久しぶりに自分への嫌悪がMAXになってじっとしていたからだ。
 トイレを除けば38時間動かずにいた。
 『動かない鳥』として有名なハシビロコウより動かなかったな。
 やっていたことと言えば『ゴドーとの電話』というアドリブ台本を更新していただけだ。

 色々と待たせている仕事もある。
 本当に申し訳ない。すみません。
 頑張ってやりますので。

 それぞれに連絡をするつもりだけど、今日はまだ無理なので、言い訳の為にこれを書いている。
 
 2つの時間について考えていた。

 人は楽観的にならないと生きていられない。
 例えば南海トラフ地震が来ると言われて久しいが、プレートの軋みを考えばいつかは必ず地震は起こるのだ。
 今だって少しずつ動いているはずで、それがある限界を越えた時に地震はやってくる。

 けれど明日起こるかと問われれば、多分、ほぼ全員が「起こらない」と考えている。
 だから私たちは暮らせるのだ。
 つまり自分たちの、ある主観の中で「楽観的時間」を生きている。

 個人のことを考えたってそうだ。
 私たちは間違いなく死ぬ。
 ただ、それはきっと明日ではないと思っているから生きられるのだ。
 
 人間はそれぞれに主観の時間を持っている。

 仕事でもこのことが原因で問題が起きる。

 「すぐにやりますね」
 「お願いします」
 答えた方はリミットが2週間くらいだと思っていたとしても、頼んだ方は3日かも知れない。

 この例だと一週間くらした時に揉める。
 
 受けた方はまだ残りが一週間もあるのにどうして怒られるのかと不思議に思う。
 頼んだ方はリミットを過ぎてから4日も待ったのに、どうしてそんなにヘラヘラしてられるのかと信じられない。
 両方とも自分は悪くないと思っているので感情的になってしまう。

 感情や気持ちの問題になるともっと難しい。

 これを埋めるのは難しい。
 埋めるのは「言葉」しかないと思うのだが、この言葉のニュアンスにも違いがある。
 それに思っていることを全て言葉で表すのは不可能だし、受けとる側のリテラシーもあって正確には伝わらないことがほとんどだ。

 主観と主観のズレ。
 チェーホフなんてこればっかり書いている。
 ただ、唯一救いとしてあるのは、それでも許したいとか、共存したいという想いだよね。
 ま、簡単に言えば「相手の立場に立つ」ということだけど、これは本当に難しい。

 今日はこれだけ書くのが精一杯だな。
posted by 土田英生 at 00:19| 兵庫 🌁| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月29日

ゴドーとの電話(3)

しばらくウラジミールは行ったり来たりする。
そして自分から電話をする。

ウラジミール「もしもし」
ゴドー「あれ? もう電話もしないんじゃなかったのか?」
ウラジミール「……冷静に考えたんだよ。いい方法がある」
ゴドー「なんだよ?」
ウラジミール「え? お前もあれだろ? その、こうして電話はしたいんだよな?」
ゴドー「まあな」
ウラジミール「しかも……ゼロではない?」
ゴドー「なにが?」
ウラジミール「お前が駅に来る可能性」
ゴドー「ああ。そんなことはわからないからな」
ウラジミール「だとしたらだ。その、一回、『今から行くよ』と言ってくれないか?」
ゴドー「は?」
ウラジミール「今、お前は来たくない。それはわかってる。だからお前がな『今から行くよ』と言う、そしたら『俺が来なくていいよ』と言う」
ゴドー「なんだそりゃ?」
ウラジミール「そしたら俺はお前がくる気なんだと安心するし、お前も来なくて済むし一石二鳥だろ?」
ゴドー「嘘をつけってことか?」
ウラジミール「嘘っていうなよ。段取りだよ」
ゴドー「そのことになんの意味がある?」
ウラジミール「俺が待たされただけだという、その惨めさから俺は解放される」
ゴドー「行かなくていいんだな?」
ウラジミール「うん」
ゴドー「言うだけでいいんだな?」
ウラジミール「そうだ」
ゴドー「わかったよ。あの……今からさ」
ウラジミール「うん」
ゴドー「そっちへ行くよ」
ウラジミール「本当か?」
ゴドー「いや、本当ではない」
ウラジミール「待てよ! それを言うなよ」
ゴドー「ええ?」
ウラジミール「お前はあくまでも行くと言い続けないと」
ゴドー「だけど実際には俺は行かないんだから」
ウラジミール「……いくら段取りだからって、そんなにあからさまにネタバラシされたら、俺は惨めから解放されるどころか、さらに辛いだろ?」
ゴドー「そうなのか?」
ウラジミール「そういうもんだよ。だからさ、お前はあくまでも来ようとする。そしたら俺がこなくていいと言うから」
ゴドー「わかった」
ウラジミール「ほら」
ゴドー「ああ。あのさ、今から行くよ」
ウラジミール「本当か?」
ゴドー「本当だ」
ウラジミール「来る気になってくれたのか?」
ゴドー「あ、まあ」
ウラジミール「どうして急に?」
ゴドー「いや、それは……なんとなく」
ウラジミール「いや、嬉しいよ。待った甲斐があったよ」
ゴドー「待ってくれ。あの、ほら」
ウラジミール「え?」
ゴドー「俺、本当にはいかないからな」
ウラジミール「……」
ゴドー「え? だろ?」
ウラジミール「だから最後まで言い通してくれよ」
ゴドー「お前がいつまでも言わないから、来なくていいって」
ウラジミール「リアリティだろ?」
ゴドー「もう面倒くさいよ」
ウラジミール「それくらい付き合ってくれたっていいだろ?」
ゴドー「……」
ウラジミール「随分、譲歩した提案なんだから」
ゴドー「ううんんんん……」
ウラジミール「ま、それも嫌ならいいよ」
ゴドー「嫌じゃないけど、だいたい、お前が勝手に待ってるんだからさ」

ウラジミールはため息をつく。

ウラジミール「……そもそもの話になるけど、どうして俺が待ってるのか? 最初はエストラゴンと一緒に待ってた。でも、あいつは別の駅で待つと言い出した。だから俺たちは一人で待つことになった」
ゴドー「ああ」
ウラジミール「知ってるよ。エストラゴンにはお前が待っててくれと言ったんだろ?」
ゴドー「そうだ」
ウラジミール「で、お前はそこに行った」
ゴドー「うん」
ウラジミール「でも、電車には乗らなかった」
ゴドー「ま、ちょっとした諍いもあってな。それで俺は帰ってきた。随分と疲れて帰ってきた。もう誰かと待ち合わせるのは二度とごめんだとすら思ったよ」
ウラジミール「……その時電話くれただろ?」
ゴドー「したな」
ウラジミール「で、お前は言ったんだよ。エストラゴンとは電車には乗っていけない。けど、お前とはこれからも色んな意味で一緒だしなって」
ゴドー「言ったか?」
ウラジミール「言ったよ。だから、だから俺は待ってるんだよ」
ゴドー「待合せしようとは言ってないだろ?」
ウラジミール「そうだけど、あれは、ほら、待合せしてもいいという雰囲気だったよ」
ゴドー「お前は俺のせいで待ってると言いたいのか?」
(続く)

posted by 土田英生 at 20:29| 京都 ☀| 遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする