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MONO代表・土田英生のブログです

2017年11月26日

開くこと閉じること

 3日前は下北沢で眠った。
 一昨日は嵐山で眠った。
 昨日は下北沢で眠った。
 そして今は嵐山にいる。ここで眠る。
 本当は今日も下北沢に残ってもいいと思っていたのだけど、明後日は大阪から北海道へ移動だし、戻ってこれてよかった。

 一昨日、大阪でケラさんと「劇作バトル」をいうのをやらせてもらい、その時、久しぶりに関西で演劇をやっている皆と飲んだ。リーディングに出ていた人は京都の人が多かった。初めましての人もいたけれど、やっぱり私として落ち着く。

 けれど「私は京都の演劇人だ」と思ったりもしない。
 だいたい「演劇人」という言葉も嫌いだ。
 誰なんだ、演劇人って? そんなやついるのか?
 それにだ。京都に関して言えば、私は京都で生まれ育ってない。
 愛知県で生まれ、大学入学まではそこで育った。
 かといって「愛知県だ」とも思わない。

 開くことと、閉じることを考える。

 私は自分の悪口を言われれば傷つくし、腹が立つ。
 親の悪口を言われても多分腹が立つ。
 MONOの悪口を言われても腹が立つと思うし、メンバーのことを悪く言われてもきっと嫌な気持ちになる。
 もちろん、言い方の問題もあるね。
 極めて客観的に指摘されるならば、自分のことを言われても腹が立たないかもしれない。

 けれど、今、書いているのはそんなことではない。
 どこまでを自分だと思うかという話だ。

 ロンドンに留学していた時、イギリス人の友達とパブにいた。
 「日本人ってこういうとこあるよな」という話をしていた友達に、私は一瞬、「けど、イギリス人だって……」と反論しかけてやめたことがある。
 だいたい、日本人だって千差万別だ。
 大嫌いな日本人もいるし、大好きな人もいる。
 それはイギリス人だって、アメリカ人だって、中国人だって、男性だって、女性だって、つまり、そういうカテゴリー自体が人の良し悪しの判断材料にはならないということだ。
 もちろん国や地域によって文化や習慣に違いはあるだろうし、傾向としての差異は存在するだろう。
 だから雑談として「日本人はさ……」という発言は別に気にするほどのことではないのだとも思う。
 
 しかし私はこの時に驚いたのは自分自身の反応だった。
 「日本人はさ」と言われて「けど、イギリス人だって」という反応をしかけたことだった。
 明らかに私は自分=日本人だと規定していて、その発言を自分への攻撃だと受け取ったのだと思う。
 日本のパスポートを所持してロンドンに滞在していたし、多分、何かあったら日本大使館に駆け込んだりしたんだと思うし、国籍は日本にあるので私が日本人であることは間違いない。
 けど、日本人が私ではないのだ。

 人は個人としての自信がなくなると、自分が属するグループなどと自分を同一視し始める。
 「演劇人」「MONO」「男性」「日本人」「京都に住んでいる人」「愛知県出身」「O型」……これらはもちろんどれも私に当てはまることなのかも知れないけれど、こうしたカテゴリーを集めたところで私にはならないし、ましてや私は男性代表でも、O型代表でもない。あ、MONO代表にはなってるな。ああ、この文章の中では邪魔な事実だ。おいておこう。
 
 とにかく自分をカテゴリーに当てはめて閉じてしまうことはとても怖い。
 閉じてしまうと、当てはまらない人を敵対視して攻撃してしまう。
 ◯◯人はダメだというような言葉が出てくる。
 それが今の社会だね。

 開きたいね。
 そして開くためには自分という個を強くするしかないんだと思う。

 けどね。
 完全に開いたらバラバラになっちゃうしね。
 それでもできる限り開く。
 そして、個として人に対し、個として人を愛することができればいいなあと願う。

 そう言いながら、今日も京都に戻ってきて、京都タワー見るとちょっとほっとする自分もいるんだけどね。

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posted by 土田英生 at 02:51| 京都 | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月24日

調子に乗る。

 「怠惰なマネキン」が終了した。
 個人的にも色々と反省はある。
 これまで関わった公演の中で、規模は最も小さい部類だったけど、私にとっては密かに大きな区切りだったのだ。この一ヶ月くらいの間、ちょっとばかり色々あって随分と感情を消費していたからだ。
 けれど、千秋楽の公演を観ながら、自分の中で決めていたラインをクリアできたと判断したので、最終的には気分良く終わることができた。

 ただ、打ち上げの最後、なんだか微妙な空気になってしまい……翌日は気分の揺り戻しがきて落ち込んだ。自分のことは見えないけれど他人のことはよく見えるしね。まあ、この辺りのことはここで詳しく書くようなことではないな。

 昨日は事務所の片付けをしてからケラさんの台本『社長吸血記』と格闘した。
 今日行われた「劇作バトル」の準備だ。
 いやいや、難敵だった。
 話も理解できるし、つながりも分かる。おこがましく言わせてもらえば、どのようにして発想されたのかは掴める。もちろん、私にそれができるわけではないけど、同じ劇作家として、その作業の工程が感覚的には理解できるという感じだった。
 けれど、それをトークにするには『言葉』にしなければならないのだ。

 朝方までなんども読み返して、昼すぎに新幹線に乗った。
 久しぶりの関西。
 天満橋は一年ぶりだ。前回の「劇作バトル」以来だ。

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 会場に着くとリーディングをする関西の役者さんたちが練習をしていた。
 よく知っている顔もある。
 そして、よっこん、いや、横山拓也くんが待っていてくれた。彼はこの企画を3年連続で担当してくれている。頼りになるんだよね、この人。

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 脱線もしたけれど、私はとても楽しくトークをすることができた。
 ケラさんもとても協力的に話してくれたと。
 終わってから皆で打ち上げ。
 ケラさんが皆から写真を頼まれ……順番に撮られていて、まるで握手会のような様相だった。
 大丈夫なのかなと心配しながら私も撮ってもらった。

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 あ、『お風呂が入りました』という無機質な電子音が下から聞こえている。
 そろそろやめて、久しぶりにゆっくりと入ろう。

 明日の昼には家を出て、東京に戻る。
 ドラマの打合せなのだ。

 風呂から出て元気があれば、寝る前に次回のMONOの構想を練ろう。
 『社長吸血記』を読んだおかげで、ちょっとアイデアを思いついてしまったんだよね。
 
 あ、そうだ。
 今日のタイトルである『調子に乗る』。
 ケラさんが「土田くんのブログ、本にしたらいいのに」と、言ってくれたので調子に乗って更新しているからだ。
posted by 土田英生 at 01:43| 京都 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

「怠惰なマネキン」最終日。

 「怠惰なマネキン」。
 5日間8ステージ。
 今日が最終日で、昼と夜の2回。
 これまで関わった中で最も小さな会場での公演だ。
 40人マックスなので、おかげさまで全ての回が前売完売になった。
 
 昨日は……演劇をはじめてから、“私にとって”初めてのハプニングがあった。
 詳細は省くけど、本番を中断するしかなくなったのだ。中断を挟んで最後まで上演はできたけど……うんんん……。改めてそのことについては書きたいというか、考えなければいけないなあと思っている。
 あの場面ではあの選択しかないと理解しつつ、それでも自分の判断が間違ってなかったのか、モヤモヤしたものが残っている。「Show must go on」が基本理念だったしね。
 
 最後まで協力的だったお客さんに対しては感謝しかない。
 理不尽なことばかりが目につく社会の中で、とても真っ当な人たちを目の前にして、私自身が多くのものをもらった気がする。
 
 とにかく、残り二回、うまく行きますように。

 10月からとにかく忙しい毎日が続いている。
 「怠惰なマネキン」はその合間に稽古をしながら書き進める感じだった。前回の更新でも書いたことだけど、台本のフィクション度合いが極めて少なく、私のフィルターを通した役者本人の姿を、こうなればいいのにという思いを込めて書いた気がする。
 だから内容も、やや若いというか、私自身にとってはすでに通り過ぎたことだったりする。
 
 ……そんなことないな。
 わかったような顔をしてても、人間、年齢ではそんなに変わらないし。
 若いメンバーに書いたという言い訳の中、自分の中に残るどうしようもない幼さを書いただけかも知れない。
 
 現に今だって、いろいろと考えて眠れず……だからこれを書いてるのだ。
 考えるねえ。
 なんで私はこんなに考えるんだろう?
 しかもコーヒーを飲んで、アーモンドを食べながら。

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 そもそも、私はどうしてこんなにアーモンドを食べるんだろう?
 本番中なのでお客さんが差し入れてくれたりして、アーモンドの供給が潤沢だということもある。
 けれど、普段でも私はずっとアーモンドを食べている。
 リスより食べていると思う。
 どうしてアーモンドをこんなに食べるのかを、アーモンドを食べながら考えている。
 「ベラベラ喋るのをやめる」という決意をベラベラ喋ってしまったことがあるが、それと同じような矛盾を感じるな。

 年内は細々とした仕事をしながら、ドラマの脚本を書き進める。
 同時に準備しないといけないのが、次回のMONOの本公演だ。

 タイトルも決まっている。

 『隣の芝生も。』

 3月に名古屋公演で幕を開け、東京や大阪、その他の場所でも公演を予定している。名古屋は愛知県立芸術劇場、東京が座・高円寺、大阪はABCホール。

 私のこれまでの作品はすべて『一杯飾り』だった。
 「杯」は場面のことで、「飾り」は舞台美術。
 だから一つの場所だけで進行するのが『一杯飾り』だ。
 今回はそれを変える試みをしようと思っている。
 二つの話が同時に進行し、それがやがて一つの物語に収斂していくようなものにしようとしている。だからセットも二つ必要なのだ。『二杯飾り』だ。

 『隣の芝生も。』というタイトルから、隣り合わせに存在する人たちの話だろうと推測すると思うが……それはその通りだ。裏切らなくて申し訳ない気持ちだ。

 MONO特別企画「怠惰なマネキン」に出演している5人も全員出演する。

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撮影/吉田朱里


 だいたい、この写真はMONOのサイトなどに載っている写真と同じような雰囲気で撮ったやつだし。

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 ……踏ん張って遠くを見ないと。
 そこに少しでも明るい景色が見えるなら、まだまだ歩けるしね。

 アーモンドもなくなった。
 少しだけ眠ろう。
posted by 土田英生 at 07:34| 東京 ☀| 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする